上 下
66 / 89

65 杖は?

しおりを挟む
美しい弓の正体は、天界樹の枝と、グリ様のしっぽ!
そんな物凄いものを、その辺にあったペンでも渡すようにヒョイっと渡されてしまったエルフさんたち。
面白···じゃなく、気の毒な位ピシッと固まってしまった。

〖おやまあ、そんなに驚きますか?精霊樹の杖より、少々上という位だと思うのですが?〗
工芸神様、恐らくそれも一般の物とじゃ、比べる対象にはならないかと···あら?

『そういえば、魔法と言えば杖なイメージだけれど、杖はないのかしら?』
昔から魔法使いと言えば杖と箒よね?まあ、エルフさんに箒はないと思うけど。あら?聖域の孫たちは空飛ぶ箒や絨毯、畳にスケボーまであったわね···

〖そうですね···レイ、杖は何をする為のものだと思いますか?〗にこ
あらあらまあまあ、私の質問に、工芸神様から逆に意味深な質問と笑顔が帰ってきちゃったわね

『何のため?えっと、触媒?魔力を増幅させるため?とか?』
そういえば何でかしら?と、考えたけど、この位しか思いつかないわね。だってアニメやマンガ、小説の中の常識みたいな感じだったし···

〖ええ。概ね正解ですよ。杖を媒介にし、魔力を集め、魔法を増幅し発動する。でも、それは杖である必要はありません。現にレイ、貴方は杖など使っていないでしょう?〗
『あ、そうでした』
使ってなかったわ。

〖それに、杖は武器としては不十分ですからね。長杖でしたら攻撃を受け止めたり、殴ったりは出来そうですが、剣のように切りつけることも出来ない〗
『確かに』
鈍器の感覚ね。

〖ならば、どうしたら良いと思いますか?〗

『どうしたら···?』
杖がないなら両手が空くわよね?まあ、山道なんかで長杖をストック代わりにするならいいかもしれないけど?あと気分盛り上げるために突き上げたりとか?まあ、それはいらないとして···
魔力の増幅、あと、コントロールなんかは、イメージ次第···
〖因みに、普通の方はレイや源のようにイメージだけで大魔法を使うのは難しいですよ。普通はね?ふふ···〗
···はい。却下なんですね。なら、代わりになる物に付与しちゃえば···例えば
『アクセサリーとか、服とか、武器とか?』

〖ご名答です〗にっこり
工芸神様が笑顔で答えられたわ。

『なるほど、確かにそうすれば杖はいらないわね。武器···あら?十手って、杖と同じくらいの長さじゃないかしら?』

〖ジッテ?〗こてん

『あ、いえ、昔のね、そういう武器があったのよ。まあ、それはおいおいね···』
しまった!また質問攻めにされちゃうわ。神様たち、私たちの知識に貪欲なところあるのよね。

『えっと、武器やアクセサリー、服なんかでって話しよね?特別な素材で作ったり、魔石を使ったり?』
話を何とか戻さないと~

〖ふっ。そうですね、あとは鎧などの装備なども同じことが出来ますね〗
あらあらまあまあ、後で聞き出すってお顔してるわ。忘れてくださいな。

『鎧?あの重そうなやつ?身動き取れなくなるんじゃ···』
ガシャンガシャンと

〖それは大丈夫ですよ。皮で作りますので、軽くて柔らかいものになります。性能だってフルプレートにも負けませんよ。何せ天界の素材で私と天界樹たちで作るのですから〗にっこり

『あ、あはは。ありがとうございます』
ありがたいけど、それもエルフさんたち気絶案件じゃないかしら?
    
〖まあ、ギルドで新人があまりに良い装備をしていると目をつけられるそうですから、良いカモフラージュになるのではないでしょうか?〗
『なるほどね』
そういえば小説なんかだと、手に入りやすい鞣し革の装備から入ることが多いんだったかしら?
武神様や鍛冶神様たちの立派な鎧を見てたから忘れてたわ。

〖いや、俺達も普段からフル装備でいる訳じゃないぞ〗
それもそうね。印象の問題よね。

〖まあ、そんな訳で、今の所、杖は考えていません。作るとしたら、先程レイが仰っていたジッテなるものの詳細を聞いてからですね〗ニヤリ

『あ、あはは』
忘れてくれはしないのね···やっぱり失敗したわぁ

☆。.:*・゜☆。.:*・゜
遅くなってすみません。お読みいただきありがとうございます。
十手って、ずっと『じゅって』だと思ってたんですけど『じって』なんですね?知らなかった···
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

