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逆転移した公爵令嬢

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北海道札幌市。1月某日。前日まで降り続けた雪が止み、その日は快晴だったが気温はマイナス。

凍てつく寒さを肌に感じながら、受験勉強をするため、図書館へ行く約束をしていた幼馴染の家に寄った。


拓磨「充希、迎えに来たぞ……ってまだ寝てんのかよ。みーつーきー!起きろコラ」


未だ布団の中にいる寝ぼ助を起こすため、掛け布団を剥がした。


充希「ひぃぃ。寒いぃぃ。僕の布団ちゃん……」


拓磨「布団ちゃん。じゃねぇよ。可愛子ぶんな。ほら、勉強すんだろ?お前このままだと俺と同じ高校行けねぇよ。良いのか?鈴木と付き合って放課後デートも出来なくなるぞ」


充希「拓磨と一緒の高校は行きたいんだけどさぁ。うっ…うっ…穂乃香ちゃんに彼氏が出来たんだよぉ。だから不貞寝してるの……慰めて拓磨ちゃん」


拓磨「そりゃ残念だったな。慰めてやるよ。図書館で、勉強しながらな。だから早く着替えて降りて来いよ」


充希「あぁぁぁ。勉強で慰められたくないよぉぉ……おんぶして拓磨ちゃん」


拓磨「お前は子供か!いいから早く来い。席なくなるから先行ってるぞ~」


充希「待って待ってぇ!」


駄々を捏ねる幼馴染に呆れながら部屋を出て階下へ行き、リビングに居た充希母に声を掛けられた。


「あら拓磨くん。久々ね元気だったかしら?最近は全然来てくれなくて寂しかったのよ?美奈も会いたいって言ってたし、また前みたいに遊びにいらっしゃいね」


拓磨「あはは。すみません。受験が終わったら遊びに来ますね。それじゃ、お邪魔しました」



当たり障りのない会話をして外に出た。吐く息が白い。息を吸い込むと喉がピリつく。
図書館まで歩いて30分ほどの距離。寒いから地下鉄で行こうか迷ったが、天気が良いので歩くことにした。

ザックザックと、真っ白い雪を踏みしめて歩きながら考えていたのは、今までの事とこれからの事。

充希の父はIT企業の社員で、母は専業主婦。充希の下に美奈という来年5年生になる妹が居る。暖かい、理想の家族だ。

拓磨の家は共働きで常に親が居ないし、一人っ子なので小さい頃から1人で過ごしてた。
日中は、充希家が拓磨を心配して家に連れて行ってたので寂しくなかったが、夜は寂しかった。

大きくて広い家は羨ましがられるが、誰の温もりも感じない寒々しい家は、拓磨にとったら要らない物だった。

笑い声の絶えない暖かい家、充希の家が拓磨には眩しく、羨ましかった。それと同時に「この家の子になりたい」そう思って、中学2年生まで入り浸ってた。

だから今でも仲は良い。が、中学2年生の夏休みから距離を置くようにした。
距離を置く。と言っても、家は3件隣りだし、充希とは幼馴染なので全く交流が無いわけじゃない。

ただ、夜にご飯を食べさせてもらったり、泊まったりするのを辞めた。どんなに入り浸っても自分は家族じゃないから。所詮は他人だから。

そう思ったキッカケは、2年の夏休みに充希一家が一週間の旅行に行った時だった。
連れてってもらえないのは当たり前だったのに、少し期待したんだ。自分も行けるって。


拓磨「バカだったよなぁ。あの時の俺」


一週間後、帰って来た充希を無視して2学期始まるまで会わなかった。拗ねたんだ。
毎日、朝も昼も夜も、心配して会いに来てくれてたのに、拓磨は殻に閉じこもった。


拓磨「情けないよな。本当ガキだったわ」


始業式で久々に会って充希が号泣。めちゃくちゃ謝られて、拓磨も「無視してごめん」と謝って仲直りをした。

その時に言ったんだ。「あまり充希の家には行かない」って。「なんで?」って聞かれたけど、「家族じゃないから」とは恥ずかしくて言えなくて、「受験のため」って理由を付けた。


