異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞

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旅立ち

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ランス視点。



「ファイヤーボール!」

「エアカッター!」

 ランスとプリスの魔法が重蔵目掛けてとびゆくが、重蔵は木こりオノで軽く弾き飛ばす。

「がはははは!そんなんじゃ通用‥」

 喋っている隙にランスは重蔵の懐に入り剣を振り上げる。が、それも軽く躱され腹に蹴りを入れられる。

「ぐぁ!」

「ランス様!」

 プリスがランスに意識を取られた隙に重蔵は地面に手をつけ魔法を唱える。

「アースブレイク!」

 ゴゴゴゴ!と地面に亀裂が入り、土がブロック状にめくり上がりプリスは体制を崩し尻餅をつく。

「アースバインド」

「!?」

 プリスが尻餅をついた土が枷に変形し、プリスを捕縛する。

「プリス!くそ!」とランスが体制を立て直して重蔵に向かおうとするが、重蔵は「待て」と動きを止めさせた。

 ランスはそれに対して首を傾げる。

「どうして止めるのです?僕はまだ!」

「バカもん。ワシは実戦形式で腕試しをすると言うたじゃろ。プリスが捕まった時点で積んどるよ。」

 その言葉にハッとなるランスはプリスをみて、自分の考えなしに気づき顔を俯けた。

「がははは!まぁ実戦経験がないんじゃ仕方のない事じゃ。これから積んでいけばいい。それをこれからレイドクスに行くまでにしっかりと叩きこんじゃるからの。2人共覚悟せぇよ。」

 重蔵はそう言って2人を土魔法で引き寄せ、2人の頭をシワクチャな笑顔でワシャワシャ撫でた。

 プリスもランスもこんな豪快に頭を撫でられた事はない。

 だけど、悪い気はしなかった。

 翌朝、旅立ちとなる。

「よしいくぞ。取り敢えずは下山じゃな。山の梺に集落がある。そこが初めの目的地じゃな。」

「「はい!」」

「あと、この山はアングリベアーと小型種じゃがドラゴンがおるでな。ワシの指示を無視した行動は慎めよ。死ぬかもしれんからな。がははは」

 楽観的に話す重蔵の言葉にランスとプリスは表情が固まる。

 何故ならアングリベアーと小型種とはいえドラゴンは冒険者のAランクの魔物で一般市民が出会したらが最後、死を覚悟しなければならない魔物なのである。

 無理もないだろう。

 そんな2人を見て重蔵はまたシワクチャな笑顔で2人の頭をなでる。

「がははは!大丈夫じゃワシがおる限りお前らにゃ手出しはさせんよ。心配すんじゃねぇ。」

 ランスとプリスは目を合わせ、内心ホッとするように微笑んだ。

 そして下山。

 重蔵の強さは正に圧巻だった。

 ドゴォ!ズバァ!!バゴォーン!

 小型種とはいえ、3メートル程のアースドラゴンが次々と木こり斧でなぎ倒される。

 驚くべきはこのアースドラゴン。亀のような硬い甲羅と、岩のようなウロコで纏われており、通常は刃を通さない。

 それなのに重蔵はいとも簡単に切断していくのだ。

「離れんじゃねぇぞぉ。」

 余裕めいたその表情にプリスとランスは困惑する。

「あの木こりの斧はどうなってますの?」

「触らしてもらったけどタダの薪割り斧だよ。」

 こうしてアースドラゴンの住処を3人は抜け出た。

 しかし、ここで疑問がでた。

「あのアースドラゴンはそのままで良かったのですか?」

 ランスの疑問はごもっともである。

 何故ならあれだけの魔物なら材料として高く売れるのだ。

 それなのに、襲いくるアースドラゴンを重蔵は致命傷をギリギリで避け、繊維喪失までに留めた。

「がはは!いいんじゃよ。ワシがここを通ったから悪かったんじゃ。彼奴らはここで自然に暮らしとるだけじゃ。無闇な殺生はせんよ。足を切断した個体もいたが、彼奴らは再生能力が高いでな。じきに元に戻るさ。」

