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第五章〜 最終章〜
快晴
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泣き止んだ深琴の背中をあやしながら、僕は空を見上げた。
「見てごらん、凄く良い天気だ」
「・・・・・・道流さんはのんきだね」
「・・・・・僕は、あの空を好きになれそうだよ」
深琴がそばにいるから、どんな景色も好きになれそうだ。たとえ「それ」が叶わない、報われないものだとしても。
「可愛い、やっと言える。深琴は、可愛い」
「・・・・・道流さんもとても魅力的な男性です」
僕は抱きしめた。一人の女性ではなく、妹として。
僕にできることは、この子を諦めることしかない
「・・・・・・私は何も思い出せないよ。でも、それで良かった。思い出せなくて、よかった。その分、道流さんとの記憶で埋めつくせるから」
皮肉にも、空は晴れ晴れとしていた。涙が頬を伝う。深琴はそれを拭こうともしなかった。いつまでも、涙が枯れるまで二人で泣いたんだ。
おわり。
「見てごらん、凄く良い天気だ」
「・・・・・・道流さんはのんきだね」
「・・・・・僕は、あの空を好きになれそうだよ」
深琴がそばにいるから、どんな景色も好きになれそうだ。たとえ「それ」が叶わない、報われないものだとしても。
「可愛い、やっと言える。深琴は、可愛い」
「・・・・・道流さんもとても魅力的な男性です」
僕は抱きしめた。一人の女性ではなく、妹として。
僕にできることは、この子を諦めることしかない
「・・・・・・私は何も思い出せないよ。でも、それで良かった。思い出せなくて、よかった。その分、道流さんとの記憶で埋めつくせるから」
皮肉にも、空は晴れ晴れとしていた。涙が頬を伝う。深琴はそれを拭こうともしなかった。いつまでも、涙が枯れるまで二人で泣いたんだ。
おわり。
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