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2章

72 side ルーク

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依頼を終えてエリカに帰って来た。
ギィとは入れ違いのはずだから明日はカイトとまた遠乗りに行くかな。とか考えながらギルドに顔を出したら、速攻ダスに捕まった。

「カイトの様子がおかしいんだが、お前原因はわかるか?」
「おかしいって何があった」

この依頼に出る前にも会ったがおかしな素振りはなかったと思うが。

「カイトの方から酔って浮気自慢してる奴に声をかけて、誘われてた」
「!?」
「露骨な誘いだったがカイトは気づいてなかったけどな」
「ソイツはどうした」
「俺が締めといたから気にしなくていい。問題はカイトだ。心当たりはないんだな?」
「……ない…」

クソっ。どういうことだ!?ギィは何してるんだ!

「今日、カイトを捕まえて聞き出す」
「あぁ。これ以上続くならフロストが黙ってないから早めに解決しろよ」

ギルド長も気づくくらいなのか。本当に何があった。

戻って来たカイトは一見いつも通りだ。
何か儚い雰囲気が出てるが、疲れてるのか?色が白くなったのか?

食事に誘うと大喜びで乗って来た。
んー。いつものカイトだな。
ただ、カイトと同級のグレンといったか。ソイツは何か思うところがありそうで、俺に強い視線を向けて来た。
お前からそんな目で見られる謂れはない。と、言いたいところだが、あるんだろうな…。今晩中にきっちり片をつけてやる。

ダスからミルクを受け取り、カイトがお気に入りのアンナの店で料理を見繕おうと立ち寄ったが、カイトを見るとすぐに奥からカイト専用って料理が出てきた。これどう見ても店で出してるランクの肉じゃないんだが…。旨いがなかなか手に入らない希少なヤツじゃないか?
カイトもよくわかってないようだが、まぁいいか。


宿の俺の部屋で話を聞き出してすぐ、とんでもないことを聞くことになった。

待て待て待て、ギィがカイト以外と結婚!?
いやその前に、食事が久しぶりってどういうことだ!?

聞けば聞くほど腹が立つ。
カイトが1人で考えてこの結論に至るまでにどれほど傷ついたのか。
悲しかっただろうし理不尽だって感じたはずだ。なのに仕方ないなんてギィに怒ることもなく受け入れてるなんてことがあっていいはずがない。

断言できる。この噂はほんの一部の中でだけの物だ。ギルド長やダスが知ってたら即否定だし、もちろんギィ自身も全く知らないだろう。
問題はそのほんの一部にカイトが含まれていることと、状況が噂を否定しきれない風にカイトに見えてるってことだ。

ギィは一体今までカイトに何をしてたんだ!って思ってたら俺の発言もそんな風に解釈されてたのか!?

カイトの自分で考える力と我慢強さは長所だが、今回は完全に裏目に出た。どれほど1人で泣いたんだろう。引っ越してすぐくらいから不安を持ちだしていたんなら、俺が気づいてもよかったはずだ。

あー、もうダメだ。
まずはギィを締める。納得のいく説明をきっちりしてもらう。いや、説明を聞く前に一発は絶対殴る。


久しぶりにカイトを抱きしめて寝た翌朝、神からもらったという種から生えた木を見て頭を抱えた。

これ、宿木になってないか?
庭に宿木が生えるって…。これにもギィは気づいてないんだろうな…。

とっととギィを取っ捕まえてカイトとしっかり話をさせないと。

ギィを捕まえに出る前にダスとギルド長に判明した内容を説明に寄ったら、グレンに呼び止められた。

「カイトは大丈夫?」
「お前に心配される必要はないよ」
「これ以上カイトが辛い思いをするんだったら、俺、カイトを迎えに行くから」
「あ゛??」
「あんなになってるのに気づけないなんて、ちゃんと見てないんだろ」

思わず威圧が漏れてしまったけど、怯みながらも言い返して来るとは、なかなかの根性だな。

「今回は完全に俺とギィに否があるのは認める。だが、お前にカイトを渡すことはない。余計な世話だ」

カイトが欲しいならカイトを守れるくらい強くなれ。俺やギィですらまだ力が足りない。その焦りが今回のことを引き起こしたとはわかっているが、やり方ってものがあるだろ、ギィ。

力不足は自覚があるのだろう、黙り込んだグレンは放っておいてギィを殴るために走り出す。
グレンが俺ぐらいに強くなったら殴られてやってもいい。けどな!追いつかれる気はさらさらない!
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