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★オーベリー村、蜥蜴神編★
93:おいらはカービィ!
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「おっ、出てきたな、盗人パーティーめ」
宿屋の外では、先程の若いマーゲイ族達が、苛立った様子で待ち構えていた。
揃いも揃ってまぁ~、怖いお顔だこと。
しかし、こちらも負けず劣らず、かなりの苛立ちを見せるグレコとギンロ。
そして、二人の後ろに隠れて、震える俺……
お願いだから穏便に! 穏便にねっ!!
ガクブルガクブル
「もう一度言うわっ! 私たちは盗みなんてしてないっ!! 二十本の槍なんて知らないわっ!!!」
開口一番、道行くマーゲイ族たちが驚いて立ち止まるほどの大声で、グレコが叫んだ。
その剣幕や、まるで鬼神の如し……
俺が怒られてるわけではないのに、危うくちびりそうになった。
状況が分からない周りにいる者達は、何事だろう? とヒソヒソし始める。
「右に同じく。我らは何の罪も犯しておらぬ。謂れのない罪を着せられ、罵倒される覚えは無い。我らに対する数々の無礼な物言い、直ちに謝罪しろ。さもなくば、正義を貫く我が刃の餌食となりて、貴様らの首は地に転がる事になろうぞ」
ぎゃあぁぁ~!?
ギンロの中二病が絶賛発病中だあっ!
セリフはめっちゃカッコいいけど!!?
手っ!! 手を剣から離しなさいっ!!!
ギンロの野生的で物凄く殺気立った様子に、若いマーゲイ族達は見るからに動揺している。
よし、セリフはともかく……、相手が狼狽えたぞ!
この隙に、サッと逃げるんだっ!!
「犯人を目撃したってのはどこのどいつよっ!?」
えっ!? グレコ!??
まだ話をするのかいっ!???
「お、おいっ! デルグ!! 前に出ろっ!!!」
右目の上に三日月型の傷跡があるリーダー格の奴が慌ててそう言うと、後ろの方にいた背の低い、どこからどう見てもひ弱そうなマーゲイ族の男が一人、おずおずと前に出てきた。
デルグと呼ばれたそのマーゲイ族は、他の者達に比べて明らかに痩せていて貧相だし、サイズが合っていない大きな服を着ているせいか余計に小さく見える。
加えて、なんだかこう、自身なさげなその表情からして、パシリをさせられてそうな、いじめられっ子オーラがバンバン出てるのだ。
怒るグレコとギンロを前に、今にもちびりそうな顔でガクガクと震えているその様は、なんとも哀れである。
その姿を見て、俺は……
あぁ……、分かる、分かるよその気持ち。
旅に出てからというもの、幾度となく味わってきた、絶望的な感覚……
前には見知らぬ猛獣二匹、後ろにはいつものいじめっ子達、逃げ場が無いとはまさにこの事。
怖いよね? 辛いよね??
なんとかこの窮地から、彼を救えないだろうか???
…………否、俺には到底不可能だ。
デルグの心境を慮るも、何も出来やしないと悟る俺。
俺が今何か言おうものなら、事態は更にややこしくなるだろう。
俺に出来る事と言えば、この地獄が1秒でも早く終わる様にと、祈る事のみだ。
「貴様が目撃者か?」
静かに問うギンロ。
「うっ、あっ……、えと………、その…………」
恐怖からか、デルグは上手く話せないようだ。
視線をキョロキョロと動かしていて、かなり落ち着きが無い。
すると……
「答えろ小童めえぇっ!!!」
ひゃあぁぁっ!?!?
ギンロが吠えたぁっ!!!
「ふぁっ!? ふぁいっ! ぼっ!! 僕ですぅっ!!!」
裏返った声で返事をし、全身をガタガタと震わせるデルグ。
あぁ……、もう見てらんない……
デルグが可哀想!
居た堪れなくなる俺。
両手で口元を押さえながら、事の成り行きをハラハラと見守っていると……
「で、モッモなわけ? よく見て、ほらっ!」
「へ???」
突然、グレコに服の襟元をグイッと掴まれたかと思うと、体がふわっと宙に浮いて、そして……
ひぃいぃぃっ!?!??
