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★ピタラス諸島第二、コトコ島編★
328:ハンニとの決着
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「切断」
ザッ……、ブシュゥッ!!!
「ぎゃあぁあぁぁっ!?!?」
杖の先をハンニに向けて、カービィが静かに呪文を唱える。
すると、ハンニのお尻から生えている、先端が鎌状の三本の尻尾は、根元からボトッと地面に落ちた。
まるで何か鋭利な刃物で切り離されたかのような……、生々しい切断部。
断末魔の叫び声を上げるハンニと、繋がる先を失ったトカゲのそれのように、ひとりでに地面をウネウネとのたうち回る三本の尻尾。
黒くてドロドロとしたハンニの血が、あちこちに飛び散る。
イッツア、ベリーベリー、グロテスク……
おぇええぇぇ~……
あまりの光景に俺は、心の中でゲロを吐く。
『帰るぞチルチル!!!』
『長居は無用じゃチルチル』
ハンニの尻尾が攻撃出来なくなった事を確認して、水色の親父ノームと黄色のお爺さんノームは、体から発していた光を消して、静かに地面に降り立った。
そして、未だ穴の中にいるチルチルの元へと走って行く。
『でっ!? でもまだ決着がっ!??』
俺の事を心配してか、チルチルは帰ることを拒否するも……
『危ねぇんだよここは! あんなチンケな鼠の為に死ぬ気か馬鹿野郎っ!?』
『問答無用じゃ。すぐさま退避!』
親父ノームとお爺さんノームに、両脇をヒョイと抱えられて……
『待っ!? もっ、モッモ様ぁっ!?? ちょっ、あぁ~!!??』
なんとも言えない間抜けな叫び声を上げたチルチルは、親父ノームとお爺さんノーム共々、その場からパッと消えてしまった。
……いったい、何だったんだろうか?
いきなり現れて、助けてくれて、チンケな鼠とか言っ……、チンケだとっ!? なんて失礼な奴だっ!??
親父ノームの言葉を思い出し、イラッとするも、手に掴んだままのそれを思い出して、俺は青褪める。
ドクドクと脈打ちながら、黒い血を流し続けるハンニの心臓が、まだ俺の手の中にありました。
ひぃいっ!? イッツア、ベリーベリー!!
ベリーベリーベリーベリー!!!
グロテッスクゥウッ!!!!
しかもなんか臭ぇえええぇぇぇぇっ!!!!!
「おのれぇ……。たかだか数十年生きただけの下等種族がぁ~……、グララァアッ!!!」
体を縛られ身動きが取れず、尻尾まで失くしたハンニは、必死の形相で身をよじり、天に向かって闇雲に口から大量の黒い炎を噴き出す。
それはやがて重力に負けて、四方八方へと散らばり、俺やカービィ、倒れたままのギンロや、マグマの泉の向こう側にいるグレコや砂里の頭上にまで降り注いだ。
「うわわわわっ!?」
「ちっ!? くそっ……!??」
「キャアッ!? 砂里、大丈夫っ!??」
「大丈夫! 大丈夫ですっ!!」
俺は、先ほどと同じように、桃子がくれた弾呪のお札のおかげで、それを浴びずに済んだ。
カービィは、ハンニをムチで縛る事を諦めて、自分で作ったギンロを囲っている守護魔法の元まで走り、黒い炎を避ける。
グレコも、俺と同じように弾呪のお札を持っている為に、それを受けずに済んだようだ。
砂里はというと、さすが鬼族と言うべきか、自分の身体能力のみで、無数に降り注ぐ黒い炎を見事に避けたのだった。
「小僧っ! その心臓を寄越せっ!!」
口から大量の黒い血反吐を吐きながらも怒声を上げ、ゆっくりと俺に向かって歩き出すハンニ。
しかし、出血多量の為か、その足取りはもうフラフラだ。
視線も、右へ左へと眼球が揺れていて、全く定まっていない。
最初見た時は、なんて恐ろしい奴なんだと思ったけれど……
こんなに弱っているのなら、もう怖くないぞっ!
「早く寄越せぇえぇっ!!!」
吠えるハンニ。
「ひぃっ!? そっ、それ以上、ち……、ちかっ、近付いたらぁっ!!? このっ、このこのしっ、心臓をっ!!! 火の中っ、にっ、落とすぞぉっ!?!?」
……やっぱり、怖くて声が震える俺。
「出来るものならやってみやがれ腰抜けめぇえっ!!!」
ひぃいっ!? 怖いぃっ!!?
「モッモ! さっさとしろぉっ!!」
ひぃいいっ!? カービィも怖いぃいっ!!?