拓磨「まぁ、本当に受験生だからな。あながち間違いでは無い」


そんなこんなで、久々に充希家に行った。相変わらず暖かい良い家だ。「うちとは大違いだな。はは」


拓磨「うぅ、寒い。冬晴れは凍てつくわマジで。てか充希遅ぇな……2度寝してんのか?」


ザックザックザック…

ネックウォーマーを鼻上まで伸ばし、吐き出した息が籠り蒸気になって外に排出され、その熱で前髪やまつ毛が凍った。一瞬で霜になる。

冬晴れの日によくなる現象を若干楽しみながら、降り積もった雪の上を図書館に向かって歩いてた。

寒さで耳がキーーンと鳴ったあと、後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。
その場に立ち止まり、振り返って「転ぶぞ」と声を掛けた瞬間、道路を挟んで反対側にある公園に、一筋の光の中が降り注ぎ、ダイヤモンドダストがキラキラと舞っていた。

ダイヤモンドダストは珍しくないが、その光が神々しくて、追いついた充希と一緒に眺めていた。


充希「凄い綺麗だね。天から降り注ぐ光……あのダイヤモンドダストが徐々に人の形になったりして」


拓磨「なんか神々しいな。光の粒が人の形に?はは!お前、異世界物の小説とか漫画好きだもんな。
あの場合、異世界人が地球に召喚って……か?え?え?」


充希「いやいや、え?ウソでしょ!なになに!?マジで光が人の形になったよ!!超常現象だよ!!チューブトップのドレス着てる!」


拓磨「……ちょっと待て。ドラマの撮影でもしてんじゃね?は?キラキラが人になる演出??テクノロジー凄くね!!」


あまりのことにパニックになった拓磨は、左右上下と顔を動かし、キョロキョロと辺りを見回した。


充希「拓磨、拓磨、撮影してない!誰も居ない!落ち着いてぇ、深呼吸~すぅぅ、はぁぁ」


拓磨「充希まずいぞ!雪山に突っ込んで倒れた!ちょっ、行くぞ!あのままじゃ風邪ひく」


いつもなら人通りが有り、車も走ってるのに、全く誰も居ないし、車が来る気配すらない。
不思議に思いつつも、「助けなきゃ」と、公園まで走った。


充希「OK!うっわ、滑る滑る!!」


冬の公園は雪捨て場になっており、除雪された雪や氷が山になっている。固めてあるわけじゃないので、場所によっては柔らかく、人の重みで埋まってしまう。

幸い、そのドレスの子は軽かったのか、埋もれもせず山の頂上付近で倒れただけだった。

ただ、拓磨も充希も男。身長も高くて体重も標準はある。そんな2人が雪山に足を踏み入れたら埋もれてしまう。


拓磨「まずいな。俺たちじゃ登って行けないぞ。どうする充希」


登ろうと足を乗せ体重を掛けたら、ズボッとハマった。


充希「ソリとか?いや、あそこまで持って行けないよね。どうする?レスキュー呼ぶ?」


拓磨「いや、国籍が無いと問題になる。どうみたって日本人じゃないし、銀髪だから外人だと思われるだろうが、ビザが無いと不法滞在になったりとか、色々不味いことになるだろ」


充希「クッソ面倒くさいね」


2人が雪山の前でどう助けるかと思案していたら、その子が浮き上がり、拓磨の腕の中にゆっくりと降りてきた。

その現象があまりにも現実離れしていて、「まるで魔法だ」と、充希が呟き、「ああ…」と、しっかり抱き留めた女の子を見ながら拓磨も同意した。

目を覚まさないその子をどうしたら良いか?と、寒空の下、チューブトップのドレス姿のままだと、風邪をひいたら大変なので、充希のコートを掛けてから、拓磨の家まで連れて行くことにした。


