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戦争と冒険者D
北部戦線
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コングことアラド兄弟の兄ルクランが映し出した戦闘風景は凄いものだった。
ほぼ一方的に翼竜のような姿をした者たちが青味がかった鎧を身に纏った騎士たちを倒していく。立っている騎士たちは数が少なく圧倒的に翼竜のような姿をした者達のほうが優勢だった。
青味がかったマントをした魔術師らしき者たちが魔法を打ち込むが翼竜のような姿をした者達の近くで霧散していて明らかに魔法が効果を及ぼしていない。なのに翼竜のような姿をした者たちが翼を振ると目に見えない風魔法のようなもので切り刻まれて血飛沫を飛ばす。
既に戦闘は終わりかけていた。
「どうよ、この光景は!」
ドヤ声でコングが通信してくる。
「お兄様、ご無事なのは嬉しゅうございますけど何故竜闘士で戦われて居ますのじゃ?」
「あは?あはははは・・・・その、これには深い訳がぁー」
キャサリンから問い詰められてコングが言い訳を始めた。
「後でしっかり話して頂きますわよ!それより、でぃー様が居りますのじゃ」
キャサリンが場所を譲ってくれたので俺は大型のモニターの前に立った。
「よぉ!コング!久しぶりだな」
「おお、Dじゃねえか!やっと戻って来たのか!」
「ああ、ラザンバの街の傭兵団と話を付けて来たぜ!」
「Dにしちゃ遅かったな!・・・さては遊んで来たな?」
「まぁ、ダゾンでちょっとな。」
「お兄様、でぃー、歓談してる場合じゃないですのじゃ。」
「「おお、わりぃ!」」
キャサリンの指摘にコングは戦況を見回し、仲間たちに合図を送ると一斉に竜闘士が飛び立った。その数10騎。
映像は止まったがコングからの音の通信はそのままだったようで戦況をキャサリンが問いかけた。
「お兄様、アロシア帝国の伏兵は殲滅出来たのですかのう?」
「ああ、無論だぜ」
「でも、予定と違って何故翼竜艇を使わなかったのじゃ?竜闘士の実践投入は想定されてませんのじゃよ?」
「あ、いや、翼竜艇のエンジンの調子が悪くってよ。ローリンに言ったら仕方ねえから翼竜闘士を使う話になったのよ!」
「お兄様の使い方が粗いから壊れたのではありませぬか!」
「・・・いや、面目ねえ」
どうやら俺が王都を離れているうちに錬金術師のランドルトが試作段階でしかなかった翼竜闘士を完成させたらしい。しかも10数機もの複数だぜ。素材には翼竜が使われるから倍の数以上の翼竜を倒してるってことだ。へっ、上等じゃねえか。
翼竜の両翼には風の魔石がある。この魔石の力で翼竜は羽ばたくだけでは出来ない飛行を可能にしているのだ。翼竜が羽ばたくのは高度が落ちた時だけで跳び上がるときや飛行したり旋回したりする時に魔力を流すことで風の強弱を造り、飛んでいるのだ。
アラド兄弟と最初の翼竜を討伐した時に体の大きさの割に翼幅や強度が足りないと疑問に思った俺は錬金術師のランドルトに聞いたのだ。ランドルトが翼竜を調べた結果、翼の魔石が鍵と判った訳だ。
そこで俺は翼竜のこの翼部分を使って空を飛ぶ事を提案して、それをランドルトが翼竜闘士として完成させたのだ。
錬金術師のランドルトが凄いのはこの世界の飛行機というべき翼竜艇を作り上げた事だと思う。
ひょんな事から知り合いになった俺は酔った酒の席で要らん知識を呑兵衛達に披露してしまった。それにランドルトが食い付いたのが奴との交流の始まりだ。
翼竜艇の元となった複葉機の話は新しい魔導具を造るのを喜びとする奴の心を強く誘惑したらしい。この世界に無い複葉機だが、空を飛ぶ構造よりも推進機=ジェットエンジンに強く惹かれたようだった。根掘り葉掘りしつこくランドルトに聞かれた俺は知っている限りの事を話した。
機械の構造について俺が知っていたのは趣味だったからだ。決して機械いじりが好きだった訳じゃ無い。基本的構造を知り、その発展型を妄想するのが楽しかっただけなのだ。ガソリンなどを使う内燃機関さえ存在しない世界で推進機=ジェットエンジンは魔力という未知の力を得てどうなるのか。そんな興味がランドルトに話す事になったのだと思う。
複葉機の話はどちらかというとアラド兄弟の弟ローリンが食い付いた。ローリンは細工屋と渾名されるほど手先が器用で簡単に書いた翼の断面図を見せると翌日には翼の模型を作って来るほどだったのだ。
風を流して揚力を得る構造から複葉機の羽の間に風を流すアイデアを思い付き、風の魔石を組み込んだ模型に昇華させたのだ。そして模型は魔力を流すことで数分間だが飛行をしてみせ、模型が非現実的なものではないことを証明してしまった。
傭兵という稼業を起こそうとしていたアラド兄弟は俺とランドルトを巻き込み、空を飛ぶ傭兵という新しい存在を生み出したのだ。実際に実用となるにはそれなりの苦労と金と時間を要したが、人を乗せ戦地に赴く時間を短縮し、空から攻撃を加える事が出来る傭兵団が生まれたのだ。
『緋空旅団』の事は当然王家の目に留まり制限を受ける事に成りそうだったが俺のコネが上手く嵌って、試作型の複葉機は奪われずに済んだ。
