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★ピタラス諸島第二、コトコ島編★
325:弾呪
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「グルルラァアッ!!!」
唸り声を上げながら走るハンニの、口から吐き出す黒い炎の塊が、真っ直ぐに俺の方へと飛んできて……
「ぎゃああぁぁっ!!?」
それを避け切る事が出来ず、俺は黒い炎を頭から被ってしまう。
まるでそれはスローモーションのように、ドロドロとした黒い炎が視界いっぱいに広がって……
あまりの恐怖に俺は、ギュッと目を瞑り、体に激痛が走ることを覚悟する。
いやぁあぁぁっ!?
しっ、しっ、しっ、死ん、死んで……、あれ??
「ないっ!??」
バッと目を開いた俺は、完全なる無傷である。
あれっ!?
なんでっ!??
どうしてっ!?!?
「なんだっ!? どうなってんだ!?」
俺を守ろうとしたのかなんなのか、いつの間にか俺の右半身に抱き付いていたカービィが叫ぶ。
「えっ!? なっ!?? 何これっ!???」
俺とカービィの周りには、二人の体をすっぽりと包むように、丸い水色の光のバリアのようなものが張られているではないか。
どうやらそのバリアが、ハンニの黒い炎から俺たちを守ってくれたらしい。
カービィが驚いている以上、それはカービィの魔法ではなさそうだ。
でも、じゃあ……、これはいったい何っ!?
「伏せろぉっ!!!」
「はっ!?」
「ぎゃっ!?」
背後からギンロの声が聞こえた。
すぐさま伏せるカービィと、カービィに引っ張られて後ろにずっこける俺。
すると俺の真上を、人型に戻ったギンロが大きくジャンプして飛び越えて行き……
ガッキィーーーン!
ガキンッ!! ガキンッ!! ガキンッ!!
ガッキィイィーーーーン!!!
金属と金属が激しくぶつかり合う音が、間近で聞こえ始めた。
なんだぁっ!? 今度は何なんだぁあっ!??
なんとか頭を起こして前方を見ると、すぐそこまで迫っていた悪魔ハンニが、お尻から伸びる先端が鎌状の尻尾を、俺たち目掛けてめちゃくちゃに振り回しているのだ。
ひぃいぃっ!? あんなのの餌食になった日にゃもう……
ピグモルのスライス生ハムの出来上がりだぁあっ!??
馬鹿なことを考えながら、青褪める俺。
ギンロは、その刃が俺とカービィ、更には後方にいるグレコと砂里に向かわないようにと、お得意の剣術で防いでいる。
しかし、ハンニのあまりの猛攻に、防御するだけで精一杯で、反撃など出来そうもない。
このまま奴の攻撃を受け流し続けていても、ギンロの体力、集中力が途切れてしまえば、一貫の終わりだ。
「お!? これのせいかっ!??」
俺が、ギンロとハンニの攻防に気を取られている最中、カービィは俺の服をゴソゴソと漁って、何処からか何かを取り出した。
「あっ!? 何してんのさっ!?? エッチ!!! ……あ、それは確か、桃子から貰ったお札だ!!!」
カービィの手には、初めて俺が桃子の……、姫巫女様のお住まいにお邪魔した時、帰り際に渡されたあのお札が握られている。
お札には《弾呪》という文字が書かれているのだが、不思議なことに、そのお札の文字が水色に光り輝いているのだ。
「これがさっき、ハンニの攻撃からおいらとモッモを守ったんだ! たぶん、あの石碑に施されている守護結界も、これと同じ類のものだと思う!!」
なるほど、それでハンニが攻撃しても、あの石碑はビクともしなかったわけだな。
それにしても、よくもまぁこんな紙切れ一枚で助かったもんだ……
あの時捨てずに取っておいて良かったぁ~。
「カービィ! 早くなんとかしないと、ギンロがっ!!」
グレコの言葉に、ハッとして視線をギンロへと戻すと、少しずつだが、踏ん張るギンロの足が此方へと下がってきているのだ。
止まないハンニの攻撃は、その一つ一つがとてつもなく重くて、さすがのギンロも苦しそうだ。
「よし、一か八かだが、やるしかねぇっ! モッモ、耳貸せっ!!」
「耳っ!? おほぉうっ!?? こそばいっ!!! ……え? うん、うん。なるほど……、えっ!??」
俺の耳元でコソコソと、小声で作戦を伝えるカービィ。
「でも、もし無かったらどうするのさ!?」
「いや! 必ずあるっ!!」
不安がる俺に対し、カービィはそう断言した。
しかし、カービィの作戦は、本当に一か八かの賭けだ。
もしあそこに、それが無ければ……
「第二案はっ!?」
「二案は……、グレコさん、砂里さん! こっちへ!!」
駆け寄ってきたグレコと砂里に対し、何かをコソコソと耳打ちするカービィ。
「わかった! やってみましょう!! 砂里、いいわねっ!?」
「はいっ!」
すると、グレコと砂里は手を繋いで、走り出した。
俺たちから離れ、大きく弧を描くように移動して、二人はハンニの後方に回るつもりらしい。
でも……
「ハンニに見つかっちゃわないっ!?」
「大丈夫! 砂里さんが、呪力って奴で自分の姿とグレコの姿を一時的に相手の思考から消しているはずだ!!」
おおうっ!?
