チートなし!JK魔法使いの異世界冒険記〜姉を訪ねて三千里っ!?〜

ノン・タロー

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二章 旅立ち

ドアを開けると、そこは大雨だった……

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 ーサナー

 エミリーに勝利して数日後、わたしはユーリとエミリーと共に旅に出る準備をしていた。

 この街で買った服や通学用のリュックにエミリーから貰った魔法の本、それに野宿で必要だから言われて買った毛布に、お金の入った袋等をマジックポーチへとしまった。

 忘れ物はない。

 エミリーの話ではこの家はいつ帰ってこれるか分からないので引き払うと言っていた。

 家具はもともと備え付けられていたためこのままでいいらしい。

「エミリー、ユーリ、わたしの方は準備出来たよ」

 準備を整え、リビングへとやって来ると二人はわたしに背を向ける形で何も喋ることも無くただリビングに立っていた。

 わたしはこの家に来てから日が浅いため特別な感情ないけど、ユーリやエミリーは思うところがあるのかもしれない。

「分かったわ。ユーリ、行くわよ」

「うん、分かった」

 エミリーは腰に剣を差し、背中には弓と矢筒を背負っている。

 一方のユーリも槍を背中に背負い、二人はわたしの方へと振り返った。

「まずはこの街の南にある町、パグアを目指すわよ!」

「うん!」

「分かった!」

 わたし達は、意気揚々と玄関のドアを開け旅立ちの第一歩を踏み出した!

 すると、わたし達は降りしきる雨に打たれあっという間にびしょ濡れになってしまった!

 なんと、外は大雨だった……!


 ◆◆◆


「え~……、という訳で出発は明日に延期するわ……」

 エミリーの力無い声の元、わたし達の間には何ともビミョ~な空気が流れていた……。

 借家の方は既に引き払ってしまっているらしく戻ることが出来ないため、わたし達は今食堂へとやって来ていた……。

 ここは一階が食堂で二、三階が宿屋の食堂兼宿屋で、今日はここで一泊する事となる。

 わたし達は完全に出鼻を天気によって挫かれてしまっていた!

「ごめん、二人とも……。僕が何日も気を失っていなければこんな事にならなかったのに……」

「ユーリは悪くないわ。悪いのはあの劇物を作り出したサナが悪いのよ」

 申し訳無さそうにするユーリの顔と、エミリーの非難に満ちた視線がわたしへと突き刺さる……!

「その節は大変ご迷惑をおかけしました……」

 わたしは小さく縮こまって何度目かの謝罪を口にする。

「サナは金輪際料理禁止よ……っ!」

「はい……」

 両親やお姉ちゃんだけでなく、エミリーからも料理禁止令が出されてしまった……。

 うう……、わたしだってお料理くらいしたいのに……。

「まあまあ、姉さん……。考えようによったらそのお陰でこの大雨を回避出来たとも考えられるよ。もし道中でこんな大雨に振られたら大変だったよ」

 落ち込んでいたらわたしにユーリがフォローを入れてくれる

 ああ……、ユーリありがとう……。

 ユーリのお陰で少しは心が楽にったような気がする。

「ユーリ、あまり甘やかしたらダメよ!じゃないとこの娘また料理という名の毒物を作り出すわよ。それともユーリはサナの料理劇物をまた食べたいのかしら?」

「流石にもう二度とゴメンだよ……。あの時は死んだおじいちゃんが、まだこっちに来るな!って叫んでたからね……」

「はぐう……!」

 エミリーとユーリの一言がわたしの胸に突き刺さる……っ!

 すっかりわたしの料理は指定劇物にされてしまっていた……。

 トホホ……。

「さてと、それより時間が空いたわね……。ところでサナって歳はいくつかしら?」

「え……?わたしはまだ16だけど……」

「16か……、ユーリよりひとつ下なのね……。は~あ……、18歳以上だったらスケベ店にでも連れて行ってあげようかと思ったんだけどなぁ~……、残念……」

「スケベ店……?」

 なにやら聞き馴染みのない単語が聞こえてきた。

 しかも、名前からして多分卑猥な店だ……。

「そっか、サナはスケベ店知らないんだっけ。スケベ店と言うのは男女がアレをする店よ」

 エミリーはニヤニヤと笑いながら右の親指と人差し指で輪を作り、左の手の人差し指を抜き差しする動作をして見せた。

 一瞬なんだろうと思ったけど、その意味がわかった途端わたしの顔は真っ赤になった……!

 つまり、エミリーが言うスケベ店とはそういう店風俗店なのだ……!

「スケベ店は男性用と女性用に別れてるんだけど、小さな違いこそあれやることは大体一緒よ。大きな違いといえば女性用の場合は男が相手をしてくれるってことよ。という訳で、あたしはこれからスケベ店に行ってくるわ♡」

「え……、エミリーそのスケベ店って所に行くの……?」

「そりゃあたしにも性欲くらいあるわ。サナにはそう言うの無いのかしら?」

「そ……、それは……」

 無い……とは言えない……。

 わたしだってムラムラした時は自分でする時だって勿論ある。

「つまり、そう言うことよ。あ、でもスケベ店は18歳未満はお断りよ!どうしても我慢できなかったらユーリに相手をしてもらったらどうかしら?同意の上なら未成年だろうと関係無いし、それにあたしの知る限りではユーリは未経験の筈よ!」

「ふあ……っ!?」

「ね……姉さん……っ!?」

 エミリーの言葉にわたしとユーリの顔が真っ赤になる……っ!

「なんて、冗談よ!サナも見た感じそう言うのには奥手みたいだし、ユーリもそんな度胸ないだろうしね、あはは……!」

 エミリーはそれだけ言うと、スケベ店と言う所へと出かけて行ってしまい、残されたわたしとユーリは恥ずかしさと変にお互いを意識してしまった事で俯いたまま一言も話すことはなかった……。


 そして翌日……、雨が上がり陽が差す中わたし達はこのキーヴァの街を旅立ったのだった。
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