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出航
セカンド・ステージ…3…
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撮影セットで自席に座っている私達にも加速が掛かるように再現されて、身体がシートに押さえ付けられる。
エマ・ラトナーは右に左に舵を切って岩塊を躱しながら、嬉しそうに楽しんで『ディファイアント』を走らせていた。
「艦長! 『B』がフロント・ミサイル斉射しました! 8本! 」
「ほう…こちらのパワーサインを追い掛けるようにプログラムした、ホーミングだな…」
「続けて第2斉射! 16本! 」
「ミサイルはあっちも無尽蔵だから、撃ちまくってこっちの脚を止めようと言うんだな…」
「第3斉射です! 24本! 」
「エマ! 岩塊はギリギリで躱して回り込め! 岩塊にミサイルを接触させて数を減らす! 」
「了解! 」
「『B』に対して直線で5秒以上艦体を晒すなよ! ヴァリアントを撃って来るぞ! 」
「了解! 」
「艦長! 第4、第5斉射です! 40本! 最初の8本が到達するまで、140秒! 」
「カリーナ! アクティブ・パワースキャン、スタンバイ! 」
「スタンバイ! 」
「コンピューター。パワースキャンを掛けて、帰って来た反射波を基に改めてチャートを作成して3D投影! 」
【スタンバイ】
「よし、打て! 」
「発振! 」
アクティブ・パワースキャンの探査波が発振され、帰って来た反射波を受けてコンピューターが、投影されている3Dチャートの映像をリセットした。
「カリーナ、接近中のミサイルの映像もチャートに出してくれ」
「了解」
接近中のミサイルを表すポイントマーカーと、その航跡も3Dチャートに表示された。
「第1波ミサイル到達まで、100秒! 」
カリーナがそう報告してからも、私は20秒間チャートを観ていた。
「第1波ミサイル到達まで、80秒! 」
「エマ! 27%減速! 以降指示するまで、その速度を維持! 今、コースを送る! 」
そう言って目の前のタッチパネルにチャートを呼び出し、指でなぞってコースを設定すると、メイン操舵席のパネルに送った。
「…! 艦長! このコースは!?…」
「そうだ! このコースを今のスピードを維持して航行し、ミサイルを躱す! コースに入ってくれ! 」
「了解! コースに入ります! 」
そう言ってエマは、面舵40°アップピッチ15°に切り、岩塊の間隙に『ディファイアント』を入り込ませる。
「第1波ミサイル到達まで50秒! 『B』は第8斉射まで撃ちました。64本! 」
「ミサイルを躱して数を減らすと同時に、『B』がこのコースで本艦を追尾して来るなら、この6番目のヘアピン・ターンを曲がり切って出た処で、ちょうど目の前に『B』の右舷艦首が観える筈だ! エドナ! このタイミングは1秒ちょっとだ! 逃さずに徹甲弾2発と主砲の一斉射を直撃させてくれ! 」
「了解ですが、もしも追尾して来なかったらどうしますか? 」
「心配無い! 『B』が追尾して来なかったとしても、そのままこのコースを同じ速度で航行すれば、9番目のターンを曲がり切って出た処で、眼の前に『B』の左舷艦尾が観える筈だ! その瞬間に全兵装で総攻撃を掛ける! 」
「了解しました! 」
「第1波ミサイル、到達まで10秒! 既に半数が岩塊に接触して自爆! 」
「速度・コースこのまま! 『B』からのミサイルは気にするな! このコースをこのスピードで行くなら当たりはしない! エマ! ヘアピン・ターンでも速度は落すな! その他の操艦は任せる! 」
「お任せ下さい、艦長! ヘアピン・コースは得意です! 」
「頼む! カリーナ! 『B』の動きは読めるか? 」
「『B』のパワーサインは…コースに進入しました! 」
「やはり来たか…爆発の余波と散乱する岩塊の破片が荒れ狂っている中では、接近しなければ状況は確認できないからな…」
「最初のヘアピン・ターンまで10秒! 」
「総員シート・ベルト着用! 慌てずに落ち着いてやってくれ」
