270 / 299
セカンド・ゲーム
…1次集結ポイントまで…
しおりを挟む
「……発進しました……パワー・バランス良好……加速安定して正常……加速率正常範囲……ファースト・スピードまで60秒……」
と、エマ・ラトナー。
「……メイン・エンジン臨界パワー100%……噴射出力90%……サブ・エンジン臨界パワー100%……噴射出力80%……出力安定……」
と、リーア・ミスタンテ。
「……1次集結ポイントまで、このペースなら5時間ほどです……」
と、ハル・ハートリー。
「……分かった…リーア…長距離偵察機は? 」
「……あと2分で換装を終えます……」
「……了解…終わったら、1機を発艦態勢にセット……」
「……分かりました……」
「……ところでな、リーア……リモート・アナライズ・チェンバーを艦内で作れるかな? 」
「……?……!……艦長…敵艦のメイン・コンピューターをコピーするんですか? 無理ですよ……艦のコンピューターは標準仕様でも暗号化されています……遠隔では勿論……例え乗り込んでも無理でしょう……」
「……交信を装った搬送波に食い付かせて…コピーウィルスを送り込めれば、何とかならないかな? 」
「……どうでしょう? ウィルスが検知されれば浸潤範囲がブロックされますし…手動でシャットダウンされてしまえば、失敗します……」
「……いや…全面的なシャットダウンは出来ないよ……やってしまえば、メイン・リアクターの微妙なコントロールが出来なくなる……10分と経たずにオーバー・フローからオーバー・ロードが引き起こされるだろうからね……まあ…別に、今直ぐにって訳じゃない……取り敢えず、艦内にある部品でチェンバーが作れるかどうかだけでもチェックしておいてくれないか? 」
「……分かりました…観ておきます……」
「……ありがとう……エマ! 長距離偵察機『A』が発艦態勢に入る……パイロットを選抜して派遣してくれ……」
「……分かりました……」
そう応えたエマ・ラトナーは、そのまま立って歩き出す。
「……おい💦……まあ……そう来るかも、とは思ったけどな……分かったよ……気を付けて出てくれ……あんまり派手に飛ぶなよ……それと1時間でワンセットだから、それで戻れ……戻ったら『B』のパイロットを指名すること……」
「……了解です❤️…ありがとうございます❤️……行ってきます❤️…」
悪戯っぽくそう応えながら、私に流し目でウインクをくれて出て行く。
「……カリーナ……パッシブ・センサーレンジを『A』とリンクさせて、探査範囲を拡大設定……」
「……了解……」
「……シエナ……全艦に1時間交代で、長距離偵察機を出すように通達を出してくれ……」
「……分かりました……」
「……カリーナ……ハンナ……デコイからの発信とビーコンを通じての欺瞞交信は、各グループが1次集結ポイントを発進した以降に開始する……シエナはこの事も全艦に通達してくれ……」
「……分かりました……」
「……通達する事ばかりで悪いけどな……シエナ副長……これは各グループリーダーに通達だ……1次集結ポイントで合流して、3隻ひとグループとしての体制が整ったら、他のグループを待つ必要はないから…直ちに2次集結ポイントに向けて発進するように……」
「……分かりました…そのように伝えます……」
「……ああ、カリーナ……『マキシム・ゴーリキー』と『レディ・ブランチャード』は発進したかな? 」
「……はい…『マキシム・ゴーリキー』は20秒遅れで……『レディ・ブランチャード』は40秒遅れで発進しました……今はファースト・スピードに到達しています……」
「……分かった……あんまり……細かく指示したり…矢継ぎ早に通達を出したりしてると…うるさがられるかな? 」
「……まあ…今はまだ……大丈夫でしょう……ただ……これ以上は…自制した方が良いかも知れません……」
ハンナ・ウェアーがそう応じる。
「……まあ……そうだな……今から大質量誘導弾についての指示を出しても仕方ないが……あと現状では……これだけにしよう……長距離偵察機との連携の上で、他艦を感知した場合には……取り敢えず半速まで落として、コースは変えずに様子を観る……もしもインターセプトコースで接近して来るようなら……こちらに連絡するようにと……これだけ頼む……」
「……了解しました……」
「……ハル参謀……朝早くからの出航で…朝食を摂っていないクルーもいるだろう……30分間の限定で悪いけど……ラウンジでの飲食を許可すると通知してくれ……飲酒は不可だ……」
「……分かりました……ありがとうございます……」
「……どう致しまして……」
【「……ブリッジ! 聞こえますか? 長距離偵察機『A』…発艦準備完了! 」】
「……発艦を許可する……ある程度の操縦訓練も許可する……」
「……ありがとうございます❤️…発艦します! 」
「……長距離偵察機『A』…右舷から出ます……」
「……よし…トレース開始……」
「…了解…」
「……敵艦隊は、何を考えているんでしょう? 」
エレーナ・キーン参謀補佐だ。
「……うん……我々と同じだろうね……取り敢えず合流して……我々を見付け出すつもりだろう……」
「……それなら、私達が先手を取っていますね……」
と、ハル参謀。
「……うん…先手には違いないだろうが……何せ、こちらとの戦力比は10倍以上だから……2手先を取ったとしても…有利だとは言えないだろうね……」
「……だから……大質量誘導弾…ですね? 」
シエナ・ミュラーが核心に入る。
