鬱蒼とした青。

雪乃都鳥

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第五章〜 最終章〜

快晴

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 泣き止んだ深琴の背中をあやしながら、僕は空を見上げた。

「見てごらん、凄く良い天気だ」
「・・・・・・道流さんはのんきだね」
「・・・・・僕は、あの空を好きになれそうだよ」

 深琴がそばにいるから、どんな景色も好きになれそうだ。たとえ「それ」が叶わない、報われないものだとしても。

「可愛い、やっと言える。深琴は、可愛い」
「・・・・・道流さんもとても魅力的な男性です」

 僕は抱きしめた。一人の女性ではなく、妹として。

 僕にできることは、この子を諦めることしかない

「・・・・・・私は何も思い出せないよ。でも、それで良かった。思い出せなくて、よかった。その分、道流さんとの記憶で埋めつくせるから」

 皮肉にも、空は晴れ晴れとしていた。涙が頬を伝う。深琴はそれを拭こうともしなかった。いつまでも、涙が枯れるまで二人で泣いたんだ。




 おわり。

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みんなの感想(2件)

泉絵師 遙夏

何とも重苦しいお話でした。
まるで鼻を押さえられながら必死で口で息をしようとしているかのような。
それとも手に届きそうな水面に頭を出そうと足掻かせるような。

ちょっと表記の乱れが気になりました。

解除
二色燕𠀋
2019.08.31 二色燕𠀋

さらさらしている水、しかし濁流だ。
それは水底で砂埃が舞うし、足を取られることもある。

空は時に白く場所により景色が違う。

それを噛み締めるのは、地に足が付いたときだと、実感する。息吹とは、きっとそんな現象。

雪乃都鳥
2019.08.31 雪乃都鳥

読んで下さりありがとうございます。
深琴が人間らしくなったのは、大地を踏みしめて歩いたからかもしれない。そう、思いました。

解除

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