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・・『開幕』・・

・・アンヴローズ・ターリントン・・2・・

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・・翌日・2月26日(木)・開幕前前日・・AM:05:13・・

・・ヴォリュームを大き目にセットして置いたアラームが響き渡り、覚醒して起床した・・。

・・バスルームに入り、熱めのシャワー浴びる・・刺激を与えて頭と身体を芯から目醒めさせる・・頭と身体を洗い、髭も剃ってよく流して出る・・。

身体を拭いて服を着てから、コーヒーを濃い目に点てて淹れ、ベランダに出て煙草を喫いながらゆっくりと飲む・・。

・・喫い終わって飲み終わり、室内に戻る・・コートを着てガレージに入り、車に乗り込んで発車した・・朝食はラウンジで摂ろう・・。

本社第2棟のパーキングスペースに滑り込んだのは、始業の約1時間前だった・・ラウンジに入るとアンヴローズ・ターリントン女史が、喫煙席で私を待っているのが観えたのでカウンターでミルクティーとコーヒーを淹れてソーサーに乗せて持って行き、彼女の前にミルクティーを置いてそのまま対面に座る・・。

「・・おはようございます、アンバーさん・・朝早くからお待たせしました・・ご苦労様です・・」

「・・おはようございます、アドルさん・・どう致しまして、昨夜はお疲れ様でした・・あの・・社長の容体は・・?・・」

「・・うん・・会社としてどの程度の状況を発表するか判らないから、今から話す事は誰にも言わないで欲しいんだけど、好い・・?・・」

「・・分かっています、誰にも言いません・・」

「・・結構・・昨夜、中等症程度での狭心症を発症された社長は救急搬送されて、心臓カテーテル検査で病変を描出され、そのまま経皮的冠動脈形成術に移行して、特にトラブルも無く手術は成功して終わったよ・・今はICUで加療されているけど、状態が安定したら個室病棟に移されると担当医師からは聞いた・・昨日まではそのくらいだね・・」

「・・ありがとうございます・・大丈夫でしょうか・・?・・」

「・・大丈夫だよ・・社長は頑健だし、低レベルだったけど意識はあったと聞いているから、早く快復すると思うよ・・」

「・・そうですか・・そうですね・・!・・」

「・・うん・・悪いけど朝食がまだなんで、頼んでも好い・・?・・」

「・・どうぞ、どうぞ・・!・・私も頼みましたので・・」

「・・ありがとう・・」

・・そう言って私は通り掛かったラウンジスタッフを呼び止めて、朝食セットのAを頼んだ・・。

「・・どうぞ・?・お茶が冷めるよ・・?・・」

「・・ありがとうございます・・」

・・そう言ってカップを取り上げて二口飲む・・。

「・・美味・・しい・・アドル係長のミルクティー・・毎日一杯は飲みたいです・・」

「・・ありがとう・・それじゃそろそろ、説明を聞こうかな・・?・・」

「・・あ、すみませんでした・・取り扱い説明書の原本は社宅のリビングのテーブルに置いておきましたので、今は採っておきましたコピーでご説明します・・タンクベッドはもう使われましたか・・?・・」

「・・いや、ざっと観てちょっと触ったけど使ってはいないよ・・ちゃんと説明を聞くまでは、下手に使うと危ないからね・・」

・・そう言った時に、私が頼んだAセットのモーニングとアンバーさんが頼んだらしい、生ハムと唐揚げのサラダが届けられる・・。

「・・アンバーさんは、それだけで良いの・・?・・」

「・・ええ、はい・・私の朝食は、いつもこれくらいで大丈夫なんです・・」

「・・そう・・じゃ失礼して、食べながらでも好い・・?・・」

「・・どうぞ、どうぞ・・ご遠慮なく・・」

・・許可を貰えたので、私は食べながらアンバーさんからの説明を聞く・・左手で説明書のコピーを持って食べながら観ながら、彼女の説明を聞いているが彼女はまだ朝食に手を付けていない・・。

「・・アンバーさんも食べて・・?・・食べながらの説明が難しいようなら仕方ないけど・・?・・」

「・・あ、はい・ありがとうございます・・お言葉に甘えます・・」

・・そう言って、アンバーさんも食べ始める・・。

・・アイソレーション・タンクベッドの使用とユーザー・メンテナンスについての説明は20分程度で終わり、2人とも食べ終えた・・私は再度カウンターでコーヒーとミルクティーを淹れると、持って来て彼女の前にも置く・・ラウンジ・スタッフを呼んで食器を下げて貰ってから、私もコーヒーに口を付ける・・。