俺は、今にも泣きそうな顔をしているデルグと、その後ろで殺気立つマーゲイ族の若い男達の前へと、強引に引き摺り出されてしまったではないか。
なんっ!?
なんでぇっ!!?
グレコぉおぉぉっ!?!?
プチパニックに陥る俺。
すると、目の前に立つデルグの目と俺の目が、ばっちりと合って……
お互いきっと、こう思っているはずだ。
「何故こうなった!?」と……
「あの……、えと……。ぼ、僕が見たのは、その……。小さな影と、長い尻尾で……」
デルグは、俺の事をまじまじと見つつ、オドオドとした様子ながらも、聞き取りやすい大きさの声でそう言った。
その言葉を聞いたグレコは……
「それだけなの?」
「あ、はい、えと……、はい」
デルグの返答に、グレコはデルグから視線をずらし、リーダー格の奴をギロリと睨み付ける。
「なっ!? おいデルグ!?? お前、俺たちが宿屋に小さい奴がいるって言った時、きっとそいつだって言ったよな!?!? まさかお前……、嘘ついたってのか!?!??」
リーダー格の奴が叫ぶ。
「え? それは、その……、僕………」
オドオド、もじもじするデルグ。
すると今度はギンロが、前にずいっと出てきて……
「貴様の言葉一つで、このような事態になっておるのだぞ? 責任を取ってもらおうか??」
今日一番の殺気をデルグに向けて、静かにそう言った。
そして……
「ひっ!? ぼっ!?? 僕はっ!!?? あ……、あぁあ~………」
シャアァ~
あ……、あらららら……
デルグ、盛大に漏らしちゃったね。
ガタガタと震えながらズボンを濡らして、顔を真っ赤にするデルグと、沈黙する周りの者たち。
その姿はあまりにも情け無く、可哀想で……
もはや、こうなってしまったデルグを責める者はいないだろう。
と、思ったのだが……
「さ、どうするおつもりかしら? この人、モッモだとは断定できないそうよ?? ねぇ、デルグ???」
うわぁ~~~~~!?!?
この後に及んで、またデルグをチクチク責めるのかグレコよっ!
恐るべし、ブラッドエルフの執念っ!!
「くっ!? くそっ! 見てろよ、絶対証拠を見つけてやるからなっ!! おめぇら、行くぞっ!!!」
リーダー格の奴がそう言うと、マーゲイ族の若い男達はゾロゾロと帰っていった。
その最後尾を、濡れたズボンを引き摺りながらトボトボとついて行くデルグ。
そんな彼の姿を見て、彼がこの後酷い目に遭わないようにと、俺は願う事しか出来なかった。
「たくっ、冗談じゃないわよ! モッモが盗人ですって!? 見たら分かるじゃない!! そんなの出来っこないでしょ、この小動物にっ!??」
未だ怒りが収まらないグレコ様。
朝ごはんにと立ち寄った料理屋にて、運ばれてきたパスタらしき物をフォークでぐさぐさと刺しながら、軽く俺をディスられております。
何故ディスられる対象が俺なのか、その理由はさっぱり分かりません。
「しかし、犯人は何故、槍など盗んだのあろう? このような平和な村で……?? そもそも何故、槍などあるのだ??? このような平和な村に……????」
シシ婆さんの家で食べた物と似ている蒸しパンを食べながら、ギンロが疑問を呈した。
「確かに変だよね、槍なんてさ。この村には必要なさそうなのに……」
一応返事をする俺。
「どうせあいつら、密輸とかしてるやばい奴らなのよ。ここみたいな平和な村なら、隠し場所にピッタリでしょうね! ガラが悪いったらないわほんと!!」
うん、グレコの言いたい事は分かるよ。
あいつら、めちゃくちゃ人相(猫だけど)悪かったもんね。
でもさ、人(猫)を見た目で判断してはいけないよ?
