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・・・『集結』・・・

・・シエナ・ミュラー・・ハンナ・ウェアー・・

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「・・エンジンを総て停止して慣性で航行している際にコースを変更するには、ロケットアンカーを使います・・艦首・艦尾に計8基装備されているロケットアンカーを、周辺の岩塊デプリに撃ち込んでそのアンカーを基点として艦のコースを変えます・・」

「・・素晴らしい・・正解です、シエナさん・・おめでとう・・さすがですね・・やはり貴女を副長に据えたのは正解でした・・ハルさんとは協議されましたか・・?・・」

「・・ありがとうございます・・アドルさん・・ええ、ハルと話し合って、この解を出しました・・」

「・・分かりました・・それで・・3時間デートはどうしますか・・?・・」

「・・誰にも言わないで、お互いに変装してデートしましょう・・」

「・・分かりました・・後で話しましょうね・・?・・」   「・・はい・・」

このやり取りをハンナ・ウェアーは、すごく羨ましそうに観ていた・・。

「・・さて、ハンナさん・・質問して下さい・・そろそろ私のデータベースを完成させないと、間に合わなくなるでしょうから・・どんな質問でも好いですよ・・」

「・・分かりました・・では、伺います・・アドルさんは、最終的にどうされるお積りですか・・?・・」

「・・出来得る限りこのゲームに参加していたいですが、何せ軽巡宙艦ですから撃沈されるのは避けられないでしょう・・遅かれ早かれね・・そうなれば私のゲームは終わりです・・総てを清算して、皆さんともお別れです・・皆さんには、またどこかからオファーが入るでしょう・・私は元の生活に戻ります・・リサさんも、私の秘書ではなくなるでしょう・・『ディファイアント』が沈めば・・艦長として偶像視されていた私も、元の私に戻ります・・そんなところでしょうね・・」

「・・何を清算されるんですか・・?・・」と、シエナ・ミュラー・・。

「・・同じ軽巡宙艦を相手にするなら、負けるつもりはありません・・『ディファイアント』が存続し続ける限り、最初は少額でしょうが賞金がプールされ続けるでしょう・・私はハル・ハートリー参謀に依頼してその全額を一括管理して貰おうと考えています・・そして『ディファイアント』が沈んでゲームが終了したら、私を除く全員の頭割りで慰労金として支給します・・それが清算です・・」

「・・なぜアドルさんは受け取らないんですか・・?・・」と、ハンナ・ウェアー・・。

「・・私は当選確率五億分の一以下で選ばれたんです・・それだけでも充分ですよ・・課長にもなって給料も上がりますし、今期のボーナスは凄いでしょう・・充分に報われていますよ・・それに最後の最後まで私に付き合ってくれた皆さんへのお礼として・・私に出来るのはこれしか無いでしょうからね・・」

「・・そんな事を今仰ったら・・皆受け取りませんよ・・」と、シエナ・ミュラー・・。

「・・それは困りますね・・副長とカウンセラーで説得して下さい(笑)・・」

「・・『ディファイアント』が沈んだら、それまでの賞金でまた艦長として登録して出場すれば良いんです・・そうすれば、また私達もアドルさんに付いて行けます・・私はアドルさん以外からのオファーは受けません・・皆もそうでしょう・・私達を率いる事が出来るのは、アドルさんだけですよ・・」と、ハンナ・ウェアー・・。

「・・そう言って頂けるのは、嬉しいです・・それに、夢の拡がるお話ですね・・それじゃ、次の質問をどうぞ・・?・・」

「・・アドルさんのデータベースを作る上での質問は、もうありません・・」

「・・そうですか・・?・・分かりました・・じゃ、私のデータベースが仕上がるのを楽しみにしています・・仕上がったら、3時間デートしましょうね・・?・・何をしましょうか・・?・・」

「・・考えます・・けど・・変装はしません・・」

「・・分かりました・・じゃあ、タクシーを呼びますね・・」

そう言って立ち上がると、2人とも続いて立ち上がる・・。

「・・アドルさん・・今夜はまだ・・・!・・」

シエナ・ミュラーがそう言い掛けたが、右手の人差し指を彼女の唇に当てて止める・・。

「・・僕も君達とまだ一緒にいたいけど、明日もある・・今夜はもう帰って、早く寝んで明日に備えて下さい・・僕達はいつでも逢えるから・・結局・・4ヶ月待てなかったのは、僕の方だったね・・」

そう言って右手でシエナを、左手でハンナの腰を抱いて引寄せると、3人で40秒ほどハグし合ってから、ハンナの左頬にキスして30秒接吻し、シエナの顎にキスして30秒接吻し、またハンナと15秒接吻し、シエナとも15秒接吻して、2人の身体を離すと携帯端末を取りに行く・・2人ともまたソファーに座り込んで大きく息を吐く・・。

ここに来る迄のタクシー運賃をビットポイントでシエナさんの口座に振り込み、ドライバーに運賃を支払って2人を乗せ、発車して行くタクシーを見送る・・見えなくなってから中に入る・・。

「・・あたし、もうダメだわ・・もうアドルさんから離れられない・・」

後部座席のサウンドシールドを上げて、ハンナ・ウェアーが言う・・。

「・・とっくにそうでしょ・・?・・アタシもだけどね・・」と、シエナ・ミュラー・・。

「・・でもアドルさんには離婚して欲しくない・・彼の家庭も守りたいよ・・」

「・・アタシもだよ・・」

「・・アドルさんが、あんなことを考えているなんて・・アタシの人生・・もう決まったかな・・?・・」

「・・アタシもそうだね・・」

「・・アタシ達の他に、誰かアドルさんとキスしたかな・・?・・」

「・・分からない・・でもアタシ達には止められないよ・・」

「・・そうだね・・」

「・・ハンナ・・明日はピシッとしていくわよ・・」

「・・分かった・・皆にも言おう・・」

「・・そうだね・・」

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