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2章
43 side ギィ
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カイトはご機嫌で帰る道すがら買い込んだ料理を端から試してる。アレかコレかと目移りしていたからカイトが気になった物は全部買った。なかなかな量になったがとりあえずカイトは全部を試してみて、残った分は俺とルークで片付ければいい。…明日の朝もコレでいけそうだな。ルークにも持って帰らそう。
怒涛の1日だった今日を思い起こしながら久々の酒を口に含む。今日のカイトの色んな表情を思い出すだけで酒が進むな。
詰め所での寝ぼけたカイトはかわいかった。至近で目を覗き込まれたときは抱きしめそうになるのを耐えるのが大変だったが…。隊長にもすぐに気に入られやがって…。
その後、カイトの初屋台メシをルークに先に獲られたのは痛恨の極みだ。俺がやりたかったっ。
ルークは絶対わかっててやっただろうな。くそっ。
今もカイトはルークがどこからか買って来た色んなシロップをミルクに混ぜて飲んでいる。
苺牛乳!とかって喜んでたな。悔しいが俺にはああいう用意は出来ない。流石ルークというとこか。どこで買ったかは教えてくれんだろうな…。
ギルドでも強面頑固親父のダスにはすぐに気に入られ、受付からの視線には全く気づいてないし、威圧しておいたから言い寄って来る事はないだろうが、今後も要注意だ。
ギルド長室でのカイトは秀逸だった。いつもはふんわりしている顔をキリッと引き締めて…ただ、模擬戦はやり過ぎたな。
「むっつりがダダ漏れになってるぞ」
カイトがトイレに立ってルークが話しかけてきた。
トイレは部屋に付いてるからカイト1人で行っても安全だ。
「今日の模擬戦をな」
「あぁ…あれはちょっと目立っちゃったなぁ」
「俺やヘキ殿のような重量級がカイトに投げられるよりは与える衝撃は少なくすんだかもしれないが」
「カイトはやり難かっただろうなあ。はは」
「うまく修正して対応していたが、うまくやりすぎた。明日には話が広まってるだろう」
「しばらくは1人にならないようにしてその間に周知させるしかないな」
「必要ないのに模擬戦なんてやらしたギルド長にも責任を取らせてやらんとな。
ところでそのシロップはど「教えん」」
ちっ。
すっきりしたー。とカイトが戻って来た。
そろそろデザートか?とルークが並べた物を嬉しそうに物色している。
それにしても、なぜソファでなくソファの前の床に直に座るんだ?呼ばずとも俺の足元の床に座ってもたれて来るのはかわいすぎて最高だが。
「明日はどんな予定にしてるんだ?」
「ギルド証もらいに行くんだよね?」
「朝は目が覚めるまで寝て起きたらまずはカイトの必要な物を買いに行こう。ギルドは夕方でいいだろう」
「じゃあ、明日の晩御飯はダスのとこにするか」
「やった!」
出来るだけ多くの者に俺とルークがカイトを守っていることを見せつけておかねばならんしな。
「よし、じゃあ決まりな。俺は明日はちょっと用事があるから夕方ギルドに行くよ。晩御飯は一緒に食べような」
「わかった!今日はありがと」
下まで送るというカイトをルークが押し留めて、結局窓から見送るって事で決着してた。
ルークのやつ、おやすみなさい。気をつけて。と扉で声をかけたカイトを酔っ払ったふりで抱きしめて頬擦りして行きやがった。
正面が見える窓からルークを待つカイトの後ろ姿を眺めながら、模擬戦の後にギルド長に言われた事を思い起こす。
「おぃ、ギィよ。カイトの左腕のあれは何だ。どういうつもりで着けさせてんだ」
「どういうつもりも、そのままだ。カイトは俺が護る」
「お前はそれでいいだろうよ。本人の知らないところで縄張りを主張して囲い込んでな。
だがカイトの意思はどうなんだ。あれは何もわかってないだろうが。そんなんで大丈夫なんて言えるのか?」
「…わかっている。だが、まだこちらの事をわかっていないカイトに押しつけても」
「そりゃお前の逃げだろうが。
確かにこっちの常識には疎そうだ。まだ子どもだしな。だが、理解できない程子どもだとも思えないぞ。お前の想いを伝えて分からないような奴じゃないだろう」
受け取ってもらえるかは知らんがな。ってのは余計だろ!
今の騙しているような状態が良くないことは十分わかっているが、アレを外して自由になったカイトなんてあっという間に群がられるに決まってる。もしその中からカイトの気にいる奴が出てきたりしたら…俺は耐えられるのか?
無理だ。
ルークが見えたのだろうカイトは大きく手を振っている。ルークの速度だとそんなに長く見えているはずはないから、もの凄くゆっくり歩いてるか立ち止まって振り返ってるな。
「ひよっこ冒険者として俺んとこに来た以上、独り立ちするまでカイトは俺の保護下だ。別にカイトがわかってお前を選ぶって言うなら止めはしないさ。ただ今のままカイトの選択を制限するようなら手を出すからな」
お前より良さそうな奴の心当たりもあるしな。か。
確かに俺より条件がいい奴もギルド長なら見つけられるだろう。だが俺以上にカイトを護れる奴はいない。
さっさと腹括れよ。と去って行くギルド長に何も言い返せなかったのを思い出しながら、足元に戻ってきたカイトを見下ろす。
「はー。楽しかった!
