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29話 激闘
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メーリスとの二度目の戦いが始まった。
ミリアを後ろに下がらせ、俺は剣を構える。
メーリスは、以前と同じく闇槍(ダークスピア)出してきた。
「最後に来たあなたが本体よね」
俺に槍を構えてきた。どうやら分身は無視して、本体を仕留めようという作戦で来るようだ。
好都合である。
分身は大きくダメージを受けたら消えてしまうから、なるべくこちらを攻撃してくれた方が、こっちとしてはありがたい限りだ。
敵は俺の顔めがけて突きを放って来た。
しゃがんで避ける。分身に攻撃を命令。
二体の分身が一斉にメーリスに斬りかかった。
俺もその攻撃に合わせて、メーリスを斬る。
三方向からの同時攻撃に、メーリスは対処しきれない。急所である、首と頭はなんとかガードする。
俺は攻撃の手を緩めず、ズタズタに斬り裂こうと、剣を振り続ける。
「調子に乗らないで! 闇衝撃(ダーク
インパクト)!」
メーリスは魔法を使用。
一体の分身が、十メートルくらい後方までふきとばされる。
一体消えたことで、逃げ場が生まれたメーリスはそこから俺たちと距離を取る。
逃げる気かと思ったが途中で止まる。
「見せてあげるわ。この前、得た私の新しい力」
メーリスはそう言って、軽く目を閉じる。
すると、メーリスの背中からいきなり黒い翼が生えて来た。形はドラゴンの翼に酷似している。
さらに指からは爪、口には牙が生えている。
「龍化のスキルよ。ブラックドラゴンの力を得ることができるのよ」
ドラゴンはこの大陸では抜きん出て強力な魔物である。
守護騎士になる前の俺では、まともにダメージを与えることすら不可能であろう。仮に今でも勝てるのかは、正直になところ分からない。
ただ無限に体力を回復させるドラゴンなどは、悪夢のような存在であると分かる。
「まあ、ドラゴンそのものほどの力を得れるわけじゃないわ。この状態じゃ飛べないしね。でもかなり力は強くなっているわよ」
ドラゴンそのものになるわけではないみたいだ。
しかし、口ぶりからするとなろうと思えばなれるみたいではある。
「さて、行くわよ、ドラゴンブレス!」
真っ黒な火がこちらに向かってくる。
「バリア!」
ミリアがバリアを張って、ドラゴンブレスを受け止めた。
短い練習期間であったが、ミリアのバリアはだいぶ進歩しており、ドラゴンブレスを何とか受け止めるくらいの強度にはなっているようだ。
俺は、分身に命令を出して、ドラゴンブレスを放っているメーリスを攻撃させる。
攻撃が効いたのか、ドラゴンブレスを吐くのをやめた。
「うーん、やっぱりこの分身厄介ね。しかし、これだけ本人そのもののスペックを再現している分身なんて、そんなに量産できるのかしらね。しばらくはもう出せないとか」
「何をいう何体でも出せるぞ」
本当のことをいうメリットなどないので、ここは嘘をつく。
「それはどうかしら……ね!」
メーリスは近くの分身に向かって突きを放つ。
全力の攻撃が、分身の胸の辺りに突き刺さった。とんでもないスピードだ。龍化で圧倒的に身体能力が強化されている。避けることが出来るスピードではなかったようだ。
心臓にダメージを負った分身は、煙となってしょうめつする。
「消えたわよ。出さないの」
「……」
「やはり嘘ね」
メーリスはもう一体の分身を攻撃する。
させるか!
俺は同時に駆け出して、メーリスに攻撃する。
メーリスは俺が来るのを待っていたのかのように、立ち止まり、俺に向かって突きを放って来た。狙いは頭。俺は咄嗟に後ろに倒れる。尻餅をついたが、回避には成功した。崩れた俺の体勢を見て、もう一度メーリスは突きを放ってくる。
その時、後ろから俺の分身がメーリスを攻撃。
槍を持っている方の腕を切り落とした。
「ぐっ!」
メーリスの腕が再生する前に俺は、メーリスの足を斬る。バランスを崩して転倒。
奴はその瞬間、凄まじい雄叫びを上げた。
ドラゴンシャウトだ。身悶えするほどの大声に普通なら一瞬怯むところだが、俺は怯まずそのままメーリスの首めがけて、剣を振り下ろした。
コロコロと首が転がる。
やったか?
いや、首の下が再生を始めている。
首を斬るだけじゃダメなのか!?
じゃあどこを。
額……か?