なるほどその手があったか!!!
「モッモ、今のうちにおまいもっ!!!」
「わっ!? わかったっ!!!」
俺は、身につけているローブを裏返しにして羽織る。
神様アイテムその一、隠れ身のローブだっ!
そして、奴の鎌の餌食にならないようにと、姿勢を低くして、地面に這いつくばりながら俺は移動を始めた。
カービィの立てた作戦は、あの石碑の下に眠っているであろう、悪魔ハンニの心臓を掘り出し、滅する……、名付けて、掘って見つけてやっちゃえ作戦!
悪魔は、無敵で不死のように思えるけど、生き物と同じで核となる心臓を壊せば倒せるらしい。
コトコはその昔、命と引き換えに悪魔ハンニを倒し、あの石碑の下にその心臓を埋めたのだ。
先程のハンニの行動と、守護結界が張られている事から、カービィはそう推測した。
そうする事で、長い年月を経て例え復活したとしても、悪魔ハンニはここを離れる事が出来ないと考えたのだろう。
でもさ、心臓を壊せば倒せるのなら、コトコが初めからそうすれば良かったんじゃないっ!?
五百年前にさ、封印なんかせずにやっつけちゃえば良かったんじゃないのっ!??
コトコの馬鹿馬鹿!!!
赤子のようにハイハイをし、ガキンガキンッ! という刃のぶつかり合う恐ろしい音を聞きつつ、俺はヒーヒー言いながら少しずつ前進する。
ギンロのすぐ横を通り、更にはハンニの真横を通って、目的の石碑付近まで到達し……
そして気付いた!
カービィのやつ、俺に石碑の下を掘ってハンニの心臓を探せって言ったけど……
「これは……、掘れるの?」
水色の光に守られた白い石碑。
それが立っているのは、頑丈そうな、真っ黒な岩の上だ。
この、岩を、掘れと……?
ポクポクポクポク……、チーン!
いやいやっ!? 無理だろうっ!??
唸り声を上げながら走るハンニの、口から吐き出す黒い炎の塊が、真っ直ぐに俺の方へと飛んできて……
「ぎゃああぁぁっ!!?」
それを避け切る事が出来ず、俺は黒い炎を頭から被ってしまう。
まるでそれはスローモーションのように、ドロドロとした黒い炎が視界いっぱいに広がって……
あまりの恐怖に俺は、ギュッと目を瞑り、体に激痛が走ることを覚悟する。
いやぁあぁぁっ!?
しっ、しっ、しっ、死ん、死んで……、あれ??
「ないっ!??」
バッと目を開いた俺は、完全なる無傷である。
あれっ!?
なんでっ!??
どうしてっ!?!?
「なんだっ!? どうなってんだ!?」
俺を守ろうとしたのかなんなのか、いつの間にか俺の右半身に抱き付いていたカービィが叫ぶ。
「えっ!? なっ!?? 何これっ!???」
俺とカービィの周りには、二人の体をすっぽりと包むように、丸い水色の光のバリアのようなものが張られているではないか。
どうやらそのバリアが、ハンニの黒い炎から俺たちを守ってくれたらしい。
カービィが驚いている以上、それはカービィの魔法ではなさそうだ。
でも、じゃあ……、これはいったい何っ!?
「伏せろぉっ!!!」
「はっ!?」
「ぎゃっ!?」
背後からギンロの声が聞こえた。
すぐさま伏せるカービィと、カービィに引っ張られて後ろにずっこける俺。
すると俺の真上を、人型に戻ったギンロが大きくジャンプして飛び越えて行き……
ガッキィーーーン!
ガキンッ!! ガキンッ!! ガキンッ!!
ガッキィイィーーーーン!!!
金属と金属が激しくぶつかり合う音が、間近で聞こえ始めた。
なんだぁっ!? 今度は何なんだぁあっ!??
なんとか頭を起こして前方を見ると、すぐそこまで迫っていた悪魔ハンニが、お尻から伸びる先端が鎌状の尻尾を、俺たち目掛けてめちゃくちゃに振り回しているのだ。
ひぃいぃっ!? あんなのの餌食になった日にゃもう……
ピグモルのスライス生ハムの出来上がりだぁあっ!??
