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出航
始動・発進・出航
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「運営推進本部から許諾コードが付与されました。そのままメインゲート・コントロールへ送信します…回線が繋がりました! 映像と音声でこちらに呼び掛けています」
「回線を同期。メインビューワへ」
メインビューワが点灯し、ジェア・インザー次長を少し柔和にしたような男性が映し出された。
「こちらはメインゲート・コントロール。貴艦の艦籍番号と艦種と艦名、艦長の姓名とアクセス承認コードを口頭にて申告されたい」
「062363、軽巡宙艦『ディファイアント』、私が艦長のアドル・エルクです。アクセス承認コード・αC2ΘX9」
「確認しました。出航申請を承認し、許可します。日曜日の午後11時迄に入港するように。健闘を祈ります。以上」
それだけで、映像通話は途切れた。
「艦長! メインゲートが開き始めます! 」
カリーナ・ソリンスキーが、そう告げる。
「副長、発進シークエンス、開始」
「了解、補助パワーをサブエンジンとリンク! 」
「了解、補助パワー、サブエンジンとリンクしてパワー伝達! 」
と、リーア・ミスタンテ機関部長。
「サブエンジン始動! 」
「サブエンジン始動。定格起動。臨界パワー30%から上昇…」
「艦内全システムにパワー伝達して供給開始」
「パワー供給レベル、レッドからオレンジへ…」
「生命維持システム、医療装備、システム起動」
「臨界パワー50%…」
「メインコンピューター起動、全センサーシステム、測定・分析システム起動」
「供給レベル、オレンジからイエローへ…」
「全兵装システム起動。ディフレクターグリッド起動。シールドジェネレーター起動。環境管理システム起動」
「外部接続コンジット、離断用意」
「了解」
「メインエンジン始動準備」
「了解。メインエンジン・スターターホイール起動」
「メインエンジン・スターターシステム確認」
「確認好し」
「サブエンジン臨界パワー80%」
「パワー供給レベル、イエローからグリーンへ…」
「外部接続コンジット、レベル5から3迄を離断」
「スターターホイール回転加速」
「了解、加速50%」
「タラップ収納、ハッチ閉鎖。艦内非常隔壁全閉鎖」
「サブエンジン臨界パワー90%」
「パワー供給レベル、グリーンからブルーへ…」
「外部接続コンジット、レベル2を離断」
「スターターホイール回転加速80%」
「サブエンジン臨界パワー100%」
「パワー供給レベル、ブルーからスカイブルーへ…安定供給領域に到達」
「スターターホイール回転加速120%」
「外部接続コンジット、レベル1を離断」
「メインエンジン、始動準備好し! 」
「スターターホイール、最大出力でメインエンジンにパワー伝達! 」
「パワー伝達! 始動!! …… メインエンジン始動成功! 定格起動、臨界パワー20%。徐々に上昇」
「外部接続全コンジットの離断を確認。サブエンジン、臨界パワー120%、噴射出力40%、推力30%、メインエンジン臨界パワー40%、噴射出力30%、推力20%、ガントリー・ロック解除」
艦体が僅かに揺れる。この『ディファイアント』は、総てが撮影セットだ。揺れまで再現するとは。
「磁力接着解除。面舵1°、離岸します! 『ディファイアント』発進! 」
エマ・ラトナーが宣した。
ブリッジ正面のメインビューワの中で、周囲の景色が後方に流れ始める。
「センサー、パッシブ・スイープを開始! 赤外線と磁気も観測! 」
「出航完了まで40秒! 」
ハル・ハートリー参謀が宣する。
初出航で、やろうと決めていたひとつ目を行う。
「コンピューター! ライブラリー・データベースにアクセス! 」
【アクセス】
「連続配信ドラマ、『宇宙探査艦ランドール7』のフォース・シーズンからのメインテーマをフルスコアで流せ! 」
【ボリュームは?】
「7」
軽快な面もあり重厚な面もある、希望と楽観と緊張と躍動と期待を感じさせる、壮大な旅立ちのテーマが響き渡る。
「このドラマ、長く続きましたね。第8シーズンまででしたか。好きなんですか? 」
ハンナ・ウェアーが訊く。
「うん、好きだね。総てダウンロードしてあるよ」
「フォース・シーズンに出演しました。ゲストでしたが」
副長が応える。
「憶えてるよ。格好良い役だったね。切なくて、好い話だった」
「実は私、副長役としてのオファーを頂いていたんです。でも、役のイメージが定着するのは良くない、と言う助言を貰って、辞退しました。今考えれば、受けていれば良かったと思います」
