61 / 294
・・・『始動』・・・
帰宅 3
しおりを挟む
そのランチ・ダイナーで若者達と過ごしていた90分程の間に6人から声を掛けられて、全員にサインを書いてあげた
・・6人で食事をしている席だから、気付いていても話し掛けて来る人はいないだろうと言う考えもあったが、甘い認識だったようだ・・それでもさすがにセルフィーを頼まれるような事は無かった・・これがマーケットの中でなら、こんな少ない人数で済むなんて事は絶対に無い・・。
会計は私が預かっているビットカードで済ませる・・若者達はビットカードを初めて観たようで驚いていた・・。
私が行って観たい楽器店は大きいショッピングタウンの中にある・・伊達眼鏡ぐらい掛けて来るべきだった・・。
「・・なあ、アリシア・・悪いけど、帽子とサングラスを買って来てくれるか・?・それぐらいしないと騒がれそうだからさ・・カード、貸すから・・」
と、ショッピングタウンの駐車スペースに車を滑り込ませて停めてから、助手席の娘に言う・・すると、アリシアが口を開くより早くアデリーンが後部ドアを開けた・・。
「・・アドルさん・!・それでしたら私達にお任せ下さい・・ご馳走して頂いたお礼も含めて、きっと似合うものを見立てて買って来ます・!・ほら!・アリシアも行くわよ!・・」
と、娘にも声を掛けて車から降りると、5人揃って行ってしまった・・なかなかの行動力だ・・リーダーシップはアリシアより上かも知れない・・私は駐車スペース脇のレストルームで用を足すと、喫煙室に入って一本を咥えて火を点けて燻らせ・・喫い終ると手と顔を洗い・・外に出てハンカチで顔を拭いている時に、戻って来た彼らと合流した・・。
彼等が選んでくれた帽子はツィード製のハンチングベレーで、色調は明るいグリーンでのタータン・チェックだった・・サングラスはフレームの無いタイプで、レンズは上下の幅が狭いタイプで、色は薄い茶色だった・・。
なかなかのセンスだと思う・・アデリーンに礼を言って幾ら払ったか訊いたが、代金は5人で出し合って購入したから気にしなくても好いと言う・・その時はそれ以上訊かなかった・・後でアリシアにお金を渡してご馳走させるとしよう・・。
私は受け取ってハンチングベレーを被り、サングラスも掛けて鏡で観た・・ちょっと軽いナンパ師のようにも観えたが、改めて皆に感謝の意を伝えた・・。
「・・さあ、それじゃ行こうか・・!?・・」
先頭に立って堂々と歩く・・その方が気付かれ難い・・目指す楽器店まで800歩程歩いたが、誰にも気付かれなかった・・その楽器店では楽譜や音楽映像ソフトも様々に販売している・・店内に入ると『リアン・ビッシュ』と『ミーアス・クロス』が初めて合同で発表した楽曲・・『マイン・キャプテン』のPVが流されていた・・。
弦楽器のコーナーに入り、展示・陳列されているギターを観始める・・男性店員が来たので私は直接彼を観ないようにして要望を伝え、ギターを幾つか手に取って試奏しても良いかと訊ね、諒承を得る・・まだ気付かれていないが時間の問題だろう・・。
飾られているギターの中から3本を降ろして貰う・・先ず手に取って一本ずつ観たり触ったりさせて貰い、店員に質問もする・・椅子を貸して貰い、座って一本ずつ構えチューニングして試しで軽く弾いて観る・・サングラスを外して観たりもしている内に、店員が3人に増えて控え目に私の顔を観ている・・声を出して歌ったりはしていないが、どうやら気付かれているようだ・・学生たちは取り巻いて私を観ている・・。
