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★ピタラス諸島第五、アーレイク島編★
688:誘われたら断らない主義
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「モッモ、カービィと連絡をとってちょうだい。本当に三人が試練に敗れたのかどうか……、確認しておいた方がいいわ」
沈黙を破ったのはグレコだった。
「あ、そうだね。……うん」
何故自分で確認しないのだろう? と思いつつも、俺はグレコの指示通り、絆の耳飾りでカービィとの交信を試みる。
「あ~……、こちらモッモ、こちらモッモ。カービィ隊員、応答せよ」
俺は、カービィが乗ってきやすいようにと、わざと隊員ごっこを始めた。
そんな俺を、ノリリアは不審な様子で、ライラックは無言で、グレコはちょっぴり怒った顔で見つめている。
「へい! こちらカービィ隊員!! モッモ隊員どうぞ!!!」
ノリノリな様子で返答してきたカービィ。
おいおいおい……、めっちゃ元気そうだなおい。
試練に敗れた奴の声色じゃないぞおい。
もうちょい凹めっ!
「あ~っとぉ~……。現在地を報告せよ」
「へい! 現在地は、封魔の塔の外、入り口の扉前です!!」
「やっぱり……。あ~、えと~……、ロビンズ達も一緒ですか?」
「へい! 一緒です!! ちなみに、ロビンズとパロット学士は、めちゃくちゃ気まずそうにしてまっす!!」
「なるほど……。結局、何が起きたのかな? その……、森の中で……??」
「へい! 森の中で、みんなとはぐれちまったおいら様の前に、突然グレコさんが現れて、いいことしよっか♪ って誘われたので、遠慮なくいいことしようとしていたら、グレコさんがサテュロスになっちまって、「あんたは失格っす」とか言われて、思い切り顔を脚蹴りされて、気が付いたら外に出されていました!! めちゃくちゃ悔しいです!!! めちゃくちゃ痛かったです!!!! そしてめちゃくちゃ残念です!!!!!」
「ブッ!? カービィもグレコだったの!!?」
思わず吹き出す俺。
つまり、カービィと俺は、思考回路……、というか、グレコを好きな気持ちが同じってわけだな、うん。
「何? 私がどうかした??」
隣に立つグレコが、より怒った顔で俺を睨み付ける。
「あ……、う~うん! 大丈夫、関係ないよ!!」
さすがに、言えない。
カービィが、サテュロスが化けたグレコといいことをしようとして試練に敗れただなんて……、言えるわけない!
くそっ、隣のグレコの視線が痛いぞこんにゃろ!!
しかしながら、分かった事が一つ。
先程の第五の試練は、みんなああいうけしからん事態に遭遇して、それを回避出来た者のみが残った、という事になるわけだな。
「一瞬とは言え、サテュロスといいことしようとしていただなんて、人生の汚点です! しかしながら、おいら様は誘われたら断らない主義なので、今回の敗北は致し方ないのです!! レディのお誘いを断るなんて、男ではないのですっ!!!」
此方が何も聞いてないのに、自分の性的主義を堂々と発表しちゃうカービィ。
なんていうか……、別に知りたかねぇよ。
「あ~、そうだね。カービィには無理だったと思うよ」
俺は運良く(運悪く?)、神経過敏な体質のおかげで助かったけど、女好きで脳内の半分が下ネタなカービィには、あの状況で我慢しろなんて言っても無理な話だろう。
だがしかし、そうなると疑問が残るぞ。
「ねぇ。ロビンズとパロット学士は、どうして……?」
ロビンズもパロット学士も、めちゃくちゃ真面目だし、優秀だし、そういう欲望とは縁が無さそうなのだ。
なのに何故……?
「それは分かりません! 先程尋ねたところ、二人とも赤面し、口を閉し、今尚黙秘権を行使しております!!」
「あ……、そか、オッケー」
つまりあれだな、日頃抑えている欲望が、いっきに爆発しちゃった系のあれだな。
真面目な人ほどそういう事に弱いって、誰かが言ってたもんね(誰が?)。
そりゃ恥ずかしくって、赤面しちゃうわな。
「とにかく、おいら様達は失格してしまったので、残ったメンバーでなんとかしてください! まぁ……、ノリリアとグレコさんがいるんだ、なんとかなるだろう!? なははははっ!!!」
いやいや、笑うんじゃないよカービィこんにゃろめ!
あんた、時の神の使者の右腕なんでしょっ!?
