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頭フル回転

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 手始めに俺は入り口付近に向かう。

 そこでテントを抑える為の木で出来た杭に巻きついた紐を急いで取り、躓くように安易な罠を設置。

 そしてもう一度、先程の風通し窓から見たゴブリン共の位置を確認した後、壁側にいたゴブリンの背後に回り込む。

 テントなので、ゴブリンの影がしっかりと浮かんでいるので的を得やすい。

 しかし、それは此方も同じ事。

 自分の影がテントに映らない様ゆっくりと距離を置き、ゴブリンが居るであろう場所に思いっきり槍を投げつけた。

 ザシュ!!

「ギュエ!!!」

 テントは薄い布で作られていたので軽く貫通した。

 予想はしていたが、本当綺麗に槍は布を貫き見事ゴブリンを射止めたようだ。

 ちゃんと致命傷を与えられたかは分からないが、正直当たれば良しとしていたくらいなので、握り拳を作り、ガッツポーズした。

 だがこれだけでは安心できない。中の連中が気付いたようだ。

「ギャギャギャキー!!」

 親玉中年オヤジ、もとい略して親中オヤチュウは他のゴブリン共に指揮を飛ばし、思った通りゴブリン共が表に出ようと出入り口に向かった。

 俺はその瞬間を待っていましたと言わんばかりに入り口の横で杭に繋いだロープを引く。

 すると先頭に出てきたゴブリンがそれに足を取られ、前に勢い良く倒れ込んだ。

 その隙に俺は倒れ込むゴブリンを踏みつけ無限収納から取り出した錆びた剣を二番目に出て来ようとしたゴブリンの顔目掛けてバットの如く振って叩きつける。

ガゴォ!!

「グキャ!!」

 紫色の血が飛び散ったが、やはり切断は出来なかった。

  だが動揺せずに次の流れへ移行し、めり込んだ剣を無限収納に再度収納した後、先程ゴブリンから回収したもう一つの槍を取り出し、踏み付けたゴブリンの心臓が有ろう場所に的確に突き刺す。

 「グキャァ!」

 ここで終わりたい所だが、二番目が残っている。

 剣で突き刺すのも良いが3番目が迫ってくると厄介なのだ。

再び槍を無限収納に収め、素早くもう一つの槍を取り出し真正面のゴブリン目掛けて突き刺した。

「グキャー!!」

  その流れでゴブリンを貫いたまま中に押し入り、刺さった状態の槍をそのまま収納。

  中に入ると、先程テントの外側から射止めたゴブリンが真横で倒れていた。

 上手く致命傷を与えられていたのでホッとするがそれも束の間で、突き刺さったその槍も回収。

 そのままオヤチュウ目掛けて地を蹴り走る。

 オヤチュウは直ぐに剣を抜き取った。

 俺は勢いよく槍を突いたが、それをいとも簡単に弾く。

 やはり他のゴブリンとは違い、体格もある所為か動きは早い。

 だが、それも想定内。ここで物怖じしたら此方が殺され兼ねない。

 弾かれたと同時にもう一本の槍を無限収納から取りだし片方の手で、オヤチュウの身体を貫いた。

「グギ!」

  だが身体を捻られた!?

 貫いたのは肩だった。

 まだ致命打には至らない。

 俺は突き刺さる槍を手放し、弾かれた槍を再度収納。

 そして飛び上がり今度は錆びた剣を取りだしオヤチュウの真上から叩き落とすように振り落とした。

 しかし、オヤチュウは片手に持つ剣で俺の攻撃を防ぐ。

 ガキィィン!!

  な!?

 衝撃で俺の錆びた剣が折れた。

 俺の体制はオヤチュウの真下に沈み込む形になる。

 しかし、それも計算の内だ。

 5日間だが愛用した剣で愛着もあったが仕方がないのだ。

 再び俺は槍を取り出し、真下からオヤチュウの身体目掛け槍を突き立てた。

 ザシュ!!!

「グハッ!!‥」

 槍はオヤチュウの身体を突き抜けオヤチュウは崩れ落ちる。

 だが崩れ落ちる間際にオヤチュウの言葉に驚きを隠す事ができなかった。

「ば、‥バカナ。話ガ‥チガ‥ウ」

 え!?喋れたの!?

 ドサッ。

 


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