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セカンド・ゲーム

…2次集結ポイントにて…

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 グループ『H』・『アグニ・ヤマ』…ブリッジ…

「……ハンプトン艦長……『ラタキア恒星系』に入ります……左舷前方に観えるのが、最外縁を周回する第7惑星です……2次集結ポイントを中に含む…『アーキペラゴ多島海』まで…170分です……」

「……分かった、マルティーヌ……『ディファィアント』からの執行通達事項は? 」

「……総て…執行しました……」

「……ご苦労さん……シャンテル……『ラタキア恒星系』に於ける詳細なチャートの作成に掛かってくれ……」

「……分かりました……」

「……ルーマー……僚艦2隻の司令部を呼び出してくれ……」

「……はい…繋ぎます……」

 7秒程で、メイン・ビューワが2人の艦長を映し出した。

「……ヴィダル艦長……アンジェロウ艦長……我々グループ『H』が、2次集結ポイントに1番乗りのようです……」

「……160分で到着ですね……ガンナーさん……偵察機を出しましょうか? 」

「……そうですね……それぞれから1機ずつ出しましょう…マヤさん……使えそうな岩塊の見繕いも、始めるべきでしょうから……」

「……分かりました……工作作業艇への換装は、何機にしておきましょう? 」

「……取り敢えず、それぞれ3機を作業艇に換装しましょう、ジーンさん……使えそうな岩塊が3個見付かったら、発艦させると言う事で……」

「……そうですね……分かりました…ハンプトン艦長……早速始めます……」

「……ウチのセンサー・チームが詳細なチャートを作成中です……仕上がったら、送ります……」

「……ありがとうございます……助かります……」

「……どう致しまして……取り敢えずは、ポイントへの到着が優先事項ですね……」

「……はい……他にはありますか? 」

「……今の処は、これくらいで好いでしょう……到着したら、また連絡を入れます……」

「……宜しくお願いします……」

「……こちらこそ……ガンナー・ヴァン・ハンプトンより、以上です……」

 通話は終わった。

「……アンティン機関部長……シャトル4機の換装を頼みます……1機は遮蔽システムを搭載した、リザーブ・タンク付きの長距離偵察機として……3機は機首にレーザー削岩機を搭載した、工作作業艇として……」

「……了解しました……早速掛かります……」

「……マーラ……パイロット・チームから、偵察機のパイロットを選抜してくれ……」

「……分かりました……」

「……デリア……軽巡宙艦の…大きさと形状に程近いと言う設定値で……大質量誘導弾の候補となるべく岩塊の……サーチ・プログラムを組んでくれ……2次集結ポイントに到着する30分前から…そのプログラムで探索を開始する……」

「……分かりました……」

「……と……今はこんな処かな……マルティーヌ? 」

「……ええ……好いと思います……ハンプトン艦長……立派ですよ……」

「……ありがとう……君のおかげだよ……全艦に通達してくれ……もうあまり時間もないが、各部所内で協議の上……交代で休息…睡眠…入浴…食事を済ませるように……到着したら、忙しくなる……」

「……分かりました……」

グループ『D』・『フェイトン・アリシューザ』…ブリッジ…

「……艦長……『ラタキア恒星系』に入るまて、90分……『アーキペラゴ多島海』まで…300分です……」

「……5時間か……アレクシア……全クルーに通達……到着40分前迄に、それぞれ任意に判断・計画して…休息…睡眠…入浴…食事を済ませるように……それ以降は忙しくなる……」

