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秩序の改変
しおりを挟むとある神殿の最奥の部屋。豪華絢爛という言葉がふさわしい模様の部屋に置かれた純白のベッドで、一組の若く見える男女が淫らに交わっていた。
片方は絶世の美女。もう片方は少年とも青年とも形容し難い半端な年の男。
「はあっ、あっ。そん……なにっ、おくっ、まで……突いぃっ!?」
男が一際大きく腰を突きだすと、女の足の先がピンと張り、ピクン、ピクンと痙攣する。
男は腰の動きを少し緩め、女と顔同士を近づける。
「ねえ。そんなに、気持ち良いんですか? 俺のちんぽが」
「ええ。凄く……気持ち良いのっ……。もうずっと……あなたとこうしたくて、堪らないのを……我慢してたんだからっ」
そんな言葉を聞いて喜ばない男はいないだろう。男は顔が緩むのを押さえきれなかった。
「女神様……」
男の言葉に女が怒った様子を見せる。
「だから、恋人として過ごしているときは、ディーヴァって呼びなさい。敬語もダメですよ」
しかし、男はこの怒った顔もプレイのひとつだと分かっている。
「ごめん、ディーヴァ。愛してるよ」
いわゆる正常位という格好の二人。男は女に口づけする。
「もう……んっ……ふっ」
始めはお互いについばむようなキスを数回繰り返す。そして自然に開いた唇の隙間からお互いの舌を使っての攻撃を開始する。相手と舌を絡めあったかと思えば、歯茎やその中間の領域をなめ回したりつついたり。唾液をすくいとり飲み込んだかと思えば、相手に唾液を送り込んだりする。
「んちゅっ…………あっ…………んんっ……んくっ……はむっ……ん……」
ぬちゃっぬちゅっという淫らな音が耳に響き、お互いの興奮は更に高まっていく。
自分の舌で触ってもなんとも感じない場所が、愛する者に舌でつつかれるだけで背筋を震わせる快感を発生させる。
普通なら臭いだけの唾液も、愛する者の唾液ならどんな飲食物よりも甘く感じる。
しばらくお互いの口をむさぼった後、やっと口を離した二人は見つめ合う。
とてつもなく美しい女の姿。美しさのあまり、彼女の美しさを完璧に表現する彫刻を作るのは不可能だと言われている。絵画もしかり。そのもどかしさのあまり自殺した芸術家は数人ではない。
そんな彼女を抱いていると思うだけで股間の肉棒が熱く、固くなっていく。
「ディーヴァの顔、真っ赤っかだよ……」
「ディーンの方が真っ赤よ。それに……」
ディーヴァは微笑を浮かべながらディーンと呼んだ男の下半身を見て、こう続けた。
「あなたのおちんちんが……私の中でビクン、ビクンって跳ねてるわよ?」
先ほどまで痙攣していた足をディーンの腰に絡める。
「ねえ。そんなに気持ち良いの……? 私の膣内」
意趣返しをされたディーンはその言葉に応じずにはいられない。
「だったら、何度もディーヴァの膣内を突いて、子宮にいっぱい出してやる」
そう耳元で囁くと、ディーヴァの膣内がキュゥッと閉まった。ディーンはニヤッと笑うと激しく腰を動かし始めた。
「んあっ! そんな……はげ………しいぃっ! 」
とたんに、ディーヴァが淫らに喘ぎ始める。
「んんんっっ。んあっ……あっ……良いっ! おくっ……まで、届いて……これ、くせになっちゃいそうっっ……んああああぁぁ」
腰を動かす度ににジュブッ、ジュボッっと卑猥な音が響き、太い肉棒を咥え込んでいる割れ目から愛液が溢れ出してくる。
ディーンも肉棒を出し入れする度に襲う強烈な快感に、気を抜けばすぐに射精してしまいそうだった。
「んあっ……。うふふ……あなたも、凄く気持ち良さそうなっ……顔してる……はあ……んひいっ」
「本当に凄く気持ち良いんだ。それにディーヴァが……綺麗すぎて……」
その言葉に、喘ぎ声をあげながらディーヴァの笑顔が弾ける。
「凄く、嬉しい……いぃっ!? あっ……そこっ……そこの子宮の入り口にぃっ! おちんちんのさきっぽをっ……ギュウーって押し付けてっ……んぃああ……いっぱい、いっぱい精子を注いで欲しいのぉ……!」
そんな言葉を聞けば、ますます滾たぎってしまうのが男というものだ。さらに激しさを増す腰使いが、二人を絶頂へと導いていく。
激しく腰を動かしてお望み通り子宮口に肉棒を叩きつけると、その度に膣が締まり、射精を促す。
「んひぃっ……ああぁっ……もう……イッちゃうぅ! さっきから何度も、何度もイかされてるのにっ……んあっ……また……イかされちゃうのぉぉ!」
その姿からは想像できないような荒々しい喘ぎ声と、卑猥な言葉が響く。
「いあ! ぁあ!! あ、あん! もうだめ、だめになっちゃうのぉぉ!」
「俺も……もう……出そうっ……」
ディーンはラストスパートと言わんばかりに、更に激しく動かす。
「んお! んぁぁあ!! イクッ!イクゥッ! あなたのおちんちんに……んひぃ! ズボズボ突かれながら、幸せ絶頂しちゃうのおぉ!」
「俺も……もう……出そうっ……」
「おねっ……お願いぃぃっ……いっぱい、いっぱい出して! 私の子宮がぁっ……あなたを忘れられないぐらいぃっ……たくさん……たくさん注いでぇぇ!!」
その言葉を聞き終わらない程度のタイミングで、ディーンの肉棒から熱い精液がほとばしった。
ドピュゥッドピュッドクッドクドクッ!