「それは惜しかったね(実は知っている)でも今は立派に副長だから、好いじゃないか」
「ありがとうございます」
「その助言をしたのは、私でした。すみません」
カウンセラーが少し申し訳なさそうに言う。
「そうだったんだ(実はそれも知っている)女優としては自然な捉え方だと思うよ。気にしてないから、気にしなくていい」
「ありがとうございます」
「メインゲートから出ます! 」
と、エマが言う。
「センサー! オールレンジでパッシブスイープ! 感知したら直ちにエンジン停止! 」
『ディファイアント』がメインゲートから虚空に滑り出す。艦の全体が出てからゲートは小さくなり、閉じて消えた。
塗り直させたシルバー・ホワイトの艦体を、できるなら外から観てみたいと思った。
「『ディファイアント』出航完了! 」
「よし、ゲームフィールドデータをアップデート。現在位置を確認」
「了解…ゲームフィールドは38のクアドラント、ひとつのクアドラントは50のグリッド、ひとつのグリッドは80のパーセカル、ひとつのパーセカルは120のセクター、ひとつのセクターの広さは、太陽系の10倍程度です」
「『ディファイアント』現在位置、βクアドラント、M7グリッド、D8パーセカル、M24セクター、スペースポイント687・423マーク109・78です」
「了解だ…やはり予想通りの広さだな。これ程の広さの中で、出航ポイントをランダムに設定されたのなら、まず他艦とは出遭わない。今週と来週の4日間、上手くすれば単艦での訓練プログラムに集中できるだろう…センサー対物スキャン、比較的にデプリ密度の高い宙域を把握して、最寄りの宙域に針路を採ってくれ」
「了解…コースセット、357マーク208、ファーストスピードで発進! 」
よし、ここでやろうと決めていたふたつ目をやろう。
「コンピューター! 艦内オール・コネクト・コミュケーション」
【コネクト】
「続けて再びライブラリー・データベースにアクセス」
【アクセス】
「グループ名『リアン・ビッシュ』、楽曲名『ARIA』、ボリューム7で再生スタンバイ」
【スタンバイ】
「続けて再生プロセスをコミュケーションアレイとリンク、全ゲームフィールドに向けて、通常音声発信用意」
【完了】
「ブリッジから全乗員へ、こちらは艦長だ。これより『ディファイアント』としての名乗りを挙げる。どこで誰が聴いているか、判らんがね…スタート! 」
切々として物悲しいが力強さも感じさせる『ARIA』が、『リアン・ビッシュ』4人での素晴らしいハーモニー・コーラスとして艦の内外に響き渡る。
『リアン・ビッシュ』は4人ともそれぞれの部所で、配置に就いている。だからこの楽曲を選んだ、と言う事でもある。
4人とも初めの内は驚いていたが、やがて感情的に昂って来たのか、眼を瞠り口を両手で押さえて、その眼に涙を溜めながら聴いていた。
4人の内の2人(サラ・ペイリンとイリナ・スタム)が、医療部付き支援スタッフとして席に着き、声を殺して泣いているのを医療部長のアーレン・ダール博士が見遣る。
(アドル・エルク艦長って、見た目は普通+イケメンポイント5って処なんだけど、何でこんなにもクルーからモテるんだ? こう言う粋な計らいがサラっと出来るって以外にも、必ず何かがあるはずだな…)
『サライニクス・テスタロッツァ』ブリッジ…
「艦長、出航完了しました…やはりアドル艦長の予測通りで、途轍も無い広さですね…本艦の現在位置ですが…」
「待て、ローズ…この歌は何だ? 」
「はい? この歌は…確か…」
『トルード・レオン』ブリッジ…
「『リアン・ビッシュ』の『ARIA』ですね…」
「『リアン・ビッシュ』と言うと? 」
「『ディファイアント』のクルーですよ、艦長…」
『フェイトン・アリシューザ』ブリッジ…
「アドル・エルク艦長、名乗りを挙げたな…」
「ザンダー艦長…? 」
「アレクシア、音源の位置を確認してくれ? そこに『ディファイアント』が居る。それが判れば本艦との位置関係が判る」
「分かりました」
『ラバブ・ドゥーチェン』ブリッジ…
「アドル艦長…何とも粋な計らいをするもんだね…」
「多分、泣いていますよ。あの4人…」
「まあ、そうだろうな。ラクウェル副長、音源の位置を確認してくれ? そうすれば、こっちとの位置関係が判る」
「分かりました」
『ARIA』は切々と歌い上げられ、深い余韻を挽いてフェイドアウトした。
「副長、会議室の設定は? 」
「既に2つとも設定は完了しました。訓練プログラムプランもタイムラインにアップ出来ています」
「よし、ご苦労さん。暗号秘密通信で新規設置会議室のタイムラインを参照せよ。と、発信! 」
「了解」
「カリーナ、目標宙域迄の時間は? 」
