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★ピタラス諸島第三、ニベルー島編★
415:レベル93
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☆☆☆
【世界共和連合】
ヴェルドラ歴218年設立。
アンローク大陸における、およそ二百年に及んだ長きに渡る戦争が終結し、戦勝国となった第二ヴェルハーラ王国と、敗戦国であるオルドール軍主国の間に結ばれた和平条約がきっかけとなって設立された、世界規模の連合機関である。
現在の加盟国は三十六ヶ国。
その活動は、加盟国君主を召集した年に一度の世界会議の開催、世界平和の為の各国への連合軍派遣、条約及び法律の制定など、多岐に渡る。
【世界魔法連盟】
世界共和連合の内部機関の一つ。
主として、魔法使いが治める国家は、国内における国立、又は王立の、全ての魔導師ギルドの加盟が義務付けられている。
ヴェルドラ歴225年、世界魔法条約が制定され、様々な規定が設けられた。
世界共和連合における連合軍派遣の際には、この連盟に加盟している魔導師ギルドから人員が召集される。
☆☆☆
「禁呪魔法ってのは、その世界魔法連盟が決めた条約に違反する、いわば使っちゃいけねぇ魔法の事なんだ。それは全部で三段階に分かれてて、第三級禁呪魔法が、麻痺魔法、混乱魔法、睡眠魔法などの、状態異常魔法。第二級禁呪魔法が、相手の考えや記憶を見たり、または意思を操ったりする思想魔法。そして、第一級禁呪魔法が殺害魔法。その殺害魔法の一つに、石化魔法が含まれてる、ってわけだ」
……ほう、なるほどね~。
カービィの、とってもとっても長い説明に、俺は体も心も沈黙する。
世界共和連合?
世界魔法連盟??
何それ、美味しいの???
お腹が膨れて、ちょっぴり眠くなってきた頭には、カービィの話は難し過ぎた。
まさにチンプンカンプンである。
「しかしカービィよ、これまでの旅でお主は、それらを使っておったではないか?」
ギンロの言葉に、俺は記憶を遡る。
確かにカービィは、オーベリー村の近くの迷いの森で、バーバー族相手に睡眠魔法を使ったり、それこそ昼間は骸骨相手にだけど、記憶を見る為に思想魔法を使ってた。
それってつまり……、禁呪魔法を使ってたって事だよね?
いいの、それ??
「使ってたけど、まぁ……、連盟の奴等には見られてねぇから、結果オーライだ!」
マジかっ!?
じゃあ、見られてたらアウトだったのっ!??
なんちゅう奴だお前はぁっ!?!?
「禁呪魔法といえどもそれは平時の話。己が命の危機に際しては行使が認められているでござる。故に、闇雲に行使しなければ、お咎めはほぼほぼ無いに等しいでござるよ」
……カサチョさんや、そうは言うけどさ、カービィの場合、結構闇雲に使ってたと思いますけどね?
「ふむ……。ならば、何故使えぬ者が多いのだ? 仮にも白薔薇の騎士団は、王国一の魔導師ギルドなのであろ?? そこに属する者であれば、皆使えて当然のようにも思うが」
「いやいや、ギンロ。それはちょいと理想が高いな。禁呪魔法ってのは、いわば呪いだ。魔法自体の残虐性が強いから禁じられているものだ。けど、理由はそれだけじゃねぇ。それと並行して……、いや、それ以上に、行使した本人にも負荷が重いから禁じられてんだ。魔力の消耗は激しいし、そもそも行使するには並大抵の集中力じゃ失敗する。それに、行使する相手が魔法使いの場合は、反射魔法でそのまま自分に返ってくる可能性もある。つまりは諸刃の剣。行使における危険性も含めて、禁呪魔法とされてんだよ。だから、その魔法の会得自体が容易じゃねぇ。ギルドに所属して、クエストをこなして経験値貯めて、レベル80くらいの魔導師になれて初めて、禁呪魔法の会得が許可される。だから、騎士団の奴等が第一級禁呪魔法である石化魔法を使えなくたって、何にも不思議じゃねぇのさ」
ほほう、なるほどね~。
まぁ用は、危ないから、経歴がない人には使えませんよ~ってやつかな?
……てか今、サラッと、レベルとか言ってた??