馬鹿なことを考えながら、青褪める俺。
ギンロは、その刃が俺とカービィ、更には後方にいるグレコと砂里に向かわないようにと、お得意の剣術で防いでいる。
しかし、ハンニのあまりの猛攻に、防御するだけで精一杯で、反撃など出来そうもない。
このまま奴の攻撃を受け流し続けていても、ギンロの体力、集中力が途切れてしまえば、一貫の終わりだ。
「お!? これのせいかっ!??」
俺が、ギンロとハンニの攻防に気を取られている最中、カービィは俺の服をゴソゴソと漁って、何処からか何かを取り出した。
「あっ!? 何してんのさっ!?? エッチ!!! ……あ、それは確か、桃子から貰ったお札だ!!!」
カービィの手には、初めて俺が桃子の……、姫巫女様のお住まいにお邪魔した時、帰り際に渡されたあのお札が握られている。
お札には《弾呪》という文字が書かれているのだが、不思議なことに、そのお札の文字が水色に光り輝いているのだ。
「これがさっき、ハンニの攻撃からおいらとモッモを守ったんだ! たぶん、あの石碑に施されている守護結界も、これと同じ類のものだと思う!!」
なるほど、それでハンニが攻撃しても、あの石碑はビクともしなかったわけだな。
それにしても、よくもまぁこんな紙切れ一枚で助かったもんだ……
あの時捨てずに取っておいて良かったぁ~。
「カービィ! 早くなんとかしないと、ギンロがっ!!」
グレコの言葉に、ハッとして視線をギンロへと戻すと、少しずつだが、踏ん張るギンロの足が此方へと下がってきているのだ。
止まないハンニの攻撃は、その一つ一つがとてつもなく重くて、さすがのギンロも苦しそうだ。
「よし、一か八かだが、やるしかねぇっ! モッモ、耳貸せっ!!」
「耳っ!? おほぉうっ!?? こそばいっ!!! ……え? うん、うん。なるほど……、えっ!??」
俺の耳元でコソコソと、小声で作戦を伝えるカービィ。
「でも、もし無かったらどうするのさ!?」
「いや! 必ずあるっ!!」
不安がる俺に対し、カービィはそう断言した。
しかし、カービィの作戦は、本当に一か八かの賭けだ。
もしあそこに、それが無ければ……
「第二案はっ!?」
「二案は……、グレコさん、砂里さん! こっちへ!!」
駆け寄ってきたグレコと砂里に対し、何かをコソコソと耳打ちするカービィ。
「わかった! やってみましょう!! 砂里、いいわねっ!?」
「はいっ!」
すると、グレコと砂里は手を繋いで、走り出した。
俺たちから離れ、大きく弧を描くように移動して、二人はハンニの後方に回るつもりらしい。
でも……
「ハンニに見つかっちゃわないっ!?」
「大丈夫! 砂里さんが、呪力って奴で自分の姿とグレコの姿を一時的に相手の思考から消しているはずだ!!」
おおうっ!?
なるほどその手があったか!!!
「モッモ、今のうちにおまいもっ!!!」
「わっ!? わかったっ!!!」
俺は、身につけているローブを裏返しにして羽織る。
神様アイテムその一、隠れ身のローブだっ!
そして、奴の鎌の餌食にならないようにと、姿勢を低くして、地面に這いつくばりながら俺は移動を始めた。
カービィの立てた作戦は、あの石碑の下に眠っているであろう、悪魔ハンニの心臓を掘り出し、滅する……、名付けて、掘って見つけてやっちゃえ作戦!
悪魔は、無敵で不死のように思えるけど、生き物と同じで核となる心臓を壊せば倒せるらしい。
コトコはその昔、命と引き換えに悪魔ハンニを倒し、あの石碑の下にその心臓を埋めたのだ。
先程のハンニの行動と、守護結界が張られている事から、カービィはそう推測した。
そうする事で、長い年月を経て例え復活したとしても、悪魔ハンニはここを離れる事が出来ないと考えたのだろう。
でもさ、心臓を壊せば倒せるのなら、コトコが初めからそうすれば良かったんじゃないっ!?
五百年前にさ、封印なんかせずにやっつけちゃえば良かったんじゃないのっ!??
コトコの馬鹿馬鹿!!!
赤子のようにハイハイをし、ガキンガキンッ! という刃のぶつかり合う恐ろしい音を聞きつつ、俺はヒーヒー言いながら少しずつ前進する。
ギンロのすぐ横を通り、更にはハンニの真横を通って、目的の石碑付近まで到達し……
そして気付いた!
カービィのやつ、俺に石碑の下を掘ってハンニの心臓を探せって言ったけど……
「これは……、掘れるの?」
水色の光に守られた白い石碑。
それが立っているのは、頑丈そうな、真っ黒な岩の上だ。
この、岩を、掘れと……?
ポクポクポクポク……、チーン!
いやいやっ!? 無理だろうっ!??
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