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お茶会(3)
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クリスティーナは立ち上がって、ソフィアに向けて一礼をした。
「それはお気持ちだけで十分です。私とヘンリーは、話し合いで理解を深めることが出来ますから。それに……ソフィアさんは、レイモンド公爵家のご子息と婚約が決まったと伺いました。あまり他の男性の話をしては、お相手の方に失礼ですよ」
にっこりと微笑み返すと、ソフィアが目を見開いた。
マシューに調べてもらって判明したのだが、ソフィアにはカーミラ・レイモンドという婚約者がいたのだ。
(婚約者がいるのに他の男性に好意を抱いて、その婚約者に嫌がらせ……? どういう精神状態してるのよ)
その他にも、パーティーで色んな男性をダンスに誘い、その男性との噂を自ら流しているらしかった。
とにかく、やる事なす事がめちゃくちゃな女性、というのがソフィアの印象だった。
「ソフィアさん、私は貴女に何かしましたか? このような嫌がらせをされる謂れはないのですけど……もしかして、ヘンリーとご結婚なさりたいの? 婚約者がいらっしゃるのに?」
少しストレートすぎる言い方だったと後悔したが、仕方がない。クリスティーナは遺族特有の遠回しの表現に慣れていなかったのだ。
クリスティーナの言葉を聞いたソフィアは、みるみるうちに目に涙をためた。
「わ、分かっていますっ! でも……でも…なんでっ! 私だって……好きな人に愛されたいのよー!」
「ちょ、ちょっと! 落ち着いて」
言い過ぎたと後悔しても、もう遅い。
ソフィアはわんわんと泣き出し、周りの令嬢達もうるうると涙目になっていた。
(さっきまで強気で意地の悪いことを言ってきたのに、ちょっと言い返しただけでこんなに泣くなんてっ……!)
「わ、私だってフェンネル夫妻のような愛し合う夫婦になりたかったのにっ! 伯爵にはこの気持ちは分かりませんわ。仲の良いご両親に育てられた上に、素敵な婚約者がいるんですもの!」
「はぁ!?」
(この方、正気? あの二人に憧れてる人がいたなんて……)
思いも寄らないところでフェンネル家の家名が相手を刺激してことに、げんなりした。
こんな風に思われるくらいなら、本当の事を言ったほうがいい。両親の愛を美談にされるのは不愉快だ。
「確かに……私にはソフィアさんの気持ちが分かりません。私の両親は私の事を虐げておりましたし、ヘンリーとあのような夫婦になりたいと思ったことは一度もないですから」
低い声で反論すると、ソフィアの肩がビクリと震えた。
「え……? 嘘……虐げ、られて? ご、ごめんなさい。私ったらなんてことを……知らなくて……」
正直に謝るソフィアを見て、クリスティーナは笑ってしまった。ここまでくると、もう可愛らしく見えてくる。
もう許してやるか、そう思えるから不思議だ。
「ソフィアさん、一度落ち着いてください。本当はこんな事したくないのでしょう? 何でもかんでも他人を羨む前に、ご自分の幸せに目を向けるべきですよ」
「は、はい……」
「それはお気持ちだけで十分です。私とヘンリーは、話し合いで理解を深めることが出来ますから。それに……ソフィアさんは、レイモンド公爵家のご子息と婚約が決まったと伺いました。あまり他の男性の話をしては、お相手の方に失礼ですよ」
にっこりと微笑み返すと、ソフィアが目を見開いた。
マシューに調べてもらって判明したのだが、ソフィアにはカーミラ・レイモンドという婚約者がいたのだ。
(婚約者がいるのに他の男性に好意を抱いて、その婚約者に嫌がらせ……? どういう精神状態してるのよ)
その他にも、パーティーで色んな男性をダンスに誘い、その男性との噂を自ら流しているらしかった。
とにかく、やる事なす事がめちゃくちゃな女性、というのがソフィアの印象だった。
「ソフィアさん、私は貴女に何かしましたか? このような嫌がらせをされる謂れはないのですけど……もしかして、ヘンリーとご結婚なさりたいの? 婚約者がいらっしゃるのに?」
少しストレートすぎる言い方だったと後悔したが、仕方がない。クリスティーナは遺族特有の遠回しの表現に慣れていなかったのだ。
クリスティーナの言葉を聞いたソフィアは、みるみるうちに目に涙をためた。
「わ、分かっていますっ! でも……でも…なんでっ! 私だって……好きな人に愛されたいのよー!」
「ちょ、ちょっと! 落ち着いて」
言い過ぎたと後悔しても、もう遅い。
ソフィアはわんわんと泣き出し、周りの令嬢達もうるうると涙目になっていた。
(さっきまで強気で意地の悪いことを言ってきたのに、ちょっと言い返しただけでこんなに泣くなんてっ……!)
「わ、私だってフェンネル夫妻のような愛し合う夫婦になりたかったのにっ! 伯爵にはこの気持ちは分かりませんわ。仲の良いご両親に育てられた上に、素敵な婚約者がいるんですもの!」
「はぁ!?」
(この方、正気? あの二人に憧れてる人がいたなんて……)
思いも寄らないところでフェンネル家の家名が相手を刺激してことに、げんなりした。
こんな風に思われるくらいなら、本当の事を言ったほうがいい。両親の愛を美談にされるのは不愉快だ。
「確かに……私にはソフィアさんの気持ちが分かりません。私の両親は私の事を虐げておりましたし、ヘンリーとあのような夫婦になりたいと思ったことは一度もないですから」
低い声で反論すると、ソフィアの肩がビクリと震えた。
「え……? 嘘……虐げ、られて? ご、ごめんなさい。私ったらなんてことを……知らなくて……」
正直に謝るソフィアを見て、クリスティーナは笑ってしまった。ここまでくると、もう可愛らしく見えてくる。
もう許してやるか、そう思えるから不思議だ。
「ソフィアさん、一度落ち着いてください。本当はこんな事したくないのでしょう? 何でもかんでも他人を羨む前に、ご自分の幸せに目を向けるべきですよ」
「は、はい……」
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