「……そうだ……最少でも10基は欲しい……15基あれば…もう少し作戦を立てやすくなるだろうけどね……各グループが合流して…2次集結ポイントに向けて発進したら……大質量誘導弾作製についての指示は出す……まだ配信番組でも私達が使った事は紹介されていない……だから彼等はまだ知らない……それでどれだけ先手を取れるのかが…勝負処だな……」
「……そうですね……」
「……うん…『マキシム・ゴーリキー』と『レディ・ブランチャード』から、長距離偵察機は出たか? 」
「……『マキシム・ゴーリキー』からは間も無く……『レディ・ブランチャード』からは、あと数分と応答がありました……」
「……『A』の様子はどうだ? 」
「……半径第3戦闘距離の150%で、周回航行中……2分に1回の頻度でアクロバット・ターンをやってます……」
「……まあ……外に出たくて、ウズウズしてたんだろうしな……敵艦隊の交信を傍受していて、何か新しい情報はあったか? 」
「……特にはありません……あの……まだ交信の傍受を続けますか…艦長? あの人達…言葉使いが酷くって……」
「……ああ…済まなかったね、カリーナ……フィオナ……悪いが、保安部から3人……交信傍受要員として出してくれ……センサー・チームと一緒に…30分交替で交信の傍受を担当して貰う……」
「……分かりました……ブリッジに呼びますか? 」
「……頼む……」
「…了解…」
……長距離偵察機『A』……
次々と迫り来る岩塊をひらりひらりと機体を捻ってギリギリで躱して飛ぶ『A』……
時折り、急激なターンを機体に掛けて跳ねるように…擦り抜けるように躱して飛ぶ。
コックピットでは引っ切り無しに接近・接触警報が鳴り響き続けている。
エマ・ラトナーは時々煩わし気な表情を観せながらも楽しそうな風情で、スティックを前後左右に操っている。
(…これ…何とかして切れないかな……後でリーアに訊いてみよう……)
右前方から迫る岩塊に対して、敢えて衝突コースを採る……ギリギリで反転するつもりで更に接近して行ったが、そのタイミングの2秒前だった……
(…えっ⁈ )
至近距離発泡の警告シグナルが点き、警報も鳴った。
左後方から来たヴァルカンの2連射を右に切って躱し、本当にギリギリで岩塊の右側面を擦り抜けて回り込む。
(…何⁈ 誰⁈ )
襲撃者も岩塊を右から回り込んで付いて来る……右後方…左後方からとヴァルカンの2連射に襲われるが、エマは機体を捻って躱わす……そんなに厳しい照準じゃない……迫る機影をモニターで観た。
(…シャトルファイター⁉︎ タンク付き⁉︎ )
襲撃者の攻撃を上下左右に躱しながら、シークレットチャンネルでエマージェンシーを出す。
「…艦長! 『A』からエマージェンシーです‼️ 」
「…何❗️ なぜ観えない……ミラージュ・コロイド! シエナ、ブリッジを頼む! ミラージュ・コロイドをlevel 4 で展開! 10%減速と増速…取舵10°に面舵10°…これらを5分毎に繰り返せ! 」
それだけ言ってヘッドセットを掴むとブリッジを飛び出す……走りながらヘッドセットを付ける。
「…リーア、聞こえるか⁈ シャトル1機を戦闘機に緊急換装! エマ! 何とか振り切れ! 」
「…無理です…結構腕が良くて…タンクを付けたまま…くっ付いて来ます! 」
「…何とか避け続けろ! 直ぐに行くからな! 」
「…艦長が⁈ 」
エマの絶叫を無視して切り替える。
「…リーア! エマが襲われてる! 俺が援護して連れ帰るから急いでくれ! 」
「…了解! ミサイルは? 」
「…要らない! 必要最少限で良い! 」
「…了解! 」
「…カリーナ! 艦は観えないか? 」
「…観えません! 今は第5戦闘距離の78倍まで観えますが、観えません! 」
「…分かった! 」
そう応えながら、機関室に飛び込む。
「…リーア! どこまでいった? 」
「…ファースト・ステップは終わりました…」
「…俺がセカンド・ステップをやるから、サード・ステップを段取れ! 」
「…了解! 」
……『A』コックピット……
間断なく、リズミカルでもない……襲撃者のヴァルカン攻撃は正確に2連射で10発ずつ……左右上下に機体を捻って、5発に1発含まれる曳光弾の軌跡を見送りつつ……岩塊を回り込んで距離を取ろうとするが……襲撃者の機体は離れない……
(…こいつ! 墜とす気がないのにしつこい! )
「……あなたがエマ・ラトナーね? 流石に『ディファイアント』のメイン・パイロット……かなりの腕ね? 」
(…こいつ…私を知ってる…)
【…エマ! ノーマル・チャンネルは封鎖中だ! 応えるなよ! 】
【…了解…】
「……でもあなた……もしかして自分が1番速いとか……1番上手いとか……思ってない? 」
(…こいつもレーサー? )
「……いくら貴女が【E・X・F】(エクセレント・フォーミュラ)」…エクスペリエンス・クラスに属するクラブ・チームのマスター・パイロットだと言っても……所詮は地上にへばり付いて走るだけのポッドレーサー……スピードでもターンでもパワーでも……エア・レースのそれとは比べ物にならないって事ぐらい……分かるわよね? 」
(…こいつ…エア・レーサー? )
「……あら? でもあなた……エア・レースにも出てるわね? 私から観て…確かふたつ下の、パワフル・ハヤブサ・ランクだったかしら? でもあなた……かなり好いセンいってるわよ……ランクふたつ下にしてわね……」
(……こいつ! 舐めてるんじゃないわよ! )
エマにしては瞬時の…かなり急角度で急激なターンを機体に強いて襲撃者の後ろを取ろうとしたが、襲撃者もそれを見越したかのように…急速・急角度なターンをスムーズに行って反転し、エマの後ろに着く……
