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幸福はここにありました
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ハロルドが陞爵すると知った数週間後、彼は伯爵の爵位を授かりました。
領民からも祝福されて、良い領主になりそうです。
ハロルドに領地の所有権を渡せば、私の役目はお終いですね。あとは寡婦として余生を楽しむことにしましょう。
「これで領地も安泰です。伯爵領にしては大きいかもしれませんが、ハロルドなら大丈夫ですよ」
そう言って領地の譲渡証明書を渡したのですが、ハロルドはなかなか受け取ろうとしません。
「どうしたのですか?受け取ってくださいな。これでこの領地は正式にあなたの物ですよ」
「領地はメアリー様が所有していてくれませんか?というより……僕と一緒に所有してくれませんか?」
「え?それってどういう……」
「つまり、結婚しませんか?ってことです。好きです、メアリー様。公爵よりは身分は低くなってしまいますが、公爵夫人だった頃よりも幸せにします。いかがでしょう?」
真面目な顔で私を見つめるハロルドは、冗談を言っているようには見えません。
結婚?ハロルドと?ハロルドは私のことが好きだった……?
そこまで考えた時、また顔が熱くなりました。この気持ちは――
分かったわ、私もハロルドのことが好きなんだわ。
「……私で良ければ喜んで。私もあなたのことを幸せにしてみせます」
恥ずかしさを放り出して返事をすると、ハロルドは驚いたような嬉しそうな顔をしました。
「まさか承諾していただけるなんて思いませんでした。改めてよろしくお願いしますね」
こうして私はローフォード伯爵夫人となることを決意しました。
それから私たちは夫婦として領地を守りながら生活をしました。
ノーマン様が治めていた頃よりも領民たちが真面目に働いてくれるようになったため、領地は豊かになりました。
そうそう、ノーマン様からは毎月きちんとお金と手紙が届きます。隣国で元気に働いているようです。
彼も新しい幸せを見つけられると良いですね。
【完】
領民からも祝福されて、良い領主になりそうです。
ハロルドに領地の所有権を渡せば、私の役目はお終いですね。あとは寡婦として余生を楽しむことにしましょう。
「これで領地も安泰です。伯爵領にしては大きいかもしれませんが、ハロルドなら大丈夫ですよ」
そう言って領地の譲渡証明書を渡したのですが、ハロルドはなかなか受け取ろうとしません。
「どうしたのですか?受け取ってくださいな。これでこの領地は正式にあなたの物ですよ」
「領地はメアリー様が所有していてくれませんか?というより……僕と一緒に所有してくれませんか?」
「え?それってどういう……」
「つまり、結婚しませんか?ってことです。好きです、メアリー様。公爵よりは身分は低くなってしまいますが、公爵夫人だった頃よりも幸せにします。いかがでしょう?」
真面目な顔で私を見つめるハロルドは、冗談を言っているようには見えません。
結婚?ハロルドと?ハロルドは私のことが好きだった……?
そこまで考えた時、また顔が熱くなりました。この気持ちは――
分かったわ、私もハロルドのことが好きなんだわ。
「……私で良ければ喜んで。私もあなたのことを幸せにしてみせます」
恥ずかしさを放り出して返事をすると、ハロルドは驚いたような嬉しそうな顔をしました。
「まさか承諾していただけるなんて思いませんでした。改めてよろしくお願いしますね」
こうして私はローフォード伯爵夫人となることを決意しました。
それから私たちは夫婦として領地を守りながら生活をしました。
ノーマン様が治めていた頃よりも領民たちが真面目に働いてくれるようになったため、領地は豊かになりました。
そうそう、ノーマン様からは毎月きちんとお金と手紙が届きます。隣国で元気に働いているようです。
彼も新しい幸せを見つけられると良いですね。
【完】
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たくさん考察していただけて、嬉しかったです。
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ありがとうございました!
退会済ユーザのコメントです
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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