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そうだよねぇ

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「そういえば、第二王子や第三王女はどうなるんでしょう?」
「はい?」

 なんとか決まったデザインで、しゅるしゅるとドレスを編む。
 そんな中のリィーンさんからの質問に、若干イラッとしてしまったが、まあいいか。

「ほら、王妃様捕まって隣国に送られるじゃないですか」
「あぁ、犯罪者の血が流れてるとはいえ王族ですし、王様としては後継者が居ない状況にする訳にもいかないから、隣国がなんか言ってきたら王女だけでも送るつもりなんじゃないですかね」

 なお、沢山魔力を使って糸を編み上げ、ドレスとして出力しているので、縫い目やその他パーツなどに分かれていないのが、この製作方法の特徴である。
 3Dプリンターの衣服版みたいな感じと言えば分かりやすいだろうか。
 問題はめっちゃ疲れる事だけである。

 でもクロの為だから頑張るよ俺。

「それはそれで、王女様が可哀想ですね……」
「一応、友好の為の王様と王妃様の婚約だった訳ですから、それくらいしか手が無いのでしょう」

 すげぇ集中して一定の魔力を出しながらじゃないと上手くいかないので、めちゃくちゃ大変だったりするのだが、これもクロの為だから頑張るよ俺。

「犯罪したからもう要らない、とか言えませんしね……」
「ほぼ言ったようなもんですが、とはいえ、友好の証は必要でしょうから、王女を送ってそれにするしかないかと」

 あー、きっとすげぇ可愛いんだろうな、これを着たクロ。

「お隣の国もそんなつもりはなかったから凄く焦ってそうですけど……」
「まあ、焦ってるでしょうね」

「国力はほぼ同等ですし、戦争にでもなったら……」
「確実に共倒れしますね、戦力も似たようなものですし、ただ疲弊するだけです」
「それは……いやですね……」

 ちなみにどんなデザインになったかというと、Aラインのワンピースである。
 クロの出るとこ出て締まるとこ締まってる体型だとマーメイドラインのドレスになりそうではあるが、そこはこのドレスさえあれば無問題である。

「そうなったら、これ幸いとあの帝国が攻めて来るでしょうね」
「うわぁ……」
「まあ、そうならない為の友好関係なので、破棄する訳にもいかないのは隣国もこの国もお互い様だと思いますよ」

 色は紺から黒へグラデーションして行く感じで、フリルは最低限。
 後ろの黒いリボンも小さめで、完全に動きやすさ重視である。

「ますます王女様が可哀想になってきました……」
「……まあ、肩身は凄く狭いでしょうね」
「なんとか出来ないんでしょうか?」
「今は隣国がどう出てくるか分からないので、杞憂かもしれませんよ」

 跳んでも撥ねても走っても着用者の邪魔をしない、それだけを考えて作られていたが、プラスして可愛さと気品と優雅さとその他諸々はどうしても必要なので頑張っています。

「でも、可能性が高いんですよね?」
「……友好の婚約が必要ならしておけばいいだけですから、その辺を突き詰めれば多少なりとも何とかなるとは思いますが……」
「そんな事が可能なんですか?」

 なお今までドレスの種類とか全然知らなかったけど、今回の為に最低限くらいには勉強しました。
 ていうかさすがに会話しながら魔力維持するの疲れてきたので、そろそろ会話切り上げていいかな。

「隣国の王子か王女がうちの国の王子か王女と婚約しておけば良いだけですよ」
「……なるほど……?」
「それなら肩身が狭くとも、その国でのある程度の地位がありますから、ただの留学よりも生きやすくなるかと」

『なるほど!』

 ひょっこりと第三者が現れて、嬉しそうに笑った。

「いやー、ありがとうございます! 実は王もそれ結構悩んでて、どーしよっかなー、ってなってたんですよ!」
「まあ、参考程度になれば幸いです」

「助かりましたよー、ではでは、失礼しました!」

 そして来た時同様、ひょっこりと帰っていった。

「…………誰ですか今の……」
「王家の影の人ですねぇ」

 まあ、俺は知ってたけどな。

「…………知ってたなら言ってくださいよ!!」
「タイムリーな話を始めたから知ってたのかと思ったんですが、知らなかったんですね」
「あなたみたいな規格外と一緒にしないで下さい!」

 なんかすげぇ理不尽なキレ方されたんですけど、これ俺が悪いの?


 
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