【……レベッカ……そろそろパーティーはお開きだ……お迎えが来るぞ……】
【……了解……】
「……エマ・ラトナーさん? もう少しあなたと遊びたかったけど、そろそろ帰らなくちゃいけないわ……もう直ぐ貴女を迎えに来る、アドル・エルク艦長さんによろしくね? また機会があったら、遊びましょう? 次はお互いに戦闘機の仕様でね? ……私の名前は、レベッカ・スロール……貴女と同じメイン・パイロット……調べれば艦名も、艦長の名前も判るわよ……それじゃあね? 」
目にも止まらぬような反転で追跡コースから離脱すると、3秒で再びミラージュ・コロイドを展開して姿を消す……その5秒後に、私は『A』の左翼に着いた。
【……大丈夫か⁈ ケガは⁈ ダメージは⁈ 】
【……大丈夫です……ケガも…ダメージもありません……】
【……そうか……遅れてすまない……帰還するぞ……】
【……了解……】
そうは言ったものの……『A』もこちらもミラージュ・コロイドは装備していない……が、まあ……やりようはあるか……
【……シエナ、聞こえるか? コースを戻してくれ……艦と機体のナビゲーションA I を同期して、オートで着艦する……ミラージュ・コロイドは解除するなよ……速度はこのままで好い……】
【……了解ですが、艦長……襲撃機体の母艦が近くにいるのでは? 】
【……ああ…居るとは思うが、彼らの意図がまだ分からない……過剰な反応は控えよう……ただいきなり撃たれた場合には即時に反撃できるよう、最低限の準備は頼む……】
【……了解しました…では、同期します……】
【……エマ…私の後ろに着いてくれ……オート・コントロールで着艦する……大丈夫だな? 】
【……大丈夫です…艦長……迎えに来て下さって…ありがとうございます……】
【……当然だろ? 気にするな……】
その後、10分少々で2機とも着艦した……オートだからスムーズに終わる……手動じゃとても無理だ……止められた機体から降りる……泣きじゃくりながら抱き付いてきたエマをなだめて…自室でしばらく休むように言い、ブリッジに戻る。
キャプテン・シートに座って5秒でお客さんが姿を顕した。
「…! 艦です! 軽巡! 右舷90° 同方位で併走…距離、第1戦闘距離……」
「……まるで測ったかのようだな……遮蔽は解除していないのに、なぜ判る?……彼がそうだよ……私を遥かに超える天才艦長……これほどに見せ付けられると、一昔前に流行った形容詞を思い出してしまうな……おそらく6th・ステージをクリアした、6隻の内の1隻だろう……こんなに早く出逢うとは……これもフィールドが狭いせいかな? 」
「……艦長! あの艦からレーザー・ラインが届いています……何のつもりでしょう? 」
「……レーザーでの交信を要請しているんだな……それなら誰にも傍受されないから……」
「……どうしますか? 」
シエナは少し不安そうだ。
「……好いだろう……総ての遮蔽を解除して、レーザー通信回線を接続……」
程なくしてメイン・ビューワに映し出されたのは、年の頃は私より数才若く観える……何とも形容し難い男性だ……私に似ているような印象も受ける……が…一見してのインプレッションは、ファイター・タイプだ……髪は黒い短髪でカールが掛かり、眉は太い……虹彩の色は珍しいが、青緑色だ……今は柔和な表情で眼も優しく観えるが、眼力は強い……バスト・ショットで映っているが、適度な筋肉に覆われている。
「……おはようございます……初めまして……こちらは、軽巡宙艦『ラムール・ハムール』……私が艦長の、ブラッドフォード・アレンバーグです……どうぞ、お見知り置きを……『ディファイアント』のアドル・エルク艦長とお見受けします……先程は本艦のメイン・パイロットが、大変に失礼な物言いを致しました……この通り、伏して謝罪申し上げます……」
「……初めまして……おはようございます……ブラッドフォード・アレンバーグ艦長……『ディファイアント』のアドル・エルクです……やや衝撃的なファースト・コンタクトでしたが、艦長の謝罪は受け入れます……宜しければ……好いお付き合いが出来ればと…願います……」
「……ご丁寧なご返答にて謝罪を受け容れて頂き、ありがとうございます……アドル艦長……私も…そう願っております……」
「……どう致しまして……時にアレンバーグ艦長……このファースト・コンタクトには、どのような意図や目的があるのでしょう? 」
「……はい……おそらく明日になるであろうとは思いますが……【『ディファイアント』共闘同盟】が……初めての組織的集団対艦戦闘に臨まれる……始まれば、本当に大変な戦いになるでしょう……その戦いの中で……宜しければ本艦も…微力ではありますが、『同盟』にとっての一助となれれば…と、考える次第です……」
「………宜しいでしょう……アレンバーグ艦長……貴方方が我が『同盟』に対して敵対しない……我々の作戦を邪魔しない……我々の作戦が意図する事……目的とする状態を理解して……最大限に尊重して頂けるのなら……ご自由に……ご随意になさって下さい……今、私から言える事は…それだけです……」
「……了解致しました……期待以上のご返答は頂きました……お時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした……またいずれ、お会いしましょう……それでは……」
接続は向こうから切れた……ほぼ同時に『ラムール・ハムール』が面舵を切って離脱して行く……そして約10秒後には、再びミラージュ・コロイドを展開させて姿を消した。