「……了解しました……」

「……ジュディット……アミラ……センサー・チームと天体測定ラボで連携して、第4・第5惑星のデータ・ベースの作成を頼む……悪いがこれは詳細にやってくれ……」

「……了解ですが、何に利用するのですか? 」

「……両惑星の存在とそれぞれの環境を、戦略的・戦術的に利用できるかどうかを考えたい……」

「……分かりました……」

グループ『E』・『ロイヤル・ロード・クライトン』…ブリッジ…

「……シャーレイン……『ディファィアント』から執行するようにと通達されていた事項は? 」

「……既に、総て執行しました……」

「……ありがとう……ハリエット……グループ『E』が『アーキペラゴ多島海』に到達するまでには? 」

「……220分後です……グレイス艦長……」

「……220分で、やれること……やっておくべきことについて……皆、意見をお願い……」

「……クルーの緊張感が高まっています……何らかの形態で、休息…入浴…睡眠…食事を摂らせるべきかと……」

「……僕も、そう思いますね……ポイントに到着したら……大質量誘導弾の製作で、忙しくなりますから……」

「……そうね……どんな準備も調査も……しっかり休んでからの方が捗って、早く終わるでしょう……ありがとう……ベアトリス……スコット君……これからの200分間を、50分間の半舷休息で過ごします……悪いけど……ポイントに到着する20分前から、大質量誘導弾の製作に目処が付くまで……まとまった休みは無いと思って頂戴……フローレンス……シフトをお願い……全員、効果的・効率的に休むように……」

「……直ぐに掛かります……」

「……グループ『E』の僚艦2隻にも、通達しましょうか? 」

「……そうね…カーネル……通達して下さい……」

「……分かりました……」

……グループ『A』……『ディファィアント』……

 モアナ・セレンの誕生会は…300分後からバー・ラウンジで始まった……今の『ディファィアント』に於いて、現状でやれる準備…調査…休息…については……既に遣り尽くした感もあり、クルーは皆退屈していたようだったので開始を早めたのだ。

 だから……「やるよ! 」と、声を発したら…ほぼ全員が短時間であっても、入れ替わり立ち替わりに…参加してくれた。

 最初の乾杯と、途中から参加したクルーの最初の一杯だけは……好みの酒で酌み交わして貰ったが、その後はノンアルコール・ドリンクで通した。

 モアナの画像を集めて構成したスライド・ショーを3Dビューワで流しながら……マエストロ・サルヴァトーレ・ラウレンティス料理長渾身の作であるバースデー・ケーキに……彼女と2人でナイフを入れた。

 モアナ・セレン……明日で25才になる……本来なら誕生日に誕生会を開催するべきであり……当然、そうするつもりでもいたのだが……事態の急な進展が、それを許さなかった……明日になれば我々は……激戦の只中に置かれるだろう……彼女は配信ドラマでも映画に於いても人気の若手女優だ……定期的に開催される7つの人気シューティング・ゲーム大会に於いては……既に6つのタイトル・ホルダーであり、5年前からはエドナ・ラティスとも連れ立って……各地の射撃競技大会にも積極的に出場していて……5位以内での入賞7回と言うキャリアを誇る……『ディファィアント』では、右舷のミサイル・オペレーターとして就いて貰っていて…頼りになっている……イエロー・ピンクのミディアム・ハーフアップの髪で、虹彩はライト・グリーン……まだ幼さの残る童顔が笑顔で弾けると、とても愛くるしい。

 ピアノとギターの弾き語りでお祝いの歌を2曲ずつ披露して……目の前でチーフ・リントハートが3月8日のカクテルである『サザン・オレンジ』を作って手渡す……リキュール『サザン・カンフォート』をオレンジ・ジュースで割って作る、シンプルなレシピだ……『リアン・ビッシュ』が『ヘブンリー・ブルー』をステージで歌う……これは圧巻だった……全宙域に生放送できないのが残念だ……いつか必ずやってやろう……モアナが『ハーフムーン・シャイン』をリクエストした……ちょうどチーフも居たから顔を観合わせて笑い…快く引き受ける……パーティーでは伴奏を用意したが、ここではアカペラで…情感たっぷりのデュエット・ハーモニーで彼女に贈呈した。

 初めから参加していたクルーも途中から参加したクルーも、いつ用意したのか…想い想いのプレゼントをモアナに手渡していく……弾ける彼女の笑顔が素晴らしい……その後は『ミーアス・クロス』と『リアン・ビッシュ』の8人をアシスタントとしたアーレン・ダール医療部長による…絢爛豪華なスペシャル・イリュージョン・マジック・ショーが時を忘れさせた……インターコールが控え目に流れて……誕生会の終了と、2次集結ポイントへの到着20分前が知らされる。

