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 目を開けて見慣れない天井を見てぼーっとする。あんなに気持ちよかったのクルトとアルト以来だ。そういえばあの二人今頃何してるだろ。メモ見てくれたかな?仕事サボって探してたりして。まさかそんな事あるわけないか。

 自分の思考を鼻で笑いながら昨晩の事を思い出す。ウォルトとしちゃった。あのウォルトと。可愛いけど頼もしくって少しでも空き時間あると手伝ってくれるいつも優しいあのウォルトと。でも昨晩のウォルトは完全に男だった。かっこよくって優しいだけじゃなく、甘いだけじゃなくって刺激もくれる素敵な男性だった。

思い出しながら赤面していると隣からくすくすと笑い声が聞こえた。顔だけ隣に向けるとそこには片手で自分の頭を支えながらこちらを爽やかな笑顔で見ているウォルトが居た。

「コハルは見ていて飽きないです」

もう片方の手はコハルのお腹をとんとんとリズムよく叩いていてまるで赤子をあやしているようだ。その姿はまさにイケメン天使。

「天使がいる」

思ったことをそのまま言ってしまった。彼はきょとんとした後コハルの頬に口付ける。

「ほんとだ。ここに天使がいる」

いやいや、天使は私じゃなくて貴方の方でしょ?

抗議しようと体を起こそうとしたが起き上がれない。腰が動かないのだ。

「どうしようウォルト君、体動かないの」
「え!?ごめんなさい昨日無理させてしまったのかも。えと、ちょっと待ってて下さい!」

それからウォルトの行動は早かった。
彼はベッドから出るとズボンを履き上半身裸のまま勢いよく部屋を飛び出した。彼は数分もしないうちにお湯が入った樽とシーツを慌てて持ち帰って来た。

裸を全て見られたコハルの羞恥心は何処へやら、ウォルトは裸のコハルを抱き抱え器用にベッドからシーツを剥ぎ取り新しいシーツを簡易に敷きその上にコハルを置いた。そして持ってきたお湯にタオルを付け絞りコハルの身体を拭いていく。

「ここまでしなくてもいいのに」
「でも昨日凄かったからベトベトですよ。ほらここも」

 ウォルトはコハルの脚のつけ根を触りながら笑った。コハルは顔が真っ赤になる。

「続きはまた今度ね」

ちゅっ

「っーー!!?」

鼻っ!今このイケメン鼻にキスして来ました。
頭の中で緊急イケメン警報が作動している。昨晩からこのイケメンにドキドキされっぱなしだ。それにこの愛され度何パーセントなのだろうか。

「コハルが可愛すぎて俺の方が我慢出来なさそうです」

困り顔で笑うウォルトに緊急イケメン警報がなり止むとこはなかった。



ー昼時ー

 漸く動けるようになったコハルはウォルトに頼み、取ってきてもらった服を着てウォルトと二人で食堂へやって来た。食堂には数人の騎士達が昼食を食べていて中にはロイドとルイスも居た。

 本日コハルとデイジーはお休みの為代わりのシェフが昼食を作っているのだが、こういう日のメニューはサンドウィッチ一択だ。二人で列に並ぶ。並んでいる間もウォルトの愛は止まることがなく、恋人繋ぎをして来たり、頬にキスをされたりしている。恥ずかしいコハルはずっと壁を向いて周囲に背中を向けながらそれを受け入れていた。騎士達は女性嫌いだったウォルトの豹変ぶりに驚き空いた口が塞がらないでいる。

料理を受け取った二人はロイド達が座っているテーブルへ着席した。だが突然コハル達が着席したのと同時にロイドが音をたてて立ち上がってしまう。そして挨拶をすること無く去って行った。まるで怒っているような態度に困惑するコハル。どうした事かとルイスを見ると彼も何処と無く怒っているようだ。

「・・・団長が怒るのも無理はありません」

ルイスはそう言うと立ち上がりコハルに近づくと唇と唇を重ねて来た。キスをされたのだ。いきなり、しかもこんな人混みの中でキスをされたが突然過ぎる行動に慌てるよりも固まってしまう。

「私もいること忘れちゃダメですよ?」

耳元で囁くとそのままルイスも去ってしまった。残されたコハルは固まったまま動けずにいる。そんなコハルの隣でウォルトは面白くなさそうに唇を尖らしていた。

コハルは知らない。昨晩の喘ぎ声が二人に聞かれていた事を。
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