3本の内の1本を選んで、これを購入すると告げる・・この時点でアドル・エルクさんですかと訊かれ、認めるがあまり言わないで欲しいと頼む・・ハードケースに入れて貰い、メンテナンスキット一式と交換用の弦を5セットとソフトケースも一つ頼んだ・・ビットカードで支払いを済ませて梱包された品物を持って出て行こうとするが、サインとセルフィーを要請されたので応える・・3人とも激励壮行会を観ていたとの事で、最後に1曲お願いしますと懇願される・・学生たちと店員にあまり人が集まり過ぎないように観て欲しいと頼み、選ばなかった2本の内の1本を借りて壮行会で最初に歌った歌を弾き語りで披露する・・テレンス・カシオと店員の1人が携帯端末で動画を撮っていたが、くれぐれもネットには上げないようにと強く要請した・・店頭で流しても構わないかと訊いて来たので、1日に1回だけなら良いと答える・・。
テレンスとロヒスにも手伝って貰い、購入した物を持って店から出たのだが30人ほどに囲まれてしまって、車まで辿り着くのに往生した・・トランクに品物を収めると、今度は若者たちの買い物に付き合う・・2時間以上も付き合う間に、声を掛けられたり握手を求められたり身体を触られたり肩を叩かれたりサインやセルフィーに応えたりとしたが、嫌味を言われるような事は無かった・・それでも流石に疲れたのでカフェに入ったのだが、そこのカフェもまた鬼門だった・・殆どが女性客であり、ここでもまた軽くひと騒ぎとなる・・やや這う這うの体で車へと戻り帰宅した・・。
帰宅して少し休んでからギターのお披露目と微調整を兼ねて、妻と娘と4人の若者たちを前に6曲を弾き語りで披露する・・結果としてはすごく好評で、涙を誘うほどの出来映えでもあった・・。
日頃からギターを弾いて歌ってもいると言う男子学生2人に触らせている間、全員から注文を聞いてお茶や飲み物を用意して振る舞う・・これが女子学生2人には殊の外喜ばれたようで、大層に感激してくれていた・・。
「・・あたしの知る限りで、パパに出来ない事なんて無いんだよね・・」
最後は全員での画像撮影・動画撮影、ツーショット・スリーショットでの画像撮影などをして楽しみ、お開きとした・・タクシーを呼び、運賃を支払い、気を付けて帰るように言って送り出す・・たまには子供達の相手も好いものだ・・充分な娘へのサービスにもなった・・。
・・6人で食事をしている席だから、気付いていても話し掛けて来る人はいないだろうと言う考えもあったが、甘い認識だったようだ・・それでもさすがにセルフィーを頼まれるような事は無かった・・これがマーケットの中でなら、こんな少ない人数で済むなんて事は絶対に無い・・。
会計は私が預かっているビットカードで済ませる・・若者達はビットカードを初めて観たようで驚いていた・・。
私が行って観たい楽器店は大きいショッピングタウンの中にある・・伊達眼鏡ぐらい掛けて来るべきだった・・。
「・・なあ、アリシア・・悪いけど、帽子とサングラスを買って来てくれるか・?・それぐらいしないと騒がれそうだからさ・・カード、貸すから・・」
と、ショッピングタウンの駐車スペースに車を滑り込ませて停めてから、助手席の娘に言う・・すると、アリシアが口を開くより早くアデリーンが後部ドアを開けた・・。
「・・アドルさん・!・それでしたら私達にお任せ下さい・・ご馳走して頂いたお礼も含めて、きっと似合うものを見立てて買って来ます・!・ほら!・アリシアも行くわよ!・・」
と、娘にも声を掛けて車から降りると、5人揃って行ってしまった・・なかなかの行動力だ・・リーダーシップはアリシアより上かも知れない・・私は駐車スペース脇のレストルームで用を足すと、喫煙室に入って一本を咥えて火を点けて燻らせ・・喫い終ると手と顔を洗い・・外に出てハンカチで顔を拭いている時に、戻って来た彼らと合流した・・。
彼等が選んでくれた帽子はツィード製のハンチングベレーで、色調は明るいグリーンでのタータン・チェックだった・・サングラスはフレームの無いタイプで、レンズは上下の幅が狭いタイプで、色は薄い茶色だった・・。
なかなかのセンスだと思う・・アデリーンに礼を言って幾ら払ったか訊いたが、代金は5人で出し合って購入したから気にしなくても好いと言う・・その時はそれ以上訊かなかった・・後でアリシアにお金を渡してご馳走させるとしよう・・。