「約20分です。あ? 艦長、運営推進本部から全参加艦に対しての通達です」
「何だい? 」
「『ファースト・チャレンジミッション』が発表されました! 」
「回線を同期。メインビューワへ」
メインビューワが点灯し、ジェア・インザー次長を少し柔和にしたような男性が映し出された。
「こちらはメインゲート・コントロール。貴艦の艦籍番号と艦種と艦名、艦長の姓名とアクセス承認コードを口頭にて申告されたい」
「062363、軽巡宙艦『ディファイアント』、私が艦長のアドル・エルクです。アクセス承認コード・αC2ΘX9」
「確認しました。出航申請を承認し、許可します。日曜日の午後11時迄に入港するように。健闘を祈ります。以上」
それだけで、映像通話は途切れた。
「艦長! メインゲートが開き始めます! 」
カリーナ・ソリンスキーが、そう告げる。
「副長、発進シークエンス、開始」
「了解、補助パワーをサブエンジンとリンク! 」
「了解、補助パワー、サブエンジンとリンクしてパワー伝達! 」
と、リーア・ミスタンテ機関部長。
「サブエンジン始動! 」
「サブエンジン始動。定格起動。臨界パワー30%から上昇…」
「艦内全システムにパワー伝達して供給開始」
「パワー供給レベル、レッドからオレンジへ…」
「生命維持システム、医療装備、システム起動」
「臨界パワー50%…」
「メインコンピューター起動、全センサーシステム、測定・分析システム起動」
「供給レベル、オレンジからイエローへ…」
「全兵装システム起動。ディフレクターグリッド起動。シールドジェネレーター起動。環境管理システム起動」
「外部接続コンジット、離断用意」
「了解」
「メインエンジン始動準備」
「了解。メインエンジン・スターターホイール起動」
「メインエンジン・スターターシステム確認」
「確認好し」
「サブエンジン臨界パワー80%」
「パワー供給レベル、イエローからグリーンへ…」
「外部接続コンジット、レベル5から3迄を離断」
「スターターホイール回転加速」
「了解、加速50%」
「タラップ収納、ハッチ閉鎖。艦内非常隔壁全閉鎖」
「サブエンジン臨界パワー90%」
「パワー供給レベル、グリーンからブルーへ…」
「外部接続コンジット、レベル2を離断」
「スターターホイール回転加速80%」
「サブエンジン臨界パワー100%」
「パワー供給レベル、ブルーからスカイブルーへ…安定供給領域に到達」
「スターターホイール回転加速120%」
「外部接続コンジット、レベル1を離断」
「メインエンジン、始動準備好し! 」
「スターターホイール、最大出力でメインエンジンにパワー伝達! 」
「パワー伝達! 始動!! …… メインエンジン始動成功! 定格起動、臨界パワー20%。徐々に上昇」
「外部接続全コンジットの離断を確認。サブエンジン、臨界パワー120%、噴射出力40%、推力30%、メインエンジン臨界パワー40%、噴射出力30%、推力20%、ガントリー・ロック解除」
艦体が僅かに揺れる。この『ディファイアント』は、総てが撮影セットだ。揺れまで再現するとは。
「磁力接着解除。面舵1°、離岸します! 『ディファイアント』発進! 」
エマ・ラトナーが宣した。
ブリッジ正面のメインビューワの中で、周囲の景色が後方に流れ始める。
「センサー、パッシブ・スイープを開始! 赤外線と磁気も観測! 」
「出航完了まで40秒! 」
ハル・ハートリー参謀が宣する。
初出航で、やろうと決めていたひとつ目を行う。
「コンピューター! ライブラリー・データベースにアクセス! 」
【アクセス】
「連続配信ドラマ、『宇宙探査艦ランドール7』のフォース・シーズンからのメインテーマをフルスコアで流せ! 」
【ボリュームは?】
「7」
軽快な面もあり重厚な面もある、希望と楽観と緊張と躍動と期待を感じさせる、壮大な旅立ちのテーマが響き渡る。
「このドラマ、長く続きましたね。第8シーズンまででしたか。好きなんですか? 」
ハンナ・ウェアーが訊く。
「うん、好きだね。総てダウンロードしてあるよ」
「フォース・シーズンに出演しました。ゲストでしたが」
副長が応える。
「憶えてるよ。格好良い役だったね。切なくて、好い話だった」
「実は私、副長役としてのオファーを頂いていたんです。でも、役のイメージが定着するのは良くない、と言う助言を貰って、辞退しました。今考えれば、受けていれば良かったと思います」
「それは惜しかったね(実は知っている)でも今は立派に副長だから、好いじゃないか」
「ありがとうございます」
「その助言をしたのは、私でした。すみません」
カウンセラーが少し申し訳なさそうに言う。
