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捕獲
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俺は今回は相手の出方を待つ必要はないと思って、先に動き始めた。まず、両手に二人を抱えたままではさすがに戦えないし、二人を守りきれる自信はない。王都から脱出してこの子達を預けてから本当は戦いたいけど、それは奴らが許さないだろう。なら、結界張って守るしかない。ここでも「気」を消費させられて軽く苛つく。今回は小規模で守りが硬いものを発生させた。薄い膜が二人を包んだことを確認し、俺はシーシャに声をかけた。
「シーシャ、この結界魔法はどんなことからも絶対に守ってくれる。俺はみんなを守るためにあいつらを倒しに行かなきゃいけない。…」
シーシャは賢い子だ。俺が頼もうとしている事を瞬時に察してこう言った。
「シーシャがこの子を連れてお外まで逃げればいいんだね?」
「頑張れるか?」
任せられたことが少し嬉しかったらしい。勢いよくぶんぶん頭を上下させてうなずいた。俺は最後に、絶対に後ろを振り返るな、前を見て走れ、大人の人がいるところまで行けばきっと助けてくれる、と伝えてシーシャの背中をそっと押した。するとシーシャは一度も振り返らずまっすぐ走っていった。
俺は敵がシーシャ達の邪魔をしないように、この場所で足止めしなくてはならない。
ヒュインッー
「!!」
空から銀色のチェーンのようなものが何十本とこちらに向かって振り落とされた。チェーンの先には刃がついており、俺にこれをぶっ刺して動きを止めようとしてるのがわかる。敵が俺との近距離戦では勝てない事はこの前の襲撃でわかったのだろう。俺に空中浮遊させず下で捉えようとしてるのが丸わかりだ。
ヒュインッーヒュインッーーガガガガッ
避けるのは問題ないがマジで鬱陶しい。これ適当に当てようてしてるんじゃなくて自動で俺の動きを感知して追尾してくるタイプ。一個でも刺さったらまじで邪魔くさい。あー、俺がいま自然操術の氷魔法が使えたらなーと思う。一瞬で凍らせてばきばきにぶっ壊せるのに。その時俺はめっちゃ忘れてた。
「神様に頼めばいいだけじゃん…」
俺が自然操術を使えなくても、神の加護を利用すればよかったのだ。目から鱗すぎて思わずつぶやいでしまった。俺は超高速で神様にお願いした。
ーすんませんっ、風の神様と氷の神様で今お暇な方いたら力を貸してもらえませんかっ?風の神様は俺に当たりそうな攻撃を吹き飛ばしてほしいです。えっと…氷の神様はあの俺を邪魔してくるチェーンを凍らせて動きを止めてくださいっ!!ー
もう切実さが勝ったわ。誰かわかんないけど想定以上の、神様からの応答が始まった。
パキバキパキーパリーンッ
奴らの武器が破壊され、上から焦った声が聞こえる。
おいっ!やべぇぞ…!
またっ怪物が上がってくる……
誰か替えのやつもってこいいっ!
