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1章

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寝台から出てソファセットに座る。
俺の両隣にルークとギィ。向かいに魔王を挟んでタチとヘキ。
ギィが俺の腰に腕を回したまま離さないので微妙に座りにくいんだが。
ルークはそれを見てニヤニヤしながら口パクでよかったなって言ってきた。
やめろ。顔が熱くなるだろ!

「カイト、すまなかった」

全員が座った途端タチが謝ってくる。
待って待って。

「なんでタチが謝るの!?俺こそごめんなさい。連れて行ってって自分から言ったのに何もできなくて倒れて」
「カイトは悪くない」
「ちょっ、ギィ!俺が」
「俺もカイトは悪くないと思う」
「っっ!ルーク!」
「いや、いきなり連れて行ったのは間違いだった。木剣もそこそこできるようになったし、本人もやる気だからと確認を怠った私の責任だ」

しらーっとした目でタチを見ているギィとルークから冷気が漏れてる気がする…。
どうしよう。と魔王に目で助けを求める。

「止めなかったわたしにも責任はあるのだけども、少し言い訳をさせてちょうだい。カイトが生き物の死骸を見たり、例えば皮を剝ぐとかの作業ができないかもしれない可能性は考えていたのよ?サトがそうだったから。ただカイトはサトと違って戦闘にも積極的だったから個人差かと思ったのよね」

サトさんは最初から武器を持って戦ったり狩りをすることはできない。と言っていたそうだ。獲物の処理もしたくない。自分の居た環境は直接自分で動物を殺して肉にするようなことはなかったから、自分には耐性がなくできない。と。だから俺がここで暮らすようになってハクに料理を習い始めると肉は全て処理済みの物だけを調理場に用意するようにしていたらしい。

「ただカイトはサトと違って体術も武術も積極的に取り組んで、木剣を渡したときは大喜びだったって聞いてたしね」

そう。確かに大喜びだった。かっこいい!って。向こうじゃ触ったこともなかったし。

「本人も狩りに行きたいって言っていたし、釣りは問題なくできたんでしょう?」

確かに。前回ルークが来た時に釣りに連れて行ってもらった。森の中の川で見たことない魚がいっぱい釣れてその場でもらったばかりのナイフで捌き方も教わった。持って帰った魚は晩御飯にみんなで食べた。川の中の魚も魔力で見たら位置がわかるってことに気づいて、次回は網も持って来ようって、すごく楽しかった。

「だから大丈夫かと思ったのよね」
「…釣りは楽しかったのか?」
「うん…すごく楽しかった」
「そうか。じゃあ次は俺と行こう「ギィ、それ今する話じゃないだろ」な」

サトさんはやっぱり大人だ。色んなことが考えられてちゃんと現実として想像できてる。
俺はまだまだ子供だ。考え方が幼稚なんだ。

「俺、俺も戦うとか狩りとかやったことなくて、サトさんと違ってちゃんとわかってなくて、ゲームとか映画とかそういう空想の世界でしか見たことなかったのにかっこいいって思ってて。それで連れて行って欲しいってお願いしちゃって。本物は血が出て痛そうで…俺、ダメだった」

ごめんなさい。って呟くと、俯いた俺のつむじにギィが頬ずりしてくる。
膝の上で握りしめた拳をルークがとんとんと叩いてくれる。

「俺、練習してもできるようになれると思えない。俺、冒険者にはなれない」
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