ずっと一緒に

na

文字の大きさ
上 下
9 / 10
第一幕

lX

しおりを挟む
○よっかめ

結局、脱出は諦めた。

その代わり、たくさんいちゃいちゃすることにした。

奏斗の声を、顔を、温もりを、忘れないために。

「かなと、ちゅーして」

「ん、いーよ。」

一日中ベッドのうえで、ちゅーして、抱きしめあって、愛し合って。

研究所の人たちは、僕達がセックスしてもその後に拘束とかアナルプラグを入れられるとか、それら全て何もしてこなくなった。

ただ、僕らが情事に耽ける様子をガラス越しに眺めているだけ。

きっと、奏斗が死ぬと分かっているからもう無理だと思ったのだろう。番欠乏の症状がある状態で妊娠したら、奇形児や障がいのある子が産まれてくる可能性が高くなるから。

彼らが来ないことがとても、幸せだった。

この儚いときが、一生続けばいい。



○いつかめ

「は、っ、あ、あ、いく...!いく!かなと...!」

「俺も、だすっ...!」

温かいものが流れてくる。

仰向けに寝る奏斗の上に乗り、僕がひたすら動いて快楽に溺れる。

「...ユイ、疲れてない?」

「んーん。...は、ぁ...ぜんぜ、ん...だいじょぶ」

ここ数日、奏斗は歩くときもふらついていることが増えた。どうやら力が上手く入らないらしく、ほぼベッドで過ごしている。

だが何故か、奏斗の息子は力がありあまっているみたいで、いくら出しても大きいままだ。

こいつをへにょへにょにするまで死なせない。

「...唯斗、おいで」

奏斗が腕を広げた。

いつもの慣れで、おいでと言われれば何も考えてなくてもいつの間にか奏斗の腕の中におさまっている。

まだ全然奏斗のはへにゃへにゃになっていないのに、互いに汗ばむ体や精液で濡れているお腹も気にせず、奏斗の胸に飛び込んだ。

「疲れたでしょ。ゆっくりいちゃいちゃしよ。」

「...ん」

どうやら、全部お見通しだったらしい。

とくとくとなる心臓に耳を当て、随分とやせ細ってしまった体を抱きしめる。

「ねぇ、奏斗」

「なあに?」

いつかの日のと同じように、優しく微笑んでくれる。

「もし来世があったとしたら、僕たちはまた一緒にいるかな」

「もちろん。いくら生まれ変わっても、唯斗は誰にも渡したくないからな」

「へへ...。も、もしね!本当生まれ変われたら、僕は魔法使いになりたい!奏斗と2人でずっと一緒に暮らして、たくさん魔法薬とか作って...かわいいお花とか栽培するの。」

「そうだねぇ。お昼は2人でのんびりお茶するんだ。」

「なら、奏斗にすっごく美味しいのみもの作ってもらう。」

「唯斗、炭酸とかコーヒーとか苦いのも飲めないでしょ?なにがあるかなぁ...。」

「紅茶なら僕でも飲めるよ」

今では想像することしか出来ない、来世の話。

そんな未来が、いつかあると信じて。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

年下彼氏に愛されて最高に幸せです♡

真城詩
BL
短編読みきりです。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

処理中です...