上 下
7 / 14

7 ゆるさないのら!

しおりを挟む
なんだなんだ?

『おれは認めねぇぞ!』

おお、もう一回言ったのだ!でもぉ

「だりぇなのら?」
『こわいちと?』
『あの人、なんか私たちに用なのかしら?』
『なんだい?こんな小さい子にいい大人が喧嘩売ろうって言うのかい?』ぐるる
あ、フェルルンの話し方が怒ってる時の話し方なのだ。

「わりゅいやちゅ?」
『にぃたま、こあい』きゅ
「らいじょーぶなのら。みゅりーちょねぇたまは、ぼくがまもりゅのら」ぎゅう
ミュリーがこわがってるのだ!お兄ちゃんのぼくが守るのだ!ねぇたまも守るのだ!
『みゅ、みゅりーみょ』ぷるぷる
ミュリーは震えながらがんばらなくていいのだ。
『ありがとう。フィリー、ミュリー。でも、二人は私が守るわ。だって私はお姉ちゃんだもん』
『それこそ、あなた達は私の後ろにいなさい。この中で一番のお姉さんは私よ』
「『ねぇたま、ふぇるるん』」
二人とも優しいのだ。でも、ぼくだってがんばるのだ!

『何が許さないだ?グレン。言ってみなさい』ぴきぴき
グレンっていうのだ?アレクさんのこめかみ辺りピキピキって筋が動いてるのだ。

『俺はそもそもレイリーなんて認めてねぇんだ!』

『なんだと⋯⋯?』びきっ
『『『『『⋯⋯』』』』』びきっ
あ、周りの大人の人もビキッてしたのだ。
でも、ぼくたちだってママのことをバカにされたら怒るのだ。

『何が里の恩人だ!俺にだってこの程度の結界だって隠匿だってかけられる!それをあの女がでしゃばって先にやっちまっただけだろが!』

『このたわけが⋯⋯っ』ぎりっ

『アレクさん、結界とか隠匿って?』
「ままがにゃにかしたのら?」
『まま?』
怒れるアレクさんに聞いてみると

『この里は森にいた時見えなかっただろ?』
『『「うん」』』
『あれが隠匿。里を隠してくれているんだ』
『『「おぉ~」』』
なるほどぉなのだ

『そして結界はこの里を守ってくれているのだ』
「どりゃごんしゃん、ちゅよいにょに?」
『ああ、たしかに強いが、それ故に狙われるのだ。戦える大人は良いが、里には年寄りも子どももいるからな』
「にゃりゅほど~」
うんうん。前世のゲームでもドラゴンの素材は人気だったのだ。こっちの世界でもそれは変わらないんだな。

『それで?お前はその恩恵にあやかっているのに、そのような暴言を吐くのか?』ぎろっ

『だから俺にだって!ただの人間にかけられるようなもん、この天才の俺にできないわけないだろ!』
なるほど、この男、ずいぶんと魔法に自信があるんだな。でも、ママを酷いこと言うやつ許さないんだな!

『⋯⋯レイリーが死してなお、我らを護り続けてくれているほどの魔法を、お前はできるというのか?』ギリギリ
うわあ、低い声なのら。めちゃくちゃ怒ってるのだ。

『な⋯⋯っ』

『『『え?』』』
『アレク様?今、なんと?』
え?みんな知らなかったのか?アレクさんは知ってたみたいなのに?

『ああ。本当だ。皆がショックを受けると思って黙っていたのだ。レイリーだけじゃない。フィルも一緒に殺されたのだ』

そうかぁ、みんな知らなかったのかぁ

『それじゃあ、この子たちは⋯』
みんながこっちを見たのだ。この目は知ってるのだ。かわいそうに、っていう目と、これから誰が面倒を見るんだ?迷惑だなっていう⋯⋯あれ?違うのだ?
一人のドラゴンさんが近づいてきたのだ。さっきのお母さんドラゴンさんなのだ。

ぱあっ
え?光ったのだ?

ふわり
『⋯⋯かわいそうに。こんな小さいのに。辛かったわね』
え?抱きしめられたのだ?でも、人の形なのだ?
『やっぱり、私の家にいらっしゃい。あなたたちと同じ年頃の子たちもいるわ。きっと楽しいわよ』
『『おいでよ!』』

「『『え?』』」
三人でびっくりなのだ。そんなこと初めて言われたのだ。

『あら、家だっていいのよ?ね?あなた』
『ああ。大歓迎だぞ』
『何言ってんだ。うちに来い』
『ええ。いらっしゃいな』

「『『え?』』」
他の人たちも?邪魔者扱いしないのだ?