試練に敗れて先に退散するなんて……
右腕の名が廃るぞこんにゃろめっ!!!
「時にモッモ……。リブロ・プラタにゃ気を付けろよ」
突然ヒソヒソ声になり、カービィが続ける。
「最初に言ったけど、あいつはおいらを呪った悪魔にそっくりなんだ。今のところ、怪しい動きはしてねぇけど……。あいつがいったい何者なのか、皆目検討もつかねぇ。案内役とか言ってっけど、いつ掌返すとも知れねぇからな。気を付けろ!」
……気を付けろと言われても、俺に何をどうしろと?
「あ~、分かった。気を付けるよ。じゃあ……、また後で!」
「あいあいさ~!」
カービィとの交信を終えて、三人に向き直る俺。
「やっぱり、カービィもロビンズもパロット学士も、塔の外にいるって」
俺の言葉に、ノリリアは険しい表情で俯き、グレコは仕方なさそうに頷き、ライラックは無言を貫いている。
「とにかく、私達だけで先に進むしかないわね。なんとかして、残りの試練に打ち勝って、塔を攻略しなくちゃ!」
両手の拳をギュッと握りしめるグレコ。
決意を新たにヤル気を出してるようだが、俺にはそれがぶりっ子ポーズにしか見えない。
「ポポゥ、過ぎてしまった事はどうしようもないポね……。ここまでの苦労と努力を水の泡にするわけにはいかないポ。あたち達だけでも、なんとか最上階まで辿り着かないといけないポよ!」
そう言って、頭上にフワフワと浮かんでいるリブロ・プラタを、キッ! と睨むノリリア。
「案内役のリブロ・プラタに問うポ! 最上階までには、あと幾つの試練があるのポ!?」
『試練はあと二つである! あと二つで、貴様らが塔の最上階へ向かうに相応しい者であるのか否かが決定される!! さぁ、その鍵でもって、次なる階層へと向かうがいい!!! 愚かなる挑戦者達よ!!!!』
リブロ・プラタは、その一つ目をキョロキョロと動かしながら、面白そうに叫んでいた。
-----+-----+-----
封魔の塔・第五階層にて、白薔薇の騎士団メンバー、副リーダー兼古語解読係:パロット・ガジェット、衛生係:ロビンズ・ウィドゾネル、及び、カービィ・アド・ウェルサー、脱落。
残る挑戦者、計4名。
-----+-----+-----
沈黙を破ったのはグレコだった。
「あ、そうだね。……うん」
何故自分で確認しないのだろう? と思いつつも、俺はグレコの指示通り、絆の耳飾りでカービィとの交信を試みる。
「あ~……、こちらモッモ、こちらモッモ。カービィ隊員、応答せよ」
俺は、カービィが乗ってきやすいようにと、わざと隊員ごっこを始めた。
そんな俺を、ノリリアは不審な様子で、ライラックは無言で、グレコはちょっぴり怒った顔で見つめている。
「へい! こちらカービィ隊員!! モッモ隊員どうぞ!!!」
ノリノリな様子で返答してきたカービィ。
おいおいおい……、めっちゃ元気そうだなおい。
試練に敗れた奴の声色じゃないぞおい。
もうちょい凹めっ!
「あ~っとぉ~……。現在地を報告せよ」
「へい! 現在地は、封魔の塔の外、入り口の扉前です!!」
「やっぱり……。あ~、えと~……、ロビンズ達も一緒ですか?」
「へい! 一緒です!! ちなみに、ロビンズとパロット学士は、めちゃくちゃ気まずそうにしてまっす!!」
「なるほど……。結局、何が起きたのかな? その……、森の中で……??」
「へい! 森の中で、みんなとはぐれちまったおいら様の前に、突然グレコさんが現れて、いいことしよっか♪ って誘われたので、遠慮なくいいことしようとしていたら、グレコさんがサテュロスになっちまって、「あんたは失格っす」とか言われて、思い切り顔を脚蹴りされて、気が付いたら外に出されていました!! めちゃくちゃ悔しいです!!! めちゃくちゃ痛かったです!!!! そしてめちゃくちゃ残念です!!!!!」
「ブッ!? カービィもグレコだったの!!?」
思わず吹き出す俺。
つまり、カービィと俺は、思考回路……、というか、グレコを好きな気持ちが同じってわけだな、うん。
「何? 私がどうかした??」
隣に立つグレコが、より怒った顔で俺を睨み付ける。
「あ……、う~うん! 大丈夫、関係ないよ!!」
さすがに、言えない。
カービィが、サテュロスが化けたグレコといいことをしようとして試練に敗れただなんて……、言えるわけない!