いや焦りすぎー、笑。落ち着けよ、それでも軍人かよ。しばらく上の様子を観察していると、二人の男が俺を捕まえるために降りてきた。例のセルシウスとハオランだ。俺はもうこの前みたいな油断はしないように気を引き締めた。こいつらは十分強い。敵として後々、大きい脅威になりかねない。現にこうして俺達の国に害を及ぼした。ここで始末しなければ…。
「ハオラン、気を抜くなよ。持ってかれるぞ」
「わかってます!」
突如として呼び起こされる戦闘の本能。体内で血潮が暴れまわり紫輝の暴走を促した。
ヒュンッーキィィンッー
セルシウスは跳躍するようにしてこっちへ飛び込み、ぶつかる寸前で地を蹴りあげて俺を飛び越え背後へと周りその喉元を狙った。俺は背後にまわったセルシウスは相手にせず、攻撃はほぼ感で避けながら正面のハオランに意識を向ける。
ハオランは剣で俺の重心を揺さぶり、ぐらついたところで足蹴りを繰り出した。俺は瞬時に避け、横に流れた身体を体制を立て直しながらハオランの鳩尾へお返しに足蹴りをヒットさせてやる。しかし直前で体をひねられ威力を相殺されてしまう。
セルシウスとハオランを剣と足で躱しながら、俺は距離を取った。
本来ならば一発でまとめて斬りたいものの、二人の剣技に隙は無かった。くっそ、まじで二人同時に相手にすんの厄介だわ。
それに二人をぶった斬るのが難しいのにはもう一つ理由がある。俺の身体は既に限界だと悲鳴をあげており、骨は軋み全身の筋肉は痙攣している。やはり「気」の急激な減少に耐えきれないようだった。俺は剣を振り上げるのでもう、一杯一杯になっていた。
ー動けっ足、腕っ、動けっー
恐らく俺はもうすぐガス欠で動けなくなる。俺は薄々気づいていた。今の俺の体力じゃこの二人にとどめはさせない、と。ならば、と思い一か八かを賭けて一気に二人との間合いを詰めた。
ヒュンッー
セルシウスとハオランは俺の急激なスピード上昇に反応が半歩遅れる。かろうじて剣を構え直した二人に俺は連続で斬撃を繰り出した。二人は俺の流れに逆らえず防戦一方になる。そして奴らの動きが止まった一瞬を狙って、俺は大きく剣を振り上げた。斬るというよりは叩きつけるという無茶なやり方になったがなんとか上手くいったようだ。俺の攻撃を受けた奴らの剣は、もろに弱いところにはいったらしくピキッと音を立てて崩れていった。
俺の体はその一太刀を最後に全く動けなくなった。戦いでついた外傷はほとんどなく、大きい怪我もしていないのに…。やはり「気」の足りなさはでかかったようだ。全身は麻痺しており、手や足の感覚が鈍い。倒れそうになる体を剣の柄を握って何とか支えた。
「わんちゃん…武器を壊せば止まってくれると思ったんだけどなぁ…」
まあそんなはずはないわけで。当然、セルシウスとハオランは自身の武器が壊れても気にせず素手で俺に向かってきた。
「くそっ…」
咄嗟に反応しようと動くも、それよりも早く自分の視野が回転した。すっと目の前が暗くなって地面に羽交い締めにされたのだとわかる。何とか押さえつけられた顔を上げるとそばにセルシウスの顔があった。
ドクンッーー
何だ、。何だこれ。心臓が一際大きく音をたてた。その瞬間、俺はセルシウスの顔から目が話せなくなった。……って何で少し惚れそうになってんの俺!心がリアンへの思いよりもこいつへの思いを新しく受け入れようとするのがわかった。やばいやばい、まじかよ。抵抗を続けると何が何だか分からなくなってくる。
そのなんとも言えない恐怖心から俺は自身を正気に戻すために舌を噛み切ろうとした。
「がっ!……」
思いっきりセルシウスに手を口の中に突っ込まれる。だよね、俺でも捕らえようとしてる奴が舌噛みきろうとしたら邪魔するわ。
セルシウスの妨害に俺はもう為す術がなかった。最後の抵抗として精一杯睨みつけるぐらいはしたけど。
俺の降参を読み取ったのかセルシウスが話しかけてきた。
「あんたはもう負けた、それはもうわかってんだろ。この国にこれ以上被害を出したくないなら身の振り方を考えろ。お前がおとなしく捕まれば、このガスの特効薬剤を散布して、これ以上この国に危害は加えない。約束する」
と。
俺は仕方なく降参します、という姿勢を取った。
「最後に伝えたいことがあるんだ、少し時間をくれ。このままで構わないから…」
するとセルシウスは許す、というようにポーズを取った。身体は押さえつけられたままだが遠慮なく、この国の全員に通信を繋げた。
ー
