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二章 旅立ち

パグアでの一夜

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 朝にキーヴァを出発したわたし達は、とうに日が沈み、細い三日月からの月明かりが照らす中パグアという町へと到着していた。

「や……、やっと着いた……」

 力尽きたわたしはその場へとへたり込む……。

 もうダメ、もう無理……、もう一歩も歩けない……。

「ほら、サナそんな所に座ってないで宿を探しに行くわよ」

 手のひらにかざしたイルネートという、照明魔法で道を照らしているエミリーがやや呆れながらわたしへと声を掛ける。

「サナ、もう少しの辛抱だから頑張ろう」

「う……うん……、ユーリ……ありがとう……。」

 わたしは差し出されたユーリの手を取って立ち上がるとエミリーの後をゆっくりとついて行った。

 歩きながら辺りを見渡すと、夜だからだろうわたし達以外に外を歩いている人の姿はなく、建物からは灯っていた。

 その静まり返った夜道を今日泊まれる所を探してわたし達は夜の町を歩いた。


 ◆◆◆


 「はあ~……、極楽、極楽~……」

 ようやく見つけた一軒の宿屋のお風呂で身体を洗ったわたしは、お湯に浸かりながら深いため息をついた。

「サナ、あなた本当は幾つよ……。まるでオッサンみたいよ……」

 同じく体を洗ってお湯に浸かっているエミリーが、わたしの声を聞いて呆れながらも苦笑していた。

「いいでしょ、だって気持ちいいんだもん」

 確かに今のは自分でもジジ臭いような気はするけど、一日歩き続けた身体にこの温かいお風呂が体に染み渡る。

「ま、気持ちは分かるけどね。ところでサナに聞きたい事があるんだけどいいかしら?」

「どうしたの?エミリー、改まって……」

 聞きたいこと……?何だろうか。

 頭にハテナマークを浮かべているとエミリーがわたしの後ろへと回り込んできた。

「あたしが聞きたいことはねサナ……。このけしからん胸は何よ……っ!」

「きゃあぁっ!?」

 突然エミリーがわたしの胸を後ろから鷲掴みして来た!

「何よこれはっ!?お湯にこんなデッカイの浮かべて……!このけしからんおっぱいは何カップよっ!?」

「えっと……サイズはDカップだけど……」

「D……っ!?何よそれ!あたしのBカップの胸に対する当て付けっ!?この胸で何人の男を誘惑して来たのっ!?この!このっ!!」

「きゃあっ!?ちょっとエミリー胸触らないでよ……!それに誘惑なんてしてないよぉ……!」

 エミリーは文句を言いながらわたしの胸を揉みしだく。

 その際に背中にエミリーのやや小振りな胸が当たっているのが分かる。

 うん……、これは確かにわたしのより小さい……。

「サナ……、今あたしの胸が小さいって思ったでしょ……?」

 ギク……っ!

「そ、ソンナコトナイヨ……?それよりいい加減わたしの胸で遊ばないでよ……!」

「うるさい!一体何を食べたらこんなに育つのよっ!?栄養を全部この胸が持っていってるんでしょっ!このぜい肉を少しはあたしに分けなさいっ!」

 今度はエミリーがわたしの胸を掴んでは引っ張り回す!

 エミリーの握力が強いのか、それがまた結構痛いっ!

 しかし、逃げようにも後ろからしっかりと掴まれているため逃げるに逃げれない。

「エミリー痛い!痛いよう……っ!で、でも大きくてもいいことなんて一つもないよ……っ!?肩は凝るし男子からはイヤらしい目で見られるし走ると胸が擦れて痛いし……っ!」

「そんな悩み、持たざるものから比べれば些細なものよっ!ぜいたく税みたいな奴ヤツよ!」

 そんなムチャクチャなっ!

「でも、わたしのお姉ちゃんの胸のほうがまだ小さかったよ……っ!?だからエミリーも自信持っていいんじゃないかな……?」

「ふむ、なるほど……。と言うと思ったかっ!?この胸がサナのお姉さんの分まで吸い取ったんでしょっ!?こうなったらこうやって揉んで押し潰してやるわっ!」

「ふえぇ~ん……!もうやめてよぉ~!わたしのおっぱい乱暴に虐めないでよ~っ!」

 結局この後エミリーの機嫌が収まるまでわたしの胸はエミリーの手によって弄ばれてしまうのだった、クスン……。


 ◆◆◆


 お風呂から上がった後、わたし達は宿屋をでた後ユーリと待ち合わせをしている食堂へとやって来ていた。

 わたし達が取った宿はお風呂こそあったけど、食堂は設けられてはいなかった。

 エミリーの話ではこの世界のほとんどの宿屋が食べる所は別と言う所が多いようで、キーヴァで泊まった宿のように一階が食堂と言うところの方が珍しいみたいだ。

「ユーリ、待たせたわね」

「ユーリ、お待たせ……」

 入る前よりもなんか疲れたわたしに対し、エミリーはスッキリとした顔でユーリへと声をかけた。

「あ、姉さん今日はいつもよりお風呂長かったね。と言うか、サナなんか疲れた顔してない?」

「うん……、ちょっとね……」

 流石にエミリー散々胸を揉みしだかれましたとはユーリに言えるはずもなく、言葉を濁すことにした。

「サナのおっぱいを揉みしだいたらスッキリしたわ。こんな風にね♪」

「きゃあっ!?」

「お……おっぱ……っ!?」

 エミリーがまた後ろからまたわたしの胸を鷲掴みにして揉みしだいてくる。

 一方のユーリはエミリーの言葉にユーリの顔が真っ赤にさせながらエミリーの手で形を変えているわたしの胸へと視線が釘付けになっていた。

「ゆ、ユーリ見ないでぇ~……!や……、やあ……!エミリーそんなに胸を揉んじゃ……、ん……!んんぅ……!」

「ここか?サナはここがええのんか?ユーリ見てる?サナのおっぱいこ~んなに大っきくて柔らかいわよ~♪」

 エミリーに胸を揉まれ段々と変な気分になって来る……。

 そんなわたしの反応を楽しむように先程とは打って変わり優しいタッチでエミリーはニヤニヤと笑みを浮かべながらわたしの胸を弄ぶ。

「あわ……、あわわわ……。サナの……、サナの胸が姉さんに揉まれて自在に変わって……」

 そんな様子をユーリは顔を真っ赤にさせながら注視している。

 さらによく見れば他の男性のお客さん達もわたしの胸へと視線を向けていた。

「ちょっと楽しんでるとこ悪いんだけど、ウチはそういう店じゃないんだけどねっ!」

「ごめんなさい……」
 
「はい……」

「すみせんでした……」

 店の女将さんに怒られたわたし達はその後無言で食事を済ませるとイソイソと店を後にした。

 その後、宿屋へと戻ったわたしはパジャマへと着替え、ベッドに横になるとすぐに眠りへと落ちていったのだった。
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