「アイイイッ!! イックゥゥぅうううううっっ!!」
ディーヴァが大きくのけ反り体を震わせる。
「しぇ、しぇいしがっ……わたひの……しきゅうを……ドピュドピュって叩いてりゅぅぅっ……!」
絶頂の快感に言葉もおぼつかない。舌を出し、涙すら流している。
ディーヴァの膣襞はもっと精子をねだるように、更にうねうねとディーンの肉棒を締め付ける。
「ディーヴァ……そんなに締め付けたら、また……!!」
ビュルッ!!ビュルル!!ドクドク……
ディーンは肉棒の先端を子宮口へぐりぐり押し付けながらさらに射精した。
「んひぃぃぃッ!? また……またイクのぉぉぉおおっ!! ………………あああぁ……まだ……こんなにたくしゃん…………さすが、私の英雄……」
快感を多少落ち着かせたディーヴァは、のけ反らせた背中をベッドに預け、ディーンの腰に絡ませた足を解放する。
ディーンが割れ目から肉棒を引き抜くと、ゴポッと音をたてて精液と愛液の混ざりあったものがこぼれ落ちた。
「ああ……せっかく子宮に出して貰った精液がこぼれてしまう……」
ディーヴァが本当に悲しそうな顔をするものだから、ディーンは笑ってしまった。涙を手でぬぐいながら言う。
「また、いくらでも出してあげるから、そんな顔をしないで……?」
「ええ、そうね……。平和のおかげで、これからは毎日だってあなたと居られるんだものね」
「凄く……幸せだ……」
「私もよ……」
もう一度深い口づけをすると、二人とも横になり、眠りに落ちていった……。
「もう、行ってしまうのですか」
一晩が明け、身なりを整えた二人が昨日と同じ一室で向かい合っている。今は恋人としてではなく、主従としての会話だ。
ディーンは荷物をまとめて出掛ける用意をしてある。
「はい。まだ大陸の各地に『闇』の残した傷跡が残っております。その対処をせねばなりません」
「闇を討ち果たしても、なかなかに上手くはいかないものですね……」
女神ディーヴァはそう呟くとディーンの手を取り、芝居かかった声でこう続けようとした。『それでは、愛の口づけを要求します』と。
しかし、それは突然の訪問者に遮られた。
「ディーヴァ様! 失礼致します!!」
突然ドアが開け放たれたことの無礼に対して女神が叱責しなかったのは、そこにいたのが傷だらけの神殿の守備兵だったからだ。
ただならぬ気配に二人とも息をのむ。
「いったいどうしたというのですか?」
女神の問いに、守備兵はかろうじてひざまずきながら答えた。
「ヴァーチェ様以下、主軍指揮官3名と……その配下が謀反を起こしました……」
「な、なんだと!? ありえん!」
ディーンはとっさに叫ぶ。守備兵に近づき詳しく話を聞こうとした。
しかし
ザシュッ……プシャアァァ……
兵士を後ろから剣が貫き、それは叶わなかった。
そして、その背後にいたのは紛れもなく、ディーンの恩師であるヴァーチェだった。
ディーンはあまりの驚きに後ずさる。ディーヴァも同じ気持ちであった。
「黙ってこちらに味方しておけば死なずにすんだものを」
ヴァーチェは冷たい声でそんな第一声を放った。
「どう……して……。あなたはこんな方ではないでしょう……」
呆然として問いかけるディーンにヴァーチェは怒声を浴びせる。
「それは、そこの女神にずっと働かされ、自由がなかったからだ!」
ヴァーチェの二人に向ける視線は、まるで憎しみが込められているようだった。
「もう、あなたの時代は終わりなのです。『闇』の消えた今、もうあなたはいらない存在だ」
気味の悪い笑顔でそう語るヴァーチェにディーヴァは冷静に答えた。
「……それで、どうやって私を倒すのですか。あなたに与えた力で私を倒せるはずがないでしょう」
ディーヴァの涼しげな声にディーンも賛同した。その時、
「あたしが倒すんだよ」
ヴァーチェの背後から声が響き、仮面を被った人物が現れた、かと思うと、その手から黒いトゲのようなものが伸び、ディーヴァの胸を貫いた。
ディーヴァが苦しげな悲鳴をあげる。