この世界にもあったんだね、職業レベル。
「魔導師にも階級がある故、上級でなければ禁呪魔法の第一級は行使が認められぬでござるよ。世界魔法連盟の規定では、魔導師は五階級に分けられるでござる。レベル1~20の第五級魔導師、レベル21~40の第四級魔導師、この二つは俗に下級魔導師と呼ばれるでござる。レベル41~60の第三級魔導師、レベル61~80の第二級魔導師、この二つが中級魔導師に当たるでござる。騎士団の者達は皆、そのほとんどが第二級魔導師なのでござるよ。故に、禁呪魔法も第二級のものしか使えぬ。拙者とカビやん、そしてノリリア副隊長殿は、レベル81~100の第一級魔導師、つまり上級魔導師であるからして、第一級禁呪魔法の会得、及び行使が認められているのでござる」
ほほほう、なるほどね~。
あんまり知らなかった、というか、全く知らなかったけど、魔導師にはそれだけちゃんとした階級があったのか。
俺が知っている、前世のテレビゲームなんかでのレベルとは、ちょいと意味合いが違うみたいだけど。
「ちなみにおいらは、レベル93だっ!!!」
ドーン! と胸を張るカービィ。
ただ残念ながら……、レベルが高いのは分かるけど、それがどれくらい凄い事なのかは、いまいち理解できませんね、はい。
「では……、アルテニース殿の残した石化魔法という手段でホムンクルス共を確実に倒せるのは、カービィ、カサチョ殿、そしてノリリア殿の三人だけである、という事か?」
「そういう事だな。けどまぁ、ホムンクルスも一応生きてんだ。石化魔法が使えなくても、攻撃し続けてりゃそのうち動かなくなる。それに、おいらやカサチョだって、石化魔法を行使しまくるのは無謀だしな。そんな事すりゃ、すぐに魔力が底をついちまう。こうなりゃもう、長期戦を覚悟で戦うしかねぇな。まぁ……、ケンタウロスの奴らも加勢してくれるんだ、なんとかなる……。いや、なんとかするしかねぇ」
カービィはそう言って、フーンと鼻から息を吐いた。
その表情はいつになく真剣で、尚且つちょっぴり自信がなさげだ。
長期戦かぁ……
体がバラバラになっても、顔だけになっても向かってくるとかいう化け物相手に、長期戦はキツイよなぁ……
なんとか戦わない方向で……、は、無理か。
うぅ~、また怖くなってきたぞ~。
嫌だよ~、そんな化け物となんか、戦いたくないよぉ~。
よせばいいのに、良からぬ妄想を頭の中で繰り広げ、俺の思考はどんどんとネガティブになっていく。
すると、隣に座るギンロが、何故だか俺をジッと見つめてきた。
「 ……時にモッモよ、お主も石化魔法を使えるのではなかったか?」
……へ? 何ですか??
ギンロの突然の問い掛けに、俺は口を変な形に開けて首を傾げる。
石化魔法を、使えるって?
誰が??
俺が???
……んなの無理に決まってるでしょうが!?
こちとら、魔力なんてこれっぽっちもない、無力も無力、何にもできないピグモル様ですよっ!??
だてに世界最弱名乗ってませんよこの野郎っ!!!
「覚えておらぬか? 以前、港町ジャネスコにて、プラト・ジャコールの討伐クエストを受けた際に、ルーリ・ビーという蜂に襲われたであろ?? あの時お主は、その腰にある枝切れを使って、石化の呪いを蜂どもにかけておったではないか」
……お? え?? あ???
ギンロの言葉に、俺は再度記憶を遡る。
そういえば……、ギンロの言う通り。
あの時俺は、迫り来る青い蜂の軍団に向かって、万呪の枝で、石化の呪いをかけてました。
何度も何度も、かけてましたね。
俺の場合は、元々魔力なんて皆無だし、石化は万呪の枝の力のおかげなので、魔力が底をついて石化出来なくなる、なんて事態には絶対に陥りません。
つまりは、永遠に相手を石化出来ちゃうわけですね、はい。
俺を見つめるギンロが、悪そうな顔でニヤリと笑う。
「モッモおまい……、石化魔法、出来んのかっ!?」
パッ! と、表情が明るくなるカービィ。
俺の腰には、いつもと同じように、万呪の枝がぶら下がっている。
もしかして……、いや、もしかしなくても、これを使えば……!?