もしかしたらほら、警察とかさ、自警団とかさ、治安を守る人達なのかも。
……いや、ないなそれは、あの顔で。
「あいつらは、公国に対して謀反を起こそうとしている反乱軍の一端なんだよ」
知らない誰かの声に、俺たちは振り返る。
そこに立っているのは、小さくて、妙に派手な生き物。
なんだこいつ? 誰だ??
てか……、めっちゃ派手だなおい。
キラキラと輝く大きな目と、小さな鼻、三角の耳に、ピンと伸びた数本の長い髭。
身長こそかなり低いが、その顔形はマーゲイ族である。
しかしながら、マーゲイ族特有の斑模様の毛並みはなんと、驚くほど鮮やかなショッキングピンク色をしているではないか。
こんな毛色の生き物には、生まれてこの方……、いや、前世でも、出会った事が無いだろう。
そいつは、複雑な、植物のような模様が刺繍された、真っ白なローブに身を包み、肩から四角いレトロな革鞄を下げ、手には分厚い本を持ち、腰には武器なのだろう鞭を装備している。
首に掛かっているお洒落なペンダントは、土星のような形をしており、不思議とひとりでにクルクルと回転していた。
「貴様……、何者だ? 名を名乗れ」
未だ戦闘モードが抜けないギンロが、きつい口調でそう言うと、それに呼応するかのように、隣のグレコが鋭い赤目でそいつをギロリと睨み付けた。
はわわわわっ!?
また一騒動起きそうだぞっ!??
と、一人焦り始める俺。
しかしながら、そんな俺とは対照的に、相手は全く物怖じせずにこう言った。
「おいらはカービィ! ここオーベリー村出身のマーゲイ族で、新進気鋭の白魔導師だ!! よろしくぅっ!!!」
キラーン☆、という効果音が似合いそうな、お茶目なキメ顔スマイルで、そいつはピースサインを目元に当ててウィンクした。
思っていたのと違う反応が返ってきた為に、固まるギンロとグレコ。
そして、俺は……
な!? なんだこいつぅうっ!?
チャラいぞっ!?!?
これが俗に言う、チャラ男かっ!?!??
生まれて初めて遭遇するチャラ男系のこの生き物に対し、背筋に悪寒を感じていた。
宿屋の外では、先程の若いマーゲイ族達が、苛立った様子で待ち構えていた。
揃いも揃ってまぁ~、怖いお顔だこと。
しかし、こちらも負けず劣らず、かなりの苛立ちを見せるグレコとギンロ。
そして、二人の後ろに隠れて、震える俺……
お願いだから穏便に! 穏便にねっ!!
ガクブルガクブル
「もう一度言うわっ! 私たちは盗みなんてしてないっ!! 二十本の槍なんて知らないわっ!!!」
開口一番、道行くマーゲイ族たちが驚いて立ち止まるほどの大声で、グレコが叫んだ。
その剣幕や、まるで鬼神の如し……
俺が怒られてるわけではないのに、危うくちびりそうになった。
状況が分からない周りにいる者達は、何事だろう? とヒソヒソし始める。
「右に同じく。我らは何の罪も犯しておらぬ。謂れのない罪を着せられ、罵倒される覚えは無い。我らに対する数々の無礼な物言い、直ちに謝罪しろ。さもなくば、正義を貫く我が刃の餌食となりて、貴様らの首は地に転がる事になろうぞ」
ぎゃあぁぁ~!?
ギンロの中二病が絶賛発病中だあっ!
セリフはめっちゃカッコいいけど!!?
手っ!! 手を剣から離しなさいっ!!!
ギンロの野生的で物凄く殺気立った様子に、若いマーゲイ族達は見るからに動揺している。
よし、セリフはともかく……、相手が狼狽えたぞ!
この隙に、サッと逃げるんだっ!!
「犯人を目撃したってのはどこのどいつよっ!?」
えっ!? グレコ!??
まだ話をするのかいっ!???