むしろ王家からの拠出もあり、試作型の複葉機は実物大で実用化されようとしていた。
しかし、アラド兄弟の弟ローリンの複葉機は使えなかった。
ほぼ一方的に翼竜のような姿をした者たちが青味がかった鎧を身に纏った騎士たちを倒していく。立っている騎士たちは数が少なく圧倒的に翼竜のような姿をした者達のほうが優勢だった。
青味がかったマントをした魔術師らしき者たちが魔法を打ち込むが翼竜のような姿をした者達の近くで霧散していて明らかに魔法が効果を及ぼしていない。なのに翼竜のような姿をした者たちが翼を振ると目に見えない風魔法のようなもので切り刻まれて血飛沫を飛ばす。
既に戦闘は終わりかけていた。
「どうよ、この光景は!」
ドヤ声でコングが通信してくる。
「お兄様、ご無事なのは嬉しゅうございますけど何故竜闘士で戦われて居ますのじゃ?」
「あは?あはははは・・・・その、これには深い訳がぁー」
キャサリンから問い詰められてコングが言い訳を始めた。
「後でしっかり話して頂きますわよ!それより、でぃー様が居りますのじゃ」
キャサリンが場所を譲ってくれたので俺は大型のモニターの前に立った。
「よぉ!コング!久しぶりだな」
「おお、Dじゃねえか!やっと戻って来たのか!」
「ああ、ラザンバの街の傭兵団と話を付けて来たぜ!」
「Dにしちゃ遅かったな!・・・さては遊んで来たな?」
「まぁ、ダゾンでちょっとな。」
「お兄様、でぃー、歓談してる場合じゃないですのじゃ。」
「「おお、わりぃ!」」
キャサリンの指摘にコングは戦況を見回し、仲間たちに合図を送ると一斉に竜闘士が飛び立った。その数10騎。
映像は止まったがコングからの音の通信はそのままだったようで戦況をキャサリンが問いかけた。
「お兄様、アロシア帝国の伏兵は殲滅出来たのですかのう?」
「ああ、無論だぜ」
「でも、予定と違って何故翼竜艇を使わなかったのじゃ?竜闘士の実践投入は想定されてませんのじゃよ?」
「あ、いや、翼竜艇のエンジンの調子が悪くってよ。ローリンに言ったら仕方ねえから翼竜闘士を使う話になったのよ!」
「お兄様の使い方が粗いから壊れたのではありませぬか!」
「・・・いや、面目ねえ」
どうやら俺が王都を離れているうちに錬金術師のランドルトが試作段階でしかなかった翼竜闘士を完成させたらしい。しかも10数機もの複数だぜ。素材には翼竜が使われるから倍の数以上の翼竜を倒してるってことだ。へっ、上等じゃねえか。
翼竜の両翼には風の魔石がある。この魔石の力で翼竜は羽ばたくだけでは出来ない飛行を可能にしているのだ。翼竜が羽ばたくのは高度が落ちた時だけで跳び上がるときや飛行したり旋回したりする時に魔力を流すことで風の強弱を造り、飛んでいるのだ。
アラド兄弟と最初の翼竜を討伐した時に体の大きさの割に翼幅や強度が足りないと疑問に思った俺は錬金術師のランドルトに聞いたのだ。ランドルトが翼竜を調べた結果、翼の魔石が鍵と判った訳だ。
そこで俺は翼竜のこの翼部分を使って空を飛ぶ事を提案して、それをランドルトが翼竜闘士として完成させたのだ。
錬金術師のランドルトが凄いのはこの世界の飛行機というべき翼竜艇を作り上げた事だと思う。
ひょんな事から知り合いになった俺は酔った酒の席で要らん知識を呑兵衛達に披露してしまった。それにランドルトが食い付いたのが奴との交流の始まりだ。
翼竜艇の元となった複葉機の話は新しい魔導具を造るのを喜びとする奴の心を強く誘惑したらしい。この世界に無い複葉機だが、空を飛ぶ構造よりも推進機=ジェットエンジンに強く惹かれたようだった。根掘り葉掘りしつこくランドルトに聞かれた俺は知っている限りの事を話した。
機械の構造について俺が知っていたのは趣味だったからだ。決して機械いじりが好きだった訳じゃ無い。基本的構造を知り、その発展型を妄想するのが楽しかっただけなのだ。ガソリンなどを使う内燃機関さえ存在しない世界で推進機=ジェットエンジンは魔力という未知の力を得てどうなるのか。そんな興味がランドルトに話す事になったのだと思う。
複葉機の話はどちらかというとアラド兄弟の弟ローリンが食い付いた。ローリンは細工屋と渾名されるほど手先が器用で簡単に書いた翼の断面図を見せると翌日には翼の模型を作って来るほどだったのだ。
風を流して揚力を得る構造から複葉機の羽の間に風を流すアイデアを思い付き、風の魔石を組み込んだ模型に昇華させたのだ。そして模型は魔力を流すことで数分間だが飛行をしてみせ、模型が非現実的なものではないことを証明してしまった。
傭兵という稼業を起こそうとしていたアラド兄弟は俺とランドルトを巻き込み、空を飛ぶ傭兵という新しい存在を生み出したのだ。実際に実用となるにはそれなりの苦労と金と時間を要したが、人を乗せ戦地に赴く時間を短縮し、空から攻撃を加える事が出来る傭兵団が生まれたのだ。
『緋空旅団』の事は当然王家の目に留まり制限を受ける事に成りそうだったが俺のコネが上手く嵌って、試作型の複葉機は奪われずに済んだ。
むしろ王家からの拠出もあり、試作型の複葉機は実物大で実用化されようとしていた。
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