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★ピタラス諸島第四、ロリアン島編★
594:滅瘴薬
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昼食を済ませ、しばし休憩を取った後、俺達は作業を再開した。
「成長 促進」
呪文を唱えながら、杖の先から放たれる赤い光を、種を植えた畑の土に浴びせるチリアン。
すると、光が当たった場所からニョキニョキと、可愛らしい植物の芽が顔を出したではないか。
芽はグングンと伸び、双葉になって、更に上へ上へと伸びて枝分かれし、ドンドンと葉を茂らせていく。
すっげぇ~!
何これ!?
早送りしたみたいっ!!
それらの中には、葉だけでなく、花を咲かせるもの、実をつけるものもある。
瞬く間に、作ったばかりで土だけだった畑は、瑞々しい様々な薬草が生茂る、立派な姿へと様変わりした。
鮮やかなその魔法に、俺も紅竜人達も目を奪われた。
どうやら、今ここにいるメンバーの中で、この魔法を使えるのはチリアンだけらしい。
加速魔法に属するこの魔法は、補助魔法を得意とする赤魔導師の中でも上級者のみが為せる技らしく、黒魔導師で使える者はほんの一握りだという。
しかしながらチリアンは、花人と呼ばれる花の妖精と人との間に生まれた種族であるからして、このような植物の即時栽培がとても得意なのだ。
……という内容の話を、カービィから長々と説明されたが、俺には何のことなのかよく分からなかった。
毎度の事ながら、専門用語が多すぎるんだよ。
なんだよ、赤魔導師って?
初めて聞いたわっ!
ただ、久しぶりの農作業に張り切り過ぎて、とても広い畑を作ってしまったので、たった一人で全てにその魔法をかけるのは一苦労だろうと、チリアンに対して少し申し訳ない気持ちになる俺。
だけどもチリアンは、嫌な顔一つせず、いつもの穏やかな表情で、軽やかにステップを踏みながら、踊るように、畑の隅々まで魔法をかけて回った。
衛生班のロビンズとサンは、畑に入り、生えたばかりの薬草を摘み始めた。
勿論、土から生えている全てを摘み取るわけではなく、生茂る葉の中でも上部に生えている粋の良い新芽を選んで摘み取っていく。
カービィ曰く、新芽が一番栄養があって、薬になった時により良い効果が期待できるのだそうだ。
それから、ロビンズとサンは、畑から少し離れた場所に紅竜人を集め、薬の作り方を教え始めた。
摘み取ったばかりの数種類の薬草を擦り鉢に入れて擦り棒で潰し、少量の水を加えて、瘴気による肉体の腐敗に効果的なあの滅瘴薬を作ってみせた。
元々奴隷だった紅竜人達にとって、薬を作るのは勿論初体験の事だ。
だが、俺たちが居なくなった後は、自分達で薬を作ってもらうしか方法はない。
言葉が通じない中、ロビンズとサンは根気よく、手取り足取り教えていた。
掘ったばかりの泉には、少しずつだが水が溜まり始めていた。
泉は、まん丸では無いものの、およそ円と言える形をしていて、直径は二十メートルあるかないか程度だ。
しかし、一番深い所は十メートル以上の水深となるので、万が一にも子供が落ちては大変だ。
しかも、紅竜人は皆泳げないときている。
なので、泉の周りに柵を設け、水汲み用の足場を作る事にした。
この作業は、ライラックとブリックの二人が取り仕切っていた。
紅竜人達と共に、町の外に生える僅かな木を切り倒し、程よい長さにカットしていく。
それらを泉の周りに、等間隔で地面に突き刺して、縄で繋いでいく。
正直、見た目はガサガサで不格好だし、荒削りなのであちこちささくれたりして、かなり残念な感じの柵なのだけど……
お洒落かどうかなんて紅竜人達はきっと気にしないだろう、安全第一だっ!
水汲み用の足場にいたっては、一見するとただの丸太のいかだだ。
しかしまぁ、こちらも使えれば良いので、口出しはしない事とした。
みんなが一生懸命作業する中、俺は何をしていたかというと……
「ん? なんかこれ……、見た事あるなぁ」
出来上がった畑の中を、チョロチョロと散策していた。
見た事のない薬草ばかり、食べた事のない野菜ばかりの中、何やら見覚えのある植物を発見した。
鼻の奥がツーンとするような匂いを発するそれは、濃い紫色の花を咲かせている。
「それは、マンドレイクですわ」
優しい声が聞こえて振り向くと、すぐ後ろにチリアンが立っていた。
畑全体に魔法をかけ終えたらしく、杖をしまっている最中だ。
マンドレイク? マンドレイクと言えば……??