『ディファイアント』は岩塊同士が近接して織り成す狭い隘路をかなりの高速で進んで行く。40秒に1回位の割合で急激なターンを掛けて別の隘路に滑り込みながら『B』からの対艦ミサイルを躱し、岩塊に接触させて自爆させていく。爆発で散乱する岩塊の破片が艦体に当たっているが、パイロット・チームは落ち着いて操艦を制御し、コースもスピードも維持している。
「エマ、更に3%減速だ。ミサイルは大丈夫だと思うが『B』の脚が少し遅い。第6ヘアピン・ターンでタイミングを合わせる為だ。念の為に出力30%でシールドアップ。これでミサイルが数発当たっても問題は無いだろう…」
「分かりました! 」
「エドナ、レナ、やはりタイミングは2秒弱だ。エドナはヴァリアントで。レナは主砲でタイミングを外さずに直撃させてくれ。距離は第1戦闘距離の7割程度だと思う…」
「了解しました」
「分かりました」
その直後。間を置かずに3回の衝撃が撮影セットに走る。
「何だ!? 」
「『B』からの砲撃です! 3発当たりました! シールドパワー18%! 」
「…くっ…シールドダウン! なまじっかシールドを展開していたものだから、パワーサインとも相俟って狙いを絞らせてしまったな…まあ良い。好い学びになったと思おう…第6ヘアピン・ターン迄は?! 」
「約160秒! 」
模擬敵艦『B』はまだ砲撃を続けていたが『ディファイアント』がシールドを切った事で照準が更に甘くなり、それ以降ビームが直撃する事は無かった。
「エマ、振り回しはどうだ?! キツくないか? 」
「大丈夫です! 艦体のパワースライドにアテるカウンター・スラスターのパワーレベルを上げていますから! 」
「分かった! 落ち着いて頼む! 」
「了解! 」
「あと40秒! 」
「よ~し、来るぞ! エドナ! レナ! スコープに入ったら撃て! トリガーは任せる! 」
「了解! 」
「ハイパー・ヴァリアント起動。徹甲弾2発、連射セット! 」
「主砲1番~4番、副砲1番ともに仰角0。臨界パワー120%、発射出力110%、1斉射用意! 」
「第6ヘアピン・ターンに……入ります! 」
音が聴こえるなら、凄まじい轟音を轟かせながら艦体をパワースライドさせて急速ターンをかける『ディファイアント』がド迫力で迫るだろう。
「ターン・アウト5秒前! 3、2、正面! 今!! 」
急速回頭中の『ディファイアント』正面に入った『B』の艦首右舷。エドナ・ラティスとレナ・ライスはその瞬間を逃がさずにトリガーを絞る。
徹甲弾2発と主砲・副砲の1斉射が『B』の艦首右舷に突き刺さり、『B』が一瞬身震いしたように観えたが、『ディファイアント』が次の瞬間で別の隘路に滑り込んだので、視界領域からは外れた。既に『B』から発射された対艦ミサイルは全弾躱している。
「命中しました!! 」
「全員、よくやってくれた! コースに注意してくれ。もう暫く掛かる。エマ! 3%増速! このスピードでこのままコースを抜ける! カリーナ! コースを抜けたらアクティブ・スキャンを掛けて『B』の位置を確認する! 損傷率は読めるか? 」
「44%です。シールドアップしていますが、パワーレベルは以前と比べて落ちています。もう一息です」
「ああ、近くまで寄れれば押し切れる可能性はある…或いは逆にシールドを外して最後の撃ち合いを挑んで来る可能性もあるな…」
「…そうなった場合には…? 」
と、ハル・ハートリー。
「…こっちの損傷はまだ軽微だから大丈夫だ。それに撃って来るならその方向にステップ・インしてカウンター・ショットをキメてやるさ。その他には、このまま逃走すると言う可能性もある。そうなったら決着を付けるのはちょっと厳しいな。時間を稼がれれば、ある程度回復してしまう…」
「第9ターンまで30秒! このターンを曲がり切ったら、コースから抜けます! 」
「よし、アクティブ・スキャン用意。さて、向かって来るか、逃げて行くか…エマ! 『B』がシールドを降ろして撃ち合う姿勢を観せていたら、右舷艦尾スラスター全速で、左舷艦首スラスター半速だ! 『B』からの射線を外しながら、艦首は『B』に向け続けるように操艦してくれ! 」
「了解! 」