「……(息を吐いて)…コースを戻してくれ……30%増速して60分走ったら、ファースト・スピードで固定……」
「……はい……しかし……あれが天才艦長ですか? それにしては、やろうとしてる事がどうにも……」
ハル・ハートリーがそう応えて息を吐く。
「……まあ……そうなんだろうな……いくら天才でも、煩悩には勝てないんだろうさ……如何にもセコイし…淺ましい……我々の戦場を草刈り場にしようってんだから……副長……この事をシークレット・チャンネルを通じ、全艦に配付して注意喚起……強調するべきは……これからの戦闘で我々が不利だと彼らが観た場合……彼らは躊躇なく手の平を返して我々を攻撃するだろう……だから余計に負けられない、と言う訳だ………ハンナ……エマは今自室で休んでるんだが…ちょっと話をして、出て来られるようなら来て貰ってくれ……フィオナ……長距離偵察機『B』を発艦させたいから…パイロットを選んで派遣してくれ……」
「……分かりました……」
「……いやはや……驚かされたな……6th・ステージをクリアした6隻で……天才なのは、艦長を含むスタッフの全員だ……だからこそ……いや…でなければ、あそこまでのクリアは出来ない……だがメンタリティや煩悩は我々と変わらないから……そこから観るなら、読み易い面もある……それでも天才なものだから……それだけに扱いは非常に厄介だ……やっぱり出来るなら、関わり合いにはなりたくない……あまり出逢いたくないキャラクターだ……でも……彼等が軽巡の中では先んじて、重巡を撃沈するだろうな……エマを襲ったパイロット……かなりの腕だな……調べてくれ……リモート・アナライズ・チェンバー……マジで作る必要が出て来たな……ナンバー・ワン……暫くブリッジを頼む……ラウンジで、何か軽く食べて来るから……」
「……分かりました……ごゆっくり……」
と、エマ・ラトナー。
「……メイン・エンジン臨界パワー100%……噴射出力90%……サブ・エンジン臨界パワー100%……噴射出力80%……出力安定……」
と、リーア・ミスタンテ。
「……1次集結ポイントまで、このペースなら5時間ほどです……」
と、ハル・ハートリー。
「……分かった…リーア…長距離偵察機は? 」
「……あと2分で換装を終えます……」
「……了解…終わったら、1機を発艦態勢にセット……」
「……分かりました……」
「……ところでな、リーア……リモート・アナライズ・チェンバーを艦内で作れるかな? 」
「……?……!……艦長…敵艦のメイン・コンピューターをコピーするんですか? 無理ですよ……艦のコンピューターは標準仕様でも暗号化されています……遠隔では勿論……例え乗り込んでも無理でしょう……」
「……交信を装った搬送波に食い付かせて…コピーウィルスを送り込めれば、何とかならないかな? 」
「……どうでしょう? ウィルスが検知されれば浸潤範囲がブロックされますし…手動でシャットダウンされてしまえば、失敗します……」
「……いや…全面的なシャットダウンは出来ないよ……やってしまえば、メイン・リアクターの微妙なコントロールが出来なくなる……10分と経たずにオーバー・フローからオーバー・ロードが引き起こされるだろうからね……まあ…別に、今直ぐにって訳じゃない……取り敢えず、艦内にある部品でチェンバーが作れるかどうかだけでもチェックしておいてくれないか? 」
「……分かりました…観ておきます……」
「……ありがとう……エマ! 長距離偵察機『A』が発艦態勢に入る……パイロットを選抜して派遣してくれ……」
「……分かりました……」
そう応えたエマ・ラトナーは、そのまま立って歩き出す。
「……おい💦……まあ……そう来るかも、とは思ったけどな……分かったよ……気を付けて出てくれ……あんまり派手に飛ぶなよ……それと1時間でワンセットだから、それで戻れ……戻ったら『B』のパイロットを指名すること……」
「……了解です❤️…ありがとうございます❤️……行ってきます❤️…」
悪戯っぽくそう応えながら、私に流し目でウインクをくれて出て行く。
「……カリーナ……パッシブ・センサーレンジを『A』とリンクさせて、探査範囲を拡大設定……」
「……了解……」
「……シエナ……全艦に1時間交代で、長距離偵察機を出すように通達を出してくれ……」
「……分かりました……」
「……カリーナ……ハンナ……デコイからの発信とビーコンを通じての欺瞞交信は、各グループが1次集結ポイントを発進した以降に開始する……シエナはこの事も全艦に通達してくれ……」
「……分かりました……」
「……通達する事ばかりで悪いけどな……シエナ副長……これは各グループリーダーに通達だ……1次集結ポイントで合流して、3隻ひとグループとしての体制が整ったら、他のグループを待つ必要はないから…直ちに2次集結ポイントに向けて発進するように……」
「……分かりました…そのように伝えます……」
「……ああ、カリーナ……『マキシム・ゴーリキー』と『レディ・ブランチャード』は発進したかな? 」
「……はい…『マキシム・ゴーリキー』は20秒遅れで……『レディ・ブランチャード』は40秒遅れで発進しました……今はファースト・スピードに到達しています……」
「……分かった……あんまり……細かく指示したり…矢継ぎ早に通達を出したりしてると…うるさがられるかな? 」
「……まあ…今はまだ……大丈夫でしょう……ただ……これ以上は…自制した方が良いかも知れません……」