ねぇ、ギィ。俺、今日ちょっと頑張ったよね?」
見上げてくるカイトの前髪を掻き上げて微笑んでみせる。
「あぁ、そうだな。カイトは今日もよくやってた」
俺も腹括って頑張ってみせる。
怒涛の1日だった今日を思い起こしながら久々の酒を口に含む。今日のカイトの色んな表情を思い出すだけで酒が進むな。
詰め所での寝ぼけたカイトはかわいかった。至近で目を覗き込まれたときは抱きしめそうになるのを耐えるのが大変だったが…。隊長にもすぐに気に入られやがって…。
その後、カイトの初屋台メシをルークに先に獲られたのは痛恨の極みだ。俺がやりたかったっ。
ルークは絶対わかっててやっただろうな。くそっ。
今もカイトはルークがどこからか買って来た色んなシロップをミルクに混ぜて飲んでいる。
苺牛乳!とかって喜んでたな。悔しいが俺にはああいう用意は出来ない。流石ルークというとこか。どこで買ったかは教えてくれんだろうな…。
ギルドでも強面頑固親父のダスにはすぐに気に入られ、受付からの視線には全く気づいてないし、威圧しておいたから言い寄って来る事はないだろうが、今後も要注意だ。
ギルド長室でのカイトは秀逸だった。いつもはふんわりしている顔をキリッと引き締めて…ただ、模擬戦はやり過ぎたな。
「むっつりがダダ漏れになってるぞ」
カイトがトイレに立ってルークが話しかけてきた。
トイレは部屋に付いてるからカイト1人で行っても安全だ。
「今日の模擬戦をな」
「あぁ…あれはちょっと目立っちゃったなぁ」
「俺やヘキ殿のような重量級がカイトに投げられるよりは与える衝撃は少なくすんだかもしれないが」
「カイトはやり難かっただろうなあ。はは」
「うまく修正して対応していたが、うまくやりすぎた。明日には話が広まってるだろう」
「しばらくは1人にならないようにしてその間に周知させるしかないな」
「必要ないのに模擬戦なんてやらしたギルド長にも責任を取らせてやらんとな。
ところでそのシロップはど「教えん」」
ちっ。
すっきりしたー。とカイトが戻って来た。
そろそろデザートか?とルークが並べた物を嬉しそうに物色している。
それにしても、なぜソファでなくソファの前の床に直に座るんだ?呼ばずとも俺の足元の床に座ってもたれて来るのはかわいすぎて最高だが。
「明日はどんな予定にしてるんだ?」
「ギルド証もらいに行くんだよね?」
「朝は目が覚めるまで寝て起きたらまずはカイトの必要な物を買いに行こう。ギルドは夕方でいいだろう」
「じゃあ、明日の晩御飯はダスのとこにするか」
「やった!」
出来るだけ多くの者に俺とルークがカイトを守っていることを見せつけておかねばならんしな。
「よし、じゃあ決まりな。俺は明日はちょっと用事があるから夕方ギルドに行くよ。晩御飯は一緒に食べような」
「わかった!今日はありがと」
下まで送るというカイトをルークが押し留めて、結局窓から見送るって事で決着してた。
ルークのやつ、おやすみなさい。気をつけて。と扉で声をかけたカイトを酔っ払ったふりで抱きしめて頬擦りして行きやがった。
正面が見える窓からルークを待つカイトの後ろ姿を眺めながら、模擬戦の後にギルド長に言われた事を思い起こす。
「おぃ、ギィよ。カイトの左腕のあれは何だ。どういうつもりで着けさせてんだ」
「どういうつもりも、そのままだ。カイトは俺が護る」
「お前はそれでいいだろうよ。本人の知らないところで縄張りを主張して囲い込んでな。
だがカイトの意思はどうなんだ。あれは何もわかってないだろうが。そんなんで大丈夫なんて言えるのか?」
「…わかっている。だが、まだこちらの事をわかっていないカイトに押しつけても」
「そりゃお前の逃げだろうが。
確かにこっちの常識には疎そうだ。まだ子どもだしな。だが、理解できない程子どもだとも思えないぞ。お前の想いを伝えて分からないような奴じゃないだろう」
受け取ってもらえるかは知らんがな。ってのは余計だろ!
今の騙しているような状態が良くないことは十分わかっているが、アレを外して自由になったカイトなんてあっという間に群がられるに決まってる。もしその中からカイトの気にいる奴が出てきたりしたら…俺は耐えられるのか?
無理だ。
ルークが見えたのだろうカイトは大きく手を振っている。ルークの速度だとそんなに長く見えているはずはないから、もの凄くゆっくり歩いてるか立ち止まって振り返ってるな。
「ひよっこ冒険者として俺んとこに来た以上、独り立ちするまでカイトは俺の保護下だ。別にカイトがわかってお前を選ぶって言うなら止めはしないさ。ただ今のままカイトの選択を制限するようなら手を出すからな」
お前より良さそうな奴の心当たりもあるしな。か。
確かに俺より条件がいい奴もギルド長なら見つけられるだろう。だが俺以上にカイトを護れる奴はいない。
さっさと腹括れよ。と去って行くギルド長に何も言い返せなかったのを思い出しながら、足元に戻ってきたカイトを見下ろす。
「はー。楽しかった!
ねぇ、ギィ。俺、今日ちょっと頑張ったよね?」
見上げてくるカイトの前髪を掻き上げて微笑んでみせる。
「あぁ、そうだな。カイトは今日もよくやってた」
俺も腹括って頑張ってみせる。
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