上 下
19 / 91
第一章

18. 合コン

しおりを挟む
「かんぱーい!」

 明るい声と共に、グラスをぶつけ合う音が響いた。
 5対5の男子のメンバーは、俺・祥吾・暁人の一年組と、俺は初めましての三年生の先輩が二名だ。暁人に参加させてほしいと、学食で頼み込んできたらしい。
 女子大生の女の子達は二年生もしくは三年生ということで少し年上だ。
 なぜこの構成になったかといえば、駅前で暁人が逆ナンされたことがきっかけだったとか……。イケメン滅べ!と思いつつ、感謝をしてノンアルをグビグビ飲んだ。
 
「ねぇ、間宮くんだっけ?可愛いねぇ~!身長いくつなの?」

 向かいに座るお姉さんにいきなり致命傷になりかねるジャブをくらい、カシスオレンジを吹き出しそうになる。
「163センチですよ」
 涼しい顔をして答えたのは、右隣に座っている祥吾だった。
 その頭を一発叩いて訂正する。
「165センチです!」
 なおも口を開こうとする祥吾の口に、焼き鳥を突っ込んで黙らせる。
 すると、お姉さんは声をあげて笑った。
「二人仲良いねぇ!いつから友達なの?」
「新入生ガイダンスの時に、迷子になってたら蒼大が話かけてくれて……」
「えー、蒼大くんやさしいね!」
 美人に褒められて悪い気はしない。
 鼻高々としていれば、そこへ左隣に座っていた暁人が割り込んできた。
「でも蒼大まで迷子になってるところを、俺が見つけて会場に連れてってあげたんだよ」
 ね~♪という口に、野菜スティックのキュウリを捩じ込んだ。
「ちょ、マミちゃん。なんで祥吾には肉で、俺は野菜なのさ」
「うるせぇ。食物繊維とって出直してこいや」
 ギャーギャーと言い合いになっていると、斜め向かいのお姉さんが言った。
「暁人くん、お肉食べたいの?焼き鳥追加で注文しようか?」
 そうこうしている間に席替えとなり、祥吾の隣は身長を聞いてきたお姉さん。暁人の隣には気の利く焼き鳥のお姉さんが、ちゃっかり隣をゲットしていた。
 いつの間にか出来始める陣取り合戦にあえなく撃沈し、俺は一番端の席になってしまう。白く燃え尽きようとしていれば、隣にいた先輩が声をかけてくれた。
「おい、間宮。なんか飲むか?」
 有り難くノンアルのカシスオレンジを追加で頼み、つまみをやけ食いする。ムシャムシャと食べていれば、注文を終えた先輩が言った。
「あーあ、結局女子みんな一ノ瀬と栗原狙いじゃんな。やってらんねぇ」
「そうっすね。マジでイケメン滅べばいいと思います」
 そう答えれば、先輩に肩を組まれる。
 二人でグダグダとぼやいていれば、向かいに座るもう一人の先輩が届いたドリンクを渡してくれた。
「ほら、間宮きたぞ。飲め飲め」
「あざーす!いただきます!」
 グイッと一口飲むと、爽やかなオレンジが口に広がる。
 しかし、飲み下した瞬間、妙な違和感を感じてグラスを見た。

「ん?これ、なんかー……」
「ほらほら、飲めよ間宮」

 肩に回された腕に、強く揺さぶられる。

 すぐに気のせいだったかと思い、俺はそのまま先輩達と飲み交わした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました

海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。 しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。 偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。 御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。 これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。 【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】 【続編も8/17完結しました。】 「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785 ↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

転生したら乙女ゲームの攻略対象者!?攻略されるのが嫌なので女装をしたら、ヒロインそっちのけで口説かれてるんですけど…

リンゴリラ
BL
病弱だった男子高校生。 乙女ゲームあと一歩でクリアというところで寿命が尽きた。 (あぁ、死ぬんだ、自分。……せめて…ハッピーエンドを迎えたかった…) 次に目を開けたとき、そこにあるのは自分のではない体があり… 前世やっていた乙女ゲームの攻略対象者、『ジュン・テイジャー』に転生していた… そうして…攻略対象者=女の子口説く側という、前世入院ばかりしていた自分があの甘い言葉を吐けるわけもなく。 それならば、ただのモブになるために!!この顔面を隠すために女装をしちゃいましょう。 じゃあ、ヒロインは王子や暗殺者やらまぁ他の攻略対象者にお任せしちゃいましょう。 ん…?いや待って!!ヒロインは自分じゃないからね!? ※ただいま修正につき、全てを非公開にしてから1話ずつ投稿をしております

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

賢者となって逆行したら「稀代のたらし」だと言われるようになりました。

かるぼん
BL
******************** ヴィンセント・ウィンバークの最悪の人生はやはり最悪の形で終わりを迎えた。 監禁され、牢獄の中で誰にも看取られず、ひとり悲しくこの生を終える。 もう一度、やり直せたなら… そう思いながら遠のく意識に身をゆだね…… 気が付くと「最悪」の始まりだった子ども時代に逆行していた。 逆行したヴィンセントは今回こそ、後悔のない人生を送ることを固く決意し二度目となる新たな人生を歩み始めた。 自分の最悪だった人生を回収していく過程で、逆行前には得られなかった多くの大事な人と出会う。 孤独だったヴィンセントにとって、とても貴重でありがたい存在。 しかし彼らは口をそろえてこう言うのだ 「君は稀代のたらしだね。」 ほのかにBLが漂う、逆行やり直し系ファンタジー! よろしくお願い致します!! ********************

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

溺愛お義兄様を卒業しようと思ったら、、、

ShoTaro
BL
僕・テオドールは、6歳の時にロックス公爵家に引き取られた。 そこから始まった兄・レオナルドの溺愛。 元々貴族ではなく、ただの庶子であるテオドールは、15歳となり、成人まで残すところ一年。独り立ちする計画を立てていた。 兄からの卒業。 レオナルドはそんなことを許すはずもなく、、 全4話で1日1話更新します。 R-18も多少入りますが、最後の1話のみです。

処理中です...