「モッモ様がお飼いになられているマンドラゴラの、魔物化する前の植物です。マンドレイクは、知らずに口にすれば、強力な神経毒の為にものの数分で死に至りますが、他の薬草と混ぜ合わせる事で毒は中和され、とても有用な薬草になるのです。殊に、滅瘴薬には欠かせない薬草の一つなのですよ」
おぉ、そういやそうだったな!
確かあれは……、オーベリー村の東に広がる森で、バーバー族と出会った時の事だ。
凶暴な大トカゲと化した蜥蜴神を倒した後、ちょうど渇いていたグレコがそいつの血を吸っちゃって、大変な事になって……、カービィが薬を作ってくれて、なんとか助かったんだっけ。
でも、あの時は確か、マンドレイクを使った薬では効かずに、俺のペットであるマンドラゴラのゴラが犠牲になったんだ。
運良く木の精霊に助けて貰えたから、ゴラは復活できて、めでたしめでたしで済んだわけだが。
「マンドラゴラでなくても大丈夫なの?」
「はい。勿論、負傷した方の体の具合にもよりますけれど……。大抵の場合、滅瘴薬はマンドレイクで作られますね。通常の滅瘴薬で効果が無ければ、マンドラゴラを使用した滅瘴薬を作る事になりますが、それほどまで腐敗が進行した状態だと、薬を使用しても助かる確率はごく僅かでしょう。そもそもマンドラゴラという魔物は、人の手で栽培したマンドレイクからは生まれません。自然界の、それも魔素が豊富に流れる場所にのみ生まれるのです。マンドラゴラは防御能力が高く、敵に遭遇した際には物凄い鳴き声を上げて相手を気絶させてしまいます。鳴き声の対処をしていたとしても、逃げ足が早くて、手練れの狩猟師でないとなかなか捕獲はできません。加えて、滅瘴薬が必要となるような事態に遭遇する事は、国内のごく普通のクエストではほぼ有り得ません。つまり需要がない……。ですから、マンドラゴラが市場で流通する事は稀で、フーガでも滅多に見かけませんね」
ほほう、なるほどそうだったのか。
じゃあ俺のゴラは、結構珍しい存在なのだな。
……あ、今はウンコみたいに固まってるけど。
「モッモ様、一つお聞きしても宜しいですか?」
「はい、宜しいです」
「モッモ様のマンドラゴラは、今も種子化したままですか?」
「……はい、恐らく」
「モッモ様は、瘴気に当てられても、平気だったのですよね?」
「え? あ……、はい」
チリアンの言葉の意図がわからず、小首を傾げる俺。
確かに俺は、何故だか瘴気が平気だった。
あの瘴気まみれの王都上空にいても、見るからに毒々しいモシューラの背中に乗っても、そこから落ちて腐敗したドロドロの地面に倒れて気を失ってしまっても、体のどこもかしこも綺麗なままだったのである。
しかし、その事と今の話と、どういう関係があって……?
「一度、種子化しているマンドラゴラを、見せて頂いても宜しいですか?」
「しゅ? あ、あぁ~、はい。えっと……」
ゴソゴソとズボンのポケットを漁り、カチカチのそれを久し振りに手にした俺は気付く。
おや? なんか……、ほんのり温かいぞ??
そっと取り出したそれは、以前と変わらず紫色のウンコだ。
しかし何故だか、薄らとオレンジ色の光を帯びていて、柔らかな熱を持っているではないか。
そして、ほんの僅かではあるが、トクン、トクンと、小さな鼓動のような振動が、俺の手に伝わっていた。
「あぁ、やっぱりそうでしたのね」
俺の手の中にある、汚物紛いな種子化したゴラを見つめて、チリアンは優しく微笑む。
「やっぱりって……、どういう……?」
「モッモ様が瘴気の腐敗を免れたのは、この種子化しているマンドラゴラの力です」
「えっ!? ゴラの力!??」
そうなのっ!?!?
「ゴラ様、と仰いますのね。恐らく、モッモ様を守りたいという強い思いが、ゴラ様にこのような類稀なる素晴らしい力を与えたのでしょう」
「強い思い? それって……?? え、どういう事なの???」
チリアンのふんわりした説明じゃ、全然理解出来ないぞっ!
もうちょい詳しくっ!!
「ふふふ♪ いずれ分かる時が来ます。その時まで、ゴラ様を大事にして差し上げてください」
それだけ言うと、チリアンは俺の元を去って行ってしまった。
……えと、どういう事?
とりあえず、俺が瘴気にやられなかったのは、ゴラのおかげって事??
この、ウンコみたいな姿になっちゃった、ゴラの……???
