上 下
35 / 47

三十五話目 決着

しおりを挟む
 俺が決闘場に来たとき、バラシアがバグダムドに顔を掴まれてピンチに陥っていた。

 あれ? 良く見るとバラシアが違う所に転がっている。
 そういえば、妹が来たとか言ってたな。どっちかが妹か。

 転がっているほうの近くに杖が転がっているから、こっちがバラシアだな。
 で、今掴まれている奴が妹と。

 妹なら死んでもいいけど、とりあえずバグダムド攻撃しとくか。

 俺はバグダムドの腹の辺りを蹴った。

「ぐは!」

 俺が蹴ったらバグダムドは少し吹き飛ぶ。
 その衝撃で、バラシア妹を落とした。

「あ、あなたは?」

「えーと、バラシアの妹さん? すげー怪我してるね。死にたくないなら、動かないほうがいいぞ」

 俺はそう忠告した。

「なんだお前は」

 バグダムドは立ち上がり、俺を睨んでくる。

「えーと、昨日あったと思うが。ペレス・ギャントルだ」

「……昨日の雑魚か」

「雑魚ではないがな。あれは油断していたんだ」

「確かに雑魚ではなさそうだな。さっきの一撃は少しだけ効いたぞ。だが俺様を倒すには全然足りん」

 結構強く蹴ったんだけどな。結構平気そうにしている。
 こいつ結構硬てーんだな。

 バグダムドは剣を振りかぶり俺に斬りかかってくる。

 俺は攻撃をかわす。うん、やっぱり速さはたいした事ないな。

 そのまま顔を殴る。直後に腹を蹴る。3発ほど連続して同じ所を蹴る。

「ぐ、ああ! てめー!」

 バグダムドはがむしゃらに剣を振るう。
 俺は、すべて軽快に避ける避ける。避けると同時にバグダムドに一発蹴りを入れたり、パンチを入れたりする。

「クソがちょこまかと動きやがって!」

 このまま攻撃をし続けても埒が明かないと思ったバグダムドは、俺から距離を取った。

「おかしいな。結構攻撃したのにピンピンしてる」

 奴は少し息を切らしていたが、それは何度も攻撃したから疲労が溜まっただけみたいで、俺の攻撃自体はそこまで効いていないように見える。

「お前のへぼい攻撃なんざ、少し痛いだけですぐ回復するんだよ。実質ノーダメージだ」

 なんと、軽い自己再生能力を持っているみたいで、軽度なダメージはすぐ回復してしまうみたいだ。
 しかし、俺のパンチとキックで軽度なダメージしか受けないとは、こいつやっぱかなり硬いな。
 ……まあ俺自身が長いブランクでなまっているってのも、原因としてあるかもしれないがな。

 仕方ない魔法を使うか。俺は肉弾戦より魔法使ったほうが断然強いからな。

「全力で行ってやる! 死ね!」

 バグダムドが叫びながら、攻撃してきた。
 今度は結構速い。でも避けられないまでの速度ではない。
 俺は回避する。
 回避しながら魔法を使う。

「ミスリルハンド」

 俺がそう唱えた瞬間、巨大な白い金属の手が出現し、バグダムドを思いっきり殴る。
 かなりの速さで腕は飛んでいき、バグダムドに直撃。バグダムドは凄い勢いで吹き飛んでいった。

 ミスリルは世界で一番硬度の高い金属だ。魔法で製造しようと思ったら、1キロ作るだけで、平均的な魔法使いが1度の人生で使用する魔力と同量の魔力が必要となってくる。
 大きな手など普通は作れないのだが、俺は莫大な魔力を持っているから可能だった。

「ガハ……な、何だ今のは……」

 まだ生きているのか。マジで硬いな。ミスリルをあの速度でぶつけられたら、粉々になるもんだけどな。

 でも、だいぶダメージを受けているみたいだ。
 次で決めるか。

「サウザンド・ミスリルハンド」

 俺は魔法を唱える。物凄い数のミスリルハンドが発生した。
 ちなみにサウザンドと言ったが千個はない。百もないかもしれない。だいぶ鯖を読んでいる。
 こういうのは気分の問題だからいいんだ。

 大量のミスリルハンドを見たバグダムドは顔を青ざめさせる。
 さすがにこれは不味いと思ったのだろう。

「さーて終わりにするか」

「ま、待て!」

 バグダムドの静止の声も聞かずに、俺はミスリルハンドを放つ。

 避けるのに徹したバグダムドはさすがに避けることが出来るようだ。
 しかし、それも長くは続かない。

 20回目のパンチが直撃する。

 当たった瞬間、動けなくなりバグダムドは震えながら地に伏す。

 俺は一切情け容赦をかけず、次々とミスリルハンドで殴り続け、だいたい60回くらい殴った。
 もういいだろうなと思ってやめる。

「よーし、さすがに死んだかー」

 地面に血塗れで伏しているバグダムドがいた。
 腕や手やあらぬ方向に向いており、顔は血で染まっている。
 少しピクピクと小刻みに動いているから、まだ完全に死んでいないだろうが時間の問題だろう。

 でも生きていたら面倒そうだから、俺は顔をミスリルハンドで叩き潰して息の根を止めた。

「これでよしと」

 バグダムドを退治する事に成功した。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す

佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。 誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。 また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。 僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。 不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。 他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

処理中です...