「最終ターンまで10秒! 艦長! コースの出口付近で『B』のパワーサイン! 」
「待っているのか? 」
「ターンに入ります! 」
グゥオオウッと最後の急速ターンに入る。
「『B』はシールドを張っているのか?! 」
「張っていません! 」
「撃ち合うつもりか…総員! 『B』は撃ち合うつもりだ! 全艦砲雷撃戦用意! 最後の撃ち合いを敢行して決着を付ける! 」
「了解! 」
かなりの高速でパワー・スライド・ターンを続けながら姿勢を制御しつつ急速に回頭する『ディファイアント』
もう間も無く出口だ。
「ターン・アウトまで7秒! 艦長! 『B』が兵装を起動! 」
「読んでいるのか? 出たら直ぐに撃ち合うぞ! 」
「4! 3! 出ます! 艦首左舷! 」
最終第9ターンを曲がり切ってコースから抜け出た『ディファイアント』の正面左15°、アップピッチ7°、距離1200mの所で、『B』が艦首をこちらに向けようとしていた。
「右舷アップサイド・スラスター全速! 左舷ダウンサイド・スラスター半速! アップピッチ7°! 主砲全力斉射! 」
『ディファイアント』が艦首を『B』に指向しつつ艦体を左下にスライドさせ始める。『B』の主砲3基から撃ち出されたビームが、その一瞬前に『ディファイアント』の居たポイントを通過し、お返しに主砲4基から発射されたステップイン・カウンターショットが『B』の艦首に突き刺さった。
それからは両艦ともにミサイル・ビームの激しい撃ち合いに入る。
「艦尾艦底部スラスター全速! 艦首アップサイド・スラスター半速! 全兵装構わずに撃ち続けろ! カリーナ! 彼我の損傷率を! 」
直撃の衝撃が撮影セットを揺るがせる。ブリッジのメイン・ビューワにもノイズが走る。
「損傷率46! 12! 51! 19! 56! 25! 58! 29! 『B』が止まりました! 」
「攻撃中止! 右舷全速! 取舵一杯! 両舷全速離脱! 」
攻撃を中止した『ディファイアント』が両舷全速で取舵一杯に切り、離脱コースに入って7秒後に『B』は艦体を大きく震わせながら爆発した。
膨れ上がる爆発光の中で爆散する『B』を、メイン・ビューワの右端で確認した。
「…『B』の撃沈を確認…」
「…エンジン停止…戦闘配置を解除して、第2警戒配置へ…ダメージ・リポート! 」
「…損傷率29%…結構な深手です…」と、カリーナ・ソリンスキー。
「…艦体外殻に損傷7%…自動修理モードに入ります…」と、フィオナ・コアー。
「…艦首左舷のシールド・ジェネレーターを損傷…パワーを切って自動修理モードに入ります…」と、リーア。
「…左舷対空ミサイル・ランチャーを破損…閉鎖して自動修理モードに入ります…」と、ローナ・ハートナー。
「…主砲3番砲塔を損傷…パワーを切って閉鎖し、自動修理モードに入ります…」と、エドナ・ラティス。
「…フロント・ミサイル4番・6番発射管を損傷…パワーを切って自動修理モードに入ります…」と、アリシア。
「…艦首左舷のロケット・アンカーが破壊されました。自動修理モードに入ります…」と、エマ・ラトナー。
「…6ヶ所のアポジモーターと、左舷アップサイド・スラスターを損傷しました。パワーを切って自動修理モードに入ります…」と、リーア・ミスタンテ。
『ディファイアント』の損傷報告は以上だった。
大きく息を吐いて右手で髪を掻き上げながら深くシートに座り直す。
「結構やられたな…これで30分後にはスペック2倍の模擬敵艦3隻を相手にしなきゃならないのか…とてもじゃないが、やりようが浮かばない…副長、取り敢えずセカンド・ステージクリアと言う事で、秘密回線を通じて勝利宣言を頼む…カリーナ、『B』との戦闘記録を圧縮して、これも秘密回線を通じて僚艦に配付してくれ…」
「分かりました」
「了解しました」
「メイン・コンピューターに異常は無いか? 」
「異常ありません」
「よし、全艦をオート・コントロールへ。30分しか無いが全員は自由に休むようにと通達してくれ」
「了解しました」
「カリーナ、本部から本艦への通達は来たか? 」
「はい、たった今来ました」
「そうか。メイン・スタッフは控室に集合してくれ。通達の内容について協議する」
そう言って立ち上がると歩き出して先に控室に入り、座らずに振り向いて皆を待つ。
副長を初めとして、皆が次々に控室に入って来る。
その一人一人と握手し、左手で抱き寄せてハグを交わす。
シエナとハンナは右頬にキスしてくれた。
ハルは頬を合わせてくれる。
リーアとパティとは、フレンチキスを一瞬。
カリーナは両手で10秒抱き締めてくれた。
エマとエドナとは、5秒舌を絡め合わせた。
アリシアは泣き顔で首にかじり付いて来たし、マレットには右耳を舐められた。
フィオナとミーシャとは、普通にハグを交わした。
「皆、お疲れさん。本当にありがとう。全員でよく頑張った。本当によくやってくれたよ。好きな飲み物を出して座ってくれ。私にはコーヒーをブラックで頼む」
皆、それぞれにドリンク・ディスペンサーから飲み物を出して座っていく。私はマレットからコーヒーを貰った。
「…ありがとう。さあ、それじゃカリーナ、通達の内容を読んでくれ」
「はい、先ず運営推進本部からはセカンド・ステージクリアと言う事で、祝辞が寄せられています。それに伴いまして今回の休み時間は、50分間とされました。では内容ですが、賞金で2千万。経験値で600%です…」
「へえ、50分間とはありがたい。少しゆっくりできるな。この協議が終ったら直ぐに全員に通達してくれ。賞金で2千万か…初日で大分稼いだな。ハル参謀、これも含めてプールを頼む」
「分かりました」
「それじゃ次は600%の経験値をどう割り振るか、だが…損傷率29%はかなりの深手だ。実際の戦闘でこの結果だったら、とっとと工作作業艦の派遣を要請している。自動修理・修復機能に経験値をブチ込めるならもうブチ込んでるよ。そうもいかない処が難しいな…サード・ステージが始まったら、2倍スペックの模擬敵艦3隻が出現する。正直に言って、この状態ではやりようが浮かばない。リーア、50分間の自動修理でどのくらい回復するかな? 」
「…楽観的に言って、12.3%ですね…」
「それじゃダメだな。取り敢えずは全速で離脱して、充分に距離を取ってから考えるしかない。いずれにせよ1隻ずつ叩いていくしかこちらには選択肢が無い…申告した昼食休憩時間に入るまで、あとどのくらいだ? 」
「あと、100分程です」と、シエナ・ミュラー。
「そうか。50分休んで始まって、50分か…やはり全速離脱で充分に距離を取って、昼飯を摂るとしよう。リーア、エマ…先ずエンジン・パワーに30%を付与する。これは承知してくれ。サード・ステージでは先ず脚の速さが必要になる」
「分かりました」
「承知しました」
「次にシールド・パワーと砲撃パワーに60%ずつ付与する。これで現状でのパワーダウンを補う。残りは450%だが…意見を頼む…」
「…艦長、もう列挙できる総ての対象項目に、均等に割り振って付与しましょう。それだけでもかなりの全体的なパワーアップになりますし、休み時間が勿体無いですよ…」
と、ハル・ハートリーが私の顔を直視して言う。
「…そうだな、その通りだ。カリーナ、今迄に出た通りの内容で付与を頼む」
「分かりました。お任せ下さい」
「皆、疲れているのにご苦労だった。重ねて言うが、勝てたのは皆のお陰だ。私は君達に感謝を捧げて、誇りに思う。副長、参謀、カリーナ、ハンナ、悪いが今から言う事を交代で頼む。休み時間の間に僚艦から勝利宣言がもたらされた場合には、本艦と私の署名で艦長と艦に対して最大限の賛辞と祝辞と労いのメッセージを頼む。敗退の報告がもたらされた場合にも、同じく本艦と私の署名で慰労のメッセージと共に、次のステージが始まっても回復するまでは逃げて隠れて遣り過すようにと伝えてくれ。逃げる事や隠れる事は恥ではないと強調してくれ。まだ始まったばかりだ。総ての事象は経験とすれば好い。それらの経験はいつか必ず役に立つ時が来ると強調してくれ。好いかな? 」
「分かりました、お任せ下さい」
「承知しました」
「了解しました」
「よし、短い時間だが、充分に休んでくれ。私も自室で一服したら、タンク・ベッドで30分寝るよ。今回はマッサージが出来ないが、すまないな…それじゃ、解散してくれ」
そう言い終えると皆、自分の飲み物を持って控室から退室して行った。私は1人でデスクに着いて、コーヒーをゆっくりと飲み終えてから、カップとソーサーを片付けて自室へと向かった。
エマ・ラトナーは右に左に舵を切って岩塊を躱しながら、嬉しそうに楽しんで『ディファイアント』を走らせていた。
「艦長! 『B』がフロント・ミサイル斉射しました! 8本! 」
「ほう…こちらのパワーサインを追い掛けるようにプログラムした、ホーミングだな…」
「続けて第2斉射! 16本! 」
「ミサイルはあっちも無尽蔵だから、撃ちまくってこっちの脚を止めようと言うんだな…」
「第3斉射です! 24本! 」
「エマ! 岩塊はギリギリで躱して回り込め! 岩塊にミサイルを接触させて数を減らす! 」
「了解! 」
「『B』に対して直線で5秒以上艦体を晒すなよ! ヴァリアントを撃って来るぞ! 」
「了解! 」
「艦長! 第4、第5斉射です! 40本! 最初の8本が到達するまで、140秒! 」
「カリーナ! アクティブ・パワースキャン、スタンバイ! 」
「スタンバイ! 」
「コンピューター。パワースキャンを掛けて、帰って来た反射波を基に改めてチャートを作成して3D投影! 」
【スタンバイ】
「よし、打て! 」
「発振! 」
アクティブ・パワースキャンの探査波が発振され、帰って来た反射波を受けてコンピューターが、投影されている3Dチャートの映像をリセットした。
「カリーナ、接近中のミサイルの映像もチャートに出してくれ」
「了解」
接近中のミサイルを表すポイントマーカーと、その航跡も3Dチャートに表示された。
「第1波ミサイル到達まで、100秒! 」
カリーナがそう報告してからも、私は20秒間チャートを観ていた。
「第1波ミサイル到達まで、80秒! 」
「エマ! 27%減速! 以降指示するまで、その速度を維持! 今、コースを送る! 」
そう言って目の前のタッチパネルにチャートを呼び出し、指でなぞってコースを設定すると、メイン操舵席のパネルに送った。
「…! 艦長! このコースは!?…」
「そうだ! このコースを今のスピードを維持して航行し、ミサイルを躱す! コースに入ってくれ! 」
「了解! コースに入ります! 」
そう言ってエマは、面舵40°アップピッチ15°に切り、岩塊の間隙に『ディファイアント』を入り込ませる。
「第1波ミサイル到達まで50秒! 『B』は第8斉射まで撃ちました。64本! 」
「ミサイルを躱して数を減らすと同時に、『B』がこのコースで本艦を追尾して来るなら、この6番目のヘアピン・ターンを曲がり切って出た処で、ちょうど目の前に『B』の右舷艦首が観える筈だ! エドナ! このタイミングは1秒ちょっとだ! 逃さずに徹甲弾2発と主砲の一斉射を直撃させてくれ! 」
「了解ですが、もしも追尾して来なかったらどうしますか? 」
「心配無い! 『B』が追尾して来なかったとしても、そのままこのコースを同じ速度で航行すれば、9番目のターンを曲がり切って出た処で、眼の前に『B』の左舷艦尾が観える筈だ! その瞬間に全兵装で総攻撃を掛ける! 」
「了解しました! 」
「第1波ミサイル、到達まで10秒! 既に半数が岩塊に接触して自爆! 」
「速度・コースこのまま! 『B』からのミサイルは気にするな! このコースをこのスピードで行くなら当たりはしない! エマ! ヘアピン・ターンでも速度は落すな! その他の操艦は任せる! 」
「お任せ下さい、艦長! ヘアピン・コースは得意です! 」
「頼む! カリーナ! 『B』の動きは読めるか? 」
「『B』のパワーサインは…コースに進入しました! 」
「やはり来たか…爆発の余波と散乱する岩塊の破片が荒れ狂っている中では、接近しなければ状況は確認できないからな…」
「最初のヘアピン・ターンまで10秒! 」
「総員シート・ベルト着用! 慌てずに落ち着いてやってくれ」
『ディファイアント』は岩塊同士が近接して織り成す狭い隘路をかなりの高速で進んで行く。40秒に1回位の割合で急激なターンを掛けて別の隘路に滑り込みながら『B』からの対艦ミサイルを躱し、岩塊に接触させて自爆させていく。爆発で散乱する岩塊の破片が艦体に当たっているが、パイロット・チームは落ち着いて操艦を制御し、コースもスピードも維持している。
「エマ、更に3%減速だ。ミサイルは大丈夫だと思うが『B』の脚が少し遅い。第6ヘアピン・ターンでタイミングを合わせる為だ。念の為に出力30%でシールドアップ。これでミサイルが数発当たっても問題は無いだろう…」
「分かりました! 」
「エドナ、レナ、やはりタイミングは2秒弱だ。エドナはヴァリアントで。レナは主砲でタイミングを外さずに直撃させてくれ。距離は第1戦闘距離の7割程度だと思う…」
「了解しました」
「分かりました」
その直後。間を置かずに3回の衝撃が撮影セットに走る。
「何だ!? 」
「『B』からの砲撃です! 3発当たりました! シールドパワー18%! 」
「…くっ…シールドダウン! なまじっかシールドを展開していたものだから、パワーサインとも相俟って狙いを絞らせてしまったな…まあ良い。好い学びになったと思おう…第6ヘアピン・ターン迄は?! 」
「約160秒! 」
模擬敵艦『B』はまだ砲撃を続けていたが『ディファイアント』がシールドを切った事で照準が更に甘くなり、それ以降ビームが直撃する事は無かった。
「エマ、振り回しはどうだ?! キツくないか? 」
「大丈夫です! 艦体のパワースライドにアテるカウンター・スラスターのパワーレベルを上げていますから! 」
「分かった! 落ち着いて頼む! 」
「了解! 」
「あと40秒! 」
「よ~し、来るぞ! エドナ! レナ! スコープに入ったら撃て! トリガーは任せる! 」
「了解! 」
「ハイパー・ヴァリアント起動。徹甲弾2発、連射セット! 」
「主砲1番~4番、副砲1番ともに仰角0。臨界パワー120%、発射出力110%、1斉射用意! 」
「第6ヘアピン・ターンに……入ります! 」
音が聴こえるなら、凄まじい轟音を轟かせながら艦体をパワースライドさせて急速ターンをかける『ディファイアント』がド迫力で迫るだろう。
「ターン・アウト5秒前! 3、2、正面! 今!! 」
急速回頭中の『ディファイアント』正面に入った『B』の艦首右舷。エドナ・ラティスとレナ・ライスはその瞬間を逃がさずにトリガーを絞る。
徹甲弾2発と主砲・副砲の1斉射が『B』の艦首右舷に突き刺さり、『B』が一瞬身震いしたように観えたが、『ディファイアント』が次の瞬間で別の隘路に滑り込んだので、視界領域からは外れた。既に『B』から発射された対艦ミサイルは全弾躱している。
「命中しました!! 」
「全員、よくやってくれた! コースに注意してくれ。もう暫く掛かる。エマ! 3%増速! このスピードでこのままコースを抜ける! カリーナ! コースを抜けたらアクティブ・スキャンを掛けて『B』の位置を確認する! 損傷率は読めるか? 」
「44%です。シールドアップしていますが、パワーレベルは以前と比べて落ちています。もう一息です」
「ああ、近くまで寄れれば押し切れる可能性はある…或いは逆にシールドを外して最後の撃ち合いを挑んで来る可能性もあるな…」
「…そうなった場合には…? 」
と、ハル・ハートリー。
「…こっちの損傷はまだ軽微だから大丈夫だ。それに撃って来るならその方向にステップ・インしてカウンター・ショットをキメてやるさ。その他には、このまま逃走すると言う可能性もある。そうなったら決着を付けるのはちょっと厳しいな。時間を稼がれれば、ある程度回復してしまう…」
「第9ターンまで30秒! このターンを曲がり切ったら、コースから抜けます! 」
「よし、アクティブ・スキャン用意。さて、向かって来るか、逃げて行くか…エマ! 『B』がシールドを降ろして撃ち合う姿勢を観せていたら、右舷艦尾スラスター全速で、左舷艦首スラスター半速だ! 『B』からの射線を外しながら、艦首は『B』に向け続けるように操艦してくれ! 」
「了解! 」
「最終ターンまで10秒! 艦長! コースの出口付近で『B』のパワーサイン! 」
「待っているのか? 」
「ターンに入ります! 」
グゥオオウッと最後の急速ターンに入る。
「『B』はシールドを張っているのか?! 」
「張っていません! 」
「撃ち合うつもりか…総員! 『B』は撃ち合うつもりだ! 全艦砲雷撃戦用意! 最後の撃ち合いを敢行して決着を付ける! 」
「了解! 」
かなりの高速でパワー・スライド・ターンを続けながら姿勢を制御しつつ急速に回頭する『ディファイアント』
もう間も無く出口だ。
「ターン・アウトまで7秒! 艦長! 『B』が兵装を起動! 」
「読んでいるのか? 出たら直ぐに撃ち合うぞ! 」
「4! 3! 出ます! 艦首左舷! 」
最終第9ターンを曲がり切ってコースから抜け出た『ディファイアント』の正面左15°、アップピッチ7°、距離1200mの所で、『B』が艦首をこちらに向けようとしていた。
「右舷アップサイド・スラスター全速! 左舷ダウンサイド・スラスター半速! アップピッチ7°! 主砲全力斉射! 」
『ディファイアント』が艦首を『B』に指向しつつ艦体を左下にスライドさせ始める。『B』の主砲3基から撃ち出されたビームが、その一瞬前に『ディファイアント』の居たポイントを通過し、お返しに主砲4基から発射されたステップイン・カウンターショットが『B』の艦首に突き刺さった。
それからは両艦ともにミサイル・ビームの激しい撃ち合いに入る。
「艦尾艦底部スラスター全速! 艦首アップサイド・スラスター半速! 全兵装構わずに撃ち続けろ! カリーナ! 彼我の損傷率を! 」
直撃の衝撃が撮影セットを揺るがせる。ブリッジのメイン・ビューワにもノイズが走る。
「損傷率46! 12! 51! 19! 56! 25! 58! 29! 『B』が止まりました! 」
「攻撃中止! 右舷全速! 取舵一杯! 両舷全速離脱! 」
攻撃を中止した『ディファイアント』が両舷全速で取舵一杯に切り、離脱コースに入って7秒後に『B』は艦体を大きく震わせながら爆発した。
膨れ上がる爆発光の中で爆散する『B』を、メイン・ビューワの右端で確認した。
「…『B』の撃沈を確認…」
「…エンジン停止…戦闘配置を解除して、第2警戒配置へ…ダメージ・リポート! 」
「…損傷率29%…結構な深手です…」と、カリーナ・ソリンスキー。
「…艦体外殻に損傷7%…自動修理モードに入ります…」と、フィオナ・コアー。
「…艦首左舷のシールド・ジェネレーターを損傷…パワーを切って自動修理モードに入ります…」と、リーア。
「…左舷対空ミサイル・ランチャーを破損…閉鎖して自動修理モードに入ります…」と、ローナ・ハートナー。
「…主砲3番砲塔を損傷…パワーを切って閉鎖し、自動修理モードに入ります…」と、エドナ・ラティス。
「…フロント・ミサイル4番・6番発射管を損傷…パワーを切って自動修理モードに入ります…」と、アリシア。
「…艦首左舷のロケット・アンカーが破壊されました。自動修理モードに入ります…」と、エマ・ラトナー。
「…6ヶ所のアポジモーターと、左舷アップサイド・スラスターを損傷しました。パワーを切って自動修理モードに入ります…」と、リーア・ミスタンテ。
『ディファイアント』の損傷報告は以上だった。
大きく息を吐いて右手で髪を掻き上げながら深くシートに座り直す。
「結構やられたな…これで30分後にはスペック2倍の模擬敵艦3隻を相手にしなきゃならないのか…とてもじゃないが、やりようが浮かばない…副長、取り敢えずセカンド・ステージクリアと言う事で、秘密回線を通じて勝利宣言を頼む…カリーナ、『B』との戦闘記録を圧縮して、これも秘密回線を通じて僚艦に配付してくれ…」
「分かりました」
「了解しました」
「メイン・コンピューターに異常は無いか? 」
「異常ありません」
「よし、全艦をオート・コントロールへ。30分しか無いが全員は自由に休むようにと通達してくれ」
「了解しました」
「カリーナ、本部から本艦への通達は来たか? 」
「はい、たった今来ました」
「そうか。メイン・スタッフは控室に集合してくれ。通達の内容について協議する」
そう言って立ち上がると歩き出して先に控室に入り、座らずに振り向いて皆を待つ。
副長を初めとして、皆が次々に控室に入って来る。
その一人一人と握手し、左手で抱き寄せてハグを交わす。
シエナとハンナは右頬にキスしてくれた。
ハルは頬を合わせてくれる。