「お、おいっ! デルグ!! 前に出ろっ!!!」
右目の上に三日月型の傷跡があるリーダー格の奴が慌ててそう言うと、後ろの方にいた背の低い、どこからどう見てもひ弱そうなマーゲイ族の男が一人、おずおずと前に出てきた。
デルグと呼ばれたそのマーゲイ族は、他の者達に比べて明らかに痩せていて貧相だし、サイズが合っていない大きな服を着ているせいか余計に小さく見える。
加えて、なんだかこう、自身なさげなその表情からして、パシリをさせられてそうな、いじめられっ子オーラがバンバン出てるのだ。
怒るグレコとギンロを前に、今にもちびりそうな顔でガクガクと震えているその様は、なんとも哀れである。
その姿を見て、俺は……
あぁ……、分かる、分かるよその気持ち。
旅に出てからというもの、幾度となく味わってきた、絶望的な感覚……
前には見知らぬ猛獣二匹、後ろにはいつものいじめっ子達、逃げ場が無いとはまさにこの事。
怖いよね? 辛いよね??
なんとかこの窮地から、彼を救えないだろうか???
…………否、俺には到底不可能だ。
デルグの心境を慮るも、何も出来やしないと悟る俺。
俺が今何か言おうものなら、事態は更にややこしくなるだろう。
俺に出来る事と言えば、この地獄が1秒でも早く終わる様にと、祈る事のみだ。
「貴様が目撃者か?」
静かに問うギンロ。
「うっ、あっ……、えと………、その…………」
恐怖からか、デルグは上手く話せないようだ。
視線をキョロキョロと動かしていて、かなり落ち着きが無い。
すると……
「答えろ小童めえぇっ!!!」
ひゃあぁぁっ!?!?
ギンロが吠えたぁっ!!!
「ふぁっ!? ふぁいっ! ぼっ!! 僕ですぅっ!!!」
裏返った声で返事をし、全身をガタガタと震わせるデルグ。
あぁ……、もう見てらんない……
デルグが可哀想!
居た堪れなくなる俺。
両手で口元を押さえながら、事の成り行きをハラハラと見守っていると……
「で、モッモなわけ? よく見て、ほらっ!」
「へ???」
突然、グレコに服の襟元をグイッと掴まれたかと思うと、体がふわっと宙に浮いて、そして……
ひぃいぃぃっ!?!??
俺は、今にも泣きそうな顔をしているデルグと、その後ろで殺気立つマーゲイ族の若い男達の前へと、強引に引き摺り出されてしまったではないか。
なんっ!?
なんでぇっ!!?
グレコぉおぉぉっ!?!?
プチパニックに陥る俺。
すると、目の前に立つデルグの目と俺の目が、ばっちりと合って……
お互いきっと、こう思っているはずだ。
「何故こうなった!?」と……
「あの……、えと……。ぼ、僕が見たのは、その……。小さな影と、長い尻尾で……」
デルグは、俺の事をまじまじと見つつ、オドオドとした様子ながらも、聞き取りやすい大きさの声でそう言った。
その言葉を聞いたグレコは……
「それだけなの?」
「あ、はい、えと……、はい」
デルグの返答に、グレコはデルグから視線をずらし、リーダー格の奴をギロリと睨み付ける。
「なっ!? おいデルグ!?? お前、俺たちが宿屋に小さい奴がいるって言った時、きっとそいつだって言ったよな!?!? まさかお前……、嘘ついたってのか!?!??」
リーダー格の奴が叫ぶ。
「え? それは、その……、僕………」
オドオド、もじもじするデルグ。
すると今度はギンロが、前にずいっと出てきて……
「貴様の言葉一つで、このような事態になっておるのだぞ? 責任を取ってもらおうか??」
今日一番の殺気をデルグに向けて、静かにそう言った。
そして……
「ひっ!? ぼっ!?? 僕はっ!!?? あ……、あぁあ~………」
シャアァ~
あ……、あらららら……
デルグ、盛大に漏らしちゃったね。
ガタガタと震えながらズボンを濡らして、顔を真っ赤にするデルグと、沈黙する周りの者たち。
その姿はあまりにも情け無く、可哀想で……
もはや、こうなってしまったデルグを責める者はいないだろう。
と、思ったのだが……
「さ、どうするおつもりかしら? この人、モッモだとは断定できないそうよ?? ねぇ、デルグ???」
うわぁ~~~~~!?!?
