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ある日のバレンタイン日記 番外編

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ここは台所の隣の休憩室。その中では今、芙蓉ママと家妖精さんたちが重要な会議を行っていた。

『さて、皆の者、よくお聞き』

『『『イエス、マム!ですです!』』』

『ここ最近、行事という行事、全て神様たちに先を越されている。これはこの家を任されている私らにとっては由々しき事態だよ』

『『『ですです』』』

『それもこれも、主が成人して久しく、可愛げがない···んんっ、色恋沙汰にも疎···んんっ、行事ごとを面倒くさがり···んんっ、とにかく、行事ごとが疎かになっていたからだと思う』

『『『ですです』』』
『ご主人、引きこもりなのです』
『周りにあんなのしかいなかったから仕方ないのです』
『知り合いと言えばローズ様くらいなのです』
『思えば寂しい生活だったなのです』
『かわいそうなのです』
『『『『『ですです』』』』』

『お前たちも中々遠慮ないね···』

聖十郎様、散々な言われよう···


『ふえっくしゅんっ!』
「ぶぶぶー」じとー
『あ、ごめんごめん。クリーン』ぽわっ
お膝に座って絵本を読んでもらってたのんちゃんが···
『誰か噂してるのかな?』ぐしっ


『まあ、とにかく!これ以上神様たちに遅れをとるわけにはいかないよ。今はのん達もいるしね』

『『『『『ですです』』』』』
『家の中が明るくなったなのです』
『若返ったなのです』
『可愛いがたくさんで癒されるなのです!』
『『『『『ですです!』』』』』

のんちゃん初め、ちびっこ神獣たちでリフレッシュ!


「へくちっ」
『『『きゅんっ(くちっ)』』』
「うにゅ?」
『『『きゅん?(かじぇ?)』』』
『これは本当に誰か噂してるかな?はい、ちーん』
「ちーんっ」


『まあ、とにかくだよ。改めて家精霊に受け継がれるこの秘伝書を読んだところだねぇ』ででん!

ママの手には表紙には、でかでかと書かれた㊙の文字。

『何が書いてあったです?』ごく
『『『ですです?』』』ごくっ

『近々バレンタインなる行事があることが分かったよ』ふふん

『『『おお~です!』』』
『何する行事です?』
そこ重要!!

『初代様の伝えによると、チョコレートやお菓子を思う存分食べる日らしい』

『おおお~です!』
『家妖精の力の見せどころなのです』
盛り上がりを見せる家妖精たち!

『だが』
だがしかし、ママの話はそこで終わらなかった。

『『『が?です?』』』

『初代様の奥様の伝えによると、あの顔は絶対に嘘をついている』

『『『え?嘘なんです?』』』
さすが、奥さん鋭い!

『だが、完全に嘘でもなさそうだし、何より子どもたちが喜んでしまっている。問ただそうにものらりくらり···どうしてくれようか!手玉に取られているようで悔しいーっ!と、あるんだよ』