リーアとパティとは、フレンチキスを一瞬。
カリーナは両手で10秒抱き締めてくれた。
エマとエドナとは、5秒舌を絡め合わせた。
アリシアは泣き顔で首にかじり付いて来たし、マレットには右耳を舐められた。
フィオナとミーシャとは、普通にハグを交わした。
「皆、お疲れさん。本当にありがとう。全員でよく頑張った。本当によくやってくれたよ。好きな飲み物を出して座ってくれ。私にはコーヒーをブラックで頼む」
皆、それぞれにドリンク・ディスペンサーから飲み物を出して座っていく。私はマレットからコーヒーを貰った。
「…ありがとう。さあ、それじゃカリーナ、通達の内容を読んでくれ」
「はい、先ず運営推進本部からはセカンド・ステージクリアと言う事で、祝辞が寄せられています。それに伴いまして今回の休み時間は、50分間とされました。では内容ですが、賞金で2千万。経験値で600%です…」
「へえ、50分間とはありがたい。少しゆっくりできるな。この協議が終ったら直ぐに全員に通達してくれ。賞金で2千万か…初日で大分稼いだな。ハル参謀、これも含めてプールを頼む」
「分かりました」
「それじゃ次は600%の経験値をどう割り振るか、だが…損傷率29%はかなりの深手だ。実際の戦闘でこの結果だったら、とっとと工作作業艦の派遣を要請している。自動修理・修復機能に経験値をブチ込めるならもうブチ込んでるよ。そうもいかない処が難しいな…サード・ステージが始まったら、2倍スペックの模擬敵艦3隻が出現する。正直に言って、この状態ではやりようが浮かばない。リーア、50分間の自動修理でどのくらい回復するかな? 」
「…楽観的に言って、12.3%ですね…」
「それじゃダメだな。取り敢えずは全速で離脱して、充分に距離を取ってから考えるしかない。いずれにせよ1隻ずつ叩いていくしかこちらには選択肢が無い…申告した昼食休憩時間に入るまで、あとどのくらいだ? 」
「あと、100分程です」と、シエナ・ミュラー。
「そうか。50分休んで始まって、50分か…やはり全速離脱で充分に距離を取って、昼飯を摂るとしよう。リーア、エマ…先ずエンジン・パワーに30%を付与する。これは承知してくれ。サード・ステージでは先ず脚の速さが必要になる」
「分かりました」
「承知しました」
「次にシールド・パワーと砲撃パワーに60%ずつ付与する。これで現状でのパワーダウンを補う。残りは450%だが…意見を頼む…」
「…艦長、もう列挙できる総ての対象項目に、均等に割り振って付与しましょう。それだけでもかなりの全体的なパワーアップになりますし、休み時間が勿体無いですよ…」
と、ハル・ハートリーが私の顔を直視して言う。
「…そうだな、その通りだ。カリーナ、今迄に出た通りの内容で付与を頼む」
「分かりました。お任せ下さい」
「皆、疲れているのにご苦労だった。重ねて言うが、勝てたのは皆のお陰だ。私は君達に感謝を捧げて、誇りに思う。副長、参謀、カリーナ、ハンナ、悪いが今から言う事を交代で頼む。休み時間の間に僚艦から勝利宣言がもたらされた場合には、本艦と私の署名で艦長と艦に対して最大限の賛辞と祝辞と労いのメッセージを頼む。敗退の報告がもたらされた場合にも、同じく本艦と私の署名で慰労のメッセージと共に、次のステージが始まっても回復するまでは逃げて隠れて遣り過すようにと伝えてくれ。逃げる事や隠れる事は恥ではないと強調してくれ。まだ始まったばかりだ。総ての事象は経験とすれば好い。それらの経験はいつか必ず役に立つ時が来ると強調してくれ。好いかな? 」
「分かりました、お任せ下さい」
「承知しました」
「了解しました」
「よし、短い時間だが、充分に休んでくれ。私も自室で一服したら、タンク・ベッドで30分寝るよ。今回はマッサージが出来ないが、すまないな…それじゃ、解散してくれ」
そう言い終えると皆、自分の飲み物を持って控室から退室して行った。私は1人でデスクに着いて、コーヒーをゆっくりと飲み終えてから、カップとソーサーを片付けて自室へと向かった。
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