この後に及んで、またデルグをチクチク責めるのかグレコよっ!
恐るべし、ブラッドエルフの執念っ!!
「くっ!? くそっ! 見てろよ、絶対証拠を見つけてやるからなっ!! おめぇら、行くぞっ!!!」
リーダー格の奴がそう言うと、マーゲイ族の若い男達はゾロゾロと帰っていった。
その最後尾を、濡れたズボンを引き摺りながらトボトボとついて行くデルグ。
そんな彼の姿を見て、彼がこの後酷い目に遭わないようにと、俺は願う事しか出来なかった。
「たくっ、冗談じゃないわよ! モッモが盗人ですって!? 見たら分かるじゃない!! そんなの出来っこないでしょ、この小動物にっ!??」
未だ怒りが収まらないグレコ様。
朝ごはんにと立ち寄った料理屋にて、運ばれてきたパスタらしき物をフォークでぐさぐさと刺しながら、軽く俺をディスられております。
何故ディスられる対象が俺なのか、その理由はさっぱり分かりません。
「しかし、犯人は何故、槍など盗んだのあろう? このような平和な村で……?? そもそも何故、槍などあるのだ??? このような平和な村に……????」
シシ婆さんの家で食べた物と似ている蒸しパンを食べながら、ギンロが疑問を呈した。
「確かに変だよね、槍なんてさ。この村には必要なさそうなのに……」
一応返事をする俺。
「どうせあいつら、密輸とかしてるやばい奴らなのよ。ここみたいな平和な村なら、隠し場所にピッタリでしょうね! ガラが悪いったらないわほんと!!」
うん、グレコの言いたい事は分かるよ。
あいつら、めちゃくちゃ人相(猫だけど)悪かったもんね。
でもさ、人(猫)を見た目で判断してはいけないよ?
もしかしたらほら、警察とかさ、自警団とかさ、治安を守る人達なのかも。
……いや、ないなそれは、あの顔で。
「あいつらは、公国に対して謀反を起こそうとしている反乱軍の一端なんだよ」
知らない誰かの声に、俺たちは振り返る。
そこに立っているのは、小さくて、妙に派手な生き物。
なんだこいつ? 誰だ??
てか……、めっちゃ派手だなおい。
キラキラと輝く大きな目と、小さな鼻、三角の耳に、ピンと伸びた数本の長い髭。
身長こそかなり低いが、その顔形はマーゲイ族である。
しかしながら、マーゲイ族特有の斑模様の毛並みはなんと、驚くほど鮮やかなショッキングピンク色をしているではないか。
こんな毛色の生き物には、生まれてこの方……、いや、前世でも、出会った事が無いだろう。
そいつは、複雑な、植物のような模様が刺繍された、真っ白なローブに身を包み、肩から四角いレトロな革鞄を下げ、手には分厚い本を持ち、腰には武器なのだろう鞭を装備している。
首に掛かっているお洒落なペンダントは、土星のような形をしており、不思議とひとりでにクルクルと回転していた。
「貴様……、何者だ? 名を名乗れ」
未だ戦闘モードが抜けないギンロが、きつい口調でそう言うと、それに呼応するかのように、隣のグレコが鋭い赤目でそいつをギロリと睨み付けた。
はわわわわっ!?
また一騒動起きそうだぞっ!??
と、一人焦り始める俺。
しかしながら、そんな俺とは対照的に、相手は全く物怖じせずにこう言った。
「おいらはカービィ! ここオーベリー村出身のマーゲイ族で、新進気鋭の白魔導師だ!! よろしくぅっ!!!」
キラーン☆、という効果音が似合いそうな、お茶目なキメ顔スマイルで、そいつはピースサインを目元に当ててウィンクした。
思っていたのと違う反応が返ってきた為に、固まるギンロとグレコ。
そして、俺は……
な!? なんだこいつぅうっ!?
チャラいぞっ!?!?
これが俗に言う、チャラ男かっ!?!??
生まれて初めて遭遇するチャラ男系のこの生き物に対し、背筋に悪寒を感じていた。
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