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4月
出遭い
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山陽学園高等学校、春高、夏のインターハイ最多出場数、最多優勝回数を誇る高校バレー界の王者。No.1、No.2アタッカーである松葉彗、姫路陸、さらにNo.1ブロッカーと呼び声高い南條若ら3人を擁する。ほぼほぼ高校バレー界のオールスターといってもいい顔ぶれが山陽学園には集まっていた。それに監督がやっぱり良いって言うのも聞く。こんな強豪校から最後の大会に出てないにも関わらず欲しいと言われるのは素直に嬉しいと感じた。
そして、今は朝6時半。今は寮じゃなくて一人暮らし。寮がないところを選んでほんとよかった。中学のトラウマはまだ全然心の中で巣食っている。寮生活なんて二度とごめんだった。まぁ、それは置いといて。
俺はちょうど食べ終わった朝食を片付け、軽くストレッチしてから運動着に着替えた。そして傍らに置いてあったバレーボールを引っ掴んで近くのやや大きめの公園へと向かう。そこでバレーを2時間程やって学校へ行くというのが俺の毎日の日課。あ、前に触れなくなったとか言ってたけど割と克服したかな。バレー完全にやめるつもりだったのにボールに無性に触りたくなっちゃって、こっちに越して来てからスポーツセンターでモルテン買っちゃった。チームに入るわけじゃないし一人でやるならいっかなと思って。それぐらいならバレーを汚した俺でも許されるでしょ。
今日も淡々と同じメニューをこなす。軽くランニングをして身体を温めてからフットワークをする。そんでオーバー、アンダー、壁打ちといった基本動作を千回、全て一人で。これでいつもは終わっちゃうんだけど今日は学校休みなんでまだまだやれる。まぁ一人だから大したことはできないけど。それでもサーブ練習とかできることをひたすら。いつもより長くボール触ってられて嬉しくて注意力が落ちていたのかもしれない。スパイクサーブを打つときに変な力が入ってしまって、コートだったら確実に特大ホームランという距離を飛ばしてしまった。なんと塀の向こうまでボールは行ってしまったようだ。しくったぜ、と思いながら取りに行くとそこにはバレー部と思われる面々が練習をしていた、。していた、と思うんだけど中断されてて。一人が頭を抑えてうずくまっている。そんでその近くには俺のモルテンが転がっていた。
「ごめんなさいっ!思ったより飛ばしてしまって…」
大慌てで相手の元へと走る。向こう側でなんかが行われてんなーくらいしか認識してなかった。やっばいやらかした。俺、けっこう動揺してたみたい。どこのチームかジャージ名も見ずにずけずけと近寄ってしまったんだ。そして当ててしまった相手の顔を覗き込んだとき、あれ?と思った。
「まつ、ば…すい?」
選抜の時とか大会の時とかずっと居たから知ってる。見間違えだと思いたくて違うよな、と思ってそいつの着ていたジャージを見た。うわ、確認しなきゃよかった。だって思いっきりさんよーってアルファベットで書いてある。確定じゃんこれ、俺が絶賛サボってる山陽学園高等学校バレー部じゃん。気まずい?いや気まずくはない。サボってるってか退部届すぐに出したし。受理されてないかもしれないと担任が言っていたけど、俺は出したものは出したんだ。それよか松葉慧の顔面にサーブを打ち込んでしまったのが失態である。だが、俺はバレー部というチームがもうとことん苦手。こいつらは違うって分かってんだけどやっぱり前に俺を犯した奴らと重なる。ひぇぇ、無理無理。俺は精一杯の誠意を込めてポッケに入れてた(偶然)五百円玉を痛みに呻く松葉慧に無理やり握らせて一目散に退散した。去る際にはきちんとすみませんでしたっと謝罪の声は忘れない。
もうこれまでこんな本気で走ったことあるかってくらいのスピードでびゅんびゅん飛ばした。逃げ切れたと思って公園から出た時、後ろからぽんっと肩を叩かれた。
「なぁ、馬渕珱柳くん」
はい?、と素直に振り返って激しく後悔した。
