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♡憧れのあの子に挿入♡

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 夕暮れ時、荻窪の駅を出て少し歩いた所にあるギャラリーに雄二は入った。別にアートが好きなわけではない。本当になんとなく、なんとなく入っただけなのだ。

 中にはうだつの上がらないアーティストの作品が飾ってある。

 その中の一つ、堂島星人による『神々たちの排泄物』の前で雄二は立ち止まった。

「じ、神野さん?」

 その作品は、便器のコスプレをさせられている裸の女性に、鑑賞者の欲望を挿入することで完成する作品だった。そのコスプレを、高校の時の憧れの神野さんがしていたのだ。

「じ、神野さん、こんなところで何を!?」

 神野さんはまゆひとつ動かさずそこに在った。

「どうですか、この作品は?」

 作者の堂島星人が声を掛けた。

「な、なんなんですかこれは!?」

「わかりませんか?我々は神の排泄物、人類の歴史は排泄の歴史、それは子宮、そう言うことです」

「わかりませんよ!」

「ちょっと神野さん、神野さんはこんな所でそんな格好をして、それでいいの?」

 神野さんは微動だにしない。

「何事も批判する前に体験です、さあどうぞ」

「た、体験って…」

「ふふ、説明しなくてもわかるでしょう?さあ、お脱ぎなさい」

 そう言って堂島は雄二のベルトを外し、ズボンを下ろした。

「これも脱がせて欲しいですか?」

 堂島はブリーフをつまみながら言った。

「じ、自分で…」

 憧れの神野さんの前で欲望を剥き出しにした雄二は、作品を完成させるために挿入しようとした。だがその時、隣で鑑賞していた男が先に挿入した。

『パンッパンッパンッパンッ』

「あぁ、じ、神野さん…」

 神野さんの表情は無のままだ。

「一歩遅かったですね、この作品は、1日に1人までなんです」

「えぇぇ!?そんなぁ」

 雄二は、明日の開店時間を聞いた。


 

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