『な、なんだよっ!俺は認めないって言っただろ?ちょっと魔法が使える程度の人間にドラゴンの俺様が負けるわけないんだ!死んじまったのが証拠だろ!?それにそのチビどもだって捨てちまえよ!この里に人間なんかいらねぇんだよ!』

『貴様ッ』ブチっ

ブチブチっ
「あ⋯」
キレた⋯

「みゅりー、めっなのらっ」
そう、切れたのはアレクさんだけじゃないんだ。

『ままを、わりゅくいうにゃーっ』パリパリパリ
「わあっ」
たいへんなのだ!

『ミュリーちゃんっ?』
抱きしめてくれてたドラゴンさんも驚いているのだ。
いつの間にか取り出したロッドに力を込めて、特大の雷の玉が出来ちゃったのだ!

『ままを、わりゅくいうにゃーっ』ボンッ!

『なっ⋯』
『『『『『あっ』』』』』

あっ投げちゃった!仕方ないなぁ
「えいっ」じゃきんっ
ドカーンっバリバリバリバリっ

『⋯⋯』ぴしっ
『『『『『え?』』』』』

「みゅりー、めっ!なのら!」
土の壁を作って止めたけど、ちょっと焦げ臭いのだ。

『無詠唱⋯⋯』ぼそっ
ん?アレクさん?気になるけど今はそれどころじゃないのだ。

『らって、にぃたま⋯まま、わりゅくにゃい』うりゅう~
「しょれは、わかってりゅのら。れも、ままちょ、とーたまちょ、やくしょくちたらろ?」
『⋯⋯あい。にぃたま。ごめしゃい』ぽろぽろ
魔法を人に向けてうっちゃだめなのら。でも、みゅりー泣かしたのだ。許さないのだ。

『フィリー、ミュリー、ママと父様は『人に向かってむやみに打っちゃダメ』って言ったのよ』

『「うにゅ?」』
ねぇたま?あっ

『ねぇたま、しょりぇ⋯』
「ふわわっ、らめにゃやちゅらっ」
ねぇたまの頭の上にも特大の雷と風のかたまりがっ!ミュリーは雷だけだったのにっ!バリバリごーごー言ってるのだ!

『あれは人じゃなくてドラゴンよ。しかもママをバカにしてミュリーを泣かせた悪者よ。『むやみに』じゃないわ』バリバリバリバリッゴーゴー

『「はわわわっ」』
さっきより大きいのだ

『だからこれは大丈夫なのよーッ』ぶんっ
『このバカ娘⋯フィリー!』
「うんなのらっ!えいっ」ぶんっ
土じゃダメだから魔法用の壁なのだ!あれ?外に溢れちゃうのだ?じゃあしまっちゃうのだ!
「えいっ!」シュンッ

『ふぅ~フィリー良くやったわ』
「ふぇるるんみょら!しーるじょら!」
頼りになるのだ!

『二重展開?こんなに素早く?無詠唱だからか⋯いやいやフィリーはまだみっつ⋯ルゥリーのあのサンダーボールも⋯いや、別物か』ぶつぶつ
ん?アレクさん、さっきよりブツブツ?

『あ、あなたたち、大丈夫?魔力切れとかは?』
『『「え?」』』
お母さんドラゴンさんがぼくらをぺたぺた触って確かめてる?
『魔力切れ?』きょとん
『「にゃんちょもにゃいよ?」』こてん
この位じゃちっともなくならないのだ。

『心配ないわ。この子たちはレイリーが面白がって鍛えた子たちよ。そこらの大人より強いわよ』

『そ、そう⋯良かった、のかしら?』

『『「ありがと(ちょ)」』』
心配してくれたのだ。

『み、認めないぞ!そうだ、魔道具だろ?あの卑怯者のレイリーの子だぞ!絶対にズルしたんだ!卑怯者の子はやっぱり卑怯者だな!』

卑怯者?何を言ってるのだ?しかも、またママとねぇたまとミュリーをいじめたのだ!