オレンジ色の光を帯びる、生温かい紫色のウンコを見つめる俺。
そっか、そうだったんだ。
俺はてっきり、神様の力とか、俺が凄いのかもとか、思ってたんだけど……、違ったんだな。
「ありがとう、ゴラ」
俺は小さく呟いて、可愛かった頃のゴラを思い出しながら、手の中のそれを、そっとポケットの中へと戻すのだった。
「成長 促進」
呪文を唱えながら、杖の先から放たれる赤い光を、種を植えた畑の土に浴びせるチリアン。
すると、光が当たった場所からニョキニョキと、可愛らしい植物の芽が顔を出したではないか。
芽はグングンと伸び、双葉になって、更に上へ上へと伸びて枝分かれし、ドンドンと葉を茂らせていく。
すっげぇ~!
何これ!?
早送りしたみたいっ!!
それらの中には、葉だけでなく、花を咲かせるもの、実をつけるものもある。
瞬く間に、作ったばかりで土だけだった畑は、瑞々しい様々な薬草が生茂る、立派な姿へと様変わりした。
鮮やかなその魔法に、俺も紅竜人達も目を奪われた。
どうやら、今ここにいるメンバーの中で、この魔法を使えるのはチリアンだけらしい。
加速魔法に属するこの魔法は、補助魔法を得意とする赤魔導師の中でも上級者のみが為せる技らしく、黒魔導師で使える者はほんの一握りだという。
しかしながらチリアンは、花人と呼ばれる花の妖精と人との間に生まれた種族であるからして、このような植物の即時栽培がとても得意なのだ。
……という内容の話を、カービィから長々と説明されたが、俺には何のことなのかよく分からなかった。
毎度の事ながら、専門用語が多すぎるんだよ。
なんだよ、赤魔導師って?
初めて聞いたわっ!
ただ、久しぶりの農作業に張り切り過ぎて、とても広い畑を作ってしまったので、たった一人で全てにその魔法をかけるのは一苦労だろうと、チリアンに対して少し申し訳ない気持ちになる俺。
だけどもチリアンは、嫌な顔一つせず、いつもの穏やかな表情で、軽やかにステップを踏みながら、踊るように、畑の隅々まで魔法をかけて回った。
衛生班のロビンズとサンは、畑に入り、生えたばかりの薬草を摘み始めた。
勿論、土から生えている全てを摘み取るわけではなく、生茂る葉の中でも上部に生えている粋の良い新芽を選んで摘み取っていく。
カービィ曰く、新芽が一番栄養があって、薬になった時により良い効果が期待できるのだそうだ。
それから、ロビンズとサンは、畑から少し離れた場所に紅竜人を集め、薬の作り方を教え始めた。
摘み取ったばかりの数種類の薬草を擦り鉢に入れて擦り棒で潰し、少量の水を加えて、瘴気による肉体の腐敗に効果的なあの滅瘴薬を作ってみせた。
元々奴隷だった紅竜人達にとって、薬を作るのは勿論初体験の事だ。
だが、俺たちが居なくなった後は、自分達で薬を作ってもらうしか方法はない。
言葉が通じない中、ロビンズとサンは根気よく、手取り足取り教えていた。
掘ったばかりの泉には、少しずつだが水が溜まり始めていた。
泉は、まん丸では無いものの、およそ円と言える形をしていて、直径は二十メートルあるかないか程度だ。
しかし、一番深い所は十メートル以上の水深となるので、万が一にも子供が落ちては大変だ。
しかも、紅竜人は皆泳げないときている。
なので、泉の周りに柵を設け、水汲み用の足場を作る事にした。
この作業は、ライラックとブリックの二人が取り仕切っていた。
紅竜人達と共に、町の外に生える僅かな木を切り倒し、程よい長さにカットしていく。
それらを泉の周りに、等間隔で地面に突き刺して、縄で繋いでいく。
正直、見た目はガサガサで不格好だし、荒削りなのであちこちささくれたりして、かなり残念な感じの柵なのだけど……
お洒落かどうかなんて紅竜人達はきっと気にしないだろう、安全第一だっ!
水汲み用の足場にいたっては、一見するとただの丸太のいかだだ。
しかしまぁ、こちらも使えれば良いので、口出しはしない事とした。
みんなが一生懸命作業する中、俺は何をしていたかというと……
「ん? なんかこれ……、見た事あるなぁ」
出来上がった畑の中を、チョロチョロと散策していた。
見た事のない薬草ばかり、食べた事のない野菜ばかりの中、何やら見覚えのある植物を発見した。
鼻の奥がツーンとするような匂いを発するそれは、濃い紫色の花を咲かせている。
「それは、マンドレイクですわ」
優しい声が聞こえて振り向くと、すぐ後ろにチリアンが立っていた。
畑全体に魔法をかけ終えたらしく、杖をしまっている最中だ。
マンドレイク? マンドレイクと言えば……??
「モッモ様がお飼いになられているマンドラゴラの、魔物化する前の植物です。マンドレイクは、知らずに口にすれば、強力な神経毒の為にものの数分で死に至りますが、他の薬草と混ぜ合わせる事で毒は中和され、とても有用な薬草になるのです。殊に、滅瘴薬には欠かせない薬草の一つなのですよ」
おぉ、そういやそうだったな!