せっかく陛下から勅命をもらったのに、何一つ成し遂げられなくて申し訳ありません。…。
朱輝ほんとにごめん。俺はもう動けそうにない。何とか王都の人達は逃したけどまだ治療が終わってない人が大勢いる。そっちも「気」が限界だろうけど俺の自室に栄養剤みたいなすごい薬があるのでそれを飲んで、助けてあげてほしい。このガスももう少しで無くなると思うから…。それまで持ちこたえてくれ。
あと俺は朱輝が王様で、大神官がソンリェンで…そんな立派なあなた達の元で仕えられて幸せだったよ。最初は俺らみたいな王族や貴族の出でもない一般市民が、国王とか大神官っていう位置についていいのかなってできるのかなって不安もあったよ。だけど、ふたりとももう立派な国の柱だな。本当に俺の誇りです。お前ら二人が創るこの国の未来をもっと…ずっと…見ていたかった。しばらくあえないけど元気出やれよ。
ソンリェンは…。ソンは俺の兄貴のこと頼むな。暴走しやすいからちゃんと面倒見てやってほしい。意外と甘えん坊だから、たまには多めに見てあげてくれ。
それと全国民へ、…。守るって言ったのに俺の力不足でこんな事態を引き起こしてしまってすまない。陛下と大神官のせいじゃないってことはわかってほしい。あと、国王と大神官…この二人にずっと寄り添ってついてってあげてください。まだ二人とも国を守っていくことに不慣れだから、何かと不便があると思うけれど…。でもあなた達が支えてくれればこの国に怖いものなんてない。俺達は家族だから、…国王や大神官が道を間違えたときは思いっきり叱ってあげてください。
この国をどうかどうかよろしくおねがいします。
ー
通信を通してたくさんの人達が俺が行くのをやめろって声を荒げて止めようとしてくれた。でも俺はその声を全部無視して通信を切った。そして耳の中につけていた通信装置を取り出してぽいっと投げ捨てた。俺だって行きたくて行くわけじゃない。これ以上悲しくなりたくないから、声を聞きたくなかった。
そして俺はセルシウスの方へ顔を向けて終わったよと合図して身体の力を抜いた。
「もー早く連れてけよ…」
軽く泣きそうになりながらも我慢して、強気な声でそう言った。セルシウスとハオランは俺のあっさりした態度に驚いていたようだったが、すぐに部下に命令して俺に縄をかけさせた。
そうして俺は奴らの国へと連れて行かれた。
「シーシャ、この結界魔法はどんなことからも絶対に守ってくれる。俺はみんなを守るためにあいつらを倒しに行かなきゃいけない。…」
シーシャは賢い子だ。俺が頼もうとしている事を瞬時に察してこう言った。
「シーシャがこの子を連れてお外まで逃げればいいんだね?」
「頑張れるか?」
任せられたことが少し嬉しかったらしい。勢いよくぶんぶん頭を上下させてうなずいた。俺は最後に、絶対に後ろを振り返るな、前を見て走れ、大人の人がいるところまで行けばきっと助けてくれる、と伝えてシーシャの背中をそっと押した。するとシーシャは一度も振り返らずまっすぐ走っていった。
俺は敵がシーシャ達の邪魔をしないように、この場所で足止めしなくてはならない。
ヒュインッー
「!!」
空から銀色のチェーンのようなものが何十本とこちらに向かって振り落とされた。チェーンの先には刃がついており、俺にこれをぶっ刺して動きを止めようとしてるのがわかる。敵が俺との近距離戦では勝てない事はこの前の襲撃でわかったのだろう。俺に空中浮遊させず下で捉えようとしてるのが丸わかりだ。
ヒュインッーヒュインッーーガガガガッ
避けるのは問題ないがマジで鬱陶しい。これ適当に当てようてしてるんじゃなくて自動で俺の動きを感知して追尾してくるタイプ。一個でも刺さったらまじで邪魔くさい。あー、俺がいま自然操術の氷魔法が使えたらなーと思う。一瞬で凍らせてばきばきにぶっ壊せるのに。その時俺はめっちゃ忘れてた。
「神様に頼めばいいだけじゃん…」
俺が自然操術を使えなくても、神の加護を利用すればよかったのだ。目から鱗すぎて思わずつぶやいでしまった。俺は超高速で神様にお願いした。
ーすんませんっ、風の神様と氷の神様で今お暇な方いたら力を貸してもらえませんかっ?風の神様は俺に当たりそうな攻撃を吹き飛ばしてほしいです。えっと…氷の神様はあの俺を邪魔してくるチェーンを凍らせて動きを止めてくださいっ!!ー
もう切実さが勝ったわ。誰かわかんないけど想定以上の、神様からの応答が始まった。
パキバキパキーパリーンッ
奴らの武器が破壊され、上から焦った声が聞こえる。
おいっ!やべぇぞ…!