「うん。魔法じゃないけど……、出来るかも!」
まさかまさかの、自分の可能性に気付いた俺は、悪戯にニヘラと笑ってみせるのであった。
【世界共和連合】
ヴェルドラ歴218年設立。
アンローク大陸における、およそ二百年に及んだ長きに渡る戦争が終結し、戦勝国となった第二ヴェルハーラ王国と、敗戦国であるオルドール軍主国の間に結ばれた和平条約がきっかけとなって設立された、世界規模の連合機関である。
現在の加盟国は三十六ヶ国。
その活動は、加盟国君主を召集した年に一度の世界会議の開催、世界平和の為の各国への連合軍派遣、条約及び法律の制定など、多岐に渡る。
【世界魔法連盟】
世界共和連合の内部機関の一つ。
主として、魔法使いが治める国家は、国内における国立、又は王立の、全ての魔導師ギルドの加盟が義務付けられている。
ヴェルドラ歴225年、世界魔法条約が制定され、様々な規定が設けられた。
世界共和連合における連合軍派遣の際には、この連盟に加盟している魔導師ギルドから人員が召集される。
☆☆☆
「禁呪魔法ってのは、その世界魔法連盟が決めた条約に違反する、いわば使っちゃいけねぇ魔法の事なんだ。それは全部で三段階に分かれてて、第三級禁呪魔法が、麻痺魔法、混乱魔法、睡眠魔法などの、状態異常魔法。第二級禁呪魔法が、相手の考えや記憶を見たり、または意思を操ったりする思想魔法。そして、第一級禁呪魔法が殺害魔法。その殺害魔法の一つに、石化魔法が含まれてる、ってわけだ」
……ほう、なるほどね~。
カービィの、とってもとっても長い説明に、俺は体も心も沈黙する。
世界共和連合?
世界魔法連盟??
何それ、美味しいの???
お腹が膨れて、ちょっぴり眠くなってきた頭には、カービィの話は難し過ぎた。
まさにチンプンカンプンである。
「しかしカービィよ、これまでの旅でお主は、それらを使っておったではないか?」
ギンロの言葉に、俺は記憶を遡る。
確かにカービィは、オーベリー村の近くの迷いの森で、バーバー族相手に睡眠魔法を使ったり、それこそ昼間は骸骨相手にだけど、記憶を見る為に思想魔法を使ってた。
それってつまり……、禁呪魔法を使ってたって事だよね?
いいの、それ??
「使ってたけど、まぁ……、連盟の奴等には見られてねぇから、結果オーライだ!」
マジかっ!?
じゃあ、見られてたらアウトだったのっ!??
なんちゅう奴だお前はぁっ!?!?
「禁呪魔法といえどもそれは平時の話。己が命の危機に際しては行使が認められているでござる。故に、闇雲に行使しなければ、お咎めはほぼほぼ無いに等しいでござるよ」
……カサチョさんや、そうは言うけどさ、カービィの場合、結構闇雲に使ってたと思いますけどね?
「ふむ……。ならば、何故使えぬ者が多いのだ? 仮にも白薔薇の騎士団は、王国一の魔導師ギルドなのであろ?? そこに属する者であれば、皆使えて当然のようにも思うが」
「いやいや、ギンロ。それはちょいと理想が高いな。禁呪魔法ってのは、いわば呪いだ。魔法自体の残虐性が強いから禁じられているものだ。けど、理由はそれだけじゃねぇ。それと並行して……、いや、それ以上に、行使した本人にも負荷が重いから禁じられてんだ。魔力の消耗は激しいし、そもそも行使するには並大抵の集中力じゃ失敗する。それに、行使する相手が魔法使いの場合は、反射魔法でそのまま自分に返ってくる可能性もある。つまりは諸刃の剣。行使における危険性も含めて、禁呪魔法とされてんだよ。だから、その魔法の会得自体が容易じゃねぇ。ギルドに所属して、クエストをこなして経験値貯めて、レベル80くらいの魔導師になれて初めて、禁呪魔法の会得が許可される。だから、騎士団の奴等が第一級禁呪魔法である石化魔法を使えなくたって、何にも不思議じゃねぇのさ」
ほほう、なるほどね~。
まぁ用は、危ないから、経歴がない人には使えませんよ~ってやつかな?
……てか今、サラッと、レベルとか言ってた??