『『「あっ!」』』

バリバリバリバリッゴゴゴゴっキンキンキンキンッ

『あぁ、馬鹿なヤツね、いちばん怒らせたらダメなのはフィリーなのに』はぁ
『フェ、フェルリー、あれは⋯⋯?』
『フィリーの大切なものは家族よ。普段は間に入って二人を抑えてるんだけど、今回はミュリーを泣かせたし、家族を貶されたからね⋯⋯』
『止めることは⋯』だらだら
『ムリよ。アレクさん、皆さんシールド張れる人は早く張って。私も張るけど⋯』
『あ、ああ』
『分かったわ』
『皆、聞こえたな?里を守れ!』

『フィ、フィリー?落ち着いて』
『にぃたま、みゅりー、だいじょぶよ?』

「⋯⋯」

『もう!仕方ないわねぇ⋯フィリー!!町を壊しちゃダメよ!!そこのバカ!あんたもシールドぐらい自分で張りなさい!あとは自分の体がなくならないように祈るのね!』

「ゆりゅしゃないのらーっ!」
ドッコーン!!バリバリバリバリっ
『ぎゃーっ』
「あ、やりしゅぎたのら。えいっ!」ぶわんっ
「ふぅ~。こりぇれ、よちなのら」
閉じ込めたからお外にはいかないのだ!

『フィリー、いい子ね。ちゃんと閉じ込めたのね』
ほんとは、そんなにえらくもないけど⋯⋯
「もちりょんなのら。よしょしゃまにょおうち、こわちたりゃらめなのら!」えっへん!
『えらいえらい』ぽふぽふ
『さすが私のフィリーね♪』
『にぃたま、しゅご~い♪』
「えへへなのら。みゅりーちょねぇたまちょ、ままをにゃかしゅやちゅは、てきなのら!」
『フィリー』うるる
『にぃたま』うりゅりゅ
『『だいすき(しゅち)♪』』
「ぼくみょなのら~♪」
きゃいきゃい♪むぎゅう~
『あら、私も忘れないでよ』
『『「ふぇるるん♪」』』もふもふ
もふもふまふまふなのだ!

『アレク様⋯』
『ああ、無詠唱、複数属性、多重展開⋯フィリーのあれは桁違いだな』
『いやいや、ミュリーちゃんも、ルゥリーちゃんだって十分桁違いだぜ』
『あのフェンリルもな』
アレク様の周りにはいつの間にか里の人達が集まっていた。
『国が狙うわけだな⋯⋯』
『あの子たちは狙われてるのですか?』
『ああ。それでルゥリーが頑張ってみんなを守って逃げてきたそうだ』
『全く、人間てのは』

きゃいきゃい♪と抱き合ってクルクルしてるちびっこ魔術師たちを見て

『守るしかないな』
『そうですね。レイリーたちのためにも⋯』ぐすっ
『ああ、それが少しは恩を返すことになるかもしれないからな』
『『『『うん』』』』

奇しくも自分たちの実力の一端を披露したフィリーたち。大人たちはこの子たちを守ろうと決心していた。

☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。お気に入り登録、いいねもエールも感想もありがとうございます!ファンタジーカップもありがとうございます!嬉しいです!
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

病弱幼女は最強少女だった

如月花恋
ファンタジー
私は結菜(ゆいな) 一応…9歳なんだけど… 身長が全く伸びないっ!! 自分より年下の子に抜かされた!! ふぇぇん 私の身長伸びてよ~

自由気ままな生活に憧れまったりライフを満喫します

りまり
ファンタジー
がんじがらめの貴族の生活はおさらばして心機一転まったりライフを満喫します。 もちろん生活のためには働きますよ。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました

ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。 そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。 家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。 *短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

転生少女は自由気ままに今世を楽しむ

紅 蓮也
ファンタジー
アルテミスは、森の中にある家で、両親と暮らしていた。 アルテミスは、両親にも話していない秘密がありる。 それは、こことは違う、別の世界で生きていた記憶を持った転生者だということだ。 ずっと森の中から出たことなかったアルテミスは、初めて両親と一緒に森を出て、街に出掛けた。 アルテミスは、両親が目を離した隙に迷子となった。 両親を探していると騒ぎが起き、人だかりができている場所に向かった。 すると血だらけの男の人が倒れていて、何で皆、見ているだけで、助けないのか、早くしないと死んじゃうと思ったアルテミスは、倒れた男に近づき、当然のように治癒魔法で、大怪我を治してしまった。 この世界では、人族は体内に魔力は保有しているが魔法を使えないのが常識であった。 周りは、その光景に更なる騒ぎとなった。 騒ぎの場に両親が駆けつけたので、両親と無事に再会は出来た。 だが、両親もまたアルテミスに隠している秘密があったのだ。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

処理中です...