私は受け取ってハンチングベレーを被り、サングラスも掛けて鏡で観た・・ちょっと軽いナンパ師のようにも観えたが、改めて皆に感謝の意を伝えた・・。
「・・さあ、それじゃ行こうか・・!?・・」
先頭に立って堂々と歩く・・その方が気付かれ難い・・目指す楽器店まで800歩程歩いたが、誰にも気付かれなかった・・その楽器店では楽譜や音楽映像ソフトも様々に販売している・・店内に入ると『リアン・ビッシュ』と『ミーアス・クロス』が初めて合同で発表した楽曲・・『マイン・キャプテン』のPVが流されていた・・。
弦楽器のコーナーに入り、展示・陳列されているギターを観始める・・男性店員が来たので私は直接彼を観ないようにして要望を伝え、ギターを幾つか手に取って試奏しても良いかと訊ね、諒承を得る・・まだ気付かれていないが時間の問題だろう・・。
飾られているギターの中から3本を降ろして貰う・・先ず手に取って一本ずつ観たり触ったりさせて貰い、店員に質問もする・・椅子を貸して貰い、座って一本ずつ構えチューニングして試しで軽く弾いて観る・・サングラスを外して観たりもしている内に、店員が3人に増えて控え目に私の顔を観ている・・声を出して歌ったりはしていないが、どうやら気付かれているようだ・・学生たちは取り巻いて私を観ている・・。
3本の内の1本を選んで、これを購入すると告げる・・この時点でアドル・エルクさんですかと訊かれ、認めるがあまり言わないで欲しいと頼む・・ハードケースに入れて貰い、メンテナンスキット一式と交換用の弦を5セットとソフトケースも一つ頼んだ・・ビットカードで支払いを済ませて梱包された品物を持って出て行こうとするが、サインとセルフィーを要請されたので応える・・3人とも激励壮行会を観ていたとの事で、最後に1曲お願いしますと懇願される・・学生たちと店員にあまり人が集まり過ぎないように観て欲しいと頼み、選ばなかった2本の内の1本を借りて壮行会で最初に歌った歌を弾き語りで披露する・・テレンス・カシオと店員の1人が携帯端末で動画を撮っていたが、くれぐれもネットには上げないようにと強く要請した・・店頭で流しても構わないかと訊いて来たので、1日に1回だけなら良いと答える・・。
テレンスとロヒスにも手伝って貰い、購入した物を持って店から出たのだが30人ほどに囲まれてしまって、車まで辿り着くのに往生した・・トランクに品物を収めると、今度は若者たちの買い物に付き合う・・2時間以上も付き合う間に、声を掛けられたり握手を求められたり身体を触られたり肩を叩かれたりサインやセルフィーに応えたりとしたが、嫌味を言われるような事は無かった・・それでも流石に疲れたのでカフェに入ったのだが、そこのカフェもまた鬼門だった・・殆どが女性客であり、ここでもまた軽くひと騒ぎとなる・・やや這う這うの体で車へと戻り帰宅した・・。
帰宅して少し休んでからギターのお披露目と微調整を兼ねて、妻と娘と4人の若者たちを前に6曲を弾き語りで披露する・・結果としてはすごく好評で、涙を誘うほどの出来映えでもあった・・。
日頃からギターを弾いて歌ってもいると言う男子学生2人に触らせている間、全員から注文を聞いてお茶や飲み物を用意して振る舞う・・これが女子学生2人には殊の外喜ばれたようで、大層に感激してくれていた・・。
「・・あたしの知る限りで、パパに出来ない事なんて無いんだよね・・」
最後は全員での画像撮影・動画撮影、ツーショット・スリーショットでの画像撮影などをして楽しみ、お開きとした・・タクシーを呼び、運賃を支払い、気を付けて帰るように言って送り出す・・たまには子供達の相手も好いものだ・・充分な娘へのサービスにもなった・・。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる