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★ピタラス諸島第二、コトコ島編★
338:フェンリルは世界最強
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「ふいぃ~……。な~んか、大変な一日だったなぁ~……」
寝室のふかふかベッドに横になって、俺は大きく息を吐いた。
体の大きな種族でも使えるようにと、ベッドは馬鹿みたいにでかい。
ピグモルならば、十匹寝たって余裕だろう。
それを今夜は一人で使えるのだ。
極楽極楽~♪
ベッドの上をゴロゴロと転がりながら、俺はハタと思い出し、動きを止めた。
先ほどのノリリアの言葉と、これからの事……
いったい全体、俺の旅はどうなってしまうのだろうか?
「これからの事は、フーガのギルド本部に指示を仰ぐポね。残り三つの島に、四人を同行させていいものかどうか……。うぅ~、まだ団長にカービィちゃんの事を報告してなかったポから、どんなに怒られるかと思うとぉ~……、くぅうぅぅ~……」
ノリリアはそう言って、らしくない身震いをした。
しっかり者で真面目なノリリアが、ここまで俺たちが同行していた事を、まだギルド本部に通達していなかったなんて……
ていうかさ、カービィはいったい何をしたのさ?
その言い方だと、絶対にカービィがネックだよね??
カービィが昔何かをやらかしたせいで、団長に言えてないって事だよね???
俺は、チラリと横目でカービィを睨んだ。
当のカービィはというと、いつものようにヘラヘラとしながら、「大変だなぁ~」なんて言っていた。
「ふぅ……。とにかく! 明日は鬼族の村の復興のお手伝いをするポよ。明後日の昼にはここを発ちたいポから、迅速に行動するポ!! だから今夜はもう寝るポよ~」
なんとか気を持ち直したらしいノリリアの言葉を最後に、その場はお開きとなったのであった。
もし、ノリリアが俺たちの事をギルド本部に連絡して、団長さんが「カービィが同行しているなど、けしからんっ!!!」なんて事になったら……
今後俺たちは、どうやってここから先に進めばいいのだろうか?
俺たちが目指しているのは、遥か南に位置する大陸、その名もパーラ・ドット大陸。
光の精霊である光王レイアが治めるという、精霊国バハントムが存在するはずの大陸なのだ。
そこへ行く為には、このピタラス諸島を船で経由する他に方法がない。
だけどもし、白薔薇の騎士団の団長が、俺たちの同行を認めずに、船を下ろされでもしたら……?
その先はいったい、どうすればいいんだろう??
……そして、仮に同行が許されたとしても、この先にある島々へ行くことが、果たして正解なのだろうか?
先ほどのカービィの話だと、どうやら俺は悪魔に命を狙われているようだ。
残り三つの島にも、悪魔が残っている可能性は高いらしいし……
そうなると、俺のこの小さな命の火が消える日は、かな~り近いのでは?
それだけは勘弁願いたい。
「はぁあぁぁ~……」
眠気はどこへいったのやら。
なんだか心が不安だらけになってしまった俺は、完全に眠れなくなっていた。
「……うん。外の空気を吸いに行こう」
俺はベッドから降りて、部屋から出る。
ついでにギンロの様子も見ておこうと、開かれたままのギンロの部屋の扉の前まで行くと……
「あ……、二人とも、起きてたの?」
部屋の中には、グレコとカービィがいた。
「おぉ、モッモ。なんだ? 眠れねぇのか??」
そう言ったカービィは、ベッドの上のギンロの枕元に座り、白い光を放つ手の平を、ギンロの額へと当てている。
おそらく、治癒魔法をかけているのだろう。
「珍しいわね。いつもなら、どこでだってグ~スカ眠れるのに……。良いベッドだと逆に眠れない?」
真顔で失礼な事を言うグレコは、何かの書物を片手に椅子に腰かけている。
「なんか……、いろいろ考えちゃって……」
不安げな声を出し、テクテクと部屋の中へ入る俺。
「はっはっ! いっきにいろいろ聞き過ぎて、小さな頭に入りきらなかったんだろう!?」
……はぁんっ!? 小さな頭って、あんたもそう変わらないサイズでしょうがっ!??
