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・・・『始動』・・・

・・面談昼食会・・2・・

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・・VIP ルームも、かなり広い・・豪華な会員制のラウンジのように観える・・テーブルと椅子の配置が変えられていて、大きくて長い食卓が設えられ、大きくて長いテーブルクロスが掛けられている・・。

・・コース料理のように、椅子の前に皿とナプキンが置かれ、左右にグラスやら各種の食器が配されている・・所々に水のピッチャーと、花が花瓶に活けられて置かれている・・座る場所が決められている訳ではないが、対面で食卓を囲む形だ・・。

「・・よし・・こちら側に並んで座ろう・・私が奥の席で良いかな・・?・・それとも真ん中の席で良いかな・・?・・」

・・と、誰にとも無く訊いたのだが、リサ・ミルズが応える・・。

「・・そうですね・・新しく指揮下に入るクルーを引見する立場ですから、中央に座って下さい・・私が左に着きますから、シエナさんが右に・・ハルさんが私の左に・・ハンナさんがシエナさんの右に・・と言う感じでお願いします・・」

・・コートを預かりに来たラウンジスタッフに渡しながらそう提案したが、皆は特に何も言わず、同じようにスタッフにコートを渡して、指示通りに座る・・そしてまた、件の彼が進み出る・・。

「・・大変に長らくお待たせ致しました・・それでは、別室にてお待ち頂いている皆様をお引き入れ致します・・本日のメニューは、当VIP ラウンジのスペシャル・ランチコースでございます・・」

・・そう言って彼は退がり、ほぼ5分後、アーレン・ダール博士を先頭に、医療部とバーラウンジのクルーメンバーを引率して、入室した・・。

・・私が立ち上がったのでリサやシエナも立ち上がり、全員が立ち上がって彼等を迎える・・。

・・彼等は私が中央に立っている事に少し困惑したようだが、あまり迷わずに年長者を中央部に配して立った・・。

「・・アーレン・ダール博士を初めとする医療部の皆さん・・巨匠・サルヴァトーレ・ラウレンティス氏を初めとする、厨房スタッフの皆さん・・カーステン・リントハート・マスターバーテンダーを初めとする、バーラウンジスタッフの皆さん・・初めまして、こんにちは・・私が『ディファイアント』のアドル・エルクです・・今日はこの昼食会にお集まり頂いて、本当にありがとうございます・・これで『ディファイアント』の全乗員が確定しました・・私を含めて総員で84名です・・皆さんのご協力に、深く感謝します・・これは・・立ったままで長い挨拶になってしまって申し訳ありません・・どうぞ、お座り下さい・・」

・・そう挨拶して着席を促したが、彼等は顔を見合わせている・・ダール博士がラウレンティス料理長に、どうぞと手で促したので料理長は私に顔を向けた・・。

「・・とてもご丁寧なご挨拶を、どうもありがとうございます・・アドル・エルクさん・・初めまして、皆さん・・私がサルヴァトーレ・ラウレンティスです・・私如き一介の料理人を、このような昼食会の席に呼んで頂きまして、誠にありがとうございます・・一応私が最年長ですので、返礼のご挨拶を担わせて頂きましたが、失礼がありましたら、どうぞご容赦ください・・それではお言葉に甘えまして、座らせて頂きます・・」

・・そう応えて、全員に両手で座るように促し、席に着いた・・。

「・・厳然として確固たる実績と経験と知識をお持ちの皆さんを、『ディファイアント』で最も重要なポストに招聘できました事は、私を含めて他の全クルーにとって誠に幸運であり、また幸福でもあります・・是非とも、これから宜しくお願い致します・・」

・・そう言って皆に着席するよう促し、私も座る・・すかさず給仕のスタッフが入り、スープと前菜を配していく・・。

「・・これで安心して操艦出来ますし、戦うことも出来ます・・素晴らしい食事や飲み物と、医療ケアが保証されなければ、安心して艦を動かす事も、ままなりませんからね・・どうぞ、食べながらお話ししましょう・・」

「・・アドル・エルクさん、医療室は観せて頂けるのでしょうか・・?・・」

「・・アーレン・ダール博士、勿論です・・この昼食会後に、皆さんにとっては最初の撮影セット見学に向いますので、じっくりご覧になって下さい・・それと、私の事はアドルと呼んで下さい・・」

「・・分かりました、お世話になります・・アドル艦長・・では、私の事はアーレンで、お願いします・・」

「・・分かりました、ドクター・アーレン・・宜しくお願いします・・それでは皆さん・・こちらのメンバーをご紹介しましょう・・先ず私の左に座る方ですが、私が勤務しております『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』の役員会が、私の専任秘書として選抜して就けて下さった、リサ・ミルズ女史です・・右に座っておりますのが、副長を務めるシエナ・ミュラー・・リサさんの隣に座っておりますのが、参謀を務めるハル・ハートリー・・副長の隣におりますのが、カウンセラーを務めますハンナ・ウェアー・・参謀の隣におりますのが、参謀補佐のエレーナ・キーン・・カウンセラーの隣におりますのが、補給支援部長のマレット・フェントン・・参謀補佐の隣におりますのが、生活環境支援部長のミーシャ・ハーレイ・・補給支援部長の隣におりますのが、保安部長のフィオナ・コアー・・そして、ドクター・アーレン・・生活環境支援部長の隣から、並んで3人座っておりますのが、医療室内でのアシスタント・スタッフとして、私が選抜して任命しましたイリナ・スタム・・サラ・ペイリン・・ラニ・リーです・・3人共、看護士としての資格と若干ですが経験があります・・」

