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服従

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阿呆の様な声を無様に上げるしか出来ない和彦。

唯、一つだけは判る。

今、自分がとてつもない悪意に曝されていること。

そして、それは和彦が愛しいと思った生徒がもたらしたものであること。

ドアが閉まった。

先ほどまで甘やかだった空間に悪意がみなぎる。

その悪意は刃を持ち、和彦に切りつけてくるようだ。

「これなんか、よく撮れていない?」

デジタルカメラの画像をチェックしていた結城が竜之介に見せる。

「確かに」

そして、にやっと笑い和彦に突きつけた。

床に無防備に横たわった生徒。

顔は反対向きで見えない。

その生徒に圧し掛かる教師。

倒された時の衝撃で顔がマジだ。

股間をおっ勃てているのがデジタルカメラの小さな画面でもくっきりわかる。

和彦の目が見開かれ、全身が痙攣しだす。

「これを見た百人が百人とも、あんたが俺を強姦してると思うだろうな」

「・・・・・・」

「これをばら撒かれたいか?それとも俺の言うことを聞くか?」

「・・・・・・」

「さっさと落ちればよかったのに手間かけさせやがって」

ピシッ・・・ピシッ・・・と和彦の心にヒビが入る音が聞こえるようだ。

股間のものは萎えかけていた。

先っぽから、先ほどの名残の先走りがツゥッと床に垂れている。

まるで、和彦の心が流す涙のように・・・

「おいっ、他の写真を見せてやれ」

写真部の二年が、タブレットを突き付ける。

肩からは一眼レフが下がっている。

ここにも今の写真は収められているだろう。

そして、タブレットに写し出される数々の光景。

和彦の元にメールで送られてきた勃起を隠す和彦の画像。

そして、校長室での数葉。

裸で立つもの。

長い定規で打たれる姿。

ホームルーム、教壇の上で、ジャージを脱ぎ捨てる和彦の連続写真。

紫のエロビキニで、点呼を取る和彦。

生徒の手でビキニを脱がされた瞬間の和彦。

押し倒されて生徒にいたずらされる場面は角度が悪く良く写っていない。

が、残酷な表情を浮かべた生徒達に囲まれ宙を蹴る足は正しく和彦のものだ。

そして、生徒に暴行したと責められ全裸で立ち尽くす和彦。

体育教官室で熱湯を浴びさせられたシャワー室から逃げ出す姿を正面からとらえたもの。

痛みを堪え寝転がる和彦。

必死の形相で裸を隠すものを探す和彦・・・・・

窓ガラス越しの盗撮とは思えぬ見事さだった。

そして全裸で校庭を疾走する写真の数々。

出来栄えは新聞部のものを凌駕していた。

教師は、ようやく彼を襲った災難の黒幕を知った。

キ、、、ヒェッ、、、ヒキェェェェェッ、、、

絹を引き裂くような甲高い奇声を和彦が放つ。

怪鳥のような悲鳴、、、

責め苛まされている心の叫び、、、

男らしく少年の爽やかさを残す顔は惨めに歪みきり、軽く白目も剥きかけている。

「学校を辞めても、この写真がお前を追う。お前の家にも」

和彦は家族の姿を思い出す。

嫌だっ、そんなことは嫌だッ。

優しい家族に心配かけるぐらいなら・・・いっそ・・・

その心の動きを読んだように、竜之介は言った。

「もちろん、自殺はもってのほかだぜ・・・お前がどんな遺書を残そうと、このタブレットの写真を見たらみんなどう思う?授業中に、勃起、、、みっともないスケスケの変態ブーメランビキニで生徒の前に立ってホームルーム、、、全裸で校庭疾走、、、挙句の果てに生徒を強姦未遂、、、ストレスが溜まった挙句の変態教師振りがばれて自殺したと思うぜ。死人に口無しだからな。親御さんも可哀想だぜ、息子が自殺、しかも、変態、淫行教師だったなんてな、、、それが嫌なら、お前は俺に服従するしか道がないんだよ」

教師の顔がさらに歪む。

「ぅっ・・・ぅっうおぉ・・・
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

精神が破壊されたかのような雄叫び。

その時、授業終了のチャイムが鳴った。

休み時間の間には、寮に帰ってくる生徒もいる・・・

「竜さん、人が来るっ!叫んでいると見られちゃうよっ!」

結城が竜之介に言った。

和彦の残った理性が悲鳴を押しとどめる。

「いや、それも面白いな・・・、せっかくの見世物だ。楽しむのが俺たちだけじゃもったいない、、、」

結城たち生徒、そして、呆然としているはずの和彦の目がギョッと見開かれる。

ビリッ・・・ガスッ・・・ガスッ

信じられないものを見るように竜之介を見る。

竜之介が自らのワイシャツを破り、拳で自分の顔を数発殴ったのだ。

全力で。

頬に痣が出来、タラタラと鼻血が流れ出した。

目が血走っている。

「面白いっ、、、叫べっ!、、、カズ先生っ、、、叫べよっ!、、、人を呼ぶんだ。、、、みんなを集めるんだ。、、、強姦未遂の現行犯になるんだよ。、、、みんなに証人になってもらうんだっ。、、、体調が悪くなって寮に戻ってきた俺をお前が襲った・・・たまたま寮に戻ってきた結城達が飛び込んできて俺を救った、、、お前達っ、写真とカメラをしまえ、、、さぁ、どうした、か・ず・せ・ん・せ・い、叫べよっ、今みたいに叫べっ」