ヘラヘラと笑うカービィを、俺はキッ! と睨みつける。
「まぁ……、あんな事を聞かされちゃねぇ……。まさか、五百年前にこのピタラス諸島が生まれた原因が、魔界とこの世界とを繋ぐ大穴を埋める為だったなんて……。全く想像だにしていなかったものね」
……あ、その辺はあんまり気にしてなかったわ。
なんていうの? 過ぎた事はあまり気にしない質なのよ、俺はね。
「その事実が、これまで伝えられてこなかったって~のも、大問題だろうな。当時のギルドと国王が、何らかの意図があって揉み消したんだろうが……。こりゃ~、今回のプロジェクトでいろいろわかったら、フーガの学会も政会も荒れるぞぉ~?」
「……そう言うわりには、楽しそうな顔しているね?」
「ん? あぁ、まぁ、おいらには関係ねぇ話だしな。それに、学会も政会も、おいら嫌いなんだ。面倒臭いんだよ、あいつらみんな。荒れに荒れて、揉めに揉めればいい」
キヒヒヒヒヒ! と、悪~い顔で笑うカービィ。
「悪趣味ねぇ……。ノリリアの事も考えてあげなさいよ? あんなにビクビクして……」
「その事なんだけどさ……。もし本当に、船を降りなくちゃならなくなったらどうする?」
「あ? なんでだ??」
「だってほら……。もし、ギルド本部が駄目だって判断したらさ、僕たちはノリリア達に同行できないわけでしょ?」
「それもそうね……。ん~……、それは考えてなかったわ」
……それを考えようよグレコさん、何の本読んでるのか知らないけどさ。
「そうなったら……。同行しなきゃいい話なんじゃねぇのか?」
「えっ!?」
「……じゃあ、どうするって言うのよ? 私たちは、精霊国バハントムに行くために、パーラ・ドット大陸まで辿り着かなきゃならないのよ?? 船を下ろされれば、そこまで行く方法がないじゃない???」
「いや、船は降りねぇよ?」
「えぇっ!??」
「何言って……、何考えているのよカービィ?」
「例えばだけど……。船の貨物室に勝手に侵入者がいたとして、そいつらを航海の途中で海に放り投げるような、そんな頭ぶっ飛んだ奴はそうそういねぇだろ? 勝手に船に乗っちまえばこっちのもんさ!」
どうだっ!? と、かなりのドヤ顔でカービィはそう言うが……
「あなたって人は本当に……、どこまで馬鹿なの?」
俺が言いたい事を、グレコが溜め息交じりに言ってくれた。
お前の頭がぶっ飛んでるだろ、カービィこの野郎めっ!
不法乗船なんて犯罪だぞ、カービィこの野郎めぇっ!!
「まぁまぁ、そういう事も出来るぞって話だよ。ていうか、それこそ別に、あいつらのプロジェクトに同行しなければ、船に乗れる可能性は無きにしも非ずだ。あいつだって、こんな諸島のど真ん中に、船も移動手段も持っていない連中を置き去りにしろとは言わねぇよ」
「あいつって、白薔薇の騎士団の団長さんの事? ……あ、ていうか、カービィその人と知り合いなのよね?? あなたが直々にお願いすればいいじゃないの???」
「それは不可能だよグレコさん。おいら、次にあいつの前に現れたら、死ぬより辛い呪いをかけてやるって脅されてんだ。お願いなんて……、絶対に無理だ」
ぶるぶると身震いするカービィ。
ほんと、いったい何をしたのさ?
次に会ったら呪われるなんて……、呆れてものも言えないよ。
「もし船に乗れなければ、我が三人を背に乗せて、大陸まで泳いでやろうぞ」
そんな馬鹿な提案をしたのは勿論……
「ギンロ!? 目が覚めたかっ!??」
「大丈夫ギンロ!? 私がわかるっ!??」
「ギンロォオォォ!!!」
一斉に、ギンロの顔を覗き込む俺達。
「あぁ、大事ない……。少しばかり、腹が減ったな」
そう言って笑うギンロに対し、俺たちはホッと胸を撫で下ろした。
「待ってて、下から何か食事を貰ってくるから!」
グレコはそう言って、駆け足で部屋を出て行った。
「良かった。意識が戻らなかったらどうしようかと……。いや、ほんと良かったよ」
心底安心した様子のカービィは、そっとギンロの額から手を離し、そのままゴロンとベッドに横になった。
そして、スッと目を閉じたかと思うと、なんとそのまま眠ってしまった。
「カービィには世話になった。いつか恩返しをせねばな」
頭の上で眠るカービィに視線を向けて、ギンロはそう言った。
……と、ここで俺は、何故だか目に涙が溜まってきて、ポロポロと零してしまう。
「う……、うぅ……。良かった、ギンロ……。助かって、本当に、良かったぁあぁぁ~」
だばぁ~! と大粒の涙を流しながら、ギンロの体に顔をうずめる俺。
そんな俺の小さな頭を、ギンロの大きな手が、優しく撫でてくれた。
「ふはは、これしきで殺られる我ではないぞ。フェンリルは世界最強。そしてそのフェンリルの中でも我は、最強となる男なのだからな」
うん、うんうん!
中二病満開だけど、今は許すよ!!