ハンナ・ウェアーがそう応じる。
「……まあ……そうだな……今から大質量誘導弾についての指示を出しても仕方ないが……あと現状では……これだけにしよう……長距離偵察機との連携の上で、他艦を感知した場合には……取り敢えず半速まで落として、コースは変えずに様子を観る……もしもインターセプトコースで接近して来るようなら……こちらに連絡するようにと……これだけ頼む……」
「……了解しました……」
「……ハル参謀……朝早くからの出航で…朝食を摂っていないクルーもいるだろう……30分間の限定で悪いけど……ラウンジでの飲食を許可すると通知してくれ……飲酒は不可だ……」
「……分かりました……ありがとうございます……」
「……どう致しまして……」
【「……ブリッジ! 聞こえますか? 長距離偵察機『A』…発艦準備完了! 」】
「……発艦を許可する……ある程度の操縦訓練も許可する……」
「……ありがとうございます❤️…発艦します! 」
「……長距離偵察機『A』…右舷から出ます……」
「……よし…トレース開始……」
「…了解…」
「……敵艦隊は、何を考えているんでしょう? 」
エレーナ・キーン参謀補佐だ。
「……うん……我々と同じだろうね……取り敢えず合流して……我々を見付け出すつもりだろう……」
「……それなら、私達が先手を取っていますね……」
と、ハル参謀。
「……うん…先手には違いないだろうが……何せ、こちらとの戦力比は10倍以上だから……2手先を取ったとしても…有利だとは言えないだろうね……」
「……だから……大質量誘導弾…ですね? 」
シエナ・ミュラーが核心に入る。
「……そうだ……最少でも10基は欲しい……15基あれば…もう少し作戦を立てやすくなるだろうけどね……各グループが合流して…2次集結ポイントに向けて発進したら……大質量誘導弾作製についての指示は出す……まだ配信番組でも私達が使った事は紹介されていない……だから彼等はまだ知らない……それでどれだけ先手を取れるのかが…勝負処だな……」
「……そうですね……」
「……うん…『マキシム・ゴーリキー』と『レディ・ブランチャード』から、長距離偵察機は出たか? 」
「……『マキシム・ゴーリキー』からは間も無く……『レディ・ブランチャード』からは、あと数分と応答がありました……」
「……『A』の様子はどうだ? 」
「……半径第3戦闘距離の150%で、周回航行中……2分に1回の頻度でアクロバット・ターンをやってます……」
「……まあ……外に出たくて、ウズウズしてたんだろうしな……敵艦隊の交信を傍受していて、何か新しい情報はあったか? 」
「……特にはありません……あの……まだ交信の傍受を続けますか…艦長? あの人達…言葉使いが酷くって……」
「……ああ…済まなかったね、カリーナ……フィオナ……悪いが、保安部から3人……交信傍受要員として出してくれ……センサー・チームと一緒に…30分交替で交信の傍受を担当して貰う……」
「……分かりました……ブリッジに呼びますか? 」
「……頼む……」
「…了解…」
……長距離偵察機『A』……
次々と迫り来る岩塊をひらりひらりと機体を捻ってギリギリで躱して飛ぶ『A』……
時折り、急激なターンを機体に掛けて跳ねるように…擦り抜けるように躱して飛ぶ。
コックピットでは引っ切り無しに接近・接触警報が鳴り響き続けている。
エマ・ラトナーは時々煩わし気な表情を観せながらも楽しそうな風情で、スティックを前後左右に操っている。
(…これ…何とかして切れないかな……後でリーアに訊いてみよう……)
右前方から迫る岩塊に対して、敢えて衝突コースを採る……ギリギリで反転するつもりで更に接近して行ったが、そのタイミングの2秒前だった……
(…えっ⁈ )
至近距離発泡の警告シグナルが点き、警報も鳴った。
左後方から来たヴァルカンの2連射を右に切って躱し、本当にギリギリで岩塊の右側面を擦り抜けて回り込む。
(…何⁈ 誰⁈ )
襲撃者も岩塊を右から回り込んで付いて来る……右後方…左後方からとヴァルカンの2連射に襲われるが、エマは機体を捻って躱わす……そんなに厳しい照準じゃない……迫る機影をモニターで観た。
(…シャトルファイター⁉︎ タンク付き⁉︎ )
襲撃者の攻撃を上下左右に躱しながら、シークレットチャンネルでエマージェンシーを出す。
「…艦長! 『A』からエマージェンシーです‼️ 」
「…何❗️ なぜ観えない……ミラージュ・コロイド! シエナ、ブリッジを頼む! ミラージュ・コロイドをlevel 4 で展開! 10%減速と増速…取舵10°に面舵10°…これらを5分毎に繰り返せ! 」
それだけ言ってヘッドセットを掴むとブリッジを飛び出す……走りながらヘッドセットを付ける。
「…リーア、聞こえるか⁈ シャトル1機を戦闘機に緊急換装! エマ! 何とか振り切れ! 」
「…無理です…結構腕が良くて…タンクを付けたまま…くっ付いて来ます! 」
「…何とか避け続けろ! 直ぐに行くからな! 」
「…艦長が⁈ 」
エマの絶叫を無視して切り替える。
「…リーア! エマが襲われてる! 俺が援護して連れ帰るから急いでくれ! 」
「…了解! ミサイルは? 」
「…要らない! 必要最少限で良い! 」
「…了解! 」
「…カリーナ! 艦は観えないか? 」
「…観えません! 今は第5戦闘距離の78倍まで観えますが、観えません! 」
「…分かった! 」
そう応えながら、機関室に飛び込む。
「…リーア! どこまでいった? 」
「…ファースト・ステップは終わりました…」