鼻血をダラダラと流し、血走った目で和彦を見据える。

恐ろしい形相だ。

和彦は完全に呑まれていた。

思わず、正座する。

体育会時代からの習い性だ。

上の立場の者に接する時の・・・

竜之介は鼻血の流れる顔を怯えた教師の顔に近づける。

小声で言う。

「ほ、ら、さ、け、べっ、、、、」

声が掠れている。

窓の外、声が聞こえる。

寮に何かを取りに来た生徒達だろう。

呑気にアニメの話をしている。

「ほら、どうしたんだ?、、、声出せよ・・・・やつらに見てもらうんだ、お前の無様な格好を・・・強姦未遂の証人になってもらうんだ・・・」

「や、やめてくれ・・・も、もう許してくれ」

生徒達の声が近づいてくる。

方向から考え、玄関に行くまでにこの部屋の横を通る。

「カーテンを閉めろっ、閉めてくれ・・・」

ニタァッと竜之介が笑う。

狂気染みた笑顔だ。

「人にものを頼む時の言い方を知らないのか、お前は・・・」

そして和彦の頬をビシャッと手加減せず平手で叩く。

和彦の顔が真横に張られる。

頬に掌の形が赤く浮き上がる。

和彦は反射的に両手をつき、頭を床にこすり付けた。

土下座だ。

生徒に対し、教師が。

「おっ、お願いします。カーテンを閉めて下さいっ」

返事はない。

生徒達の元気な声が近づいてくる。

間もなく窓の外を通るだろう。

通れば異様な光景に気付くはずだ。

「お願い・・・お願いです。お願いします。カーテンを閉めてください。何でも言うことを聞きます。い、言うことに従いますから、カ、カーテンを・・・もう、許してくださいぃ~っ」

後半は泣き声交じりだ。

靴音までがはっきりと聞こえ出す。

シャッ

ぎりぎりの瞬間でカーテンが閉じられた。

静寂。

教師は土下座を続けている。

竜之介が音も無く近付く。

教師の髪を掴む。

グィッと引き上げる。

教師は完全に怯えた顔をしていた。

涙で頬が濡れている。

竜之介は顔を近づけた。

恐ろしさで顔を背けようとした教師を一喝する。

「こっちを向けっ!目を逸らすなっ!」

教師は言われるがままに竜之介を見る。

怯えている。

血走ったギラギラした目。

顔の下半分を彩る鼻血。

整った顔だけに凄みのある表情。

完全に蛇に睨まれた蛙と化していた。

「言うことを聞くと言ったな、、、」

低くドスの聞いた声。

「は・・・はい」

教師の声は震えている。

「よし。俺の言うことを聞けば、元のカズ先生に戻してやる。みんなに慕われる兄貴のような和彦先生に。写真もばら撒かん。だが、いいな。その代わり、俺の言うことは聞けっ。絶対服従だ」

「はい・・・は、はい・・・・」

和彦は阿呆のように頷いた。

ビリッ

威嚇のように竜之介は和彦のTシャツの首に手を掛け、破る。。

和彦の盾を2つ並べたような胸筋が現れる。

「このあとは、お前次第だ。まずは、脱げっ」

教師は、慌てたように、Tシャツを破り捨て、膝下まで脱がされたスウェットをブリーフを脱ぐ。

素っ裸になり、正座を続ける。

ククッ・・・うまく行った・・・えっ・・・こいつ、興奮し始めてやがる・・・

いったんは収まっていた和彦のモノがムクムクと成長を始めていた。

こりゃ、面白いぜ・・・

鍛えられた筋肉に覆われた和彦の体の奥底で、暗い倒錯した快楽への炎が確かに点燈した。

素っ裸で下を向き、正座している。 

両手は膝の上だ。

この分だとあっさりと仕上がりそうだな・・・

そう思いつつ、竜之介は教師に命令した。

「そこに大の字になれっ」

教師は従った。

その鍛えられた逞しく美しい身体を床に横たえながら、自分が何故勃起し始めたのか判らなかった。

しかし、暗い喜びが押さえようとしても湧き上がってくる。

そして、諦めと同時に、決着がついたような不思議な安堵感もあった。

自分を脅かしていた恐怖の正体を知ったからか・・・・

生徒会長が全裸になる。

締まった体だ。

弓道部主将らしく、胸と肩の筋肉が見事だ。

何をされるのか・・・

怯えつつ・・・期待もしている自分が、情けなかった。

回りの生徒達も脱ぎ始める。

何れもスポーツで鍛えた身体。

男盛りをまもなく向かえようとする大の字になった大人の男を、大人の身体に向かおうとしている若くしなやかな身体達が囲んでいる。

荒い吐息が狭い部屋を満たす。
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