くそっ、隣のグレコの視線が痛いぞこんにゃろ!!
しかしながら、分かった事が一つ。
先程の第五の試練は、みんなああいうけしからん事態に遭遇して、それを回避出来た者のみが残った、という事になるわけだな。
「一瞬とは言え、サテュロスといいことしようとしていただなんて、人生の汚点です! しかしながら、おいら様は誘われたら断らない主義なので、今回の敗北は致し方ないのです!! レディのお誘いを断るなんて、男ではないのですっ!!!」
此方が何も聞いてないのに、自分の性的主義を堂々と発表しちゃうカービィ。
なんていうか……、別に知りたかねぇよ。
「あ~、そうだね。カービィには無理だったと思うよ」
俺は運良く(運悪く?)、神経過敏な体質のおかげで助かったけど、女好きで脳内の半分が下ネタなカービィには、あの状況で我慢しろなんて言っても無理な話だろう。
だがしかし、そうなると疑問が残るぞ。
「ねぇ。ロビンズとパロット学士は、どうして……?」
ロビンズもパロット学士も、めちゃくちゃ真面目だし、優秀だし、そういう欲望とは縁が無さそうなのだ。
なのに何故……?
「それは分かりません! 先程尋ねたところ、二人とも赤面し、口を閉し、今尚黙秘権を行使しております!!」
「あ……、そか、オッケー」
つまりあれだな、日頃抑えている欲望が、いっきに爆発しちゃった系のあれだな。
真面目な人ほどそういう事に弱いって、誰かが言ってたもんね(誰が?)。
そりゃ恥ずかしくって、赤面しちゃうわな。
「とにかく、おいら様達は失格してしまったので、残ったメンバーでなんとかしてください! まぁ……、ノリリアとグレコさんがいるんだ、なんとかなるだろう!? なははははっ!!!」
いやいや、笑うんじゃないよカービィこんにゃろめ!
あんた、時の神の使者の右腕なんでしょっ!?
試練に敗れて先に退散するなんて……
右腕の名が廃るぞこんにゃろめっ!!!
「時にモッモ……。リブロ・プラタにゃ気を付けろよ」
突然ヒソヒソ声になり、カービィが続ける。
「最初に言ったけど、あいつはおいらを呪った悪魔にそっくりなんだ。今のところ、怪しい動きはしてねぇけど……。あいつがいったい何者なのか、皆目検討もつかねぇ。案内役とか言ってっけど、いつ掌返すとも知れねぇからな。気を付けろ!」
……気を付けろと言われても、俺に何をどうしろと?
「あ~、分かった。気を付けるよ。じゃあ……、また後で!」
「あいあいさ~!」
カービィとの交信を終えて、三人に向き直る俺。
「やっぱり、カービィもロビンズもパロット学士も、塔の外にいるって」
俺の言葉に、ノリリアは険しい表情で俯き、グレコは仕方なさそうに頷き、ライラックは無言を貫いている。
「とにかく、私達だけで先に進むしかないわね。なんとかして、残りの試練に打ち勝って、塔を攻略しなくちゃ!」
両手の拳をギュッと握りしめるグレコ。
決意を新たにヤル気を出してるようだが、俺にはそれがぶりっ子ポーズにしか見えない。
「ポポゥ、過ぎてしまった事はどうしようもないポね……。ここまでの苦労と努力を水の泡にするわけにはいかないポ。あたち達だけでも、なんとか最上階まで辿り着かないといけないポよ!」
そう言って、頭上にフワフワと浮かんでいるリブロ・プラタを、キッ! と睨むノリリア。
「案内役のリブロ・プラタに問うポ! 最上階までには、あと幾つの試練があるのポ!?」
『試練はあと二つである! あと二つで、貴様らが塔の最上階へ向かうに相応しい者であるのか否かが決定される!! さぁ、その鍵でもって、次なる階層へと向かうがいい!!! 愚かなる挑戦者達よ!!!!』
リブロ・プラタは、その一つ目をキョロキョロと動かしながら、面白そうに叫んでいた。
-----+-----+-----
封魔の塔・第五階層にて、白薔薇の騎士団メンバー、副リーダー兼古語解読係:パロット・ガジェット、衛生係:ロビンズ・ウィドゾネル、及び、カービィ・アド・ウェルサー、脱落。
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