またっ怪物が上がってくる……
誰か替えのやつもってこいいっ!
いや焦りすぎー、笑。落ち着けよ、それでも軍人かよ。しばらく上の様子を観察していると、二人の男が俺を捕まえるために降りてきた。例のセルシウスとハオランだ。俺はもうこの前みたいな油断はしないように気を引き締めた。こいつらは十分強い。敵として後々、大きい脅威になりかねない。現にこうして俺達の国に害を及ぼした。ここで始末しなければ…。
「ハオラン、気を抜くなよ。持ってかれるぞ」
「わかってます!」
突如として呼び起こされる戦闘の本能。体内で血潮が暴れまわり紫輝の暴走を促した。
ヒュンッーキィィンッー
セルシウスは跳躍するようにしてこっちへ飛び込み、ぶつかる寸前で地を蹴りあげて俺を飛び越え背後へと周りその喉元を狙った。俺は背後にまわったセルシウスは相手にせず、攻撃はほぼ感で避けながら正面のハオランに意識を向ける。
ハオランは剣で俺の重心を揺さぶり、ぐらついたところで足蹴りを繰り出した。俺は瞬時に避け、横に流れた身体を体制を立て直しながらハオランの鳩尾へお返しに足蹴りをヒットさせてやる。しかし直前で体をひねられ威力を相殺されてしまう。
セルシウスとハオランを剣と足で躱しながら、俺は距離を取った。
本来ならば一発でまとめて斬りたいものの、二人の剣技に隙は無かった。くっそ、まじで二人同時に相手にすんの厄介だわ。
それに二人をぶった斬るのが難しいのにはもう一つ理由がある。俺の身体は既に限界だと悲鳴をあげており、骨は軋み全身の筋肉は痙攣している。やはり「気」の急激な減少に耐えきれないようだった。俺は剣を振り上げるのでもう、一杯一杯になっていた。
ー動けっ足、腕っ、動けっー
恐らく俺はもうすぐガス欠で動けなくなる。俺は薄々気づいていた。今の俺の体力じゃこの二人にとどめはさせない、と。ならば、と思い一か八かを賭けて一気に二人との間合いを詰めた。
ヒュンッー
セルシウスとハオランは俺の急激なスピード上昇に反応が半歩遅れる。かろうじて剣を構え直した二人に俺は連続で斬撃を繰り出した。二人は俺の流れに逆らえず防戦一方になる。そして奴らの動きが止まった一瞬を狙って、俺は大きく剣を振り上げた。斬るというよりは叩きつけるという無茶なやり方になったがなんとか上手くいったようだ。俺の攻撃を受けた奴らの剣は、もろに弱いところにはいったらしくピキッと音を立てて崩れていった。
俺の体はその一太刀を最後に全く動けなくなった。戦いでついた外傷はほとんどなく、大きい怪我もしていないのに…。やはり「気」の足りなさはでかかったようだ。全身は麻痺しており、手や足の感覚が鈍い。倒れそうになる体を剣の柄を握って何とか支えた。
「わんちゃん…武器を壊せば止まってくれると思ったんだけどなぁ…」
まあそんなはずはないわけで。当然、セルシウスとハオランは自身の武器が壊れても気にせず素手で俺に向かってきた。
「くそっ…」
咄嗟に反応しようと動くも、それよりも早く自分の視野が回転した。すっと目の前が暗くなって地面に羽交い締めにされたのだとわかる。何とか押さえつけられた顔を上げるとそばにセルシウスの顔があった。
ドクンッーー
何だ、。何だこれ。心臓が一際大きく音をたてた。その瞬間、俺はセルシウスの顔から目が話せなくなった。……って何で少し惚れそうになってんの俺!心がリアンへの思いよりもこいつへの思いを新しく受け入れようとするのがわかった。やばいやばい、まじかよ。抵抗を続けると何が何だか分からなくなってくる。