・・そこまで話し終えた時に、サラダと冷製パスタが運ばれて来た・・。

「・・更に保安部長の隣からも3人が座っておりますが、近い位置からコディ・ホーン・・ララ・ハリス・・マルト・ケラーです・・彼女達はサポート・クルーとして通常直時には、厨房及びバーラウンジのサポートに入りますが、緊急事態時、又は戦闘時に於いて欠員ポストが出た場合には、速やかにそのポストに入ります・・最後になりますが、皆さんから観て一番右に座っておりますのが『ディファイアント』機関部要員の1人であります、エレイン・ヌーンです・・今日は彼女の25才の誕生日でありますので、同席して貰いました・・後程、バースデー・ケーキが登場しますので、宜しければ一緒に祝って頂けると、幸いに思います・・」

・・そこで言葉を切り、水を二口飲む・・まだ殆ど食べていない・・。

「・・パッサールさん、お久し振りです・・マレットです・・その節はご一緒させて頂きまして、ありがとうございました・・ここでお会いできるとは思っていませんでしたが、また宜しくお願いします・・」

「・!・マレットさん・・!?・・奇遇ですね・・お久し振りです・・気が付きませんでした・・すみません・・ここでもご一緒出来るとは思いませんでした・・いや、こちらこそ宜しくお願いします・・」

「・・ムッシュ・パッサール・・こんなに素敵なお嬢さんと、お知り合いなので・・?・・」

「・・いやあ、マエストロ・ラウレンティス・・連続配信料理番組で、ご一緒していたのですよ・・」

「・・ああ、そうだったのですか・・それはそれは・・」

「・・ミス・シエナ・ミュラー・・お久し振りでした・・1年2ヶ月ぶりの再会になりますけど、相変らず綺麗ですよ・・またここでお逢い出来るとは、私も思っていませんでしたが・・再会できて嬉しいです・・また宜しくお願いします・・」

「・・こちらこそ・・カーステン・リントハートさん・・私もお会いできて嬉しいです・・こちらでも宜しくお願いします・・」

「・・ほお・・ムッシュ・リントハート・・貴方はシエナ・ミュラー副長とお知り合いで・・?・・」

「・・はい、マエストロ・ラウレンティス・・色々様々なお酒とカクテルを紹介する、連続配信番組で2年間、ご一緒させて頂きました・・」

「・・アラセリ・セガーラさん・・今日はここに同席しておりませんが、貴方とご一緒に連続配信料理番組に出演しておりました、ミーナン・ヘザーも『ディファイアント』のクルーなのです・・後日にはなりますが、彼女からもご挨拶させましょう・・」

「・・これは、アドル・エルク艦長・・教えて頂きまして、ありがとうございます・・彼女と一緒に番組を担当していたのは、2年ほど前の事で・・8ヶ月間位共演していましたが懐かしく思い出されますね・・私からもご挨拶したいです・・」

「・・ほお・・思い掛けない再会が、この場だけでも3件ですか・・アドル艦長・・これは乾杯をしない訳には参りませんな・・さて問題は・・ムッシュ・リントハート・・何が宜しいでしょうかな・・?・・」

「・・そうですね・・分かりました・・それでは、マエストロ・ラウレンティス・・我々バーテンダーチームにお任せ下さい・・」

・・そう応えると、カーステン・リントハートは指を鳴らして件の彼を呼び寄せる・・。

「・・はい・・何をご用意致しましょうか・・?・・」

「・・すみませんが三ッ星のコニャックと、グラン・マルニエと、フレッシュ・オレンジジュースをボトルで・・シェーカー5個と、全員にカクテルグラスをお願いします・・」

「・・カクテル『オリンピック』ですか・・?・・」

・・イアン・サラッドが訊く・・。

「・・そう・・」

「・・『待ち焦がれた再会』ですね・・?・・」

・・ミレーナ・ファルチも訊く・・。

「・・そうです・・皆さん・・これからご用意させて頂きますのは、『オリンピック』と言うカクテルです・・酒やカクテルにも、それを顕す様々な言葉がありまして、カクテル『オリンピック』が顕わすのは、『待ち焦がれた再会』です・・」

・・それから程なくして用意が調えられる・・5人のバーテンダーはそれぞれのスタイルと所作でシェーカーを操り、コニャック、グラン・マルニエ、フレッシュオレンジジュースを3分の1ずつシェーカーに入れて、軽やかに振り始める・・5人のバーテンダーが30個以上のカクテルグラスを『オリンピック』で満たす迄に、8分とは掛からなかった・・満たされたカクテルグラスを全員の前に配し、中の一つを手にアーレン・ダール博士が立ち上がった・・。

「・・それでは、僭越ではありますが、私が乾杯の音頭を執らせて頂きます・・思い掛けない再会を祝し、『ディファイアント』の幸運を祈って・・乾杯!・・」

「・・乾杯!!・・」
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