125 / 159
冒険者Dと近隣国
傭兵転身
しおりを挟む
こうして俺は王族に救われた。うん、救われたと言って良いか分らない。第2王子ロージエに囲われたと言って良い。
ロージエの指示で商人べゼット•ワイグマを止めて傭兵と言う身分を強制されたのだ。名前もそのままでは素性がバレるとしてBと言う仮名で騎士団の一角に所属させられた。
この騎士団はロージエ付きの私兵みたいなものでトゥワイス近衛騎士団と言う。人数は6名、二人づつ交代でロージエに付き添って居る。
俺が最初にロージエと会った時にも控えていた。
団長の様な物は無くて全員が平等にロージエに仕えているらしい。
金髪碧眼のバラバは身長170cmで逞しい騎士の鑑みたいな男だった。
青髪グレイ眼のソルドはバラバよりも少し背が高く痩せ気味な男だった。
茶髪黒目のレギンはボブカットした髪型で見た目が優男なので女に見えるがバラバと同じくらい身長がある。
金髪青目のセルジュはバラバよりも大分身長が低いが矢鱈と口が軽くて話好きな少年ぽい男だった。
金髪ポニテールでグレイ眼のスレンはセルジュよりも背が高くて美丈夫と言った感じの女性だった。
銀髪ショートで碧眼のビィトはバラバと肩を並べるくらいの背丈がありニキビが少し残っている女性だった。
最初にロージエと会った時に護衛していたのはバラバとビィトだった。紹介されるまで全員が男だと思っていたから驚いたのだった。
トゥワイス近衛騎士団での俺の役割は雑用だな。一応仮採用の準騎士扱いだから訓練を受ける事になっていた。
普段は騎士服を纏ってロージエとの連絡係をするために王城の中を彷徨く事になり、その他はバラバやレギンに鍛えられると言う日常だった。
その頃の俺は本当の俺の姿と記憶で成りたくもない騎士ごっこをしていた。でも、お陰で身体が鍛えられて身長も伸びた。体力的に大変であったが平和な日常だったと言えるだろう。
その間に俺は自分のスキル『無謀』に付いて学んで居た。
なにせべゼット•ワイグマに使ってからは使った事が無かったのだ。
なにせインベントリが俺のスキルだとロージエ達に思われて居たので話す事も無かった。むしろその力を理解するようになってからは積極的に隠す様にしていたのだ。
休暇の日には目立たない服装で王都内を散策しては浮浪者に話を聞いていた。いや、聞く振りをしてスキル『無貌』を使っていたのだ。
彼らは銅貨数枚で俺の言う事を聞いた。1日分の食事を賄える訳でも無いが彼らに取っては願っても無い話だったのだ。
そのお陰で俺は多くの人生を体験し、スキルを溜め込んだ。最初の頃は他人の人生に振り回され、記憶が混乱することもあったがべゼットワイグマの記憶と共にインベントリのように整理されて行った。
スキルはほとんどが役に立たないか、無い事が多かった。
浮浪者になるのはそれなりの理由があるのだ。単に運が悪いとか実力が無いとかでは無く、諦めざるを得ない人生としか言えない。
流石に王都にはスラムは無かったが最低の収入しか得られない生活をする者達が住む地域があった。そんな場所に宿代も払えない日雇いの浮浪者がたむろしていたのだ。
数十人の浮浪者から得られたスキルは『拡声』『忍耐』だけだった。流石に単独では役に立ちそうも無いスキルだった。
浮浪者の少し数が多かったのか噂になりかけたので俺はターゲットを少し変えた。もう少し何らかの仕事をしている者にスキル『無謀』を使うことにしたのだ。やはりスキルを持つことは人生に有利に働くのだ。
それからは俺は相手と二人だけに成れる場合には見つからない様に積極的にスキル『無貌』を使ってスキル集めを始めた。そうすることで騎士として、いや準騎士の真似事の能力の底上げを始めたのだ。
◆
同じベッドの中でユキが身動ぎする。
私掠船の中で何があったのかを寝物語に話して居る内に俺も疲れで寝てしまったようだ。
久しぶりに昔の夢を見ていた。俺の転機でもあったが改めて俺は何者かと考えさせられる出来事になったな。
スキルを溜め込み、準騎士なんぞから一人前に認められるのに1年弱掛かったけど、そのまま第2王子ロージエに抱えられ続ける積りも無かった。
最もロージエから俺の異常なまでの進化に改めて説明を求められた時には笑ったな。通常の騎士になるのに素質の高い者であっても2年から3年も掛かるとは俺も知らなかったから迂闊といえば迂闊だったな。
だから俺は他の貴族に目を付けられ、利用されるなら王家の権力を使うこと、つまり第2王子ロージエの後ろ盾を維持する為に俺の秘密を暴露したのさ。
その頃にはトゥワイス近衛騎士団全員のスキルを得ていたからな。『騎乗』『身体強化』『戦技』『剣技』などの騎士なら持ち得るスキルを重ねて持っていたのだ。
まぁ何だ。
ロージエに告白したのは村人だった事と特殊なスキルでスキルの習得が早くなるものだと嘘を言ったのだけどな。
インベントリもスキルのひとつだと言って置いたから、疑わしそうな目をしてはいたが納得してくれたからな。
この力はロージエの為だけに使うし、王家の力になる事を誓った。だから無罪放免を勝ち取れたわけだ。