なんと、そこには全力疾走で俺を追いかけてきたと思われる松葉慧の姿がそこにあったからだ。逃げようと前進しようとしたところでぐっと肩を掴まれた。その力はモノすんごい強くてゴリラレベルでもうもげそうで俺は瞬時に諦めた。大人しく説教だけはされてやろう。
そして、今は朝6時半。今は寮じゃなくて一人暮らし。寮がないところを選んでほんとよかった。中学のトラウマはまだ全然心の中で巣食っている。寮生活なんて二度とごめんだった。まぁ、それは置いといて。
俺はちょうど食べ終わった朝食を片付け、軽くストレッチしてから運動着に着替えた。そして傍らに置いてあったバレーボールを引っ掴んで近くのやや大きめの公園へと向かう。そこでバレーを2時間程やって学校へ行くというのが俺の毎日の日課。あ、前に触れなくなったとか言ってたけど割と克服したかな。バレー完全にやめるつもりだったのにボールに無性に触りたくなっちゃって、こっちに越して来てからスポーツセンターでモルテン買っちゃった。チームに入るわけじゃないし一人でやるならいっかなと思って。それぐらいならバレーを汚した俺でも許されるでしょ。
今日も淡々と同じメニューをこなす。軽くランニングをして身体を温めてからフットワークをする。そんでオーバー、アンダー、壁打ちといった基本動作を千回、全て一人で。これでいつもは終わっちゃうんだけど今日は学校休みなんでまだまだやれる。まぁ一人だから大したことはできないけど。それでもサーブ練習とかできることをひたすら。いつもより長くボール触ってられて嬉しくて注意力が落ちていたのかもしれない。スパイクサーブを打つときに変な力が入ってしまって、コートだったら確実に特大ホームランという距離を飛ばしてしまった。なんと塀の向こうまでボールは行ってしまったようだ。しくったぜ、と思いながら取りに行くとそこにはバレー部と思われる面々が練習をしていた、。していた、と思うんだけど中断されてて。一人が頭を抑えてうずくまっている。そんでその近くには俺のモルテンが転がっていた。
「ごめんなさいっ!思ったより飛ばしてしまって…」
大慌てで相手の元へと走る。向こう側でなんかが行われてんなーくらいしか認識してなかった。やっばいやらかした。俺、けっこう動揺してたみたい。どこのチームかジャージ名も見ずにずけずけと近寄ってしまったんだ。そして当ててしまった相手の顔を覗き込んだとき、あれ?と思った。
「まつ、ば…すい?」
選抜の時とか大会の時とかずっと居たから知ってる。見間違えだと思いたくて違うよな、と思ってそいつの着ていたジャージを見た。うわ、確認しなきゃよかった。だって思いっきりさんよーってアルファベットで書いてある。確定じゃんこれ、俺が絶賛サボってる山陽学園高等学校バレー部じゃん。気まずい?いや気まずくはない。サボってるってか退部届すぐに出したし。受理されてないかもしれないと担任が言っていたけど、俺は出したものは出したんだ。それよか松葉慧の顔面にサーブを打ち込んでしまったのが失態である。だが、俺はバレー部というチームがもうとことん苦手。こいつらは違うって分かってんだけどやっぱり前に俺を犯した奴らと重なる。ひぇぇ、無理無理。俺は精一杯の誠意を込めてポッケに入れてた(偶然)五百円玉を痛みに呻く松葉慧に無理やり握らせて一目散に退散した。去る際にはきちんとすみませんでしたっと謝罪の声は忘れない。
もうこれまでこんな本気で走ったことあるかってくらいのスピードでびゅんびゅん飛ばした。逃げ切れたと思って公園から出た時、後ろからぽんっと肩を叩かれた。
「なぁ、馬渕珱柳くん」
はい?、と素直に振り返って激しく後悔した。
なんと、そこには全力疾走で俺を追いかけてきたと思われる松葉慧の姿がそこにあったからだ。逃げようと前進しようとしたところでぐっと肩を掴まれた。その力はモノすんごい強くてゴリラレベルでもうもげそうで俺は瞬時に諦めた。大人しく説教だけはされてやろう。
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