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★始まりの場所、テトーンの樹の村編★
1:最弱種族【ピグモル】
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【ピグモル】という種族をご存知だろうか?
知らない人間がほとんどだろうな、俺だって自分がピグモルになるまでは全く知らなかったんだから。
ピグモルは、深い森の奥に暮らす、獣人型の生き物だ。
風貌は、げっ歯目によく似ており、大きな二つの目と小さな鼻、耳は個体差があるものの比較的大きい。
げっ歯目というくらいだから、前歯はとても頑丈。
体には毛が生えていて、毛色は白と黒を基調とし、その濃淡はまた個体差がある。
中にはグレーやブラウン、クリーム色に近いもの、ぶち模様が入ったものなどもいる。
獣人型というくらいだから、もちろん二足歩行だし、手足の指は五本ずつ存在する。
この説明を受けて、どんな生き物を想像しただろうか。
おそらく、ウサギやネズミ、ハムスターやチンチラ、モルモットのような、可愛らしい小動物を想像することだろう。
しかし、驚くことなかれ。
ピグモルは、それらと比べ物にならないほど、もっともっと、愛らしいのだ!
いくら鍛えても筋肉がつかない丸みを帯びた体。
自分の頭のてっぺんを触るのがやっとなほどの短い手と、同じく短い足。
長い尻尾はお尻の上でクルンッと丸まっており、歩くと自然と左右に揺れる。
それらに加えて、身体中に生えている毛が柔らかいのなんのってもう……、モッフモフのモッフモフなのだ!
これを愛らしいと言わずになんとする!?
ピグモルの体長は平均しておよそ70センチ、体重は8キロ程度、太ってて重いやつでも12キロほどだろう。
しかしこれは、この森にあるリリコの実を使った簡易的かつ非常に曖昧な計算方法で算出した結果なので、全くもって定かではないことを先に伝えておこう!
ピグモルの生態は、ほぼほぼ人間と同じだ。
朝起きて、顔を洗って、歯を磨いて、着替えて、朝食をとり、働きに出て、昼飯を食って、昼寝して、また働いて……
日暮れまでには家に戻り、夕食を平らげ、水浴びをして、歯を磨いて、そして寝床に入る。
文化水準はかなりの低さだが、まぁ気にするほどの事ではない。
肝心の家はというと、以前は、ここいらに群生する、高さが20メートル近くもあるテトーンの樹の根元に、小さな丸い粘土の家を造って住んでいた。
これがもう、とっても粗雑な造りの家だもんで、雨が三日も続くと途端に崩れる始末。
だから、俺が二歳になる前に、大人たちに樹の上に住んではどうかと提案し、それからはテトーンの樹の上に家を造るようになった。
いわゆるツリーハウスだ。
今ではそれが、この村では主流の家だ。
俺が住むこの村は、そのまんま、【テトーンの樹の村】と言う。
日当たりの良い、畑の作物がよく育つ豊かな村だ。
少し離れた場所に清らかな小川が流れ、遥か北の方角には巨大な白い山脈が連なっている。
テトーンの樹は、もともとその葉に毒性を持つ為に、凶暴な他種族の魔物は近寄ってこないらしい。
そのおかげで、産まれて此の方、村には平和しかない。
村には、全部で三百八匹のピグモルが暮らしており、一家族がだいたい五~十匹の家族構成だ。
で、俺の家族は、父ちゃん母ちゃん、俺と同じ日に産まれた三つ子の兄弟と、後で産まれた双子の姉妹とで、七匹家族だ。
みんな、とっても明るく優しくて、毎日が楽しくてとっても幸せだ!