「……よ~し…お開きにしよう……到着20分前だ……後片付けはここのスタッフに任せて、配置に就いてくれ……予め定めた段取りと手順に従って、アプローチに入る……」

 自室に戻り、デスクに着いて一服を堪能する……片付けて歯を磨き、入念に洗顔して身嗜みを整える……ブリッジに上がると、既に皆席に着いている……シエナに代わってキャプテン・シートに座った。

「……報告を頼む……」

「……『アーキペラゴ多島海』に入っています……あと10分でポイントに到着します……既にグループ『H』・『E』・『D』・『F』が到着しています……各艦のシグナルとパワーサインを確認……また、既に8個の対象岩塊に対して成型作業が開始されています……工作作業艇12機が活動中……4機の長距離偵察機が半径第5戦闘距離で周回中です……」

「……了解だ……シエナ……私の名前で到着している各艦に挨拶を頼む……ハル参謀……こちらも工作作業艇6機を発艦させよう……パイロットの選抜は任せる……リーア……残りのシャトル全機を大型の輸送作業艇として換装し、必要機材・資材・装置・機器の搬入を頼む……これは到着している各艦にも指示してくれ……うん……思っていたよりも、取り掛かりが早いな……それに、もう時間だ……カリーナ……更に大質量誘導弾としての使用に適性が高いと観られる対象岩塊を探索する為の、サーチ・プログラムを起動して実行させてくれ……そして、同盟全艦に通達……航走中の長距離デコイの遮蔽を、同一タイミングで一斉に解除する……リモートコントロールを確認……各艦からのレスポンスを待って、カウントダウン30秒! 」

「……了解……サーチ・プログラムを実行……リモートコントロール、確認しました……返信待機中……」

「……今、遮蔽を解除しても大丈夫でしょうか? 主宰……」

「……ナンバー・ワン……もう8個の対象岩塊に於いて、成型作業が進められている……3時間もあれば完成するだろう……好い頃合いだと思うよ……今遮蔽を解除して、彼等がそれに気付いてここに殺到して来る迄に……大質量誘導弾の必要個数は、充分に揃えられるだろう……逆に今遮蔽を解除しないと、タイミングとしては遅くなる……」

「……分かりました……」

「……艦長…各艦からのレスポンスを集約しました……解除30秒前で、カウントダウンをスタートします……」

「……頼む……」

「……6…5……全長距離デコイ……遮蔽、全解除! 」

……仮想の集結ポイントに向けてそれぞれの方位から航走していた長距離デコイ27機が、その姿を顕した。

「……カリーナ……各艦のセンサー・チームに…彼等の交信を注意して傍受するよう、伝えてくれ……」

「……了解……」

「……こちらシャトルデッキ! 工作作業艇6機、順次に発艦します! 」

「……宜しく頼む……さて……どのくらいでこちらへの方位を割り出すかな? 」

……その後の80分で、9グループは総て2次集結ポイントに於いて合流を果たした……一先ず大質量誘導弾の量産に付いて協議を行い、大質量誘導弾として適性の高い岩塊の探索続行を初めとして……工作作業艇と大型輸送作業艇の運用について、割り当て・割り振り・シフトパターンに於いても合意し……統一した作業プロセス・シフトパターンを確認して…一旦作業に戻った。