守護騎士の刻印があるのは額だ。
まあ、こいつは堕落の聖女だが違うかもしれないが、とにかく額に剣を突き刺してみよう。
俺は剣を突き立て、メーリスの額を貫いた。
その瞬間、再生は止まった。
「し……死んだのか……?」
おっかなビックリ確認してみるが、メーリスはピクリとも動かない。
死んだ。
確実に死んだ。
俺はメーリスとの激闘に勝利した。
ミリアを後ろに下がらせ、俺は剣を構える。
メーリスは、以前と同じく闇槍(ダークスピア)出してきた。
「最後に来たあなたが本体よね」
俺に槍を構えてきた。どうやら分身は無視して、本体を仕留めようという作戦で来るようだ。
好都合である。
分身は大きくダメージを受けたら消えてしまうから、なるべくこちらを攻撃してくれた方が、こっちとしてはありがたい限りだ。
敵は俺の顔めがけて突きを放って来た。
しゃがんで避ける。分身に攻撃を命令。
二体の分身が一斉にメーリスに斬りかかった。
俺もその攻撃に合わせて、メーリスを斬る。
三方向からの同時攻撃に、メーリスは対処しきれない。急所である、首と頭はなんとかガードする。
俺は攻撃の手を緩めず、ズタズタに斬り裂こうと、剣を振り続ける。
「調子に乗らないで! 闇衝撃(ダーク
インパクト)!」
メーリスは魔法を使用。
一体の分身が、十メートルくらい後方までふきとばされる。
一体消えたことで、逃げ場が生まれたメーリスはそこから俺たちと距離を取る。
逃げる気かと思ったが途中で止まる。
「見せてあげるわ。この前、得た私の新しい力」
メーリスはそう言って、軽く目を閉じる。
すると、メーリスの背中からいきなり黒い翼が生えて来た。形はドラゴンの翼に酷似している。
さらに指からは爪、口には牙が生えている。
「龍化のスキルよ。ブラックドラゴンの力を得ることができるのよ」
ドラゴンはこの大陸では抜きん出て強力な魔物である。
守護騎士になる前の俺では、まともにダメージを与えることすら不可能であろう。仮に今でも勝てるのかは、正直になところ分からない。
ただ無限に体力を回復させるドラゴンなどは、悪夢のような存在であると分かる。
「まあ、ドラゴンそのものほどの力を得れるわけじゃないわ。この状態じゃ飛べないしね。でもかなり力は強くなっているわよ」
ドラゴンそのものになるわけではないみたいだ。
しかし、口ぶりからするとなろうと思えばなれるみたいではある。
「さて、行くわよ、ドラゴンブレス!」
真っ黒な火がこちらに向かってくる。
「バリア!」
ミリアがバリアを張って、ドラゴンブレスを受け止めた。
短い練習期間であったが、ミリアのバリアはだいぶ進歩しており、ドラゴンブレスを何とか受け止めるくらいの強度にはなっているようだ。
俺は、分身に命令を出して、ドラゴンブレスを放っているメーリスを攻撃させる。
攻撃が効いたのか、ドラゴンブレスを吐くのをやめた。
「うーん、やっぱりこの分身厄介ね。しかし、これだけ本人そのもののスペックを再現している分身なんて、そんなに量産できるのかしらね。しばらくはもう出せないとか」
「何をいう何体でも出せるぞ」
本当のことをいうメリットなどないので、ここは嘘をつく。
「それはどうかしら……ね!」
メーリスは近くの分身に向かって突きを放つ。
全力の攻撃が、分身の胸の辺りに突き刺さった。とんでもないスピードだ。龍化で圧倒的に身体能力が強化されている。避けることが出来るスピードではなかったようだ。
心臓にダメージを負った分身は、煙となってしょうめつする。
「消えたわよ。出さないの」
「……」
「やはり嘘ね」
メーリスはもう一体の分身を攻撃する。
させるか!
俺は同時に駆け出して、メーリスに攻撃する。
メーリスは俺が来るのを待っていたのかのように、立ち止まり、俺に向かって突きを放って来た。狙いは頭。俺は咄嗟に後ろに倒れる。尻餅をついたが、回避には成功した。崩れた俺の体勢を見て、もう一度メーリスは突きを放ってくる。
その時、後ろから俺の分身がメーリスを攻撃。
槍を持っている方の腕を切り落とした。
「ぐっ!」
メーリスの腕が再生する前に俺は、メーリスの足を斬る。バランスを崩して転倒。
奴はその瞬間、凄まじい雄叫びを上げた。
ドラゴンシャウトだ。身悶えするほどの大声に普通なら一瞬怯むところだが、俺は怯まずそのままメーリスの首めがけて、剣を振り下ろした。
コロコロと首が転がる。
やったか?
いや、首の下が再生を始めている。
首を斬るだけじゃダメなのか!?
じゃあどこを。
額……か?
守護騎士の刻印があるのは額だ。
まあ、こいつは堕落の聖女だが違うかもしれないが、とにかく額に剣を突き刺してみよう。
俺は剣を突き立て、メーリスの額を貫いた。
その瞬間、再生は止まった。
「し……死んだのか……?」
おっかなビックリ確認してみるが、メーリスはピクリとも動かない。
死んだ。
確実に死んだ。
俺はメーリスとの激闘に勝利した。
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