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惑い
しおりを挟むハッとして目を覚ました。気付けば部屋は真っ暗で、眠り込んでしまったようだ。
肩で息をしながら電気をつけ、近くにあったバスタオルで汗を拭いた。重い足を引きずりながら浴室へと向かった。身体から潮の匂いがし、単なる夢にしてはリアルだった。熱いお湯を頭で受けながらオレはベタついた汗を排水溝へ流した。
シトゥルスヌーの機関車とは海の中に消えて行く機関車だったなんて……到底信じられない。潜水艦のように、海に向かって沈んで行った機関車は一体全体何処へ向かうのだろう。
「竜宮城にでも行く気か?……いや、まさかな」
オレは比較的、現実的な考えを持っている方だ。
おとぎ話を例えに出してしまうとは。よほど、あの青い蒸気機関に惹かれてるようだ。
シャワーでサッパリした後、オレはカップ麺を平らげ、パソコンの前に座り検索エンジンを使って機関車について調べた。
「蒸気機関車 Steam Locomotive 。その頭文字を取ってSL……ふーん……って、何納得してるんだオレは」
青い機関車……黒い客車……そして突如として現れる線路。夢の中で観た景色を思い起こした。荒波に揉まれないほどの威力がある蒸気機関。意味がありそうでない三つの無人の小島。
オレは、パソコンでマウスを動かし続け、蒸気機関車について様々なホームページを調べた。個人のホームページ、SL会社主催のホームぺージ、チケット販売のページ、鉄オタのブログ……どれもこれも参考にならなかった。
「仕方がない、あそこに行ってみようか」
オレは再び、検索を掛けた。
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