確かあれは……、オーベリー村の東に広がる森で、バーバー族と出会った時の事だ。
凶暴な大トカゲと化した蜥蜴神を倒した後、ちょうど渇いていたグレコがそいつの血を吸っちゃって、大変な事になって……、カービィが薬を作ってくれて、なんとか助かったんだっけ。
でも、あの時は確か、マンドレイクを使った薬では効かずに、俺のペットであるマンドラゴラのゴラが犠牲になったんだ。
運良く木の精霊に助けて貰えたから、ゴラは復活できて、めでたしめでたしで済んだわけだが。
「マンドラゴラでなくても大丈夫なの?」
「はい。勿論、負傷した方の体の具合にもよりますけれど……。大抵の場合、滅瘴薬はマンドレイクで作られますね。通常の滅瘴薬で効果が無ければ、マンドラゴラを使用した滅瘴薬を作る事になりますが、それほどまで腐敗が進行した状態だと、薬を使用しても助かる確率はごく僅かでしょう。そもそもマンドラゴラという魔物は、人の手で栽培したマンドレイクからは生まれません。自然界の、それも魔素が豊富に流れる場所にのみ生まれるのです。マンドラゴラは防御能力が高く、敵に遭遇した際には物凄い鳴き声を上げて相手を気絶させてしまいます。鳴き声の対処をしていたとしても、逃げ足が早くて、手練れの狩猟師でないとなかなか捕獲はできません。加えて、滅瘴薬が必要となるような事態に遭遇する事は、国内のごく普通のクエストではほぼ有り得ません。つまり需要がない……。ですから、マンドラゴラが市場で流通する事は稀で、フーガでも滅多に見かけませんね」
ほほう、なるほどそうだったのか。
じゃあ俺のゴラは、結構珍しい存在なのだな。
……あ、今はウンコみたいに固まってるけど。
「モッモ様、一つお聞きしても宜しいですか?」
「はい、宜しいです」
「モッモ様のマンドラゴラは、今も種子化したままですか?」
「……はい、恐らく」
「モッモ様は、瘴気に当てられても、平気だったのですよね?」
「え? あ……、はい」
チリアンの言葉の意図がわからず、小首を傾げる俺。
確かに俺は、何故だか瘴気が平気だった。
あの瘴気まみれの王都上空にいても、見るからに毒々しいモシューラの背中に乗っても、そこから落ちて腐敗したドロドロの地面に倒れて気を失ってしまっても、体のどこもかしこも綺麗なままだったのである。
しかし、その事と今の話と、どういう関係があって……?
「一度、種子化しているマンドラゴラを、見せて頂いても宜しいですか?」
「しゅ? あ、あぁ~、はい。えっと……」
ゴソゴソとズボンのポケットを漁り、カチカチのそれを久し振りに手にした俺は気付く。
おや? なんか……、ほんのり温かいぞ??
そっと取り出したそれは、以前と変わらず紫色のウンコだ。
しかし何故だか、薄らとオレンジ色の光を帯びていて、柔らかな熱を持っているではないか。
そして、ほんの僅かではあるが、トクン、トクンと、小さな鼓動のような振動が、俺の手に伝わっていた。
「あぁ、やっぱりそうでしたのね」
俺の手の中にある、汚物紛いな種子化したゴラを見つめて、チリアンは優しく微笑む。
「やっぱりって……、どういう……?」
「モッモ様が瘴気の腐敗を免れたのは、この種子化しているマンドラゴラの力です」
「えっ!? ゴラの力!??」
そうなのっ!?!?
「ゴラ様、と仰いますのね。恐らく、モッモ様を守りたいという強い思いが、ゴラ様にこのような類稀なる素晴らしい力を与えたのでしょう」
「強い思い? それって……?? え、どういう事なの???」
チリアンのふんわりした説明じゃ、全然理解出来ないぞっ!
もうちょい詳しくっ!!
「ふふふ♪ いずれ分かる時が来ます。その時まで、ゴラ様を大事にして差し上げてください」
それだけ言うと、チリアンは俺の元を去って行ってしまった。
……えと、どういう事?
とりあえず、俺が瘴気にやられなかったのは、ゴラのおかげって事??
この、ウンコみたいな姿になっちゃった、ゴラの……???
オレンジ色の光を帯びる、生温かい紫色のウンコを見つめる俺。
そっか、そうだったんだ。
俺はてっきり、神様の力とか、俺が凄いのかもとか、思ってたんだけど……、違ったんだな。
「ありがとう、ゴラ」
俺は小さく呟いて、可愛かった頃のゴラを思い出しながら、手の中のそれを、そっとポケットの中へと戻すのだった。
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