ロージエの指示で商人べゼット•ワイグマを止めて傭兵と言う身分を強制されたのだ。名前もそのままでは素性がバレるとしてBと言う仮名で騎士団の一角に所属させられた。
この騎士団はロージエ付きの私兵みたいなものでトゥワイス近衛騎士団と言う。人数は6名、二人づつ交代でロージエに付き添って居る。
俺が最初にロージエと会った時にも控えていた。
団長の様な物は無くて全員が平等にロージエに仕えているらしい。
金髪碧眼のバラバは身長170cmで逞しい騎士の鑑みたいな男だった。
青髪グレイ眼のソルドはバラバよりも少し背が高く痩せ気味な男だった。
茶髪黒目のレギンはボブカットした髪型で見た目が優男なので女に見えるがバラバと同じくらい身長がある。
金髪青目のセルジュはバラバよりも大分身長が低いが矢鱈と口が軽くて話好きな少年ぽい男だった。
金髪ポニテールでグレイ眼のスレンはセルジュよりも背が高くて美丈夫と言った感じの女性だった。
銀髪ショートで碧眼のビィトはバラバと肩を並べるくらいの背丈がありニキビが少し残っている女性だった。
最初にロージエと会った時に護衛していたのはバラバとビィトだった。紹介されるまで全員が男だと思っていたから驚いたのだった。
トゥワイス近衛騎士団での俺の役割は雑用だな。一応仮採用の準騎士扱いだから訓練を受ける事になっていた。
普段は騎士服を纏ってロージエとの連絡係をするために王城の中を彷徨く事になり、その他はバラバやレギンに鍛えられると言う日常だった。
その頃の俺は本当の俺の姿と記憶で成りたくもない騎士ごっこをしていた。でも、お陰で身体が鍛えられて身長も伸びた。体力的に大変であったが平和な日常だったと言えるだろう。
その間に俺は自分のスキル『無謀』に付いて学んで居た。
なにせべゼット•ワイグマに使ってからは使った事が無かったのだ。
なにせインベントリが俺のスキルだとロージエ達に思われて居たので話す事も無かった。むしろその力を理解するようになってからは積極的に隠す様にしていたのだ。
休暇の日には目立たない服装で王都内を散策しては浮浪者に話を聞いていた。いや、聞く振りをしてスキル『無貌』を使っていたのだ。
彼らは銅貨数枚で俺の言う事を聞いた。1日分の食事を賄える訳でも無いが彼らに取っては願っても無い話だったのだ。
そのお陰で俺は多くの人生を体験し、スキルを溜め込んだ。最初の頃は他人の人生に振り回され、記憶が混乱することもあったがべゼットワイグマの記憶と共にインベントリのように整理されて行った。
スキルはほとんどが役に立たないか、無い事が多かった。
浮浪者になるのはそれなりの理由があるのだ。単に運が悪いとか実力が無いとかでは無く、諦めざるを得ない人生としか言えない。
流石に王都にはスラムは無かったが最低の収入しか得られない生活をする者達が住む地域があった。そんな場所に宿代も払えない日雇いの浮浪者がたむろしていたのだ。
数十人の浮浪者から得られたスキルは『拡声』『忍耐』だけだった。流石に単独では役に立ちそうも無いスキルだった。
浮浪者の少し数が多かったのか噂になりかけたので俺はターゲットを少し変えた。もう少し何らかの仕事をしている者にスキル『無謀』を使うことにしたのだ。やはりスキルを持つことは人生に有利に働くのだ。
それからは俺は相手と二人だけに成れる場合には見つからない様に積極的にスキル『無貌』を使ってスキル集めを始めた。そうすることで騎士として、いや準騎士の真似事の能力の底上げを始めたのだ。
◆
同じベッドの中でユキが身動ぎする。
私掠船の中で何があったのかを寝物語に話して居る内に俺も疲れで寝てしまったようだ。
久しぶりに昔の夢を見ていた。俺の転機でもあったが改めて俺は何者かと考えさせられる出来事になったな。
スキルを溜め込み、準騎士なんぞから一人前に認められるのに1年弱掛かったけど、そのまま第2王子ロージエに抱えられ続ける積りも無かった。
最もロージエから俺の異常なまでの進化に改めて説明を求められた時には笑ったな。通常の騎士になるのに素質の高い者であっても2年から3年も掛かるとは俺も知らなかったから迂闊といえば迂闊だったな。
だから俺は他の貴族に目を付けられ、利用されるなら王家の権力を使うこと、つまり第2王子ロージエの後ろ盾を維持する為に俺の秘密を暴露したのさ。
その頃にはトゥワイス近衛騎士団全員のスキルを得ていたからな。『騎乗』『身体強化』『戦技』『剣技』などの騎士なら持ち得るスキルを重ねて持っていたのだ。
まぁ何だ。
ロージエに告白したのは村人だった事と特殊なスキルでスキルの習得が早くなるものだと嘘を言ったのだけどな。
インベントリもスキルのひとつだと言って置いたから、疑わしそうな目をしてはいたが納得してくれたからな。
この力はロージエの為だけに使うし、王家の力になる事を誓った。だから無罪放免を勝ち取れたわけだ。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる