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出航

フィオナ・コアー…5…

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自室に入ると私は歯を磨いて顔を洗い、丹念にタオルを使った。

そして皆が出来るだけ座れるように、椅子の代わりになるような物を総て出して並べ、ギターを取り上げるとチューニングを確認した。

それが終わると、ミルクティーを淹れ始める。まだティーカップは数個しか持ち込んでいないのだが、大き目の紙コップを200個程持ち込んでいるのでそれを使う事にする。

あと一手間で仕上げられるくらいにして、保温状態にする。楽譜ファイルとプリント・ファイルを取り出し、譜面台も出して拡げて床に置いた。その時、チャイムが鳴ったので入るように応答した。

ドアが開くと副長を先頭にして、メイン・スタッフの全員が入室する。

「やあ、いらっしゃい。適当に座って寛いでくれ。今、ミルクティーを仕上げるから…ああ、細かい注文があったら言ってくれ? やるから。それから、そこの紙コップを並べてくれ…」

シエナとハンナとハルとで、プレートとトレイの上に紙コップを並べてくれる。シナモンの要望が3人から、バニラ・エッセンスの要望が2人から、オレンジ・アロマティック・ビターズの要望が2人から寄せられたので、それらの要望にも正確に応えつつ紙コップにそれぞれのミルクティーを淹れていった。

「さあ、お待ち遠さま。この3つがシナモンで、この2つがバニラ・エッセンス。それでこの2つがオレンジ・ビターズだ…紙コップで悪いけどな。熱いから気を付けてくれよ…」

そう言いながら、洗った手をタオルで拭く。先程の3人にエマとアリシアも加わり、紙コップのミルクティーを配った。

「…じゃあ、ご苦労さん。色々とあるから、早速始めよう。先ず副長、カーラ・ブオノ・マルティーヌ副長についての、君達の統一見解を聞かせてくれ? 」

「…はい、私達のグループ会議室で話し合いましたが、こちら側から彼女に対して先にアプローチすると言う事はしない、と決まりました。今の彼女には副長としての立場もありますし、彼女を副長に任命したガンナー・ヴァン・ハンプトン艦長のお立場と意向もありますので…それに、彼女と深刻に対立して最後に激しく言い争ったのは、今から3年前ですので蒸し返しにも成り兼ねませんから…」

「…そうか、分かった。ご苦労さん。君達の統一見解は尊重するが、今回の接待は私が起点となっていると言う事でもあるので、最低限の内容で私から彼女に連絡は執る。つまり、お客さんとして招待するメンバーがどう言う人なのか、とかね? それを踏まえた上でお客さんのご機嫌を損ねないように、宜しく頼みたいと伝えるぐらいで好いだろうと思う…彼女も大人だから、その辺は弁えてくれるだろう…」

「…はい、分かりました。私もそれで好いと思います」

「…OK、それじゃ次に移ろう。今夜の親睦パーティーの進行は実行委員会に任せているから、私が言う事は何も無い。私が準備しているのは、艦長としてのスピーチと、乾杯の音頭と、ハンナとミア・カスバート嬢の合同誕生祝賀会に於けるスピーチくらいなんだが、それで好いのかな? マレット? 」

「…はい…それで結構です。アドル艦長…」

「…パーティーの司会は誰だい? 」

「私です」

と、ハンナ・ウェアーが手を挙げる。

「そうか…じゃ、君の指示に従えば好い訳だな?♡」

「そうですね。宜しくお願いします♡アドル艦長♡」

「ああ、分かったよ♡それはそうと、今日のミルクティーはどうだい?♡」

「とっても美味しくて♡本当に癒されます♡溶けてしまいそうです♡」

と、エマ・ラトナー。

「私は羽毛のように舞い上がりそうです♡」

と、ミーシャ・ハーレイ。

「今の私は風に流れるシャボン玉です♡」

と、パティ・シャノン。

「私は雲ですね♡雲そのものです♡」

と、アリシア・シャニーン。

「分かったよ。ありがとう♡結構上手く仕上がったから、評価を聞きたくてね♡まだティーカップの数が全然足りないから、揃えていくよ♡…それじゃあ、私が君達と絡む歌の出し物について話すよ。順番がどうなるか判らないんだけど、私とパティとミーシャとで『例え世界中に嫌われても』…これは2人とも大丈夫だな? 何も無くても? 」

「大丈夫です♡」

「お任せ下さい♡」

「…OK。次は私とシエナ副長とで彼女のデビュー曲、『恋は不思議色』…これも大丈夫だな? シエナ?♡」

「…はい…大丈夫です…」

「何だよ、シエナ…可愛くいこうぜ♡?…それで、次は私とカウンセラーとで彼女のデビュー曲、『リップスティック・ネットワーク』…歌えるかい? カウンセラー?♡…」

「えっ、アドルさん、本当にやるんですか? 」

「何だよ、一緒にやるって約束しただろ?! 」

「…はい…分かりました。やります…すみません…でも、ちょっと忘れかけていて…不安なので、何か頂けたら安心出来るんですが…? 」

その言葉を聞いて私は、プリント・ファイルの中から1枚のプリントされた紙片と、ポケットから小さいソリッド・メディアを取り出して併せ、ハンナに手渡した。

「それを読みながら何回か繰り返して聴いて貰えれば、ハンナならまた完璧に歌えるようになるよ♡だから今夜はハンナも可愛くいこうな♡? 」

「分かりました。ありがとうございます♡宜しくお願いします…」

「…次はマレット・フェントン補給支援部長…5年前だったかな? 従兄の男性ヴォーカリストとデュエットした『最初のyaiyai』…憶えてるだろ? それを一緒に演ろう。大丈夫かな? 」

「…え~と…6年前でしたね…あれは…。すみません、アドルさん。私もハンナと同じで大分忘れ掛けていて不安なので、何か頂けると助かります…」

それを聞いてまた私は、1枚のプリントとソリッド・メディアを取り出してまた併せ、マレットにも手渡す。

「…ちょっと時間を見付けて聴いて、思い出してくれ。あの時のちょっとエロチックな感じで頼むよ。好いかな? マレット? 」

「…分かりました…頑張ります…」

「これで4曲か。5曲目は昨日のハンナの誕生日に彼女に捧げた『ハンナ』なんだけど、ミア・カスバート嬢も明日が誕生日だから今夜の誕生祝賀会の中で、彼女にも捧げる形で『ハンナ・ミア』と改題して、改めて2人に捧げて歌いますので、よろしく…そして6曲目は、またギターの弾き語りで『ミラージュ』…これだとピアノの弾き語りが無いな…じゃあ、『例え世界中に嫌われても』をピアノでやるよ…それで…最後の7曲目なんだけど、これはね…フィオナをイメージしていたら、出来たんだ…」

フィオナの名前を出した時、その場の全員の間で驚きの波紋が拡がり、緊張度が上がった。

「いや、あの…イメージして書いた、んじゃなくて…フィオナをイメージしていたら自然と降りて来たり、湧いて来たりして出来上がった曲なんだ…好い曲だとは思うんだけど…歌詞に…問題があるかも知れないと感じたんで、パーティーで歌おうと思っているんだけど、その前に皆で聴いて貰って意見を集めてから、歌うかどうかの判断をしたい…それじゃ、好いかな? 聴いて下さい…『嘆きのソフィア』…」

そう言い終えると椅子をデスクの前に出して置き、スタンドからギターを取り上げると椅子に掛けて構え、ハーモニクスを様々に響かせて音程の最終確認をした。

イントロは8ビートでダンサブルなジャジー・ナンバーだが、曲調は少し暗めで切な気で寂し気なものだ。


「♪アイ・アイ・アイ♫恋は君に♬どんな酷い事をしたの?♪…」

「♪過去に♬アイ・アイ・アイ♪怯え♬アイ・アイ・アイ♪眠れぬ嘆きのソフィア♫…」
 
「♫テーブルの上♪真珠のピアス♫君は静かに外す♪悲し過ぎてる♪瞳綺麗で♫僕さえも追い詰める♪…」

「♪ただ眼を閉じて♪身体を投げ出して♪自分を虐めてまで♪…何から逃げたいの?…♪I say♪」

「♪アイ・アイ・アイ♫誰が君に♪そんな酷い事をしたの?♬…」

「♬夜に♪アイ・アイ・アイ♪怯え♬アイ・アイ・アイ♪眠れぬ嘆きのソフィア♫…」

  ♫【間奏】♪

「♪耳に掛けてた♬髪が滑って♩表情を隠しても…♪愛の総てを♫知っている声に♪堪らなく嫉妬する♩…」

「♪悲鳴を挙げては♩しがみ付く爪が♪ナイフのように♫…僕の心を抉るよ♪…♪you say♫」

「♪アイ・アイ・アイ♫恋は君に♬どんな酷い事をしたの?♪…」

「♫影に♩アイ・アイ・アイ♫怯え♪アイ・アイ・アイ♪眠れぬ嘆きのソフィア♫…」

  ♫【間奏】♪

「♪月だけが観ている・この夜♫少女の君を♩…取り戻す♫もう一度♪僕が微笑みを・あげたい♪…♪I say♪」

「♪アイ・アイ・アイ♫恋は君に♬どんな酷い事をしたの?♩…」

「♫過去に♩アイ・アイ・アイ♫怯え♪アイ・アイ・アイ♩眠れぬ嘆きのソフィア♫…」

「♩アイ・アイ・アイ♫誰が君に♪そんな酷い事をしたの?♬…」

「♬夜に♪アイ・アイ・アイ♪怯え♬アイ・アイ・アイ♪眠れぬ嘆きのソフィア♫…」

「♩愛に♪怯え♩…♪眠れぬ嘆きのソフィア♫」………【終奏】


私は最初から最後までフィオナ・コアーの眼を直視して、歌い終えた。フィオナは直ぐ眼を瞠り、両手で口を押えたが視線は私の眼から最後まで外さなかった。フィオナだけを観ていたから、他のメンバーがどんな表情をしていたのかは解らない。フィオナの眼から涙が溢れて滴り落ちる。後半に入ると嗚咽も漏らしていたが、視線は私の眼から外さなかった。それだけでも感嘆に値すると思った。

唄い終えるとフィオナは、上体を折り曲げて座りながら突っ伏すようにして嗚咽を漏らしながら、ポロポロと涙を溢れさせ、零し続けて泣き続けている。マレットとアリシアが両側から傍に寄り、抱きかかえるようにして支える。

「…フィオナ…あなた…アドルさんに話したの?!…」

ハンナも顔を歪ませてポロポロ涙を流していたが、それでも少し強めに詰問するとその瞬間、上体を跳ね上げるようにして起き上がり、叫んだ。

「話してない!! 話せる訳ない!! あんな事! 話す訳ないじゃない! 」

そう叫ぶと、また突っ伏して嗚咽するフィオナ。私はギターを立て掛けて置くとフィオナの傍まで行き、片膝で座って彼女の右肩に左手を置いた。

「すまない、フィオナ。本当に悪かった。そんなに君の心を傷付けるとは思わなかったんだ。もうこの歌は2度と歌わない。楽譜も処分する。絶対にもう歌わないから。今夜パーティーで歌うのは、6曲だけにするからな…皆も驚かせて悪かった。これほどフィオナの心を傷付けるとは思わなかったんだ。じゃあ、これで解散するよ。午後からのサード・ステージの続きに備えてくれ…」

そう言いながら立ち上がろうとしたのだが、私の左手をフィオナが右手で取って立ち上がり、私の唇に唇を1秒だけ重ねて、そのままハグして来た。

「…アドルさん…違うんです…」

フィオナは閉じた眼を、ジャケットの左肩に押し当てて溢れる涙を吸わせながら言う。

「…何が違うんだい? フィオナ? 」

「私は今…すごいショックを受けましたけど…傷ついてるんじゃない…あの頃の…酷い記憶に…やっと正面から…向き合えれるようになって…驚いてもいますけど…解放されたって…自由になれたって…ただの…もう怖くない…普通の思い出に出来て…嬉しいんです…ありがとう…ございます…私は…もう…」

「…フィオナ…あなた…そこまで私に話すのに、何年も掛かったのに…1曲聴いただけで…」

ハンナがそう声を絞り出して、また涙を零す。

「もう好いよ、フィオナ。もう好い。もう言わなくて好い…ゆっくりと呼吸して…もう怖くない…何も怖くない…もう酷い事は無い…悲しい事も無い…酷い夢も観ない…夜も怖くない…影も怖くない…もう只の思い出だ…何も怖くない…何も、誰も君を怖がらせない…もう大丈夫だ…ゆっくりと深呼吸して…大丈夫だよ・・何も怖くない…よく頑張った…よく乗り越えた…もう全部…フィオナの1部になった…何も心配ない…もう安心だよ…さあ、落ち着いて…もう大丈夫だよ…」

私はフィオナにそう語り掛けながら、優しく髪と頭を撫でて、優しく抱き締め続けた。ようやくフィオナが顔を離して、泣き腫らした眼で私に笑い掛けるまで、20分少々だったと思う。申請した昼食休憩時間が終わるまで、もうあまり無い筈だ。

「…ハンナ…ミーシャ…フィオナを自室に連れて行って休ませてくれ…彼女が眠るまでブリッジに上がらなくて好い。只眠ったら、それだけ連絡してくれ…シエナ…当面保安部長はカリッサに代行させる…フィオナの席に座るように伝えてくれ…よし…もうあまり時間が無い…皆ブリッジに上がって準備してくれ…行こう…」

フィオナをハンナとミーシャに任せて託し、私は皆を促した。最後に自室から出た私は、フィオナの個室に向かう3人の後姿を見遣ってから、ブリッジへと向かう。

ブリッジに入っても状況は止まった時と変わらなかったが、自分のクロノ・ウォッチで確認すると、昼食休憩時間が終わるまで後7分だった。

「コンピューター、艦内オール・コネクト・コミュニケーション」

【コネクト】

「ブリッジより全乗員に告げる。こちらは艦長だ。後数分でサード・ステージが再開される。総員第1戦闘配置。ベルト着用してくれ」

そう言い終えて、真っ直ぐ前を観る。

「シエナ…フィオナの過去については言わなくて好い。只君の感触として、これだけは応えてくれ。彼女は保安部長として復帰出来るか? 」

「それは出来ます。間違い無く」

「分かった。君がそう言うなら信じる。もう直ぐ始まるぞ…」

「はい、ありがとうございます」

「あの歌は保留だ。シエナ…それに私はもう、誰かをイメージして歌を作るような事はしない…」

「…アドルさん…」

「…好いんだ。始まるぞ。集中してくれ…」

「…分かりました…」

ブリッジも含めて全乗員が、凍った時が融けて流れ出すのを待っている。私はフィオナに対して申し訳ない想いが強かったが、それを飲み込んで前を見据えた。

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