「…俺がセカンド・ステップをやるから、サード・ステップを段取れ! 」
「…了解! 」
……『A』コックピット……
間断なく、リズミカルでもない……襲撃者のヴァルカン攻撃は正確に2連射で10発ずつ……左右上下に機体を捻って、5発に1発含まれる曳光弾の軌跡を見送りつつ……岩塊を回り込んで距離を取ろうとするが……襲撃者の機体は離れない……
(…こいつ! 墜とす気がないのにしつこい! )
「……あなたがエマ・ラトナーね? 流石に『ディファイアント』のメイン・パイロット……かなりの腕ね? 」
(…こいつ…私を知ってる…)
【…エマ! ノーマル・チャンネルは封鎖中だ! 応えるなよ! 】
【…了解…】
「……でもあなた……もしかして自分が1番速いとか……1番上手いとか……思ってない? 」
(…こいつもレーサー? )
「……いくら貴女が【E・X・F】(エクセレント・フォーミュラ)」…エクスペリエンス・クラスに属するクラブ・チームのマスター・パイロットだと言っても……所詮は地上にへばり付いて走るだけのポッドレーサー……スピードでもターンでもパワーでも……エア・レースのそれとは比べ物にならないって事ぐらい……分かるわよね? 」
(…こいつ…エア・レーサー? )
「……あら? でもあなた……エア・レースにも出てるわね? 私から観て…確かふたつ下の、パワフル・ハヤブサ・ランクだったかしら? でもあなた……かなり好いセンいってるわよ……ランクふたつ下にしてわね……」
(……こいつ! 舐めてるんじゃないわよ! )
エマにしては瞬時の…かなり急角度で急激なターンを機体に強いて襲撃者の後ろを取ろうとしたが、襲撃者もそれを見越したかのように…急速・急角度なターンをスムーズに行って反転し、エマの後ろに着く……
【……レベッカ……そろそろパーティーはお開きだ……お迎えが来るぞ……】
【……了解……】
「……エマ・ラトナーさん? もう少しあなたと遊びたかったけど、そろそろ帰らなくちゃいけないわ……もう直ぐ貴女を迎えに来る、アドル・エルク艦長さんによろしくね? また機会があったら、遊びましょう? 次はお互いに戦闘機の仕様でね? ……私の名前は、レベッカ・スロール……貴女と同じメイン・パイロット……調べれば艦名も、艦長の名前も判るわよ……それじゃあね? 」
目にも止まらぬような反転で追跡コースから離脱すると、3秒で再びミラージュ・コロイドを展開して姿を消す……その5秒後に、私は『A』の左翼に着いた。
【……大丈夫か⁈ ケガは⁈ ダメージは⁈ 】
【……大丈夫です……ケガも…ダメージもありません……】
【……そうか……遅れてすまない……帰還するぞ……】
【……了解……】
そうは言ったものの……『A』もこちらもミラージュ・コロイドは装備していない……が、まあ……やりようはあるか……
【……シエナ、聞こえるか? コースを戻してくれ……艦と機体のナビゲーションA I を同期して、オートで着艦する……ミラージュ・コロイドは解除するなよ……速度はこのままで好い……】
【……了解ですが、艦長……襲撃機体の母艦が近くにいるのでは? 】
【……ああ…居るとは思うが、彼らの意図がまだ分からない……過剰な反応は控えよう……ただいきなり撃たれた場合には即時に反撃できるよう、最低限の準備は頼む……】
【……了解しました…では、同期します……】
【……エマ…私の後ろに着いてくれ……オート・コントロールで着艦する……大丈夫だな? 】
【……大丈夫です…艦長……迎えに来て下さって…ありがとうございます……】
【……当然だろ? 気にするな……】
その後、10分少々で2機とも着艦した……オートだからスムーズに終わる……手動じゃとても無理だ……止められた機体から降りる……泣きじゃくりながら抱き付いてきたエマをなだめて…自室でしばらく休むように言い、ブリッジに戻る。
キャプテン・シートに座って5秒でお客さんが姿を顕した。
「…! 艦です! 軽巡! 右舷90° 同方位で併走…距離、第1戦闘距離……」
「……まるで測ったかのようだな……遮蔽は解除していないのに、なぜ判る?……彼がそうだよ……私を遥かに超える天才艦長……これほどに見せ付けられると、一昔前に流行った形容詞を思い出してしまうな……おそらく6th・ステージをクリアした、6隻の内の1隻だろう……こんなに早く出逢うとは……これもフィールドが狭いせいかな? 」
「……艦長! あの艦からレーザー・ラインが届いています……何のつもりでしょう? 」
「……レーザーでの交信を要請しているんだな……それなら誰にも傍受されないから……」
「……どうしますか? 」
シエナは少し不安そうだ。
「……好いだろう……総ての遮蔽を解除して、レーザー通信回線を接続……」
程なくしてメイン・ビューワに映し出されたのは、年の頃は私より数才若く観える……何とも形容し難い男性だ……私に似ているような印象も受ける……が…一見してのインプレッションは、ファイター・タイプだ……髪は黒い短髪でカールが掛かり、眉は太い……虹彩の色は珍しいが、青緑色だ……今は柔和な表情で眼も優しく観えるが、眼力は強い……バスト・ショットで映っているが、適度な筋肉に覆われている。
「……おはようございます……初めまして……こちらは、軽巡宙艦『ラムール・ハムール』……私が艦長の、ブラッドフォード・アレンバーグです……どうぞ、お見知り置きを……『ディファイアント』のアドル・エルク艦長とお見受けします……先程は本艦のメイン・パイロットが、大変に失礼な物言いを致しました……この通り、伏して謝罪申し上げます……」