拓磨「ここからなら俺の家の方が近いな。誰も居ないしとりあえず行くか。今日はうちで勉強だな」


充希「そだね。うちに連れてったら母ちゃんとか美奈が五月蝿いからね。てか、この状況で勉強すんの?気になって集中出来ないじゃん!!」


拓磨「騒ぐな。起きちまうだろうが。いつ目覚めるか分からんし、それまで勉強だ。じゃないと志望校落ちるぞ」


充希「ばーか、おーに、あくまぁー。あ、ウソウソごめんね?ごめんね?睨まないで?ちゃんと勉強します!」


2人はその後もあーだこーだと小声で話しながら、小走りで家まで急いだ。
途中で充希がコンビニに寄り、飲み物とか買って行くと言うので、拓磨だけ先に家に帰った。


ガチャ。「ただいま……」と、どうすっかな。リビング……いや、寝てるし俺の部屋連れてくしかないか


その辺に寝かすわけにもいかないからと、階段を登って自室のベッドルームに入りゆっくり降ろした。


拓磨「うわぁ。自分の部屋のベッドに女の子……改めてヤバいな。しかも凄ぇ美少女。なんだこの細さ……
ヤバい、ヤバいぞ、早く充希来てくれ……」


拓磨は普段、女の子とは一線を引いて付き合ってる。別に女嫌いとかじゃないが、無遠慮に根掘り葉掘り聞いてくる女の人が苦手なのだ。

それで嫌な思いをした事が過去にあり、女の人を見るとどうしても拒否反応が出てしまう。
全員がそんな性格わけじゃないが、同じに見えてしまうのだ。

だから、充希みたいに免疫が無く、自分の部屋に女の子が居る今の状況に戸惑っていて、ソワソワと落ち着かず、ルームライトの下でクルクル回っている。

部屋に響く寝息がやけに耳につく。なんかイケナイ気分になりそうで、音楽を掛けようかとスマホを弄ったが、「いや、起こしちゃうな」と、テーブルに置き、「あ、勉強してれば良いんだ」と、続き部屋に行き、勉強机に座った。

いつもは集中する為に、ベッドルームと勉強部屋の間にある引き戸を閉めるのだが、「起きたのに気付かないとマズイよな」と、開けたままにしといた。

拓磨は一度集中すると周りの音が聞こえなくなるので、この時も、美少女の事を忘れ参考書を開いて集中していた。

カリカリ……ペラッ……カリカリ……


「ん~、√27+3/√3=3√3+√3=4√3。次が因数分解ね。X2-25y2=(X+5y)(X-5y)っと……」


一段落付いたところで、集中を解いたら、左側に手元を覗き込む美少女がいた。
吃驚しすぎて椅子からガタガタと滑り落ちた。そんな俺に一瞥して、少女は教科書を凝視している。


『#&☆&#&#?#&#☆#』(これはなんて書いてあるの?)


あ、喋ったけど何語か分からん。どうすんだコレ。


(拓磨、拓磨)コソコソ。


拓磨「充希!いつの間に来てた?ごめん集中してて気付かなかった」


充希「10分くらい前だよ。チャイム鳴らしたけど出て来ないから、勝手に入ってきたわ。で、部屋入って勉強部屋見たら、集中してる拓磨と、隣で机の上を凝視している彼女がいたわけよ」


拓磨「ああ。チャイムで起きたのかな。なぁ、さっき喋ったよな。何語か分かんないから話通じないんじゃね?」


充希「あ、起こしちゃったか。悪い事したな。僕も何語か分かんないな。やっぱり異世界人かな?あ、めっちゃこっち見てる。てか目がピンク!銀髪巨乳美少女キタコレ!!腰ほっそ!ドールみたい!」


拓磨「異世界人だよな。言語が聞いた事ないし。てかお前どこ見てんの!確かにデカ……イヤイヤ!ドール、ドールね。うん。無表情だから人形みたいだな」


『&#&#☆&#?』(貴方達どなた?)
『#☆#☆&?』(ココはどこかしら?)
『&☆#☆?』(あら、あれは何かしら?)
『##&#☆&!』(外が真っ白だわ!)

立ち上がって近付いて来たと思ったら、首を傾げて何か言い、プリンターを見付けては何か呟き、窓に近寄り外を見て吃驚してる。

その後も、何かを呟いてはチョコマカと動き周り、一通り見終わって満足したのか、急にピタッと止まった。

そして、トコトコと拓磨の前に歩いて来て、ドレスを摘み、たぶんカーテシーってのをして挨拶?してきた。


『&☆#☆&☆ジュリ#?セデス☆#☆』(大変失礼致しました。わたくしジュリエッタ・メルセデスと申します)


拓磨「ん~。悪い何言ってるかわかんねぇんだわ。ジュリ?セデス?ってのは何となく分かったが……」


『#☆#&#☆…☆&#☆&?』(言葉が通じないのね…リーディング魔法は使えるかしら?やってみましょうか)


《光と闇の力をもたらし、空間を超えて真実を見る。過去と未来の謎を解き明かし、知識を得る者に力を与えん。リーディング》

言葉が通じなくて3人で困ってたら、少女が空中に何かを描くような仕草をし、ツラツラと口から副音声みたいな音を出したと思ったら、拓磨の頬に手を添え、口付けをし、ほんの一瞬舌を差し入れた。

その後、充希にも同じように、口付けと舌を一瞬差し入れ、驚いて固まってる2人に声を掛けた。


「わたくしはジュリエッタ・メルセデス。言葉が分かったら返事をしてね。貴方達のお名前は?」
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