「うっ、くっ、えぇ~いっ!!!」
俺は、あらん限りの力を込めて、マグマの泉へとハンニの心臓を思いっきり投げた。
それを待っていたかのように、ハンニはにやりと笑って、背にある翼を広げ、宙に浮いた己の心臓を取り返そうと羽ばたく。
しかし……
シュンッ……、トスッ!
「ぐっ……、がっ……!?」
地面を飛び立つ寸前のハンニの額、三本の角が並ぶその丁度真ん中に、魔法で生成された、黄緑色の光をまとった黒い荊の矢が突き刺さる。
ハンニは白目を向いて、ドサッ! と地面に倒れ落ちた。
それと同時に、ハンニの心臓はポチャ~ンという小気味好い音を立ててマグマの泉に落ち、グラグラと炎に湯がかれた挙句、黒い煙を上げて蒸発してしまった。
「ナ~イスッ! グレコさ~んっ!!」
マグマの泉の向こう側にいるグレコに向かって、カービィがグーサインを出す。
魔法弓を構えて矢を放ったままの格好で、グレコはニッコリと笑った。
お……、終わった?
「う……、ぐぐっ……。おのれ、コトコ……」
地面に落ちたハンニが、体をピクピクと痙攣させながら、ゆっくりと体を起こす。
ひょえぇえぇぇ!?
終わってなかったぁあっ!??
頭に矢が刺さっても、心臓が燃えてなくなっても、まだ生きてるのこいつぅうっ!???
しかし、もはや攻撃を仕掛けてくる事はなさそうだ。
身体中から黒い煙を上げて、ハンニの体は灰のように白くなり、ボロボロと徐々に崩れていく。
それでもハンニは、不気味な笑みを浮かべて……
「きひひひひ……、馬鹿な女め。我が身が消滅しようとも、放たれし者共は止まらぬ。紫族は滅びる。そして、全てが無に還ろうとも、なお呪いは続き、この島はいずれ死の島と化す……。お前も気付いているのだろう? 雨を奪いし者が、本当は誰なのか。きひひひひひひ……。その優しさの為に、どれほどの命が犠牲になるのか、しかとその目で見届けるがいい。きひひ、きひひひひ……、ギャハハッ! ギャ~ハッハッハッハッ!! ギャ~ハッハッハッハッハッハッ!!!」
狂ったように笑いながら、ハンニの体は崩れ落ちていき、後に残ったのは白い灰の山だけだった。
ザッ……、ブシュゥッ!!!
「ぎゃあぁあぁぁっ!?!?」
杖の先をハンニに向けて、カービィが静かに呪文を唱える。
すると、ハンニのお尻から生えている、先端が鎌状の三本の尻尾は、根元からボトッと地面に落ちた。
まるで何か鋭利な刃物で切り離されたかのような……、生々しい切断部。
断末魔の叫び声を上げるハンニと、繋がる先を失ったトカゲのそれのように、ひとりでに地面をウネウネとのたうち回る三本の尻尾。
黒くてドロドロとしたハンニの血が、あちこちに飛び散る。
イッツア、ベリーベリー、グロテスク……
おぇええぇぇ~……
あまりの光景に俺は、心の中でゲロを吐く。
『帰るぞチルチル!!!』
『長居は無用じゃチルチル』
ハンニの尻尾が攻撃出来なくなった事を確認して、水色の親父ノームと黄色のお爺さんノームは、体から発していた光を消して、静かに地面に降り立った。
そして、未だ穴の中にいるチルチルの元へと走って行く。
『でっ!? でもまだ決着がっ!??』
俺の事を心配してか、チルチルは帰ることを拒否するも……
『危ねぇんだよここは! あんなチンケな鼠の為に死ぬ気か馬鹿野郎っ!?』
『問答無用じゃ。すぐさま退避!』
親父ノームとお爺さんノームに、両脇をヒョイと抱えられて……
『待っ!? もっ、モッモ様ぁっ!?? ちょっ、あぁ~!!??』
なんとも言えない間抜けな叫び声を上げたチルチルは、親父ノームとお爺さんノーム共々、その場からパッと消えてしまった。
……いったい、何だったんだろうか?
いきなり現れて、助けてくれて、チンケな鼠とか言っ……、チンケだとっ!? なんて失礼な奴だっ!??
親父ノームの言葉を思い出し、イラッとするも、手に掴んだままのそれを思い出して、俺は青褪める。
ドクドクと脈打ちながら、黒い血を流し続けるハンニの心臓が、まだ俺の手の中にありました。
ひぃいっ!? イッツア、ベリーベリー!!
ベリーベリーベリーベリー!!!
グロテッスクゥウッ!!!!
しかもなんか臭ぇえええぇぇぇぇっ!!!!!