「……初めまして……おはようございます……ブラッドフォード・アレンバーグ艦長……『ディファイアント』のアドル・エルクです……やや衝撃的なファースト・コンタクトでしたが、艦長の謝罪は受け入れます……宜しければ……好いお付き合いが出来ればと…願います……」
「……ご丁寧なご返答にて謝罪を受け容れて頂き、ありがとうございます……アドル艦長……私も…そう願っております……」
「……どう致しまして……時にアレンバーグ艦長……このファースト・コンタクトには、どのような意図や目的があるのでしょう? 」
「……はい……おそらく明日になるであろうとは思いますが……【『ディファイアント』共闘同盟】が……初めての組織的集団対艦戦闘に臨まれる……始まれば、本当に大変な戦いになるでしょう……その戦いの中で……宜しければ本艦も…微力ではありますが、『同盟』にとっての一助となれれば…と、考える次第です……」
「………宜しいでしょう……アレンバーグ艦長……貴方方が我が『同盟』に対して敵対しない……我々の作戦を邪魔しない……我々の作戦が意図する事……目的とする状態を理解して……最大限に尊重して頂けるのなら……ご自由に……ご随意になさって下さい……今、私から言える事は…それだけです……」
「……了解致しました……期待以上のご返答は頂きました……お時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした……またいずれ、お会いしましょう……それでは……」
接続は向こうから切れた……ほぼ同時に『ラムール・ハムール』が面舵を切って離脱して行く……そして約10秒後には、再びミラージュ・コロイドを展開させて姿を消した。
「……(息を吐いて)…コースを戻してくれ……30%増速して60分走ったら、ファースト・スピードで固定……」
「……はい……しかし……あれが天才艦長ですか? それにしては、やろうとしてる事がどうにも……」
ハル・ハートリーがそう応えて息を吐く。
「……まあ……そうなんだろうな……いくら天才でも、煩悩には勝てないんだろうさ……如何にもセコイし…淺ましい……我々の戦場を草刈り場にしようってんだから……副長……この事をシークレット・チャンネルを通じ、全艦に配付して注意喚起……強調するべきは……これからの戦闘で我々が不利だと彼らが観た場合……彼らは躊躇なく手の平を返して我々を攻撃するだろう……だから余計に負けられない、と言う訳だ………ハンナ……エマは今自室で休んでるんだが…ちょっと話をして、出て来られるようなら来て貰ってくれ……フィオナ……長距離偵察機『B』を発艦させたいから…パイロットを選んで派遣してくれ……」
「……分かりました……」
「……いやはや……驚かされたな……6th・ステージをクリアした6隻で……天才なのは、艦長を含むスタッフの全員だ……だからこそ……いや…でなければ、あそこまでのクリアは出来ない……だがメンタリティや煩悩は我々と変わらないから……そこから観るなら、読み易い面もある……それでも天才なものだから……それだけに扱いは非常に厄介だ……やっぱり出来るなら、関わり合いにはなりたくない……あまり出逢いたくないキャラクターだ……でも……彼等が軽巡の中では先んじて、重巡を撃沈するだろうな……エマを襲ったパイロット……かなりの腕だな……調べてくれ……リモート・アナライズ・チェンバー……マジで作る必要が出て来たな……ナンバー・ワン……暫くブリッジを頼む……ラウンジで、何か軽く食べて来るから……」
「……分かりました……ごゆっくり……」
0
お気に入りに追加
83
あなたにおすすめの小説
『星屑の狭間で』(対話・交流・対戦編)
トーマス・ライカー
SF
国際総合商社サラリーマンのアドル・エルクは、ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』の一部として、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』に於ける、軽巡宙艦艦長役としての出演者募集に応募して、凄まじい倍率を突破して当選した。
艦長役としての出演者男女20名のひとりとして選ばれた彼はそれ以降、様々な艦長と出会い、知り合い、対話し交流もしながら、時として戦う事にもなっていく。
本作では、アドル・エルク氏を含む様々な艦長がどのように出会い、知り合い、対話し交流もしながら、時として戦い合いもしながら、その関係と関係性がどのように変遷していくのかを追って描く、スピンオフ・オムニバス・シリーズです。
『特別解説…1…』
この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移します。
まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』
追記
以下に列挙しますものらの基本原則動作原理に付きましては『ゲーム内一般技術基本原則動作原理設定』と言う事で、ブラックボックスとさせて頂きます。
ご了承下さい。
インパルス・パワードライブ
パッシブセンサー
アクティブセンサー
光学迷彩
アンチ・センサージェル
ミラージュ・コロイド
ディフレクター・シールド
フォース・フィールド
では、これより物語が始まります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

びるどあっぷ ふり〜と!