……とまぁ、都合の良い情報はここまでにしておこう。
なぜピグモルが、どこぞの森の奥深くなどに住んでいるのか、それを説明しなければならないだろう。
何を隠そうピグモルは、この世界で一番愛らしく、そして、最弱の種族なのだ。
その最弱さ加減を物語る歴史がピグモルにはある。
およそ百年前、ピグモルは絶滅の危機に瀕していた。
原因は、他種族からの乱獲である。
その理由は勿論、ピグモルが世界で一番愛らしい種族であるからだった。
今でこそ、森の奥深くで平和に暮らしているピグモルだが、昔は愛玩用の奴隷として、市場でその命を売買されていたらしい。
ピグモルは小さく、魔力もなければ腕力もない。
種族性とでも言えようか、みんな揃って性格は穏やかで、戦う術も意思もない。
あるのは愛らしさだけ……
襲いくる強欲な他種族を前に、ピグモル達は抵抗出来ず、ただ怯える事しか出来ずに、少しずつその数を減らしていったという。
しかしながら、救いの手は差し伸べられた。
ある高名な魔法使いによって、ピグモルを奴隷とする事が禁じられたのがおよそ百年前。
以来、乱獲の魔の手を振り切り、他種族から逃げるように各地を転々として、なんとか生き残ったピグモルたちが、この森の奥深くに村を築き、ひっそりと、幸せに暮らしているのだった。
そしてそして、ようやく俺の話ができるな!
俺はピグモルのモッモ。
黄土色の毛を持つ、明日で十五歳となる若者だ。
なにやら神様の要望で、前世の人間から、この世界最弱の種族ピグモルに転生させられたらしいが……
正直、人間だった頃の記憶というか、思い出というか、容姿とか性格とか家族構成とか、どんな風に生きていたのかとか、詳細な事は何一つ覚えていない。
地球の、日本で、人間だった、はず……、この程度だ。
でも今のところ、な~んの不自由もなく暮らしている!
世界最弱とか関係ねぇ!!
ピグモル最高!!!
ヒャッホーウ!!!!
とか、昨日までは思っていたのにな……
十五歳となった今日、俺に告げられた言葉は、あまりに酷な内容だった。
「モッモよ、お前は神に選ばれし者じゃ。北の山々にある聖地を目指し、神のお告げを賜りに行け」
えっ!?
え~まじか……
知らない人間がほとんどだろうな、俺だって自分がピグモルになるまでは全く知らなかったんだから。
ピグモルは、深い森の奥に暮らす、獣人型の生き物だ。
風貌は、げっ歯目によく似ており、大きな二つの目と小さな鼻、耳は個体差があるものの比較的大きい。
げっ歯目というくらいだから、前歯はとても頑丈。
体には毛が生えていて、毛色は白と黒を基調とし、その濃淡はまた個体差がある。
中にはグレーやブラウン、クリーム色に近いもの、ぶち模様が入ったものなどもいる。
獣人型というくらいだから、もちろん二足歩行だし、手足の指は五本ずつ存在する。
この説明を受けて、どんな生き物を想像しただろうか。
おそらく、ウサギやネズミ、ハムスターやチンチラ、モルモットのような、可愛らしい小動物を想像することだろう。
しかし、驚くことなかれ。
ピグモルは、それらと比べ物にならないほど、もっともっと、愛らしいのだ!
いくら鍛えても筋肉がつかない丸みを帯びた体。
自分の頭のてっぺんを触るのがやっとなほどの短い手と、同じく短い足。
長い尻尾はお尻の上でクルンッと丸まっており、歩くと自然と左右に揺れる。
それらに加えて、身体中に生えている毛が柔らかいのなんのってもう……、モッフモフのモッフモフなのだ!
これを愛らしいと言わずになんとする!?
ピグモルの体長は平均しておよそ70センチ、体重は8キロ程度、太ってて重いやつでも12キロほどだろう。
しかしこれは、この森にあるリリコの実を使った簡易的かつ非常に曖昧な計算方法で算出した結果なので、全くもって定かではないことを先に伝えておこう!