『初代様、どうしようもないなのです』はぁ
『初代様の奥さん、きっと苦労したなのです』ふぅ

『ん~でもねぇ、初代様についていた家精霊によると、その日の夜はこっそり奥方様にだけプレゼントがあり、翌日の奥方様は大層ご機嫌だったとあるんだよねぇ』

『初代様、上手いことバランスとってたです』
『奥さん、やっぱり手玉に取られてたです』

『ぴよぴよ~(聖一朗がよく、チョロインって、ぼそっと言ってたよ~)』

『『『『『わーっ!なのです!』』』』』わーっ
蜘蛛の子ならぬ、家妖精さんたちが瞬く間に散り散りに隠れました。
『陽葵じゃないかい。どうしたんだい?』

『ぴよ~ぴよ~(のんちゃんのおやつ取り来たら~聖一朗たちの話してたみたいだから~)』

『おや、もうそんな時間かい?悪かったねぇ。ちびたち、陽葵と一緒に届けてくれるかい?』

『『『はいなのです!』』』

『ぴよ~(なんか、鼻がムズムズするから風邪予防になるものがいいな~って言ってたよ~)』

『···それはきっと風邪じゃないと思うけど、分かったよ。生姜紅茶に、ドライフルーツも付けようかねぇ』
主、分かってて伝言してきたね。

『ぴよぴよ~ぴよ~(あ、そうそう。バレンタインって~好きな人にチョコやお花を渡して告白したりする日なんだって~。聖一朗の国だと女の人から告白することが多いんだけど、ここは男の頑張りどこだって言ってたんだ~。でもね~、聖一朗ってばホントのこと言うの恥ずかしくて、ずーっと誤魔化してたんだよ~。ラブラブだよね~)』
陽葵ちゃんがネタばらし!

『そういうことかい。初代様の照れ隠しだったんだねぇ』ふっ
『初代様、かわいいとこあるです~』
『主よりヘタレじゃないです~』
初代様の株が少々上がって


『へっぷし!』
『うぶぶぶぶー』
『あ、またごめんごめん。クリーン』ほわぁ
聖十郎パパの株が少々下がった。


『ぴよ~ぴよぴよ~(奥さんも、こんなに子どもたちにお菓子食べさせたら虫歯になっちゃうって言いながら、楽しそうだったよ~。そういえば、せめてもの抵抗って、いちごたくさん使ってたかも~キシリトールがなんとかって言ってたよ~。次の年に、クリーンをかければ良かったのね!って残念がってたけど~)』

『ふ~ん、ありがとね、陽葵。いいこと聞いたよ。きっと普通のチョコはグランパ達が沢山用意してくるだろうからね。私らはいちごを沢山使ったチョコを作ろうかねぇ』にや

『『『『賛成なのです!』』』』
『さっそくいちご植えてくるです!』
『色んないちご作るです!』

『ぴよ?(そこから?)』

『大丈夫。お菓子がかかってるとなると、ローズ様が嗅ぎつけて頼まなくても手伝ってくれるからねぇ』にや

『ぴよ~(なるほど~)』


そんな訳で

「ほあああああっ」キラキラキラキラ

『どうだい?バレンタインってのはチョコレートを渡す日なんだろ?嬉しいかい?』

「あい!ちょこ、た~くしゃんっ!いちごた~くしゃん!ありがちょ!」キラキラキラキラ

テーブルの上にはチョコがたくさん!色んな形のチョコレート、チョコレートケーキ、チョコレートドリンク、チョコフォンデュまであるし!いちごも色んなとこに使われてるよ!

〖儂からはこれじゃ〗どさっ
一粒でいくらするか分からない高級チョコから、チ〇ルチョコまで!色んなチョコがたくさん!
〖まあ、日持ちするしの。食べ過ぎはダメじゃよ。毎日少しずつの〗
「あい!ありがちょ!」
ちょっとずつ食べるよ!

〖ぼくはこれだよ〗
「おはにゃ!うしゃぎしゃん!」
ピンクと白のかわいい花束と、ピンクのうさぎのぬいぐるみ!
〖そう。お花だけじゃ寂しいと思ってね。気に入ってくれたかな?〗
「あい!ありがちょ!だいじしゅる!」
もふもふうさぎさんをぎゅっと抱きしめてると

『私からはこのイチゴたちね。沢山育てたのよ』
『ありがちょ!おいちい!』

『ぴよ~(うさぎさん汚れちゃうよ~)』
「うにゅ。しょれは、だめ」
『じゃあ、汚れないように今はこっちに置いとこうかね』
「あい」

そしてみんなで

『毎日バレンタインがいいわ~』
『ダメに決まってるだろ?太るよ』
『分かってるわよぉ』
 
「おいちいね~」
『『『きゅん(うん!)』』』
『ぴよ~(楽しいな~)』
『そうね』
『とっても楽しい~』
『それにおいしいよ!』
『うんうん!』がつがつっ

みんなでワイワイ、チョコレートを堪能しました。


☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。またまた番外編です。どうもイベントあると書かなきゃと思っちゃうんですよね。楽しんてもらえたら嬉しいです。
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