この世界にもあったんだね、職業レベル。
「魔導師にも階級がある故、上級でなければ禁呪魔法の第一級は行使が認められぬでござるよ。世界魔法連盟の規定では、魔導師は五階級に分けられるでござる。レベル1~20の第五級魔導師、レベル21~40の第四級魔導師、この二つは俗に下級魔導師と呼ばれるでござる。レベル41~60の第三級魔導師、レベル61~80の第二級魔導師、この二つが中級魔導師に当たるでござる。騎士団の者達は皆、そのほとんどが第二級魔導師なのでござるよ。故に、禁呪魔法も第二級のものしか使えぬ。拙者とカビやん、そしてノリリア副隊長殿は、レベル81~100の第一級魔導師、つまり上級魔導師であるからして、第一級禁呪魔法の会得、及び行使が認められているのでござる」
ほほほう、なるほどね~。
あんまり知らなかった、というか、全く知らなかったけど、魔導師にはそれだけちゃんとした階級があったのか。
俺が知っている、前世のテレビゲームなんかでのレベルとは、ちょいと意味合いが違うみたいだけど。
「ちなみにおいらは、レベル93だっ!!!」
ドーン! と胸を張るカービィ。
ただ残念ながら……、レベルが高いのは分かるけど、それがどれくらい凄い事なのかは、いまいち理解できませんね、はい。
「では……、アルテニース殿の残した石化魔法という手段でホムンクルス共を確実に倒せるのは、カービィ、カサチョ殿、そしてノリリア殿の三人だけである、という事か?」
「そういう事だな。けどまぁ、ホムンクルスも一応生きてんだ。石化魔法が使えなくても、攻撃し続けてりゃそのうち動かなくなる。それに、おいらやカサチョだって、石化魔法を行使しまくるのは無謀だしな。そんな事すりゃ、すぐに魔力が底をついちまう。こうなりゃもう、長期戦を覚悟で戦うしかねぇな。まぁ……、ケンタウロスの奴らも加勢してくれるんだ、なんとかなる……。いや、なんとかするしかねぇ」
カービィはそう言って、フーンと鼻から息を吐いた。
その表情はいつになく真剣で、尚且つちょっぴり自信がなさげだ。
長期戦かぁ……
体がバラバラになっても、顔だけになっても向かってくるとかいう化け物相手に、長期戦はキツイよなぁ……
なんとか戦わない方向で……、は、無理か。
うぅ~、また怖くなってきたぞ~。
嫌だよ~、そんな化け物となんか、戦いたくないよぉ~。
よせばいいのに、良からぬ妄想を頭の中で繰り広げ、俺の思考はどんどんとネガティブになっていく。
すると、隣に座るギンロが、何故だか俺をジッと見つめてきた。
「 ……時にモッモよ、お主も石化魔法を使えるのではなかったか?」
……へ? 何ですか??
ギンロの突然の問い掛けに、俺は口を変な形に開けて首を傾げる。
石化魔法を、使えるって?
誰が??
俺が???
……んなの無理に決まってるでしょうが!?
こちとら、魔力なんてこれっぽっちもない、無力も無力、何にもできないピグモル様ですよっ!??
だてに世界最弱名乗ってませんよこの野郎っ!!!
「覚えておらぬか? 以前、港町ジャネスコにて、プラト・ジャコールの討伐クエストを受けた際に、ルーリ・ビーという蜂に襲われたであろ?? あの時お主は、その腰にある枝切れを使って、石化の呪いを蜂どもにかけておったではないか」
……お? え?? あ???
ギンロの言葉に、俺は再度記憶を遡る。
そういえば……、ギンロの言う通り。
あの時俺は、迫り来る青い蜂の軍団に向かって、万呪の枝で、石化の呪いをかけてました。
何度も何度も、かけてましたね。
俺の場合は、元々魔力なんて皆無だし、石化は万呪の枝の力のおかげなので、魔力が底をついて石化出来なくなる、なんて事態には絶対に陥りません。
つまりは、永遠に相手を石化出来ちゃうわけですね、はい。
俺を見つめるギンロが、悪そうな顔でニヤリと笑う。
「モッモおまい……、石化魔法、出来んのかっ!?」
パッ! と、表情が明るくなるカービィ。
俺の腰には、いつもと同じように、万呪の枝がぶら下がっている。
もしかして……、いや、もしかしなくても、これを使えば……!?
「うん。魔法じゃないけど……、出来るかも!」
まさかまさかの、自分の可能性に気付いた俺は、悪戯にニヘラと笑ってみせるのであった。
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