ピグモルの生態は、ほぼほぼ人間と同じだ。
朝起きて、顔を洗って、歯を磨いて、着替えて、朝食をとり、働きに出て、昼飯を食って、昼寝して、また働いて……
日暮れまでには家に戻り、夕食を平らげ、水浴びをして、歯を磨いて、そして寝床に入る。
文化水準はかなりの低さだが、まぁ気にするほどの事ではない。
肝心の家はというと、以前は、ここいらに群生する、高さが20メートル近くもあるテトーンの樹の根元に、小さな丸い粘土の家を造って住んでいた。
これがもう、とっても粗雑な造りの家だもんで、雨が三日も続くと途端に崩れる始末。
だから、俺が二歳になる前に、大人たちに樹の上に住んではどうかと提案し、それからはテトーンの樹の上に家を造るようになった。
いわゆるツリーハウスだ。
今ではそれが、この村では主流の家だ。
俺が住むこの村は、そのまんま、【テトーンの樹の村】と言う。
日当たりの良い、畑の作物がよく育つ豊かな村だ。
少し離れた場所に清らかな小川が流れ、遥か北の方角には巨大な白い山脈が連なっている。
テトーンの樹は、もともとその葉に毒性を持つ為に、凶暴な他種族の魔物は近寄ってこないらしい。
そのおかげで、産まれて此の方、村には平和しかない。
村には、全部で三百八匹のピグモルが暮らしており、一家族がだいたい五~十匹の家族構成だ。
で、俺の家族は、父ちゃん母ちゃん、俺と同じ日に産まれた三つ子の兄弟と、後で産まれた双子の姉妹とで、七匹家族だ。
みんな、とっても明るく優しくて、毎日が楽しくてとっても幸せだ!
……とまぁ、都合の良い情報はここまでにしておこう。
なぜピグモルが、どこぞの森の奥深くなどに住んでいるのか、それを説明しなければならないだろう。
何を隠そうピグモルは、この世界で一番愛らしく、そして、最弱の種族なのだ。
その最弱さ加減を物語る歴史がピグモルにはある。
およそ百年前、ピグモルは絶滅の危機に瀕していた。
原因は、他種族からの乱獲である。
その理由は勿論、ピグモルが世界で一番愛らしい種族であるからだった。
今でこそ、森の奥深くで平和に暮らしているピグモルだが、昔は愛玩用の奴隷として、市場でその命を売買されていたらしい。
ピグモルは小さく、魔力もなければ腕力もない。
種族性とでも言えようか、みんな揃って性格は穏やかで、戦う術も意思もない。
あるのは愛らしさだけ……
襲いくる強欲な他種族を前に、ピグモル達は抵抗出来ず、ただ怯える事しか出来ずに、少しずつその数を減らしていったという。
しかしながら、救いの手は差し伸べられた。
ある高名な魔法使いによって、ピグモルを奴隷とする事が禁じられたのがおよそ百年前。
以来、乱獲の魔の手を振り切り、他種族から逃げるように各地を転々として、なんとか生き残ったピグモルたちが、この森の奥深くに村を築き、ひっそりと、幸せに暮らしているのだった。
そしてそして、ようやく俺の話ができるな!
俺はピグモルのモッモ。
黄土色の毛を持つ、明日で十五歳となる若者だ。
なにやら神様の要望で、前世の人間から、この世界最弱の種族ピグモルに転生させられたらしいが……
正直、人間だった頃の記憶というか、思い出というか、容姿とか性格とか家族構成とか、どんな風に生きていたのかとか、詳細な事は何一つ覚えていない。
地球の、日本で、人間だった、はず……、この程度だ。
でも今のところ、な~んの不自由もなく暮らしている!
世界最弱とか関係ねぇ!!
ピグモル最高!!!
ヒャッホーウ!!!!
とか、昨日までは思っていたのにな……
十五歳となった今日、俺に告げられた言葉は、あまりに酷な内容だった。
「モッモよ、お前は神に選ばれし者じゃ。北の山々にある聖地を目指し、神のお告げを賜りに行け」
えっ!?
え~まじか……
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