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十八話目 対話

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「アタシ達が説得しろって!?」

「大丈夫なのか?」

「あの人、怖い……」

 不安がる3人。

「問題ない。攻撃は出来ない状態なはずだ」

「私達に出来るのか? ペレス殿がやればいい」

「俺に説得なんてマネが出来ると思うか?」

「「「無理だと思う」」」

 3人の声が重なった。

「でも私たちじゃなくて、メオンちゃんも説得に加わったほうがいいんじゃないかなー?」

 ミオがそう言うが、

「奴は役に立ちそうにない。見ろ」

 俺はメオンがいる場所を指差す。

 メオンは、なにやら壁に向かって小声で「これは珍しい……」とか言っている。言いながら顔はニヤついている。何をやっているのかまったく分からん。

「ぶ、不気味ー。何してるのかな?」

「知らん」

 あいつ結構危ない奴なのかもな。

「じゃあ、お前ら頑張れ。説得に成功したら、俺が呪いを解いた後、少しだけ時間をくれてやってもいい」

「本当か!?」

「ああ」

「それならやらねばならんな。私がやってみせよう」

 レミがさっそく説得を開始した。

「えーと……黄の賢者のバラシア殿。私はレミ・ファラクトーと申すものです。こんな事をしたあとに言うのもなんだけれども、あの男はあなたに敵意を持ってやったわけではないのです。教えて欲しい事があってきたのです。それだけなのです」

「…………人間に教える事など何もありません。帰ってください」

 レミを思い切り睨みつけながら、バラシアは言った。
 レミは気圧される。

「な、なぜ人間をそこまで憎んでいるのでしょうか?」

 動揺しながらもレミは尋ねた。

「それも話す必要はありません」

 埒が明かないな。
 面倒だし、拷問して喋らなかったらもう帰るか? そもそもバラシアが不老不死についてまったく知らない可能性もありえる。とんだ無駄足に終わる可能性も高い。
 まあ、でも一応しばらくはようすを見るか。

「あなたは半分人間なのでしょう? それなのに何故、人間を嫌うのですか?」

「忌まわしいことに、私は確かに半分は人間です。だからと言って嫌いにならない理由にはならない。私は自分のことも半分は嫌いです」

「あなたは賢者と呼ばれたくらいだから、以前人のためにその知恵を使っていた時期があるはずです」

「消してしまいたい忌まわしき過去です」

 そのバラシアのセリフを聞いてアイシャが、

「……筋金いりね」

 と呟いた。

「しかし、今回は教えてもらいたいことがあってきたのですが。このペレス殿はもはや人間か分からないような感じなので、ギリギリセーフなのではないですか?」

「人間か分からない?」

 バラシアが疑問のこもった視線で俺を見てくる。

「失礼な俺は人間だぞ」

「ああ! ペレス殿は黙っていれば良かったのに」

「しかし、俺は人間だしな」

 確かに自分が人間か疑問を抱いた事はある。でも、どんだけ死なない体だろうが俺は人間だ。

「……とにかく早く帰ってください。私があなた方に教える事は何もありません」

「そうはいかないのですよ……」

「そんなに教えてもらいたいのですか?」

 お? 少し食いついたか?

「え、ええ!」

「確かに私は知識の数には絶対の自信があります。答えられることも多いでしょう。わかりました。教えてもいいですが、条件をつけます」

「いいのですか?」「いいのか!?」

 俺とレミの声が重なった。

「ちょっと待て、条件があるのか。なら、俺の話を聞いて答えられるか、まずそれだけ言って欲しい」

「……分かりました」

 俺は不老不死だという事と、不老不死になった経緯を話した。

「あなたが不老不死の呪いをかけられた。それを解きたいと。にわかに信じられませんが、嘘ではないのですね」

「ああ、それは間違いない」

「ふむ…………そうですね。手がかりを示す事は出来ると誓いましょう。解く方法を教える事は不可能ですが」

「そうか」

 それだけでも十分だ。

「では、条件を教えてくれ」

「人間に殺された私の母のドラゴンを生き返らせてください。そうしたら話しましょう。母を生き返らせることが出来ないのなら、何をされても人間などにものを教えるつもりはございません」

 突き放すような目つきでバラシアはそう言った。
 なるほど、母親を人間に殺されたから、人間が憎いのか。

 しかし、最初から絶対に達成できない条件を言ってくるつもりだったのか。普通ならここで諦めるよな。

 ま、普通ならな

「生き返らせる……それは……でき……」

 レミがそこまで言った所で、俺が割り込んで、

「出来るぞ」

 そう言った。
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