「そうだったんだ(実はそれも知っている)女優としては自然な捉え方だと思うよ。気にしてないから、気にしなくていい」
「ありがとうございます」
「メインゲートから出ます! 」
と、エマが言う。
「センサー! オールレンジでパッシブスイープ! 感知したら直ちにエンジン停止! 」
『ディファイアント』がメインゲートから虚空に滑り出す。艦の全体が出てからゲートは小さくなり、閉じて消えた。
塗り直させたシルバー・ホワイトの艦体を、できるなら外から観てみたいと思った。
「『ディファイアント』出航完了! 」
「よし、ゲームフィールドデータをアップデート。現在位置を確認」
「了解…ゲームフィールドは38のクアドラント、ひとつのクアドラントは50のグリッド、ひとつのグリッドは80のパーセカル、ひとつのパーセカルは120のセクター、ひとつのセクターの広さは、太陽系の10倍程度です」
「『ディファイアント』現在位置、βクアドラント、M7グリッド、D8パーセカル、M24セクター、スペースポイント687・423マーク109・78です」
「了解だ…やはり予想通りの広さだな。これ程の広さの中で、出航ポイントをランダムに設定されたのなら、まず他艦とは出遭わない。今週と来週の4日間、上手くすれば単艦での訓練プログラムに集中できるだろう…センサー対物スキャン、比較的にデプリ密度の高い宙域を把握して、最寄りの宙域に針路を採ってくれ」
「了解…コースセット、357マーク208、ファーストスピードで発進! 」
よし、ここでやろうと決めていたふたつ目をやろう。
「コンピューター! 艦内オール・コネクト・コミュケーション」
【コネクト】
「続けて再びライブラリー・データベースにアクセス」
【アクセス】
「グループ名『リアン・ビッシュ』、楽曲名『ARIA』、ボリューム7で再生スタンバイ」
【スタンバイ】
「続けて再生プロセスをコミュケーションアレイとリンク、全ゲームフィールドに向けて、通常音声発信用意」
【完了】
「ブリッジから全乗員へ、こちらは艦長だ。これより『ディファイアント』としての名乗りを挙げる。どこで誰が聴いているか、判らんがね…スタート! 」
切々として物悲しいが力強さも感じさせる『ARIA』が、『リアン・ビッシュ』4人での素晴らしいハーモニー・コーラスとして艦の内外に響き渡る。
『リアン・ビッシュ』は4人ともそれぞれの部所で、配置に就いている。だからこの楽曲を選んだ、と言う事でもある。
4人とも初めの内は驚いていたが、やがて感情的に昂って来たのか、眼を瞠り口を両手で押さえて、その眼に涙を溜めながら聴いていた。
4人の内の2人(サラ・ペイリンとイリナ・スタム)が、医療部付き支援スタッフとして席に着き、声を殺して泣いているのを医療部長のアーレン・ダール博士が見遣る。
(アドル・エルク艦長って、見た目は普通+イケメンポイント5って処なんだけど、何でこんなにもクルーからモテるんだ? こう言う粋な計らいがサラっと出来るって以外にも、必ず何かがあるはずだな…)
『サライニクス・テスタロッツァ』ブリッジ…
「艦長、出航完了しました…やはりアドル艦長の予測通りで、途轍も無い広さですね…本艦の現在位置ですが…」
「待て、ローズ…この歌は何だ? 」
「はい? この歌は…確か…」
『トルード・レオン』ブリッジ…
「『リアン・ビッシュ』の『ARIA』ですね…」
「『リアン・ビッシュ』と言うと? 」
「『ディファイアント』のクルーですよ、艦長…」
『フェイトン・アリシューザ』ブリッジ…
「アドル・エルク艦長、名乗りを挙げたな…」
「ザンダー艦長…? 」
「アレクシア、音源の位置を確認してくれ? そこに『ディファイアント』が居る。それが判れば本艦との位置関係が判る」
「分かりました」
『ラバブ・ドゥーチェン』ブリッジ…
「アドル艦長…何とも粋な計らいをするもんだね…」
「多分、泣いていますよ。あの4人…」
「まあ、そうだろうな。ラクウェル副長、音源の位置を確認してくれ? そうすれば、こっちとの位置関係が判る」
「分かりました」
『ARIA』は切々と歌い上げられ、深い余韻を挽いてフェイドアウトした。
「副長、会議室の設定は? 」
「既に2つとも設定は完了しました。訓練プログラムプランもタイムラインにアップ出来ています」
「よし、ご苦労さん。暗号秘密通信で新規設置会議室のタイムラインを参照せよ。と、発信! 」
「了解」
「カリーナ、目標宙域迄の時間は? 」
「約20分です。あ? 艦長、運営推進本部から全参加艦に対しての通達です」
「何だい? 」
「『ファースト・チャレンジミッション』が発表されました! 」
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