そのなんとも言えない恐怖心から俺は自身を正気に戻すために舌を噛み切ろうとした。
「がっ!……」
思いっきりセルシウスに手を口の中に突っ込まれる。だよね、俺でも捕らえようとしてる奴が舌噛みきろうとしたら邪魔するわ。
セルシウスの妨害に俺はもう為す術がなかった。最後の抵抗として精一杯睨みつけるぐらいはしたけど。
俺の降参を読み取ったのかセルシウスが話しかけてきた。
「あんたはもう負けた、それはもうわかってんだろ。この国にこれ以上被害を出したくないなら身の振り方を考えろ。お前がおとなしく捕まれば、このガスの特効薬剤を散布して、これ以上この国に危害は加えない。約束する」
と。
俺は仕方なく降参します、という姿勢を取った。
「最後に伝えたいことがあるんだ、少し時間をくれ。このままで構わないから…」
するとセルシウスは許す、というようにポーズを取った。身体は押さえつけられたままだが遠慮なく、この国の全員に通信を繋げた。
ー
せっかく陛下から勅命をもらったのに、何一つ成し遂げられなくて申し訳ありません。…。
朱輝ほんとにごめん。俺はもう動けそうにない。何とか王都の人達は逃したけどまだ治療が終わってない人が大勢いる。そっちも「気」が限界だろうけど俺の自室に栄養剤みたいなすごい薬があるのでそれを飲んで、助けてあげてほしい。このガスももう少しで無くなると思うから…。それまで持ちこたえてくれ。
あと俺は朱輝が王様で、大神官がソンリェンで…そんな立派なあなた達の元で仕えられて幸せだったよ。最初は俺らみたいな王族や貴族の出でもない一般市民が、国王とか大神官っていう位置についていいのかなってできるのかなって不安もあったよ。だけど、ふたりとももう立派な国の柱だな。本当に俺の誇りです。お前ら二人が創るこの国の未来をもっと…ずっと…見ていたかった。しばらくあえないけど元気出やれよ。
ソンリェンは…。ソンは俺の兄貴のこと頼むな。暴走しやすいからちゃんと面倒見てやってほしい。意外と甘えん坊だから、たまには多めに見てあげてくれ。
それと全国民へ、…。守るって言ったのに俺の力不足でこんな事態を引き起こしてしまってすまない。陛下と大神官のせいじゃないってことはわかってほしい。あと、国王と大神官…この二人にずっと寄り添ってついてってあげてください。まだ二人とも国を守っていくことに不慣れだから、何かと不便があると思うけれど…。でもあなた達が支えてくれればこの国に怖いものなんてない。俺達は家族だから、…国王や大神官が道を間違えたときは思いっきり叱ってあげてください。
この国をどうかどうかよろしくおねがいします。
ー
通信を通してたくさんの人達が俺が行くのをやめろって声を荒げて止めようとしてくれた。でも俺はその声を全部無視して通信を切った。そして耳の中につけていた通信装置を取り出してぽいっと投げ捨てた。俺だって行きたくて行くわけじゃない。これ以上悲しくなりたくないから、声を聞きたくなかった。
そして俺はセルシウスの方へ顔を向けて終わったよと合図して身体の力を抜いた。
「もー早く連れてけよ…」
軽く泣きそうになりながらも我慢して、強気な声でそう言った。セルシウスとハオランは俺のあっさりした態度に驚いていたようだったが、すぐに部下に命令して俺に縄をかけさせた。
そうして俺は奴らの国へと連れて行かれた。
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