「ぅ……あ……この力は……まさか……」
「もう、あんた一人がちやほやされる時代は終わったんだ。あんたを消して、あたしが新しい女神となるのさ」
仮面の人物が嘲笑うような声で笑う。
「ディーヴァ様!」
ディーンが叫んで女神に駆け寄ろうとするが、ヴァーチェに取り押さえられる。普段なら力では負けないはずなのに、何故か拘束から抜け出せない。
「ははっ。そうだ。あんたの目の前であんたの愛するディーンをメチャクチャにしてやる。あんたとの記憶も全部消して、『闇』で塗り潰しちまうのさ」
丸太のようなスタイルの仮面の人物は素晴らしい名案を思いついたようにうなずいた。そしてディーンの方へ空いている手をかざすと赤黒い雲のようなものがディーンの周りを漂い始め、苦しめ始めた。
「ううっ……ぐああああああああ!」
想像を絶するような痛みに、情けない叫び声をあげてしまう。闇を討ち果たし、英雄と呼ばれた自分がいとも簡単にやられているなど、信じられなかった。
「ディー……ン……!」
ディーヴァが苦しそうに、力ない声で叫ぶ。
そして、ディーン方へ右手を伸ばし、己の力を振り絞る。
すると、なんということか。ディーンが感じていた痛みがなくなり、拘束からも解放された。とっさに立ち上がり、仮面の人物になぐりかかる……が、拳が、体がすり抜けてしまった。体がだんだん透明になっている。
「え……なんで……」
「ほう、転移魔法か。まだそんな力が残っていたとはね」
仮面の人物は悔しそうに呟いた。しかし、
「ま、いいか。ディーヴァがいなきゃ、ディーンも力は使えないし」
そう続けると、今度はディーヴァをさらに苦しめ始めた。
ディーンはすぐさま駆け寄る。
「ディーン……ごめんなさい……。また、あなたに辛く重い負担を与えることになってしまったわね……」
大陸を平和に導く女神である自分がいとも簡単に破れ去るなど、決して許される事ではなかった。しかし、ディーヴァはおそらく死ぬ。ならばディーンに最後の望みをかけるしかなかった。
「いいえ、そんなことはありません……」
ディーンの目から涙が溢れる。
「あなたさえいれば……きっとこの世界は救えるわ。きっと、あなたの味方はいる…………。でも、もしこの世界がどうしようもなくなってしまったら、あなただけでも……幸せに生きてね…………」
「絶対に世界を救ってみせます。私の部下達を集め、裏切り者などすぐに成敗します。あなたも助けますから……!」
それが不可能に近いであろうことは二人とも分かっていた。
「ありが、とう……。本当に、ありがとう……心から愛してるわ、ディーン……」
「俺もだよ……ディーヴァ……」
嗚咽をこらえ、言葉を絞り出した瞬間。
「バイバーイ♪」
嫌に明るい声が響き、ディーヴァの体が光となって弾け、霧散した。転移した訳ではないのは明白だった。
「なっ!? ディーヴァ! ディーヴァァァァァ!!」
手を伸ばすが、何も掴めない。
裏切り者の方を振り向けば、仮面の人物が仮面を外すところで、それと同時にディーンの体が完全に消え去った。
意識も遠のいてゆく。
最後に目に写ったのは、こちらを見てほくそ笑むヴァーチェと醜い姿の女。どこかで見たことがある気がする。
心の中で復讐を誓いながら、ディーンはどこかへと消えた。
♂凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸♀
「主よ、ディーンを転移させて大丈夫でしょうか……。あいつは、闇に敗北しかけた我々を立て直した英雄です。ディーヴァがいなくとも、いずれ我らの脅威となるかもしれません。それに、ディーヴァとて――――」
ディーンの消えた部屋。ヴァーチェが主と呼ぶ醜い女へ心配そうに問いかける。
「大丈夫だよ。きちんと手は打ったからさ」
主と呼ばれた人物は、そう言って醜く笑った。
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