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第三章〜どこか少年〜
「理由」
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なぜトメ婆さんの亀屋に深琴を連れてきたかと言えば、僕が提案したのじゃない、彼女自身が自ら連れて行ってくださいと志願したからだ。
「どうして、急に外に出たくなったの?」
今まで深琴は家より外に出たことはなかった。なのに今更、家を出たいと言い出したのだ。
「・・・・・・私にとって、『外』というものは『恐怖』であり『憧れ』でもありました」
ですが、と深琴は俯く。次に発せられる言葉震えていた。
「でも、道流さんが外に連れ出してくれたとき何もかもが美しい世界に見えました」
僕はなぜかあの時、君に外を見せてみたいと思った。君がどんな顔をするのが、どんな顔で笑うのか。見てみたくなった。 深琴は続ける。
「初めて踏み締めた地面は、冷たかった。でも、とても胸がわくわくしました。だから、もう一度外に出てもっといろんな景色を見たいって思ったのです」
僕は茶葉を飲んだ。右隣のトメ婆さんを見る。トメ婆さんは深琴の湯のみに茶を淹れて黙って渡した。
「何があったのかはわからんじゃが、その薬茶を飲みなさいきっといい事があるじゃ」
僕たちと婆さんは、しばらく黙った。
「どうして、急に外に出たくなったの?」
今まで深琴は家より外に出たことはなかった。なのに今更、家を出たいと言い出したのだ。
「・・・・・・私にとって、『外』というものは『恐怖』であり『憧れ』でもありました」
ですが、と深琴は俯く。次に発せられる言葉震えていた。
「でも、道流さんが外に連れ出してくれたとき何もかもが美しい世界に見えました」
僕はなぜかあの時、君に外を見せてみたいと思った。君がどんな顔をするのが、どんな顔で笑うのか。見てみたくなった。 深琴は続ける。
「初めて踏み締めた地面は、冷たかった。でも、とても胸がわくわくしました。だから、もう一度外に出てもっといろんな景色を見たいって思ったのです」
僕は茶葉を飲んだ。右隣のトメ婆さんを見る。トメ婆さんは深琴の湯のみに茶を淹れて黙って渡した。
「何があったのかはわからんじゃが、その薬茶を飲みなさいきっといい事があるじゃ」
僕たちと婆さんは、しばらく黙った。
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