本当に、ギンロが助かって良かったよぉおぉぉっ!!!
寝室のふかふかベッドに横になって、俺は大きく息を吐いた。
体の大きな種族でも使えるようにと、ベッドは馬鹿みたいにでかい。
ピグモルならば、十匹寝たって余裕だろう。
それを今夜は一人で使えるのだ。
極楽極楽~♪
ベッドの上をゴロゴロと転がりながら、俺はハタと思い出し、動きを止めた。
先ほどのノリリアの言葉と、これからの事……
いったい全体、俺の旅はどうなってしまうのだろうか?
「これからの事は、フーガのギルド本部に指示を仰ぐポね。残り三つの島に、四人を同行させていいものかどうか……。うぅ~、まだ団長にカービィちゃんの事を報告してなかったポから、どんなに怒られるかと思うとぉ~……、くぅうぅぅ~……」
ノリリアはそう言って、らしくない身震いをした。
しっかり者で真面目なノリリアが、ここまで俺たちが同行していた事を、まだギルド本部に通達していなかったなんて……
ていうかさ、カービィはいったい何をしたのさ?
その言い方だと、絶対にカービィがネックだよね??
カービィが昔何かをやらかしたせいで、団長に言えてないって事だよね???
俺は、チラリと横目でカービィを睨んだ。
当のカービィはというと、いつものようにヘラヘラとしながら、「大変だなぁ~」なんて言っていた。
「ふぅ……。とにかく! 明日は鬼族の村の復興のお手伝いをするポよ。明後日の昼にはここを発ちたいポから、迅速に行動するポ!! だから今夜はもう寝るポよ~」
なんとか気を持ち直したらしいノリリアの言葉を最後に、その場はお開きとなったのであった。
もし、ノリリアが俺たちの事をギルド本部に連絡して、団長さんが「カービィが同行しているなど、けしからんっ!!!」なんて事になったら……
今後俺たちは、どうやってここから先に進めばいいのだろうか?
俺たちが目指しているのは、遥か南に位置する大陸、その名もパーラ・ドット大陸。
光の精霊である光王レイアが治めるという、精霊国バハントムが存在するはずの大陸なのだ。
そこへ行く為には、このピタラス諸島を船で経由する他に方法がない。
だけどもし、白薔薇の騎士団の団長が、俺たちの同行を認めずに、船を下ろされでもしたら……?
その先はいったい、どうすればいいんだろう??
……そして、仮に同行が許されたとしても、この先にある島々へ行くことが、果たして正解なのだろうか?
先ほどのカービィの話だと、どうやら俺は悪魔に命を狙われているようだ。
残り三つの島にも、悪魔が残っている可能性は高いらしいし……
そうなると、俺のこの小さな命の火が消える日は、かな~り近いのでは?
それだけは勘弁願いたい。
「はぁあぁぁ~……」
眠気はどこへいったのやら。
なんだか心が不安だらけになってしまった俺は、完全に眠れなくなっていた。
「……うん。外の空気を吸いに行こう」
俺はベッドから降りて、部屋から出る。
ついでにギンロの様子も見ておこうと、開かれたままのギンロの部屋の扉の前まで行くと……
「あ……、二人とも、起きてたの?」
部屋の中には、グレコとカービィがいた。
「おぉ、モッモ。なんだ? 眠れねぇのか??」
そう言ったカービィは、ベッドの上のギンロの枕元に座り、白い光を放つ手の平を、ギンロの額へと当てている。
おそらく、治癒魔法をかけているのだろう。
「珍しいわね。いつもなら、どこでだってグ~スカ眠れるのに……。良いベッドだと逆に眠れない?」
真顔で失礼な事を言うグレコは、何かの書物を片手に椅子に腰かけている。
「なんか……、いろいろ考えちゃって……」
不安げな声を出し、テクテクと部屋の中へ入る俺。
「はっはっ! いっきにいろいろ聞き過ぎて、小さな頭に入りきらなかったんだろう!?」
……はぁんっ!? 小さな頭って、あんたもそう変わらないサイズでしょうがっ!??
