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プロローグ

神様はおしゃべり好き

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「思い出したかのう」
「……うん」

   動悸が止まらない。あの痛みがまだ体の中に残っているような気がする。

「なら良かった。良かったのう美少女にキッスなんてしてもらえてを貰えて。まあ、キスに特に意味はないのだがね、やろうと思えばおまじないすらいらないんだが、まあ気分だ。雰囲気だ。神様の気まぐれに感謝するが良い」

   神様と名乗る少女の軽快な言葉に少し励まされ、幾分かは落ち着いてきた。しかし置かれている状況が絶望飛び越えて死亡だってことも併せてわかってしまった。

「僕は、僕はこれからどうなるんですか」
「うんうん、いい質問さ。素晴らしい質問さ。極論その質問だけでこのプロローグを終わってもいいくらいいい質問さ。だがここはぐっとこらえて神様の軽快なおしゃべりに少しは付き合ってくれ給えよ。神様も寂しいと感じることだってある。私は君みたいな変わった人担当の神だから他の神様と違って少しはおヒマなのさ」
「あの、もう少し要点を絞って教えていただけると嬉しいのですが」
「なんと!」

   神様は驚いたように目を見開いた。お約束のように両手をほっぺたにぺたっと付けている。

「なんとなんと、神様に口答えだと!」
「ああ、すいません!   そんなつもりはなかったのですが!」
「口答えなんていつ以来だろう!   ああ、私は今まで人間と会話をしているという実感が湧いたよ。ここにくるにんげんたちはひどく衰弱しきってたり物言わぬ絶望に打ちひしがれている人たちばかりだからね。君みたいな人は久しぶりだよ。もっと会話をしよう、もっとおしゃべりを楽しもう。好きな人を恥ずかしながら打ち明けたり、夜通し女の子のエロいところを語り合ったりしよう!」
「いや、そんなことしませんよ。修学旅行じゃないんですから」
「おっほうーう!」

   神様は文字そのままにおっほーうと言った。テンションの高い人である。いや、神様か。

「いいねいいね、ボケとツッコミこれは人類が生み出した会話の美学!   私も人類の叡智に足を踏み入れたと思おうと鼻が高いよ。素晴らしいことさね。もうこのまま僕と君の会話でこのお話続けていかないかい?   プロローグが本篇
なんて新しくていいと思わないかい?   タイトル詐欺なんて上等さ、だいたいこんな素人が描いた作品を誰が見るのさ。作者は大学ニートのクズ野郎だよ?   そんなやつが書く作品よりも私の流れるようなセリフを堪能していた方が読者も喜ぶと思わないかい?   思うだろう?」
「さっきから全然話が進んでないんですけど、僕はこれからどうなるんですか?」
「まあまあ、先を急ぐんじゃない、若者。若者には時間があるじゃないか。まあ、君にはないんだがね、死んでしまったもの!   あーはっはっはっは!」
「あの!   質問に答えてくれると嬉しいんですが」
「では答えるとしようか。だがここで一旦切るとしよう。長すぎると読者が読む気をなくしてしまうからね。次がプロローグが最後の節さ。しーゆーあげいん!」
「ちょっと、さっきからプロローグとか読者とか一体何を言ーー
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