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迷宮7-2)お友達
しおりを挟むうわーうわーうわー。
わたしの手を、ぎゅっと握られているみたい。
いまわたしの意識は女神像の中にいるから、すごく温かみを感じてしまう。
雰囲気的にだけどね。
金色の目が、きらきら輝いてわたしを見上げているんだけど……。
そんな、期待の篭った眼差しで見上げないで?
『わたし、女神さまじゃないです……』
恐る恐る、答えてみる。
だって、女神様と間違えられちゃうなんて。
お願いだから、そんな凄い存在とわたしを一緒にしないで。
わたしは、ただのちっぽけな迷宮ですから。
ここはきっぱり否定しないと、あとで本当にいるかもしれない女神様から罰が当たりそう。
あ、もしかして女神像の中にいたりしたら、それも罰が当たるのかな?
でもなんとなく、ここが一番落ち着くの。
「女神さまじゃないの? じゃあ、なんて呼んだらいいのかな」
『宮路芽衣っていいます』
「ミヤジメイ? 不思議な名前だね」
『呼びづらいかな?』
「どうだろ? 慣れれば大丈夫な気がするけど……」
そうだよね。
この世界の冒険者達が呼び合っているのを聞いても、横文字風だものね。
和名は発音が難しい気もする。
ちなみに、たぶんだけどわたしの名前以外の言葉は、現地の言葉に自動翻訳されているんだと思う。
この世界の言葉は英語に近い感じがするんだけど、実際は発音や何やらが違う感じ。
それでもわたしが理解できるのは、意思を持った迷宮という存在だからじゃないかなって思う。
そうだ。
『呼ぶのが難しかったら、迷宮、って呼んでもらえれば。ここでの名前は、きっとそうだから』
「迷宮さん? うん、呼びやすいね。あらためてありがとう。すっごく助かったよ。あいつら、一対一なら負けないんだけどな」
『君の名は?』
「僕はルーシェル。ルーって呼んでよ」
言いながら、ルーくんは頬っぺたをさすった。
かなり赤く腫れている。
これ、明日になったらもっと腫れて、痣になるんじゃないかな……。
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