ヘラヘラと笑うカービィを、俺はキッ! と睨みつける。
「まぁ……、あんな事を聞かされちゃねぇ……。まさか、五百年前にこのピタラス諸島が生まれた原因が、魔界とこの世界とを繋ぐ大穴を埋める為だったなんて……。全く想像だにしていなかったものね」
……あ、その辺はあんまり気にしてなかったわ。
なんていうの? 過ぎた事はあまり気にしない質なのよ、俺はね。
「その事実が、これまで伝えられてこなかったって~のも、大問題だろうな。当時のギルドと国王が、何らかの意図があって揉み消したんだろうが……。こりゃ~、今回のプロジェクトでいろいろわかったら、フーガの学会も政会も荒れるぞぉ~?」
「……そう言うわりには、楽しそうな顔しているね?」
「ん? あぁ、まぁ、おいらには関係ねぇ話だしな。それに、学会も政会も、おいら嫌いなんだ。面倒臭いんだよ、あいつらみんな。荒れに荒れて、揉めに揉めればいい」
キヒヒヒヒヒ! と、悪~い顔で笑うカービィ。
「悪趣味ねぇ……。ノリリアの事も考えてあげなさいよ? あんなにビクビクして……」
「その事なんだけどさ……。もし本当に、船を降りなくちゃならなくなったらどうする?」
「あ? なんでだ??」
「だってほら……。もし、ギルド本部が駄目だって判断したらさ、僕たちはノリリア達に同行できないわけでしょ?」
「それもそうね……。ん~……、それは考えてなかったわ」
……それを考えようよグレコさん、何の本読んでるのか知らないけどさ。
「そうなったら……。同行しなきゃいい話なんじゃねぇのか?」
「えっ!?」
「……じゃあ、どうするって言うのよ? 私たちは、精霊国バハントムに行くために、パーラ・ドット大陸まで辿り着かなきゃならないのよ?? 船を下ろされれば、そこまで行く方法がないじゃない???」
「いや、船は降りねぇよ?」
「えぇっ!??」
「何言って……、何考えているのよカービィ?」
「例えばだけど……。船の貨物室に勝手に侵入者がいたとして、そいつらを航海の途中で海に放り投げるような、そんな頭ぶっ飛んだ奴はそうそういねぇだろ? 勝手に船に乗っちまえばこっちのもんさ!」
どうだっ!? と、かなりのドヤ顔でカービィはそう言うが……
「あなたって人は本当に……、どこまで馬鹿なの?」
俺が言いたい事を、グレコが溜め息交じりに言ってくれた。
お前の頭がぶっ飛んでるだろ、カービィこの野郎めっ!
不法乗船なんて犯罪だぞ、カービィこの野郎めぇっ!!
「まぁまぁ、そういう事も出来るぞって話だよ。ていうか、それこそ別に、あいつらのプロジェクトに同行しなければ、船に乗れる可能性は無きにしも非ずだ。あいつだって、こんな諸島のど真ん中に、船も移動手段も持っていない連中を置き去りにしろとは言わねぇよ」
「あいつって、白薔薇の騎士団の団長さんの事? ……あ、ていうか、カービィその人と知り合いなのよね?? あなたが直々にお願いすればいいじゃないの???」
「それは不可能だよグレコさん。おいら、次にあいつの前に現れたら、死ぬより辛い呪いをかけてやるって脅されてんだ。お願いなんて……、絶対に無理だ」
ぶるぶると身震いするカービィ。
ほんと、いったい何をしたのさ?
次に会ったら呪われるなんて……、呆れてものも言えないよ。
「もし船に乗れなければ、我が三人を背に乗せて、大陸まで泳いでやろうぞ」
そんな馬鹿な提案をしたのは勿論……
「ギンロ!? 目が覚めたかっ!??」
「大丈夫ギンロ!? 私がわかるっ!??」
「ギンロォオォォ!!!」
一斉に、ギンロの顔を覗き込む俺達。
「あぁ、大事ない……。少しばかり、腹が減ったな」
そう言って笑うギンロに対し、俺たちはホッと胸を撫で下ろした。
「待ってて、下から何か食事を貰ってくるから!」
グレコはそう言って、駆け足で部屋を出て行った。
「良かった。意識が戻らなかったらどうしようかと……。いや、ほんと良かったよ」
心底安心した様子のカービィは、そっとギンロの額から手を離し、そのままゴロンとベッドに横になった。
そして、スッと目を閉じたかと思うと、なんとそのまま眠ってしまった。
「カービィには世話になった。いつか恩返しをせねばな」
頭の上で眠るカービィに視線を向けて、ギンロはそう言った。
……と、ここで俺は、何故だか目に涙が溜まってきて、ポロポロと零してしまう。
「う……、うぅ……。良かった、ギンロ……。助かって、本当に、良かったぁあぁぁ~」
だばぁ~! と大粒の涙を流しながら、ギンロの体に顔をうずめる俺。
そんな俺の小さな頭を、ギンロの大きな手が、優しく撫でてくれた。
「ふはは、これしきで殺られる我ではないぞ。フェンリルは世界最強。そしてそのフェンリルの中でも我は、最強となる男なのだからな」
うん、うんうん!
中二病満開だけど、今は許すよ!!
本当に、ギンロが助かって良かったよぉおぉぉっ!!!
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