「おのれぇ……。たかだか数十年生きただけの下等種族がぁ~……、グララァアッ!!!」
体を縛られ身動きが取れず、尻尾まで失くしたハンニは、必死の形相で身をよじり、天に向かって闇雲に口から大量の黒い炎を噴き出す。
それはやがて重力に負けて、四方八方へと散らばり、俺やカービィ、倒れたままのギンロや、マグマの泉の向こう側にいるグレコや砂里の頭上にまで降り注いだ。
「うわわわわっ!?」
「ちっ!? くそっ……!??」
「キャアッ!? 砂里、大丈夫っ!??」
「大丈夫! 大丈夫ですっ!!」
俺は、先ほどと同じように、桃子がくれた弾呪のお札のおかげで、それを浴びずに済んだ。
カービィは、ハンニをムチで縛る事を諦めて、自分で作ったギンロを囲っている守護魔法の元まで走り、黒い炎を避ける。
グレコも、俺と同じように弾呪のお札を持っている為に、それを受けずに済んだようだ。
砂里はというと、さすが鬼族と言うべきか、自分の身体能力のみで、無数に降り注ぐ黒い炎を見事に避けたのだった。
「小僧っ! その心臓を寄越せっ!!」
口から大量の黒い血反吐を吐きながらも怒声を上げ、ゆっくりと俺に向かって歩き出すハンニ。
しかし、出血多量の為か、その足取りはもうフラフラだ。
視線も、右へ左へと眼球が揺れていて、全く定まっていない。
最初見た時は、なんて恐ろしい奴なんだと思ったけれど……
こんなに弱っているのなら、もう怖くないぞっ!
「早く寄越せぇえぇっ!!!」
吠えるハンニ。
「ひぃっ!? そっ、それ以上、ち……、ちかっ、近付いたらぁっ!!? このっ、このこのしっ、心臓をっ!!! 火の中っ、にっ、落とすぞぉっ!?!?」
……やっぱり、怖くて声が震える俺。
「出来るものならやってみやがれ腰抜けめぇえっ!!!」
ひぃいっ!? 怖いぃっ!!?
「モッモ! さっさとしろぉっ!!」
ひぃいいっ!? カービィも怖いぃいっ!!?
「うっ、くっ、えぇ~いっ!!!」
俺は、あらん限りの力を込めて、マグマの泉へとハンニの心臓を思いっきり投げた。
それを待っていたかのように、ハンニはにやりと笑って、背にある翼を広げ、宙に浮いた己の心臓を取り返そうと羽ばたく。
しかし……
シュンッ……、トスッ!
「ぐっ……、がっ……!?」
地面を飛び立つ寸前のハンニの額、三本の角が並ぶその丁度真ん中に、魔法で生成された、黄緑色の光をまとった黒い荊の矢が突き刺さる。
ハンニは白目を向いて、ドサッ! と地面に倒れ落ちた。
それと同時に、ハンニの心臓はポチャ~ンという小気味好い音を立ててマグマの泉に落ち、グラグラと炎に湯がかれた挙句、黒い煙を上げて蒸発してしまった。
「ナ~イスッ! グレコさ~んっ!!」
マグマの泉の向こう側にいるグレコに向かって、カービィがグーサインを出す。
魔法弓を構えて矢を放ったままの格好で、グレコはニッコリと笑った。
お……、終わった?
「う……、ぐぐっ……。おのれ、コトコ……」
地面に落ちたハンニが、体をピクピクと痙攣させながら、ゆっくりと体を起こす。
ひょえぇえぇぇ!?
終わってなかったぁあっ!??
頭に矢が刺さっても、心臓が燃えてなくなっても、まだ生きてるのこいつぅうっ!???
しかし、もはや攻撃を仕掛けてくる事はなさそうだ。
身体中から黒い煙を上げて、ハンニの体は灰のように白くなり、ボロボロと徐々に崩れていく。
それでもハンニは、不気味な笑みを浮かべて……
「きひひひひ……、馬鹿な女め。我が身が消滅しようとも、放たれし者共は止まらぬ。紫族は滅びる。そして、全てが無に還ろうとも、なお呪いは続き、この島はいずれ死の島と化す……。お前も気付いているのだろう? 雨を奪いし者が、本当は誰なのか。きひひひひひひ……。その優しさの為に、どれほどの命が犠牲になるのか、しかとその目で見届けるがいい。きひひ、きひひひひ……、ギャハハッ! ギャ~ハッハッハッハッ!! ギャ~ハッハッハッハッハッハッ!!!」
狂ったように笑いながら、ハンニの体は崩れ落ちていき、後に残ったのは白い灰の山だけだった。
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