高鉢 健太
SF
オンライン海戦ゲームをやっていて自称神さまを名乗る老人に過去へと飛ばされてしまった。
どうやらふと頭に浮かんだとおりに戦前海軍の艦艇設計に関わることになってしまったらしい。
ライバルはあの譲らない有名人。そんな場所で満足いく艦艇ツリーを構築して現世へと戻ることが今の使命となった訳だが、歴史を弄ると予期せぬアクシデントも起こるもので、史実に存在しなかった事態が起こって歴史自体も大幅改変不可避の情勢。これ、本当に帰れるんだよね?
※すでになろうで完結済みの小説です。
【本格ハードSF】人類は孤独ではなかった――タイタン探査が明らかにした新たな知性との邂逅
シャーロット
SF
土星の謎めいた衛星タイタン。その氷と液体メタンに覆われた湖の底で、独自の知性体「エリディアン」が進化を遂げていた。透き通った体を持つ彼らは、精緻な振動を通じてコミュニケーションを取り、環境を形作ることで「共鳴」という文化を育んできた。しかし、その平穏な世界に、人類の探査機が到着したことで大きな転機が訪れる。
探査機が発するリズミカルな振動はエリディアンたちの関心を引き、慎重なやり取りが始まる。これが、異なる文明同士の架け橋となる最初の一歩だった。「エンデュランスII号」の探査チームはエリディアンの振動信号を解読し、応答を送り返すことで対話を試みる。エリディアンたちは興味を抱きつつも警戒を続けながら、人類との画期的な知識交換を進める。
その後、人類は振動を光のパターンに変換できる「光の道具」をエリディアンに提供する。この装置は、彼らのコミュニケーション方法を再定義し、文化の可能性を飛躍的に拡大させるものだった。エリディアンたちはこの道具を受け入れ、新たな形でネットワークを調和させながら、光と振動の新しい次元を発見していく。
エリディアンがこうした革新を適応し、統合していく中で、人類はその変化を見守り、知識の共有がもたらす可能性の大きさに驚嘆する。同時に、彼らが自然現象を調和させる能力、たとえばタイタン地震を振動によって抑える力は、人類の理解を超えた生物学的・文化的な深みを示している。
この「ファーストコンタクト」の物語は、共存や進化、そして異なる知性体がもたらす無限の可能性を探るものだ。光と振動の共鳴が、2つの文明が未知へ挑む新たな時代の幕開けを象徴し、互いの好奇心と尊敬、希望に満ちた未来を切り開いていく。
--
プロモーション用の動画を作成しました。
オリジナルの画像をオリジナルの音楽で紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?v=G_FW_nUXZiQ
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
【『星屑の狭間で』『パラレル2』(アドル・エルク独身編)】
トーマス・ライカー
SF
舞台は、数多ある地球圏パラレルワールドのひとつ。
超大規模、超高密度、超高速度、超圧縮高度複合複層処理でのハイパー・ヴァーチャル・エクステンデッド・ミクシッド・リアリティ(超拡張複合仮想現実)の技術が、一般にも普及して定着し、ハイパーレベル・データストリーム・ネットワークが一般化した未来社会。
主人公、アドル・エルクは36才で今だに独身。
インターナショナル・クライトン・エンタープライズ(クライトン国際総合商社)本社第2棟・営業3課・セカンドセクション・フォースフロアで勤務する係長だ。
政・財・官・民・公・軍がある目的の為に、共同で構築した『運営推進委員会』
そこが企画した、超大規模ヴァーチャル体感サバイバル仮想空間艦対戦ゲーム大会。
『サバイバル・スペース・バトルシップ』
この『運営推進委員会』にて一席を占める、データストリーム・ネットワーク・メディア。
『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が企画した
『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』と言う連続配信リアル・ライヴ・ヴァラエティショウが、民間から男性艦長演者10名と女性艦長演者10名を募集し、アドル・エルクはそれに応募して当選を果たしたのだ。
彼がこのゲーム大会に応募したのは、これがウォー・ゲームではなく、バトル・ゲームと言う触れ込みだったからだ。
ウォー・ゲームであれば、参加者が所属する国・団体・勢力のようなものが設定に組み込まれる。
その所属先の中での振る舞いが面倒臭いと感じていたので、それが設定に組み込まれていない、このゲームが彼は気に入った。
だがこの配信会社は、艦長役演者に当選した20名を開幕前に発表しなかった。
連続配信リアル・ライヴ・ヴァラエティショウが配信されて初めて、誰が選ばれたのかが判る仕掛けにしたのだ。
艦長役演者に選ばれたのが、今から90日前。以来彼は土日・祝日と終業後の時間を使って準備を進めてきた。
配信会社から送られた、女性芸能人クルー候補者名簿から自分の好みに合い、能力の高い人材を副長以下のクルーとして選抜し、面談し、撮影セットを見学し、マニュアルファイルを頭に叩き込み、彼女達と様々な打ち合わせや協議を重ねて段取りや準備を積み上げて構築してきた。
彼の目的はこのゲーム大会を出来る限りの長期間に亘って楽しむ事。
会社からの給与とボーナス・艦長報酬と配信会社からのギャラ・戦果に応じた分配賞金で大金持ちになる事と、自分が艦長として率いる『ディファイアント』に経験値を付与し続けて、最強の艦とする事。
スタッフ・クルー達との関係構築も楽しみたい。
運営推進委員会の真意・本当の目的は気になる処だが、先ずは『ディファイアント』として、戦い抜く姿を観せる事だな。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる