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★オーベリー村、蜥蜴神編★

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「いや~、しっかし驚いたなぁ~。まさか、絶滅したはずのピグモルが、こんなにわんさかいるなんてなっ!?    お、ありがとう」

   俺のベッドに腰掛けて、ヘラヘラ笑うカービィに、水の入ったコップを手渡す俺。
   ついでに、大きめのお皿に水を入れて、床に置く。
   これは、マンドラゴラのゴラ用だ。

「ジェジェ~♪」

   いい湯だな~♪   って感じで、水に浸かるゴラ。
   昼間、体が半分になった時はどうしようかと思ったが、元気になってくれて本当に良かった。
   ペットは大切に飼わないとねっ!

   俺がゴラを見つめていると、急にカービィが静かになったので、もしや寝てしまったのでは?   と視線をカービィに向けると……

「……何してるの?」

   またもや、謎の望遠鏡の様な物を使って、俺をジロジロと観察している。

「いや~、なんて言うかな~?   ほんと、珍しい生物だなぁ~、モッモは~」

   語尾が妙に伸びているのはおそらく、酔っ払っているせいだろう。

「ピグモルがそんなに珍しい?   まぁ確かに、外じゃ絶滅したって言われているくらいだから、珍しいか……」

「いんや~、おまいはピグモルの中でもピカイチに珍しいぞぉ~!?」

   ……何が?   てか、もうちょい声のボリューム下げてくれない??
   隣で寝ている妹たちが起きちゃうよ。

「モッモ、おまいの体は半分、精霊でできている!」

「……え、何それ?   てか、もうちょい静かに」

「こんなに【霊力れいりょく】が高いやつはぁ~、見たことないっ!!」

「いや、だから、声をもうちょっと小さく、ね?」

「おまいは一体何者なんだぁっ!!?   へぶっ!?」

   あまりに声が五月蝿く、あまりに俺の言葉を聞いてくれないので、枕をカービィの顔面に思いっきり押し当ててやった。

   ふぅ~、さて……
   カービィが何を言いたいのか、冷静になって聞かないとな。





「昼間、神力の話はしただろ?   神様が持つ、神の力と、金色の瞳の話」

「……うん、聞いたけど。ねぇ、もう少し声大きくても大丈夫だよ?   まぁ、聞こえるからいいけどさ」

   反省したらしいカービィは、今度は蚊の鳴くような声で話し始めた。
   ……中間地点を掴むのが下手すぎやしないかい、カービィよ。

「この世界に存在する生物の大半が、魔法の力、魔力を有している。その中のほんの一部に、神力を宿す神たちがいるんだ。だがもう一つ、魔力でも神力でもない力がこの世には存在する。それが、霊力。これは、簡単に言うと精霊の力だ。精霊自身も持っているし、精霊を呼ぶ事のできる召喚師にも備わっている力だ」

   ふむ、と言うことは……
   精霊を呼べる事のできる俺には、その霊力とかいうやつが宿っているわけだな。
   魔力のない無物であったとしても、その霊力とやらはある、というわけか。

「そいでだ、おまいの霊力の数値なんだけど……、もはや精霊ですかっ!?   て問いたくなるほど、馬鹿ほど高いっ!!!」

   小声で興奮するカービィ。
   ……ほう?   霊力が高いと??

「どうしてそんな事がわかるの?   数値って??」

「これだよこれ……。空前絶後の!   超絶便利な魔道具!!   ま、る、は、だ、か、望、遠、鏡、だ……、イエェーーーーイッ!!!   へぼっ!?」

「だから、声が大きいっての……。普通にできないの?   普通に……」

   再度、顔面に枕を押し当てられて、ベッドに倒れるカービィ。
   最後の方、何言ってるのかわかんなかったし……

「で、何て言う魔道具なの?」

「まるはだか望遠鏡です、はい」

「……イケてない名前だね」

「……正式名称は、生体測定魔道鏡、と言います」

「うん……、これからは正式名称を先に教えてくれないかな?」

「御意っ!!」

「……で、その魔道鏡で見てみると、僕の霊力の数値が高いと?」

「仰る通りです!」

「……どのくらいなの?   その、よくわかんないんだけど、何が凄いのか」

「……普通の召喚士なら、霊力の数値はせいぜい70Pぐらいで、多くても90Pなのです」

   ほう?   数値はポイントという単位なのだな。
   なんかこう、前世の記憶の中にある、ゲームのヒットポイントとかマジックポイントとか、そういうのと同じ感じかな??

「それが、精霊自体となると、霊力は一気に跳ね上がって、下級霊でも600P。最高位の精霊ならば1000Pを超えると言われております」

   ほほう、なるほどなるほど。
   
「で……、僕のポイントは?」

「……申し上げます。モッモ様のPは……、ダダダンッ!   840Pなのですぅっ!!」

   ……はっ?   えっ??   えぇえっ!??

   思いもよらない高い数値に、大声を出したカービィを叱る事も忘れて、唖然とする俺。

「そ、そんなのって、あり得るのっ!?   てか、壊れてない??   その魔道鏡」

「おいらも初めは壊れてんのかなぁ?   って思ったのだけども……。残念ながら、さっきグレコさんを測定した所、壊れてませんでしたっ!   こっそりグレコさんを、測定しましたっ!!」

   ま、まじかぁ……
   え~、でもそんなのって、どうなのよ?

「そういうことって、あり得るの?   前例があるの??   召喚士にもそれくらいの者がいたりするの???」

「……おいらが知っている限りでは、あり得ません。なので、モッモは、とってもとっても、珍しい生物なのです」

   ま、まじ、まじかぁ……
   自分じゃ全然わからなかったし……、いや、わからなくて普通なんだけど。
   俄かに信じ難くはあるけれど、そんな、数値とか言われると、一気に信憑性が増すよな。

「ちなみに、おいらの魔力は670P!  並みの魔道士は300Pくらいだから、おいらはかなり強いのです!!」

   あ、うん、自慢したかったんだね。
   でもちょっと待ってね、まだ自分の事で頭がいっぱいだわ……

「その、ポイントって、魔力とかだけなの?   ヒットポイントとか、レベルとかは??」

「……生体測定において、そのようなものはございません」

   何?   その無表情……
   何?   その棒読み……

「生体測定は主に、体力、魔力、神力、霊力、この四つのみを対象としております。そして、学会の論文資料をもとに、対象となる生体の名称、及びランクが共に表示されます」

   ……体力、とな?

「じゃ、じゃあ……、僕の場合その……。全体的にはどうなの?   名称はいいとして、体力の数値とか、ランク?   とか」

「モッモは絶滅種だから、ランクはSSSの最高位。ダッチュ族も同じで、バーバー族はSS。ちなみにマーゲイ族はAAAだし、グレコさんもAAAだった。ギンロは、意外にもAだった」

   は~ん、なるほどそういう事か。
   ランクはどうやら希少価値を表してるんだな。

「……で、僕の体力は??」

   小さい頃からずっと、筋トレとかして、意識的に体力を付けてきたのだ。
   それなりにはあるはずっ!

「モッモの体力は50Pである」

   ……50、ポイント?
   それって、高いの??   低いの???

「ちなみに、おいらの体力は120Pで、グレコさんが340P。ギンロは930Pでした」

   ……チーン。

   うん、なんか、もう……
   聞かなきゃ良かったよ。
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