 その後の130分で8基の大質量誘導弾は完成し、同時に探索され捕捉されていた9個の誘導弾候補岩塊に於いても…成型作業は順調に進んでいた。

……ここで再び、全体会合を提案した。

 同盟に参画する全艦の艦長控室……艦長・副長・参謀・カウンセラー・機関部長・メインパイロットに集って貰い、空間には大きく3Dビューワを投影して貰って準備を整えた。

 26分割のマルチ・ビューワとなり、それぞれの艦長控室の中が映し出される。

「……皆さん、お疲れ様です……ご苦労様です……そしてご協力に感謝します……様々な現状を把握・確認・共有した上で……私達のこれからを協議し、確認・決定した上で…共有しましょう……先ず…私達が放出して航走させていた長距離デコイですが…27機総てが破壊されました……これにより、戦いはいよいよ不可避となったようです……でもまあ…もう暫くしたら、こちらから戦闘回避に向けて…最後のメッセージを発信するつもりではいます……敵性集団は5個のグループが、大凡こちらの方面に向けて転進しました……交信内容を傍受する限りでは、まだ我々の正確な位置は把握しておりません……長距離デコイの航走針路を逆に延ばして、大凡の目処を付けただけのようです……SNSサイト…『パーソン・ファイル』で組織されているのが70隻……『マーズテリア』のアーリング・ハーランド艦長がリーダーです……『インディビジュアル・コネクション』で組織されたのが69隻……『マラク・ターウース』のアジズ・アズナー艦長がリーダーです……『パーソナル・コネクション』で煽動されたのが68隻……『ラキア・ヴィロン』のエムジェイ・アンダーソン艦長がリーダーです……『インディビジュアル・ファイル』でまとめられたのが81隻……『ハギト・ファレグ』のダナ・ヴァルタン艦長がリーダーです……最後の『プライバシー・ブック』で組織されたのが72隻……『ムールムール』のトリート・ヴァン・パタン艦長がリーダーです……敵性集団は総数で360隻……こちらの13倍ちょっとですね……それぞれが5つのルート・コースを採り、こちらの方面に向けて航行しています……大質量誘導弾は既に8基が完成して調整も済みました……現在、5基の誘導弾が完成迄間も無くであり……4基は整形作業がもう直ぐ終わって、改造作業に入ります……更に5個の誘導弾候補岩塊に、間も無く工作作業艇が取付きます……総てが完成すれば、大質量誘導弾は22基が揃います……この22基を『アーキペラゴ多島海』の要所に隠して、彼等を待ち受けます……それでは担当を発表します……『レディ・ブランチャード』が1号基……『マキシム・ゴーリキー』が2号基……『ヘルヴェスティア』が3号基……『ファム・ファタール』が4号基……『アステル・アルムフェルト』が5号基……『ラシッド・マクレイヴン』が6号基……『カオス・カスタリア』が7号基……『アレス・アストライオス』が8号基……『シムリット・サール』が9号基……『サンクトル・アブローラ』が10号基……『クラウン・カンバーランド』が11号基……『ロード・ヴィンセンス』が12号基……『アレクサンドラ・フランクランド』が13号基……『チャッカラタナ・ヴァルティン』が14号基……『ヴィンセント・ガラン』が15号基……『バトゥ・ウルス』が16号基……『ロード・ガラン』が17号基……『ロイヤル・ロード・クライトン』が18号基……『ダルモア・エレクトス』が19号基……『ラバブ・ドゥーチェン』が20号基……『アグニ・ヤマ』が21号基……『カレドン・カサンドラ』が22号基を……それぞれの機関室にて、コントロールを担当して下さい……」

 そこで話を区切り、シエナに合図する……彼女は自分のPADを操作した。

「……今皆さんに送ったのが、大質量誘導弾全基の隠し場所です……これらの場所に全基を隠して、殺到して来る彼等を待ち受けます……まだ彼等の陣形は確定していないので、それに対応する我々の陣形配置も確定できません……質問はありますか? 」

「……艦長は艦長同士……副長は副長同士ででも集まれれば…と思っていたんだが…難しいかな? 」

 ハイラムさんだ……私はちょっと首を捻った。

「……そうですね……1度はスタッフ同士ででも、顔合わせはできるでしょう……その時間を作る為にも…早く配置を済ませる必要がありますね……」

「……具体的な作戦は、まだ決まりませんか? 」

 エイミー・カールソン女史だ……気が早いな。

「……それも彼等の陣形が定まらなければ、決められませんね……大丈夫ですよ…カールソン艦長……誘導弾が22号基までも揃っていれば、有利に戦いを主導できます……それに、草を刈ってくれる人もいますしね……」

「……それじゃ、アドル主宰……ここでの話し合いはこれで切り上げて……作業に戻りましょう……早く終わらせられれば、それだけ直に顔を合わせる時間も取れるでしょうから……」