召喚勇者の餌として転生させられました

猫野美羽
ファンタジー
学生時代最後のゴールデンウィークを楽しむため、伊達冬馬(21)は高校生の従弟たち三人とキャンプ場へ向かっていた。 途中の山道で唐突に眩い光に包まれ、運転していた車が制御を失い、そのまま崖の下に転落して、冬馬は死んでしまう。 だが、魂のみの存在となった冬馬は異世界に転生させられることに。 「俺が死んだのはアイツらを勇者召喚した結果の巻き添えだった?」 しかも、冬馬の死を知った従弟や従妹たちが立腹し、勇者として働くことを拒否しているらしい。 「勇者を働かせるための餌として、俺を異世界に転生させるだと? ふざけんな!」 異世界の事情を聞き出して、あまりの不穏さと不便な生活状況を知り、ごねる冬馬に異世界の創造神は様々なスキルや特典を与えてくれた。 日本と同程度は難しいが、努力すれば快適に暮らせるだけのスキルを貰う。 「召喚魔法? いや、これネット通販だろ」 発動条件の等価交換は、大森林の素材をポイントに換えて異世界から物を召喚するーーいや、だからコレはネット通販! 日本製の便利な品物を通販で購入するため、冬馬はせっせと採取や狩猟に励む。 便利な魔法やスキルを駆使して、大森林と呼ばれる魔境暮らしを送ることになった冬馬がゆるいサバイバルありのスローライフを楽しむ、異世界転生ファンタジー。 ※カクヨムにも掲載中です

【完結済み】妹に婚約者を奪われたので実家の事は全て任せます。あぁ、崩壊しても一切責任は取りませんからね?

早乙女らいか
恋愛
当主であり伯爵令嬢のカチュアはいつも妹のネメスにいじめられていた。 物も、立場も、そして婚約者も……全てネメスに奪われてしまう。 度重なる災難に心が崩壊したカチュアは、妹のネメアに言い放つ。 「実家の事はすべて任せます。ただし、責任は一切取りません」 そして彼女は自らの命を絶とうとする。もう生きる気力もない。 全てを終わらせようと覚悟を決めた時、カチュアに優しくしてくれた王子が現れて……

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉ 攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。 私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。 美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~! 【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避 【2章】王国発展・vs.ヒロイン 【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。 ※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。 ※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差) イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/ Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/ ※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。

【本編完結】明日はあなたに訪れる

松浦そのぎ
BL
死してなお隣にいたい。ワンコ系×マイペース ※一応死ネタですが、最後まで二転三転するのでぜひ最後まで。 死を望む人達と生を望む人達、その両方のために 心臓さえも生きている人からの移植が認められた世界。 『俺』の提供者になってくれるというおにいさんは提供を決意したきっかけのお話をしてくれました。 それは、甘酸っぱくて幸せで、儚い、お話。 -------------------- 別サイトで完結済みのものを移動。 モデル×(別のモデルの)マネージャー 執着強めイケメン×担当モデルにぞっこん美人

聖女なので公爵子息と結婚しました。でも彼には好きな人がいるそうです。

MIRICO
恋愛
癒しの力を持つ聖女、エヴリーヌ。彼女は聖女の嫁ぎ制度により、公爵子息であるカリス・ヴォルテールに嫁ぐことになった。しかしカリスは、ブラシェーロ公爵子息に嫁ぐ聖女、アティを愛していたのだ。 カリスはエヴリーヌに二年後の離婚を願う。王の命令で結婚することになったが、愛する人がいるためエヴリーヌを幸せにできないからだ。  勝手に決められた結婚なのに、二年で離婚!?  アティを愛していても、他の公爵子息の妻となったアティと結婚するわけにもいかない。離婚した後は独身のまま、後継者も親戚の子に渡すことを辞さない。そんなカリスの切実な純情の前に、エヴリーヌは二年後の離婚を承諾した。 なんてやつ。そうは思ったけれど、カリスは心優しく、二年後の離婚が決まってもエヴリーヌを蔑ろにしない、誠実な男だった。 やめて、優しくしないで。私が好きになっちゃうから!! ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。 ご感想お返事ネタバレになりそうなので控えさせていただきます。

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

処理中です...