 そう言って重蔵はニカッとし、先へと進んだ。

 その後ろ姿は大きく、ランスは無意識だがその背中に惹かれるものを確かに感じ取っていた。

「行こうプリス。」

「えぇ。」

〇〇

 ネイブル視点。

 カランと開戸が開く。

 ここはカガン地方のギルド。

 中は色々な装備を見に纏った種族達が酒盛りで盛り上がっている。

 そんな中2人の男と女が受付に向かい歩いていく。

 リリスとネイブルである。

 リリスの見た目はとても美しく、辺りの冒険者が目にしない訳がなかった。

 そんな冒険者の中でも特に屈曲そうな魔族の男がネイブルがいるにも関わらず言い寄った。

「ほぉ。エルフか。それもエルフの中でもなかなかの上玉だなおい。何処から来たんだ?分からないことがあんなら教えてやるぜ」

 魔族の男は自慢とする筋肉をピクピクと見せびらかすようにするが、リリスは首を傾げる。

「筋肉がヒクヒク動いてますねぇ。筋肉痛ですか?」

 あまりの天然発言に一瞬皆が硬直した。

 そしてそれを横で聞いたネイブルはクスっと声をもらしてしまう。

「あらあなた。どうしたの?」

 リリスは自分の発言が変だった事には全く気付いていない。

「ははは。相変わらずだねリリス。さ、受付に行こう。」

 ネイブルは優しくリリスの肩を支え、その場を後にしようとすると、ネイブルの肩にゴツい手がのしかかる。

 なんだ?と振り返ると先程の魔族が額に青筋を浮かべて怒り狂っていた。

「まてよ優男。」

 ネイブルはいつもの優しい笑顔で対応する。

「なんでしょう?先を急ぐのですが。」

「ちょっと‥遊んでけよ。」

 魔族の男が拳を振り上げた瞬間、その拳は空を切る。

 魔族の男は目を疑った。

 先程まで手で押さえていたネイブルはいつの間にか、受付に移動していたのだ。

 それを見ていたギルド内の皆も困惑状態に陥った。

 そんな状況などどうでもいいとばかりにネイブルは受付嬢に話かける。

「すみません。討伐依頼を受けたいのですが、高収入なものが希望なのですが。」

 見た目が優男と言われてもおかしくはないネイブル。

 それ故に初見の受付嬢も困惑する。

「失礼ですが、討伐依頼は最低4人のDランクパーティからとなっているのですが、」

「あぁ、それなら問題ないよ。僕もリリスもAランクの冒険者なんだ。はいこれ」

 首にさげたプレートをリリスとネイブルは受付嬢にみせる。

 そのプレートは確かに金色に輝くAランクのプレートだった。

「し、失礼しました。私てっきり‥」

 慌てる受付嬢に優しく声をかける。

「慌てなくて大丈夫だよ。なれてるからね。」

 ネイブルは真っ直ぐ受付嬢の目を見てそう言うと受付嬢は顔を真っ赤にして俯いた。

 ネイブルは丸メガネをかけていて細身な事もあり、一瞬気付きにくいがかなりの美形である。

 大抵の女性はそれに気付くとこういった反応になりやすいのだ。

 それを横目で見ていたリリスは口を膨らませる。

「あぁ!ネイブルったらまた他の女の子に色目を使ってるぅ。」

「おいおい。そんなんじゃないだろ?」

「ふーん。」

 リリスは拗ねた表情をしてあっちを向くのをネイブルは苦笑いし頬を掻き、話をそらすべく受付嬢に仕事の話を進める。

「Aランク依頼でいい仕事はないかな?」

「か、かしこまりました。直ぐに手配いたします!」

「助かるよ。」

 2人がギルドに来たのには理由がある。

 シャルベ領に帰る為の旅費を稼ぐ為だ。

 本来からばレイドクスにいる王に状況を真っ先に報告しなければならないが、今は子供達の安否の方が心配なのだ。

 なのでレイドクス王への報告は手紙で送っておいて後に行くこととした。

(シャルベ領に帰って子供達と合流出来ればいいけど、、。途中立ち寄る町や村でも情報を聞きながら行くしかないか。)

 そんな事を考えていると、リリスがネイブルの手を握る。

「シャルベ領に子供達、絶対いるよね。」

「いる筈さ。なんたって僕とリリスの子供だからね。」

 ネイブルが笑うとリリスもクスっと笑顔を返した。

「それもそうね。」


 



 
 【ギルドランクプレート】

 ブロンドプレート E.F

 シルバープレート D.B

 ゴールドプレート  A

 プラチナゴールドプレート S

 プラチナプレート S S 

 其々昇級試験があり、昇級試験は実戦で行われ、それで見事認められた者が次のランクへと繰り上がる。



 








 





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