 ヤンセン艦長の言う事も、まあ尤もだ。

「……それでは……質問も提案も、思い付いた時……気付いた時で構いませんから、その場から伝えて下さい……では…この場はこれで…以上とします……」

 その後の180分で……22基の大質量誘導弾は総て完成……調整も完了して、所定の隠し場所へと牽引・運搬されて配置された。

 艦長の会合は『ロイヤル・ロード・クライトン』で……副長の会合は『サライニクス・テスタロッツァ』で……参謀の会合は『トルード・レオン』で……カウンセラーの会合は『ディファイアント』で……機関部長の会合は『フェイトン・アリシューザ』で……メイン・パイロットの会合は『サンダー・ハルヴァード』で……砲術長の会合は『アグニ・ヤマ』で……それぞれ開催される事になり、メンバーはシャトルで開催艦へと向かい、集合した。

 敵性5個艦隊はそれぞれのコースを採り、こちらの方面に向けて航行中だ。

 だがまだ、こちらの位置は知らない。

 それでも7時間もすれば、大体観えてくるだろう……艦内標準時でナイトタイムに入るまで、あと1時間……まとまった睡眠の取れる最後のチャンスだ。

 『ロイヤル・ロード・クライトン』のバーラウンジに入った艦長は、私で最後だった……私が歩み寄るよりも先に、皆が私を取り囲む……握手とハグと肩叩きと背中叩きが暫く続く……まあ何にしても、3Dビューワの画面越しにでは得られない……これが生の会合でしか得られない……感触の醍醐味だな。

「……それで? 何を話す? 」

 ライトビアのグラスを受け取って、数人とグラスを触れ合わせる。

「……作戦は……まだ決まりませんしね……」

「……基本的には、待ち受けだろう? 近くまで誘い込んで誘導弾を突入させ、混乱している処を集中的に攻撃する……」

「……基本的にはそれだな……効果的なコンビネーションも考えるがね……」

 全員と、ライトビア・グラスを触れ合わせて話す……立食パーティーのような形式だ。

「……最後のメッセージは……どんな話ですか? 」

「……所詮これはゲームなんだから、長く楽しんで儲けよう……意固地になっても仕方ない……軽巡同士で争っていたら、戦艦や重巡に薙ぎ払われて終わってしまう……今の内から協力し合った方が良い……戦いが避けられないなら仕方ないが……勝負が決まってからは攻撃しない……嫌なら離脱すれば良い……そんな処ですかね……」

「……『ディファィアント』のディフェンス・テクニック……観たいですね……」

「……ザンダーさん……接近した乱戦は、出来れば避けたいんですよ……そうなってしまうと、全体に気を配るのが難しくなるんでね……」

「……ミスタ・アドル……我々の存在意義は『ディファィアント』を守る盾です……貴方と『ディファィアント』さえ無事なら『同盟』は絶対に存続する……その為なら損傷率30%でも問題ありません……」

「……お言葉はありがたいです…アーロン艦長……でも乱戦になったらなったで、その時には『ディファィアント』の超絶テクを披露しますんで、観て下さい(笑)…」

「……アドルさん……彼等はどこまで私達と戦うつもりなんでしょう? 」

「……そこですよね、ジーンさん……我々に対しての敵愾心に燃えているのは、多くても3割でしょう……だから一定度の打撃を加えて混乱させてからその上で、必要以上には攻撃しない……離脱するなら追撃はしないと伝えれば……2割は離脱してくれるかな? 期待し過ぎかな? 」

「……難しい処ですね……」

「……グレイス艦長は……アドル主宰と同じ会社に勤められていて……副社長さんでいらっしゃいますよね? どうなんですか? こんなに凄い人が……同じ会社に居ると言うのは? 」

「……そうね……アシュリーさん……何と言ったら好いのかしら? 私にとってのアドルさんは、日々の感動であり、驚きであり、この上ない感謝でもあるわ……彼のおかげで…こんなにも繋がりが拡がったしね……」

「……それは……我々全員に於いても……全く同様に表現できますな……」

 そう言いながら、ハイラム・サングスター艦長は…グレイス・カーライル副社長の右隣にさり気なく立つ……お互いに軽く観交わして微笑む……どうやらお互いに、ある程度の合意があるようだ。
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