「・・本当に美味しいです・・何杯でも飲めます・・」

「・・ありがとう・・昨夜の配信は観た・・?・・」

「・・観ました・・いよいよですね・・」

「・・何か感じた・・?・・」

「・・確かに、『ディファイアント』のような軽巡宙艦にとっては厳しい展開になるかも知れませんが、【『ディファイアント』共闘同盟】は最後まで残ると思います・・」

「・・ありがとう・・最後まで残れるように頑張るよ・・」

・・そう応えた時に、スコット・・マーリー・・ズライがラウンジに入って来た・・二人とも立ち上がって3人が同じテーブルに着けるようにする・・。

「・・おはようございます、先輩・・アンバーさんも・・朝早くから何か重要なお話で・・?・・」

「・・おはよう、スコット・・ああ、実は昨日社宅にタンクベッドが入ったんでね・・アンバーさんには搬入から設置まで立ち合って貰っていたから、朝早くから悪かったけど朝飯を食いながら報告と説明を受けていた処さ・・おはよう、マーリー・・ズライも・・調子は良さそうだね・・?・・」

「・・おはようございます、アドルさん・・ありがとうございます・・」

「・・おはようございます、アドル係長・・ええ、頗る快調です・・」

「・・リサさんは遅いですね・・休みかな・・?・・聞いてます・・?・・」

「・・いや、俺は知らないけど・・それより、昨日の配信はどう観えた・・?・・」

「・・思っていたより、戦艦と重巡の数が多いですね・・やっぱり軽巡にはキツい展開になりそうですね・・ブックメーカーのオッズも変動してます・・」

「・・ああ・・が、まあ、こうなったからには仕方ない・・やれる事に注力して、思い切って行くしかないよ・・な・・?・・」

「・・そうですね・・」

「・・よし、じゃあ、そろそろ上がろう・・朝礼が始まるよ・・」

・・そう言って立ち上がると、皆も続いて立ち上がった・・。
ものすごく
・・朝礼で社長の変事については伝えられたが、病名・症状・容体については伏せられ、復帰時期についても未定とされた・・まあ、それはそうだろう・・リサさんについては急用により本日は休暇と、勤怠のページには記載されていた・・リサのデスクにはアンバーさんがサポートとして座った・・スコット、マーリー、ズライには彼女が同席している時、ウチでの壮行会についての話は出さないようにメッセージで頼んだ・・その後は業務に集中する・・文字通り、仕事は山積みだ・・ハイパー・モードから観てふたつ手前のスピード・モードで対応していく・・この前に制作した、個別応対動画がかなり役に立っているようだ・・マーリーとメッセージでやり取りしてお昼は応接室にて彼女お手製のランチ・ボックスをご馳走になる・・彩りは美しいし、栄養のバランスはほぼ完璧・・そして素晴らしい味わい・・お弁当の分野ではアリソンよりも上かも知れない・・率直な感想として彼女にそう伝えると、赤面してしきりに謙遜していた・・。

・・都合の好い週末を教えてくれればそれをアリソンに伝えて、私がゲームで不在でも自由にウチを訪問して貰ってアリソンから料理を習えるように手配するからと伝えると、ものすごく喜んで笑顔を炸裂させていた・・。

「・・ありがとうございます、アドルさん・・すごく嬉しいですし、今から本当に楽しみです・・実は奥様から頂いたポトフのレシピで作ったのですが、スープ・ストックの作り方が分らなかったので同じ味にはなりませんでした・・スープ・ストックの作り方から教えて頂きたいです・・」

「・・そうか・・分かったよ・・その旨はアリソンに伝えておくから・・」

「・・ありがとうございます・・宜しくお願いします・・」

・・その他にも食べながら色々と話して過ごし、思ったよりも早く完食した・・。

「・・ご馳走様でした・・本当に美味しかったよ・・ひと月に一回くらいは頼みたいね・・」

「・・本当ですか・?!・ありがとうございます・・励みになります・・!・・」

「・・本当だよ・・毎月マーリーの美味しいお弁当が食べられると思えば、ハードで辛い戦いにも臨めるさ・・」

・・私がそう言うと、マーリーは口を両手で押さえてみるみる涙を溜める・・。

「・・ああ、ごめん、ごめん・!・マーリー、泣かせるつもりじゃないんだよ・・!・・それぐらいマーリーのお弁当は美味しいって伝えたかっただけなんだ・・悪かった、ごめんなさい・・💦・・」

「・・ううん、好いんです・・すごく嬉しくて・・すみません・・」

「・・君が謝らなくて良い・・僕の言い方が拙かったんだから・・それじゃ改めて、ご馳走様でした・!・ありがとうございました・!・また宜しくお願いします・・!・・」

「・・はい・こちらこそ、宜しくお願いします・(泣き笑い)・」

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